剣狂い転生漫遊記   作:アキ山

64 / 135
 お待たせしました。

 アポ4話をお届けします。

 さわりの会話回にするはずだったのに、妙に長くなってしまった。

 うーむ、どうしてこうなった?


剣キチさん一家ルーマニア滞在記(4)

 ルーマニア旅行記 5日目

 

 先日、黒のアサシン改め、『ルーマニア母子援助隊』へと所属することになりました。

 いやまあ、あんな願いを聞かされたら、大人として一人の親としてNoとは言えんでござる。

 聖杯大戦に本格参戦する事となったので、俺と姉御以外は妖精郷に帰るように言ったのだがものの見事に拒否された。

 ガウェイン  『父上達を戦場に残すなど、騎士の名折れ。このガウェイン、クラス補正とやらはありませんが、異空間擬似ソーラーシステムによって常時『聖者の数字』が発動可能です! 必ずやお役にたって見せましょう!!』

 ガヘリス   『そうだぜ、俺だって三体合体すれば巨人だってブン殴れるんだ! 置いてけぼりは無しだぜ、父ちゃん!!』

 アグラヴェイン『私は聖杯戦争経験者です。他の者達よりも的確な判断が出来るでしょう。それにニニュー殿より与えられた機器を使えば、赤・黒双方の情報収集が容易となることでしょう』

 ギャラハッド 『私には兄上達の様な特殊能力はありません。しかし、剣の腕は並みの英霊には遅れは取らない自負はあります。お婆様や姉上達の護衛はお任せください』

 お袋さん   『攻撃は得意では無いけれど、治癒や結界なら自信はあるわ。子供達の事は任せなさい』 

 ガレス    『えっと、えっと……私には戦う力は無いけど、コロや騎士団のみんなが頑張るって……』 

 モードレッド 『オレはジャックのともだちだから、最後まで戦うぞ!』

 との具合にみんなやる気満々だった。

 取りあえず、妖精郷に帰ったらニニューさんと保護者面談をしようと思います。

 トゥリファスへ戻るのは用意が整ってからと決まったので、それまでの時間を使ってアグラヴェインが情報収集を開始していた。

 魔力による認識阻害に加えてステルス性能と光学迷彩を施されたドローンの群れが放たれ、程なくして装甲車へと姿を変えたガヘリスの車に備え付けられたモニターにミレニア城砦周辺の様子が映し出された。

 そこには森の中に佇むルーラーと黒のライダー。

 そして樹に背中を預けてぐったりと座り込む例のホムンクルスの少年に、胸に大穴を空けて消滅しかかっている大剣使いの姿があった。

 流れてくる音声を聞く限りでは、どうやら死に掛かっていた少年を助ける為に大剣使いが自らの心臓を与えたらしい。

 なんとも英雄的な自己犠牲である。

 まあ、正真正銘の英雄なんだから当たり前と言えば当たり前だが。

 その後は少年をルーラーが保護し、黒のライダーは少年の逃亡幇助(ほうじょ)と黒のセイバー(大剣使いの事)脱落の責任から黒の陣営に連行されていった。

 アグラヴェイン曰く『黒のセイバーが脱落したのを知れたのは僥倖(ぎょうこう)ですな』とのこと。

 そこまで映し出すと画面は次の場面へと切り替わった。

 次に見えた光景は教会の礼拝堂を思わせる空間。

 そこには褐色の肌に白髪の歳若い神父と、黒のドレスを纏った妖艶な雰囲気を放つ美女が立っていた。

 そして緑の髪を逆立てた軽装な戦士とネコ科の獣を思わせる弓を手にした女性、そして何時ぞやの炎槍使いの姿もあった。

 つーか、脳味噌シェイクになったのに生きてるとか、どんなタフさだよ。

 それと黒のドレスの女を見た姉御が『あら、魔女』と言っていたが、ツッコむ者は誰もいなかった。

 平行世界のモードレッドが赤の陣営のセイバーだとすれば、炎槍使いがランサー。

 そして弓を持った女性がアーチャーで、黒ドレスの女がキャスター。

 緑髪の男はライダーかアサシンといったところだろう。

 普通に応対していたところを見るに、バーサーカーと言う事はあるまい。

 この中で用心すべきは、妙に腕が立ちそうな緑髪の男に頭を潰されても生きていたランサー。

 あと、曲者枠として神父と黒の女も外せない。

 この2人は放っておくと謀略や策略を巡らせて、この戦いをグチャグチャにしそうな雰囲気がする。

 奴等は機を見て排除することにしよう。

 現状ではこれ以上の情報を掴める感じではなかったため、アグラヴェインがドローン達を引き上げさせていた事で偵察任務は終了と相成った。

 ジャックちゃんは我関せずとモードレッドと一緒に部屋の中を探検していたが、怜霞さんは画面に次々と現れる英霊たちの姿に呑まれてしまっていた。

 数日前まで堅気だった彼女にしてみれば、少々刺激が強すぎたのだろう。

 兎も角、敵となる奴等のツラを拝めたのはいい事だ。

 家族への緊急時脱出用の転移礼装は姉御が造ってくれるそうだし、明日からは気合を入れていく事にしよう。

 

 

 

 

 諸々の準備の為にシギショアラに滞在する事二日。

 礼装作りに籠っていた姉御の気晴らしにと二人で街へ繰り出した俺達は、通りのカフェで平行世界のモードレッド一行と顔を合わせていた。

「ん、アンタ達はここでも観光か?」

 咥えタバコで現地の新聞を読んでいた獅子劫は、此方に気付くとサングラス越しに鋭い視線を投げてくる。

「まあ、そんなとこだ。トゥリファスは物騒だったし、このまま何日か掛けてルーマニアを抜けて、東欧諸国を回ろうと思ってるのさ」

「ケッ、良いご身分だよな。こっちは戦争真っ只中だってのによ」

 獅子劫の対面でハンバーガーに噛り付いていたモードレッド、いや赤のセイバーは不機嫌さを隠そうとせずに吐き捨てる。

「ふ~ん……その服似合ってるわね。下の露出をもう少し押さえて、似たようなデザインのをモディに買って行ってあげようかしら」

 そんな愚痴など気にも留めずに、彼女の纏った現代風の私服を興味深げに観察する姉御。

 その姿にセイバーは何とも言えない表情を浮かべる。

「……なんでアンタ、そんなまともなんだよ。狂ってないモルガン・ル・フェイなんてあり得ねぇだろ」

「なによ、失礼ね。まあ、この世界の私の事を思えば、そう感じるのも分からなくもないけど」

 セイバーの言葉に憤慨したものの、この世界の狂い果てた自分を知る姉御は溜息をつく。   

「私が狂わなかった理由、それはズバリ『愛』よ!!」

 威風堂々と胸を張って断言する姉御。

 たゆんと自己主張する大山脈を見たセイバーの目に、敵意の様なものが過ぎったのは気のせいだろう。 

「愛って……惚れた男がいたからまともだったって事かよ!?」

「その通り!!」

 力いっぱい肯定する姉御に、セイバーはウンザリと顔をしかめて『信じられねぇ』と呟く。

 姉御よ。

 貴女が過去に行った所業って、けっこうまともじゃないのが多かったよね。

「ところで、そっちはどうしてシギショアラに来たんだ? 例の件はトゥリファスが舞台なんだろ」

「……アンタ等なら問題無いか。数日前からこの街で連続殺人事件が起こっていてな、それがどうもサーヴァントの仕業らしいんだ」

「なるほど、それでお前さん達が乗り込んで来たってワケか。神秘の秘匿とやらも大変だな」

「まったくだ」 

 こちらの言葉に獅子劫はため息交じりで肩を竦めて見せた。

 その殺人事件というのは間違いなくジャックちゃん絡みなんだろうが、それについてはツッコむ気は無い。

 闇金などの高利貸しやマフィアにヤクザ、凶手や女衒に至るまで。

 堅気と違って裏社会の人間は法の目を掻い潜って生きている。

 故に法の保護下にない奴らは、己が身は自分で守らねばならない。

 これは外法の真理を追い求める魔術師にも言えた事だ。

 真っ当に生きている堅気ならいざ知らず、裏の奴等は殺された方が悪いのだ。

 相手がサーヴァントであれ何であれ、そんな事は関係ない。

 人や社会が定めた法に背を向けるという事は、弱肉強食という自然の摂理に飛び込むのと同義なのだから。

 少なくとも、上海にいた頃の俺はそうだった。

 因みに、あの後怜霞さんとジャックちゃんには姉御の魔術で経歴を確認してもらった。

 結果はシロ。

 むこうの言い分通り、裏社会のクズどもしか襲っていなかった。

 ジャックちゃんは何でそんな事をするのか分からないという風情だったので、これを機にガッツリと道徳についての教育を受けてもらう事にした。

 教師は育児経験豊富なお袋さん。

 今のところはアン●ンマンやジ●リの映画で興味を引きながら、少しづつ認識を変えていくように仕向けている。

 まずは人殺しはダメってことから教えないといけない。

 戦闘が仕事のサーヴァントがそれでいいのかって?

 もちろんである。

 今回の聖杯戦争であの子を鉄火場に出す気はこれっぽっちもないのだから。

 というか、子供を殺し合いの場に放り出すなんて、大人の端くれとしてやっちゃいかんでしょ。

「ところで貴方達も聖杯戦争に参加してるって事は、叶えたい願いがあるんでしょ。差支えが無かったら教えてくれないかしら?」

「あ? なんでアンタに教えねーといけないんだよ」

「平行世界とはいえ、貴方は私の子供だもの。聖杯に掛けるほどの願いがあるなら気になるわよ」

 臆面も無くそう言われた事で、思わず鼻白むセイバー。

 姉御から聞かされた話では、平行世界のモルガンは徹頭徹尾モードレッドを道具として扱っていたそうだから、こうやって家族の情を真正面に出された事で戸惑っているのだろう。

「それにね、私達はこれでも日本の冬木って街で行われた聖杯戦争で優勝した事があるの。だから、何かアドバイスが出来ると思ってね」

「ちょっと待て。冬木の聖杯戦争だと?」

「ええ。たしか1994年に行われた第四次聖杯戦争だったはずよ」 

 姉御の返答に異を唱えたのは獅子劫だ。

「そりゃおかしいぞ。冬木の聖杯戦争は60年前の第三次の折に、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアが日本軍とナチスの目を盗んで大聖杯を奪取した事で、それ以降は行われていないはずだ」

「なんだ、フカシかよ」

 自身のマスターの説明を受けたセイバーがこちらに嘲笑を向けるが、俺達は気にしなかった。

 ダーニックってのは、ミレニア城砦に出向いた時に現れた魔術師だ。

 姉御の呪いで見事な爺にチェンジしたが、やっぱり曲者だったらしい。

「第四次が行われていないって事は、もしかしてまた妙な平行世界に迷い込んだのか?」

「その可能性は高いわ。妖精郷からの縮地法を使った移動、少し控えたほうがいいかもね」

「正直、すまんかった」

 二連続で厄介事の渦中に飛び込んだ身としては、陳謝する他ないであります。

「あー、そうか。オタク等、平行世界移動が出来るんだったな。つまり、ソッチの世界では問題なく第四次が起きたってワケか」

「そういう事になるのかしら。なんだったら、聖杯戦争の術式について説明するわよ?」

「遠慮しとくよ。聖杯戦争の仕組みなんざ、聞いても分からん」

「……どういう事だよ、マスター。一人で納得してないで説明しろ」

「要するに、あっちの言ってる事がハッタリじゃない可能性があるってこった」

 会話についていけていないセイバーに、紫煙を燻らせながら面倒そうに手を振る獅子劫。

「さっきの獅子劫の話が事実なら、ここにある大聖杯って冬木のモノってことだよな」

「そうなるわね。むこうだと大聖杯は呪詛の塊みたいになってたけど、こっちではどうなのかしら?」

「どうだろうな。けど、あんな呪いの壷みたいになってたら、隠し持つなんてできやしないだろ」

「それもそうか。むこうではそうでも、こっちまで同様とは限らないものね」

「しかし、そうなると今回も叶えられる願いって限定されるよな」

「そうね。願いが叶う方法、もしくは過程がなければ成立しないのが冬木の聖杯だもの。その前に小聖杯がちゃんと用意されてるかって問題もあるわよ。あれってアインツベルンの秘匿技術だったはずだし。でも、冬木で流し読みしていた緊急用の対処術式が起動する事態があるなんてね」

「緊急用の術式? なにそれ」

「大聖杯には七組のマスターが結託したと判断した際、儀式の円滑な進行の為にもう七組のマスターを選出する術式が仕込まれてたのよ。で、その場合は14組のマスターとサーヴァントが二つの陣営に分かれて相争い、勝利した側が聖杯戦争を継続するって事になってるみたい」

「なるほど、それなら初日の夜に獅子劫から聞いた話と一致するな」

 姉御と2人で聖杯関係の情報を整理しなおしてみると、問題も一緒にポコポコと湧き出てきた。

 サーヴァントが出てる事や姉御の言う緊急術式が作用しているところを見ると大聖杯自体は稼動してるんだろうが、問題は願いが叶うところまで持っていけるかだ。

「……OK、降参だ。それだけ冬木の聖杯について詳しいって事は、オタク等の言葉に嘘は無いんだろうさ」

「理解が得られて嬉しいわ。それで、話してくれるのかしら?」

「オレは構わん───」

「マスターッ!!」

 色好い返事を返そうとした獅子劫の言は、食器がぶつかり合う甲高い音で遮られた。

 見れば、立ち上がったセイバーが憤怒の形相でテーブルに両手を叩き付けている。

「どういうつもりだ! 相手はあの魔女だぞ!!」

「物事は正確に判断しろよ、セイバー。俺達の目の前にいるのは、お前の知っている魔女とは別人だ。その辺はあの夜にお前も納得したろ?」

「それは……けどよッ! モルガンであることには変わりねえだろ!! ヘタに願いなんて教えたら、どんなエゲツないマネされるか、わかったもんじゃねえ!!」 

 相手の指摘に詰まりながらも歯を剥き出しにして不満を唱えるセイバーに、獅子劫はため息と共に紫煙を吐き出す。

「確かに相手は神代の魔女、お前さんの言うとおり願いを教えるのは迂闊なマネかも知れん。だがな、だからこそ聖杯を介さずに俺の願いを叶える事ができる可能性を持っている」

 続けて反論しようとしたセイバーは、獅子劫が向けた視線の鋭さに吐こうとした言葉を飲み込んだ。

「お前さんに話したとおり、俺の願いは俺だけに関わるものじゃない。聖杯に至る確証が無い以上、保険があるのなら掛けようと思うさ」

「……オレが負けるとでも思ってんのかよ?」

「そうは言わんさ。だが、俺達がやってるのは戦争で戦場に絶対は無い。そうだろ?」

 セイバーからの返答は無い。

 だが苦虫を噛み潰したような表情からは、獅子劫の言葉を間違っていないと思っているのがよく分かった。 

「お前さんが負けなくても俺がドジを踏む可能性だってある。だからこそ、打てる手があるなら全て試しておきたいのさ」

「わぁったよ。けど、妙なマネされてもオレは助けねえからな」

「当たり前だ。自分のケツくらいは自分で拭くさ」

 子供の様に不貞腐(ふてくさ)れてそっぽを向くセイバーに苦笑いを浮かべた後、獅子劫は表情を引き締めてこちらを向き直った。

「待たせてすまんな。俺の願いを話そう」

「気にしなくていいわ。魔術師の基本は等価交換、願いに対するアドバイスくらいはしてあげるわよ」

「助かる。あと、セイバーについては個別で交渉してくれ。あいつとは対等の関係という約束を交わしている。だから無理強いはできん」

「わかったわ」

 姉御の了解を取った後、獅子劫は己の願いについて語り始めた。

 奴が掲げた願いとは、一族の繁栄。

 魔術師としては平凡な願いだが、奴がこう言うには事情がある。

 元は外来の魔術師で貴重な魔術刻印を持っていた獅子劫の一族だったが、日本に来る以前から衰退は始まっており、自慢の魔術刻印もその殆どを失っていた。

 魔術基盤を離れた為に新たな魔術を学ぶことも出来ず、子孫の魔術回路は先細りするばかり。

 しかし魔術師の悲願である『■■■■』を諦めきれない奴の祖先は『悪霊の様ななにか』を召喚して、一族の衰退をせきとめようとした。

 その結果、獅子劫の一族は魔術師として持ち直し、死霊魔術へと転向したものの以前にも勝るほどの隆盛を得ることとなった。

 だがしかし、その契約の代償は決して小さいものではなかった。

 獅子劫の一族に掛けられた代価は決して子孫を作る事ができないというもの。

 これは代を重ねながら魔術刻印を継承し、『■■■■』を目指す魔術師にとって致命的なモノであった。

 直系の子供が無理ならば養子を取って刻印を継承するという事も考えたらしいのだが、その刻印は獅子劫家の者以外に定着すると致死性の毒物を垂れ流すという代物らしく、養子となった者は全員命を落としたらしい。

 その中には獅子劫の義娘となった遠縁の少女もいたらしく、奴は彼女の犠牲を無駄にしないためにも自身に掛かった呪いを解きたいのだそうな。

 なるほど、目を凝らしてみれば奴の体に絡みつく黒いモヤで出来た鎖が確認できた。

 おそらく、こいつが件の呪いという奴だろう。

「さて、俺の願いは包み隠さず話したぜ。それで優勝者様から見て、こいつは叶うのか?」

 今までとは打って変わった皮肉げな笑みと共に、姉御へ問いを投げる獅子劫。 

 それに対して姉御が返した言葉はこうだった。

「その願い、聖杯に掛けなくても叶うわよ」

 事も無げに紡がれた言に獅子劫は唖然とした表情を浮かべるが、その意味を理解した途端にいつもの調子も忘れて姉御に掴みかかる。

「それは本当なのか!? どうやって、どうやって解けばいいんだ! 教えてくれ!!」

「教えるのは吝かではないのだけど、魔術師の基本は等価交換でしょ。貴方はこの情報に見合う代価を用意できるのかしら?」

 妖艶な笑みと共に紡がれた問いに、二の句が告げなくなる獅子劫。

 アウトローで生きてきたところを見れば何も持たないわけではないのだろうが、己が悲願に値段を付けることができないでいるらしい。

 因みに姉御は魔女っぽい雰囲気を出しながらも、チラチラとこちらに視線を投げてきている。

 情にもろい彼女のことだ、獅子劫の経験を耳にしてガウェイン達を失った時の自分と重ねてしまっているのだろう。

 ロハでやるって言えばいいのに、魔術師の自分が邪魔をして言い出せないみたいだ。

 しょうがない、ここは魔術師じゃない奴が骨を折ってやるとするか。 

 そう決めた俺は、おもむろに獅子劫へ近づくとモヤで出来た鎖に向けて内勁を込めた手刀を振り下ろした。

 音にならない悲鳴を上げて両断される鎖。

 だがしかし、断たれた鎖は霧散する事なく獅子劫の背後に集まると、その体積を一気に膨張させる。

 そうして現れたのは、筋骨隆々の体を鉛色の肌で包んだ牛頭の鬼だ。

「けい────」

 奴が言葉を発したのは、抜き打ちで放った俺の一刀が首の半ばまで斬り込んだのと同時だった。

 スカッと()ねられて宙を舞う牛の首。

 頭部を失った体は地に伏せるとすぐに黒い霧となって霧散し、驚嘆の表情を張り付かせてクルクルと回っていた首も同じ運命を辿った。

 因みに、俺が動いた時点で人避けと認識阻害の結界は姉御の手によって展開済みである。

 この辺は長年の付き合いから来る阿吽の呼吸という奴だ。

「はい、終わり」 

 一滴も血が付いていないが念のために血振りをした刀を鞘に収めると、なにが起こったのか分からないといった風情の獅子劫が呆然とこっちを見ていた。

「獅子劫。お前さんに憑いていた呪いとやらを斬ってやったぞ。あと、元凶も現れたからついでに始末した」

 心ここにあらず、という感じではあってもこちらの言葉は理解できたのか、魔術を展開して自身を調べた獅子劫は戸惑いを隠せない様子で口を開く。

「あ……いや、代価の話もすんでないんだが……」

「いらんよ。俺は魔術師じゃないからな。あと、不具合が出た際の苦情は遠慮なく言えよ。こっちが勝手にやったことだから、その辺の責任は取ってやる」

 一方的に言葉を吐いてから元の位置に戻ると、獅子劫もまた小さく『すまん』と口にして席に着いた。

 姉御が2人から見えない位置でサムズアップしていたから、対応は間違ってなかったようだ。

「道草を食いすぎたな。姉御、そろそろ行こうぜ」

 未だ復帰していない赤セイバー主従をよそに、俺は姉御に声を掛ける。

 最初は雑談目的だったわりにはなかなかいい情報を手にすることが出来た。

 少々蛇足はあったが成果としては十分すぎるだろう。 

「待てよ!」

 姉御を伴ってカフェから退散しようとしてたところ、背後からセイバーに声を掛けられた。

 振り返ると何とも不機嫌な表情でこちらを睨みつける見知った面。

 ウチのモードレッドも反抗期になったらああなるのかなぁ。

「なんだ?」

「なんでマスターの呪いを解いた!? こっちに恩を売っていいように使おうって腹積もりかよッ!」

「阿呆、そんな下らない理由で動くか」

「じゃあ、なんでだよ!?」

「やりたかったからだ」 

 一言、そう答えて俺は再び前を向いた。

 もちろんこれは俺の心情ではなく、姉御のである。

 次は何処に行こうか、と考えながら足を踏み出そうとしたところ、背後から馬鹿笑いが響いてきた。

 何事かと視線を巡らせれば、セイバーが大口を開けてゲラゲラと笑っているではないか。

「うわぁ……」

「明らかに女の子のする笑い方じゃないな」  

 そんな姿が娘に被ってドン引きしていると、笑いすぎて涙目になったセイバーがこっちの進行方向に立ちはだかった。

「勝手に帰ってんじゃねーよ。肝心なこと聞いてねえだろうが」

「うん、何かあったかしら?」

「バッカ! オレの願いに決まってんだろうが!!」 

 わざとらしく首を傾げてみせる姉御に、ドヤ顔で胸を張るセイバー。

「お前さん、話したくないって言ってなかったか?」

「気が変わったんだよ。そっちのモルガンはオレの知ってるのとは違うって分かったしな」

「あら、どうしてそう思うの?」

「そりゃあ、そいつに親指立ててるの見えてたし」

 ……あ、姉御の顔が真っ赤になった。

「それは……アレよ! そこのお兄さんは貧乏そうだから、こっちの要求するモノなんて払えそうにないと思っただけだし。でも、話の流れとしてやらない訳にはいかないから仕方なくよ、仕方なく。娘さんを亡くしたのがガウェイン達を失った自分と被ったとか、そういう事じゃないんだから!」 

「姉御、全部喋ってるぞ」

 テンパってることを指摘すると、うーうー唸りながら俺の後ろに隠れてしまった。

 

 モル子の習性・その1

 

 計算高いせいか、予想外の事に巻き込まれると弱い。

 

 けっこう照れ屋でチョロい。

 

 あと、何気にドジ。

 

 ……魔女のポーズなんか止めて、素でいればみんなに好かれるだろうに。

 

 フシャーッ! と猫みたいにセイバー達を威嚇(いかく)していた姉御を(なだ)め、こちらも飲み物を注文したところでお待ちかねの発表タイムと相成った。 

「聞いて驚け! オレの願いはブリテンの王を決める選定の剣の儀に挑むことだ!!」

 テーブルに片足を載せて高らかと叫ぶセイバーだが、それを聞いた俺達のテンションは一気に下がってしまった。

「どうしてそんな事を?」

「決まってんだろ! オレはアーサー王の息子で次代の王になる資格があるからな! だから儀式で剣を抜いてそれを証明するんだよ!!」

 ……これはなんと言えばいいのだろう。

 例えるなら、特撮ヒーローが実在して将来はそれになりたいと言う子供に、世の中の現実を伝えるという感じだろうか。

「これはまた、難しい願いを持ってきたわね」

「なんだよ、難しいって」

 険しい表情を浮かべる姉御にただならぬ物を感じたのか、意気揚々とテーブルに上がっていたモードレッドも座りなおす。

「まず最初に、貴女の存在はアーサー王がいる事が前提ってことは分かるわよね?」

「そりゃそうだろ。オレは父上の息子なんだから」

「モルガンはアーサーがいたからこそ、王位簒奪の道具として貴方を生み出した。逆に言えば、アーサー王がいなければ貴女は存在し得ないという事。だからこそ貴女が選定の剣を抜く、それ以前に儀に挑戦すること自体が世界に矛盾を突きつけることになる。選定の剣を他者が抜けば、アーサー王は存在しなくなるもの。そして、冬木の聖杯は本物の聖遺物ではなく魔術儀式。世界の改変なんて途方もない願いを叶えるには出力不足なのよ」

 幼子に言って聞かせるように姉御はゆっくりと言葉を紡ぐが、セイバーは苦い表情のままだ。

「えーと、要するにこの聖杯じゃオレの願いは叶えられないってことかよ?」

「そうよ。世界は矛盾を嫌う。仮に貴女の願いが叶って選定の儀の会場に行けたとしても、その瞬間に世界は貴女を殺しに掛かるでしょうね」

 一気に顔色が悪くなるセイバーだが、姉御はそのまま話を続ける。

「次にここの聖杯が冬木の物ならば、その効果は膨大な魔力を以って過程を省略して結果を出すというものよ。願いを叶える為には方法を提示しないといけないんだけど、貴女は時空を超える方法って知ってる?」

「…………知らない」 

「でしょうね」 

 うつむいてお通夜状態になったセイバーに、ため息を吐く姉御。

 魔術だろうと科学だろうとタイムトラベルなんてまだまだ先の話だろう。

 専門家が四苦八苦しても辿り着けない境地にある知識を、英霊とはいえ大昔の騎士が知っているわけがない。

「最後に───」

「まだあるのかよッ!?」

 更なる追い討ちをかけようとする目の前の魔女に、悲鳴を上げながら立ち上がるセイバー。

「もちろん。というか、これが一番重要な理由よ」

「…………何だよ、その理由って」

 その言葉に促されるように再び席に着くセイバー。

 その様子に満足した姉御は、最も残酷な理由を口にした。

「あの選定の儀はマーリンの仕組んだ『出来レース』。王に相応しい者を選ぶって名目だけど、本当の目的はアーサーがウーサー王の後継者だという事を世間に認知させることだったのよ」

「「はあっ!?」」

 これにはセイバーはもちろん、黙したまま聞いていた獅子劫も驚きの声を上げた。

「だってそうでしょう。モルガンの話で言ったけど、ウーサーとマーリンはアーサーを生み出す為に王妃であるイグレーヌを犠牲にし、王位の妨げになるという理由で嫡子を殺しているのよ。そこまでして『理想の王』のお膳立てを整えたのに、何処の馬の骨とも知れない奴にその座を渡すと思う?」

「それは思わんが。なら、どうしてそんな回りくどい事をしたんだ?」

「その理由は二つよ。一つはアーサーが女性であったこと、もう一つはウーサー王が予想より遥かに早く病没してしまった為よ」

「アーサー王が女性? だが、セイバーは父上と呼んでいたぞ」

「便宜上のことよ。あの子が男として振舞っていたから、セイバーもそれに倣っただけ。そうよね?」

 姉御の確認の声に、セイバーは暗い顔のまま小さく頷いた。

「アーサー、いいえアルトリアは生まれてすぐにウーサーの腹心であるエクターという騎士に預けられた。これは欲望が渦巻く王宮では理想の王の教育に悪いというのもあったのだけれど、最大の理由はあの子が女性である事を諸侯に知られない為だった」

「なるほどな。古代なんて男尊女卑が横行する男性社会だ。幾ら才覚があろうが女性に王座が渡るわけがないか」 

「そういう事。ウーサーはアルトリアが成人したら男装をさせて王宮へ呼ぶつもりだったらしいけど、それは叶わなかった。彼はアルトリアが5歳の時に他界し、それに伴って有力諸侯が独立したことで旧ブリテンは消滅してしまったから」

「父上はその時に名乗りを上げなかったのかよ?」

「無理よ。選定の剣を抜いた後の11人の王との内乱を見れば分かるけど、当時でさえ彼等はアルトリアを認めようとしなかった。成人してそうなんだから、五歳の子供なんかがしゃしゃり出ても妄言と鼻で笑われて終わり。よしんば王位継承者と認められても、諸侯に実権を握られて体のいい操り人形にされるのがオチでしょうね」

 あっさりと発言を否定されて口を噤むセイバー。

 あの当時の俺らって何してたっけ……。

 あ、オークニーで蛮族狩ってたんだった。

「この状況に困ったのはマーリンなんでしょうね。いくら理想の王にアルトリアを教育したところで、王であるという権威と正当性が無ければ誰も付いてこないもの。ウーサー王の子を名乗ろうにも、当時は王の落胤を名乗る山師なんて掃いて捨てるほどいたし。アルトリアをブリテンの後継者として盛り立てるには、そんな輩とは一線を画す証拠が必要だったのよ」 

「そのための選定の儀式ってワケか」

「そういう事。あの剣、勝利すべき黄金の剣にはアルトリアの生体認証的な術式が込められていたんでしょうね。他の者では絶対に抜けず、あの子が持った時にだけロックが外れるという風な。そして、当時はまだ宮廷魔術師としての名声が残っていたマーリンが予言という形で選定の剣の事を広めれば、舞台は完成というワケよ」

「なるほどなぁ。そういう裏事情があれば、やらせの舞台も造るだろうさ」

 納得したようにしきりに頷く獅子劫を他所に、姉御は俯いてしまったセイバーに問いかける。

「ねえ、モードレッド。貴女はどうして王になりたがっているの? アルトリアの治世が気に入らなかったの? それともあの子が見落としていたブリテンを救う方法が見えていたのかしら?」

 姉御の問いかけに、セイバーはぽつりぽつりと心情を吐露する。

 本来の彼女の気性なら『ふざけんな!』とブチ切れるのだろうが、自身の願いを論理立てて否定されたことでショックが隠しきれないようだ。

 俺なら、『何の証拠も無いやんけ!!』とツッコむんだがなぁ。

 セイバーことモードレッドが王位を目指す理由はアルトリアへの憧れはもちろん、自身を後継者として認めなかった父に対する反抗。

 そして、アルトリアに自分を子供として認めてほしいという子が親を求める心。

 なにより、アルトリアが背負い続けている王という重石を代わってやりたいという、親への思いやりから来た物だった。

 ここまでアルトリアを慕っていた子供がブリテンを滅ぼしたというのだから、なんともやりきれないものである。

「ねえ、モードレッド。貴女はアルトリアに親として接して欲しかったみたいだけど、それはとても難しいことなのよ」

「なんで……だよ」

 話している内に感極まったのか、小さく嗚咽を漏らし始めたセイバーの涙を拭って姉御が優しく語り掛ける。

「だって、あの子も親を知らないもの」

 その一言にモードレッドは伏せていた顔を上げた。

 そこに思い至ることが無かったのだろう、涙を湛えた翡翠の瞳は大きく見開かれている。

「赤子の時に親から引き離され、養育する者からは『王であれ、騎士であれ』とそれだけを叩き込まれる。私の世界のアルトリアから聞いたことだけどね、あの子の養育者であるエクターは決して自分を父と呼ばせなかったそうよ。そうした幼少期も終わり物心がついて幾ばくかすると、待っていたのは王となって国の為に働き続ける日々。だから、あの子は王か騎士でしか他人と接することが出来ない。だって、それしか知らないから」

「カムランの丘で……父上は……言ったんだ。オレを……憎んだことは……ないって」

「そう……」

「父上は……初めて見た時から……オレの憧れだった……。カッコよくて……凄くて……。だから……認めて欲しかったんだ……自分の子供だって……特別なんだって……」

「そう思った貴女は悪くないわ。子供が親の愛情を求めるのは当然の事だもの。───だから、私を恨みなさい。貴女にそれを与えなかった、貴女がそれを得る機会を作らなかった私を。……ごめんなさい、モードレッド」

 その謝罪を合図にするかのように、モードレッドは姉御の胸に飛び込んだ。

 泣き声で言葉にならない激情をぶつけながら、モードレッドは駄々っ子のように姉御の胸で暴れ続ける。

 そして、そんな少女を姉御は涙を流しながら、ただ優しく抱きしめていた。

 

 

 

 

 長かったのか、短かったのか。

 モードレッドの泣き声が止むと同時に、親子というには少々不思議な2人はお互いに身を離した。

「……勘違いすんなよ、オレはアンタを許したわけじゃねえからな。…………母上」

 泣き腫らした目も顔も真っ赤にしたまま、モードレッドは憎まれ口と共にそっぽを向く。

 だが、最後に零した母上という言葉が彼女の心を表しているのだろう。

「それで貴方達はどうするの? もう2人とも聖杯戦争に参加する理由は無いと思うんだけど」

 姉御の問いに獅子劫は強面の顔によく似合うニヒルな笑みを浮かべる。

「そういうワケにもいかないのさ。魔術協会から前金を貰ってるからな、黒の陣営から大聖杯を取り戻すまではリタイヤはできないんだ」

「オレもだ。願いはねえけど、喚ばれた以上は最優だって事を証明しないとな」

 泣いたカラスがなんとやら。

 セイバーも赤い目を擦りながらだが、ウチの娘によく似たカラリとした笑みを浮かべた。

「そっか。なら、2人とも気をつけてな。特に獅子劫は漸く子供が作れるようになったんだ、娘さんの為にもしっかり子孫繁栄しないとな」 

「その前に嫁さんを探さんとな」

「大丈夫かよ、マスター。そんな厳ついツラじゃ婚活は大変だぜ?」

「余計なお世話だ。俺のようなダンディさが溢れる男は、黙っていても女が寄って来るんだよ」

 軽口を叩きながらも会計を済ませたセイバー主従。

 別れ際に獅子劫は小さなメモをこちらに渡してきた。

 見れば、そこには携帯の番号が書かれている。

「用があるなら呼んでくれ。アンタ等もこのバカ騒ぎに参加するつもりなんだろ?」

「バレバレか」

「そりゃあな。関わる気が無いのなら、俺達に声をかけたりしないだろ」

 してやったりと人の悪い笑みを浮かべる2人。

 その後、番号を交換した俺達は互いが進む方向に向けて踵を返した。

「ありがとう、アルガ」

 セイバー主従と別れて少し歩いた頃、姉御が小さく言葉を漏らした。 

「これでいいか、姉御?」

 そう、今回のセイバー主従との会合は偶然じゃない。

 トゥリファスでの最初の夜に、姉御から打ち明けられていたのだ。

 こちら側のモルガンの記憶の中で、狂気に侵された残骸とはいえ彼女は道具として利用した娘に罪悪感を持っていた。

 その感情を共有した姉御はどうしてもセイバー、こちら側のモードレッドに謝りたかったのだ。

 全てが終った後で謝ったところで今更だ、と批判する奴もいるだろう。

 しかし、言葉にしないと伝わらない物だってきっとある。

 少なくとも姉御とこちら側のモルガンの想いは、モードレッドに伝わったと思う。

「ええ。こちらのモルガンの未練も少しは晴れたと思うわ」

 昼下がりの日差しの中、晴れ晴れとした笑みを浮かべる姉御に見惚れたのは内緒にしておこう。





 今回のNG場面

 笑顔でカフェを後にするセイバー主従を見送ったアルガ達。

 彼等の姿が見えなくなった途端、モルガンの顔に浮かんだ笑みが慈母から嘲笑へと変わった。

「ふふふふふふ、小娘が。この程度の芝居に騙されるとは、まだまだケツが青いわ!」

 先程まで愛娘と抱きしめていたセイバーを扱き下ろすその姿は魔女、まさに魔女!

 それに答えるかのように、横にいたアルガもまた下卑た笑いを浮かべる。

「モル子様は本当に頭の良いお方。このアルガ、一生貴女様についていきます」

「フッ、これで赤のセイバー主従も堕ちた。奴等には精々、黒の者達と潰し合ってもらうとしよう」

 モルガンが大きく腕を振り払うと、肩に掛けていた黒の外套がまるで羽根の様に大きくはためく。

「無知な大衆は私を人を惑わす妖と言っているがそうではない! 我こそは美と智謀を司る者! この聖杯大戦に招かれし綺羅星の如き英霊達は、全て我が知略の前に跪くのだ!!」

 膨大な魔力を迸らせながら、モルガンは堂々と勝利宣言を放つ。

「アルガよ! 手始めにミレニア城砦に乗り込み、飲み水に毒薬を放り込んでくるのだ!!」

「ヒーヒヒヒヒッ!! こいつは効くぜぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 朗らかな気分で戦場に帰っていくセイバー主従は知らない。

 自身の頭上に死兆星が蒼く輝いている事を……

 
 モル子 ユダ・ロールプレイに違和感ゼロと言われて涙目。

 剣キチ ノリノリでコマク様を演じるが、毒薬より斬った方が早いとの指摘に凹む。


――――――――――――――――――― 

 
 天から降りてきたネタ。

 ゼノ・コロゥを殺しすぎた反動か?

 読者諸君。
 
 このモル子のほうが本物と思った人は、怒らないから挙手。  

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。