剣狂い転生漫遊記   作:アキ山

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 お待たせしました。

 アポ8話の完成です。

 とりあえず、アル・ワースの平和も取り戻した事ですし、こっちの方もペースアップして頑張りたいと思います。

 


剣キチさん一家ルーマニア滞在記(8)

 赤の陣営が空中庭園を使って大聖杯の強奪を成功させてから半刻。

 俺とガウェインは、今後のこともあるので姉御たちと合流することにした。

 聖杯が正常であることが確認できた事もそうだが、それが聖杯大戦の中ではダントツに胡散臭(うさんくさ)い神父の手の中にあるというのは、さすがに厳しい。

 あーだこーだと対策を考えながらキャンピングカーに戻ると、何故か留守番組+赤セイバー主従で『アン●ンマンたいそう』を踊っていた。

 こんな時に何をしているのか、という(いきどお)りも込めて二人でガッツリ混ざっておきました。

 さて、一曲踊っていい汗をかいたところで話し合いである。

「アグラヴェイン、黒の陣営の動きはどうなっている?」

「現在は残存戦力を再編して、空中庭園への突入準備を進めています」

「あー……ちょっといいか。会議を始める前に、さっきの『アン●ンマンたいそう』が何だったのかを教えてほしんだが」

 話の腰を折るかのように、獅子劫が疲れた顔で手を挙げる。

「無論、子供達の知育の為だ」

「いや、それは分かるんだがな。大の大人がお面をつけて全力で踊る意味ってあるのか?」

 そう言いながら、先ほどまで付けていた『カ●夫クン』の面を力なく振るう獅子劫。

 ちなみに、面に関してはアグラヴェインが『カレー●ンマン』、姉御が『ド●ンちゃん』でギャラハッドは『ク●ームパンダ』。

 ガレスが『メ●ンパンナちゃん』でモードレッドが『チ●ズ』、怜霞さんが『バ●子さん』である。

 お袋さんには『ジ●ムおじさん』を渡していたのだが、これだけは無理と固辞された。

 無念……。

「お前さんも親になるチャンスを得たんだから覚えとくといい。小さな子供と遊ぶときは本気でやれ。子供ってのは意外に見てるものでな、中途半端だと見抜かれるぞ」

「……ふざけてやってるのかと思ったが、ちゃんと考えてるんだな」

「当然だ。半端な気持ちで『アン●ンマンたいそう』を全力でやれるか」

「なに、この無駄な説得力」

「いいですかな?」 

 アグラヴェインの声に、話を打ち切る俺達。

 獅子劫よ、父親の何たるかを知りたくば、何時でも声をかけるがよい。

「ああ、すまん。話を戻すが、黒の陣営の動きは当然だ。ユグドミレニア一族にとって、大聖杯は魔術協会から独立を唱ううえでの虎の子だからな。指を咥えて見ているワケがない」

「サーヴァント達にしても同じでしょう。願いを叶える為にこの儀式に呼ばれたのです、聖杯を見逃すなどもっての外ですから」

 獅子劫とガウェインのやり取りを耳にしながらも、俺は頭の中に浮かんだ疑問から首を傾げた。

 赤と黒、勝利した陣営が通常ルールの聖杯戦争を継続するという話なので、大本になる大聖杯を押さえようという考えは理解できる。

 だが、ここにある大聖杯が冬木のものと同じならば、使用に関して疑問点も複数ある。

 まずは脱落した英霊の魂の受け皿にして、勝者の願いを叶える願望器たる小聖杯がどこにあるのか?

 姉御の解析したとおりなら、あれが無いと儀式は成立しないはずだ。

 あと、通常の倍となる14騎のサーヴァントの魂をどう処理するのか、というのも引っかかる。

 冬木の時は4騎(黄金のアーチャーが通常の英霊3騎分に相当するらしいので、実質6騎)でほぼ満杯だったらしい。

 ならば、今回参加しているサーヴァントが最後の一騎になるまで戦えば、小聖杯の容量オーバーは必至だ。

 あの時の姉御の言葉では、オーバーフローになると小聖杯は使用不能になったらしいし、そういった事についてはどうなっているのだろうか。

 この辺の事は、現地で鉢合わせるであろう黒の連中から聞くしかあるまい。

 バーサーカーはともかく、黒のランサーには恩を売ったことだしな。

「奪われた大聖杯は冬木のモノなんでしょ。なら、バーサーカー一騎脱落した程度では儀式の成就はもちろん、願望器としても成り立たないはずよ」

「それは聖杯戦争経験者としての言葉か?」

「ええ。もっとも妙な改造をされてなければ、という条件が付くけど」

 どうやら姉御も俺と同じ事を考えていたらしい。

 あと、『ド●ンちゃん』の面は外していいからね。

「聖杯を解析した大魔女様の言葉か、信憑性としては十分だな。で、どうするんだ?」

「なにが?」

「俺とセイバーはアンタ達に付くことに決めたんでな、そっちの方針が決まらん事には動きようがない」

 獅子劫の意外な発言に、俺は思わず姉御と顔を見合わせてしまった。

 セイバーはともかく、獅子劫は魔術使いで裏社会のプロだと聞く。

 前の事があったとしても、一度手を貸す程度に留めると思ったのだが。

「いいのか?」

「ああ。こちらの願いをかなえてもらったからな。セイバーの方もアンタ達の目的が邪悪なものじゃないってわかったから納得してる。魂喰いの件も聞いたが、堅気を的にしてないのなら俺に言う事はない」

 そう言って、獅子劫はサングラス越しにセイバーの方へと目を向ける。 

 もっとも、件のサーヴァントはポップコーンとコーラを手に、ガレスがPCで流しているアニメを食い入るように見ているんだが。

「そう言う事なら遠慮なく頼らせてもらおう。今後の方針だが黒の連中が動いたのを確認したら、さっきの三人にセイバーを加えて空中庭園に乗り込むつもりだ」

「乗り込むって、兄貴のジェットを使うのか?」

「いや、奴らはまだ大聖杯を引っ張り上げた竜巻を維持しているはずだ。黒の連中をホームグラウンドで迎え撃つために。だよな、アグラヴェイン?」

「はい。ミレニア城塞を襲っている竜巻はまだ健在です」

「こいつを使って、黒の陣営のケツに紛れ込む形で乗り込む。で、むこうに着いたら黒の連中は赤の迎撃とドンパチしてるはずだから、その隙に大聖杯に接触して感覚共有で姉御に精査してもらう」

「精査? 何のためにだ」

「妙な改造がされてないか調べる為だ。大聖杯が冬木にあったままなら、今の状態では願望器として使用できない。けど、ユグドミレニアに奪取された後で何らかの手が加えられていたらその限りじゃない。他にも赤のキャスターや庭園の主なら、現状で使用可能なように改造するかもしれないしな。それを阻止する為にも精査のついでにプロテクトを仕込んでおくのさ」

「奪取しないのですね」

「あれだけの大きさだからな、クスねてトンズラってのは流石に無理がある。仮に出来たとしても置き場所がないし」 

 少し不満げなガウェインに苦笑いを返すと、横に座っているアグラヴェインが眉間の(しわ)を深くしながらつぶやいた。

「確かに確固たる拠点を持たぬ我々では管理できませんな。せめて彼奴等の目的が分かれば良いのですが……」

 そこで俺はあることを思い出した。

 そういえば、捕虜一人捕まえてるじゃん。

 あの後、戦場を行ったり来たりしてたから忘れてたわ。

「姉御、俺が捕まえてきたサーヴァントってどこにいる?」

「令呪の命令と転移を阻害する拘束礼装で縛って外に転がしてるわよ。今は何とか抜け出そうと芋虫みたいに藻掻いてるわ」

 よろしい、ならば情報収集だ!

 

 と云う訳で、俺達は拘束礼装で手首と足首を縛られた自称『赤のキャスター』の前にいた。

 赤の陣営の目的について訊いてみたのだが、返ってきたのは『話せませんな』という(あざけ)りの声。

 まあ、この位は想定の範囲内なので、奴さんの口が滑らかになる為の準備を終えたところなのだ。

「さて、赤のキャスタ―よ。もう一度(たず)ねる。赤の陣営の目的はなんだ?」

「先ほども言いましたが、吾輩もサーヴァントの端くれ。マスターを裏切るような真似は───」

 最初と似たような返答をしようとするキャスターの言葉を、俺は手を前に出して止める。

「君の信念は聞いている。答えたくないと言うのなら、それもよいだろう。ただし、その場合はあの鉄板の上で踊ってもらうことになる」

 そうやって視線を横に巡らせると、そこには世紀末ファッションに身を包んだガウェインが、畳三枚ほどの鉄板を下からガラティーンで(あぶ)っている。

 流石は太陽の聖剣というべきか、石で組まれた台座の上に横たわる鉄板はすでに真っ赤だ。

 さらに同じ格好にモヒカンのズラを被ったガヘリスが、鉄板に差した水が一瞬で蒸発するさまを見て『ヒャアッ! こいつは効くぜえぇぇぇっ!!』と嬉しそうに叫んでいた。

 なんつうか、ウチの子供達ってノリがいいなぁ。

 感慨深い思いを抱きながら視線をキャスターに戻してみると、彼は顔を真っ青にしてダラダラと汗をかいているではないか。

 捕虜とはいえ、さすがにこれは哀れだ。

 ここは心が落ち着く様な言葉を掛けてやるべきだろう。

「選ぶがいい。私は何の強制もしない!!」

「どっからどう見ても脅迫じゃねえか。拳王先遣隊知ってるとか、アンタ等妖精郷に住んでんのにマニアックだな!」

「つーか、ガラティーンの使い方ぁッ!?」

 セイバー主従のツッコミも来たことだし、そろそろ片すとしよう。

 思い付きでやったとはいえ、世紀末ごっこは子供の情操教育に悪いからね。

 とりあえず、『やくの? やいてかいたいするの?』と目を輝かせているジャックちゃんは『おかあさんといっしょ』からやり直しを命じます。

「というのは冗談だ」

 灼けた鉄板をその辺の竜牙兵にそぉいっ! と投げつけるガウェインをしり目に、俺はキャスターに声をかける。

 目に見えて顔色が回復するおっさんに交渉材料になればと自身の聖杯に掛ける願いを聞いてみたところ、返ってきた答えのは『最高の物語をその目で見たい』というものだった。

 これは想定外である。

 さすがにそっち方面でのネタは用意していない。 

 どうしたものかと途方に暮れていると後ろから姉御が声を上げた。

「話してくれたら、並行世界のアーサー王伝説を教えてあげるわよ」

「よろしい。吾輩の知るすべてをお話ししましょう!」

 キャスターは堕ちた。

 時間にしてコンマ1秒という即堕ち具合である。

 見るんじゃなくて聞くのもOKなのか。

 つーか、ブリテンの思い出話って面白い事あったっけ?

 なんだかやるせない気分になりながらも奴の話に耳を傾けたところ、なかなかに面倒な事態であることが判明した。

 赤の陣営のマスターの願いはズバリ人類の救済。

 またしても、どこかで聞いたような願いである。

 具体的に言うと魔術師殺しの黒コート。

 胡散臭い神父の癖に中々の大風呂敷だが、その為の方法がアウト極まりなかった。

 簡単に言うと全人類を不老不死にすれば、食料をはじめとして多くの物欲が無くなる。

 そうすれば欲望によって引き起こされる戦争などもなくなり、人類は今までにない幸福を得るのだとか。

 以上、人間というものが全く分かっていない青臭い若造の妄想でした。

 はっきり言って、不老不死になった程度で人間の欲望なんて収まるワケがない。

 たしかに不死になれば生命維持としての食料は不要になるだろうが、今度は美食という嗜好としてそれを求める者が必ず出てくる。

 昔はともかく、今は飽食の時代だ。

 世界の人間の大半が美味いモノを知っているのだから、必須じゃなくなった程度では欲望が止まるとは考えにくい。

 性欲だって、そうだ。

 人間の性交渉は動物とは違い、異性との愛を確かめる行為か快楽を得るための行為という側面が強い。

 不老不死になる事で子孫を残す必要がなくなったとしても、そういった欲が無くなる事はない。

 他にも物欲も権力欲も、求める理由に不老不死なんて関係ないし。

 というか、全人類を不老不死にしたら増えすぎた人間の所為で地球が滅ぶと思うぞ。

 そんなこんなで情報収集も終わり、ゲロしたからには用はないと言わんばかりに目隠しに猿轡(さるぐつわ)を噛まされ、拘束礼装でぐるぐる巻きにされた赤のキャスター。

 奴はダメ押しとばかりに多重展開された行動阻害の結界に閉じ込められ、野外に放置されることになった。

 まあ、一緒にスピーカーを放りこんでいるあたり、約束は果たすつもりのようだが。

 捕虜の扱いはさて置いて、そろそろ出発の準備に取り掛からねばならない。

 ジャックちゃんの事もあるが、そんなイタイ新興宗教みたいな願いが現実になったら堪ったモノじゃないからな。

 

 

 

 

 黒の陣営の後から空中庭園にお邪魔したわけだが、戦況は混沌の様相を呈していた。

 具体的に言うと、吸血鬼のようになってしまった黒のランサーが通路を所狭しと暴れまわっており、それを迎撃するためにルーラーの指揮のもと赤と黒の陣営が共同戦線を敷いているのだ。

 黒のランサーは人外の膂力(りょりょく)で鋭い鉤爪を振るい、サーヴァント達の攻撃をある時は体を霧に変えて躱し、またある時はその不死性で食らいながらも暴れまわる。

 見ている限りでは、奴の目的はサーヴァント達に首筋に牙を突き立てて生き血を啜ることだろう。

 数人のホムンクルスがそうやって干乾びた遺体になっているのだから、間違いあるまい。

「公王よ、なんという姿に……」

 黒のランサーの変貌ぶりに声を詰まらせるガウェイン。

 今、俺が引き連れているのは前と同じくガウェインとガヘリスの二人だけだ。

 一緒に来るはずだった赤のセイバーは見ていたアニメがいいところだったらしく、『これが終わったら合流するわ』とポップコーンをポリポリ食っていた。

 協力者だから強制する気はないけど、そういうズボラな態度はウチのモードレッドやジャックちゃんが真似するから止めてもらいたい。 

 

 閑話休題

 

 さて、本来ならばこの隙に乗じて大聖杯に向かうのが正解なんだろう。

 しかし、共闘したガウェインのやるせない顔を見ていると、どうにも足が鈍ってしまう。

「あのおっさんの事が気になるのか、兄貴?」

「一時とはいえ、共に轡を並べた戦友ですから。それに、この国で見たあの方の歴史を思うとどこか叔母上と重なってしまうので」 

 弟の問いに答えながら、暴れまわるランサーだったモノに悲しい視線を向けるガウェイン。

 たしかあのランサーの真名は『ヴラド三世』だった。

 『串刺し公』などという汚名を着ても、オスマン帝国という巨大国家の侵略から小国であるワラキアを護らんと奮闘した護国の王。

 短い間しか観光できなかったが、ルーマニアの街に残されていた彼の足跡を見ていると確かに少し被って見える。

 どこで何をしているのかも分からない、バカで真っすぐな妹に。

「ガウェイン、あの男を救いたいか?」

 軽く息をついて、俺は息子に問う。

 意識を集中してみてみれば、あの男の魂を(むしば)むモノが見えてくる。

 一つは英霊という高位存在を(おとし)める域にまで達した何らかの呪詛。

 これはランサーの存在自体に密接に絡んでいるので、斬って解呪したところでランサーも消滅は免れないだろう。

 もう一つはランサーに寄生虫のように取り付く何者か。

 こちらの方は何とかなると思う。

 原因がある程度見えているのだから、こちらが手出しすればランサーを鎮める事は不可能ではないと思う。

 だが、その代償は決して軽いものではない。

 ここで下の闘いに介入すれば当初の予定は全てオジャン。

 大聖杯に接触するチャンスは大幅に減るし、面を付けていない事を思えば最悪黒と赤双方を敵に回すことになるかもしれない。

「父上、私は……」

 こちらの危惧する事を理解しているのだろう、苦渋の表情で小さな呟きを漏らすガウェイン。

 そこから先を言葉にすることはなかったが、その気持ちは伝わった。

「まったく、情に厚くていったん懐に入った人間に甘いのは姉御似だな。───わかった、行ってこい。後は父ちゃんが何とかしてやるから」

「はいっ!」 

 俺の言葉にガウェインは聖剣を抜き放ち、足場にしていた窓枠から戦場へと跳ぶ。

 黒のアーチャーの射撃を身体を霧に変化させることでやり過ごし、ルーラーへと襲い掛からんとする吸血鬼。

 落下の勢いを加味したガウェインの一撃は、振り上げた奴の鉤爪を両断する。

 半ばから断たれ、月明かりに照らされながら宙を舞う四本の爪。

 それを尻目に放った胴への一撃は、奴が再び霧へと化けた事で空を切る。

「貴方は……」

「我が名はガウェイン! 戦友の名誉の為に我が聖剣を以って、その魂に巣食う不浄を焼き払ってみせよう!!」

 背後からのルーラーの声が掛かる中、宣言と共にガウェインは実体へと戻る吸血鬼を睨みつける。

「ガウェイン!? 円卓ノ騎士ガ何故ッ!」

 視界の先で零れんばかりに真紅の眼球を剥き出しにし、自身が吐き出した鮮血と共に驚愕の叫びをあげる吸血鬼。

 そこにミレニア城砦で黒のランサーが漂わせていた王氣は微塵もない。

「ルーラー殿。不躾(ぶしつけ)で申し訳ありませんが、公王がああなった経緯をお聞かせいただけますか?」

 吸血鬼から目を切る事なく、背後のルーラーへと問いを投げるガウェイン。

「え…あ……」 

「黒のランサーはマスターであるダーニック・プレストーン・ユグドミレニアの令呪によって、『鮮血の伝承(レジェンド・オブ・ドラキュリア)』を発動し、その身を吸血鬼に変えました」

 状況についていけずに困惑の声を上げるルーラーに代わって、こちらの問いに答えてくれたのはミレニア城砦で会った黒のアーチャー・ケイローンだ。

「『鮮血の伝承』?」 

「黒のランサー、ヴラド三世の持つ宝具です。死後、彼が吸血鬼ドラキュラのモデルとされたことによって得たモノで、効果は我が身を吸血鬼と変えるという効果を持っているようです」

「なるほど。しかし、その宝具を使用したとしても、公王の変貌は常軌を逸していると思うのですが……」

「それはマスターであるダーニックに寄生されたからでしょう。奴は令呪を使って、ランサーの魂に己が存在を刻み付けたようですから」

 ……ダーニックって、たしか姉御の呪いを食らって爺になったワカメだよな。

 そう言えば、姉御が他者の魂を取り込んで延命してたとか言ってたっけか。

 ランサーの身体を乗っ取ったのも、それの応用ってとこだろう。

 ───そいつは気に入らんな。

「ありがとうございます、黒のアーチャー」

「お気になさらず。それよりも来ますよ!」

 黒のアーチャーの警告に間を置かずして、傷の再生を済ませた吸血鬼は牙を剥き出しにして襲い掛かってくる。

 瞬きする間に距離を詰めて振るわれる鉤爪にガウェインは剣を合わせる事で、弾き、逸らし、受け流す。

 左右の引っ掻きの合間に噛み付きを混ぜたり霧に化ける事で背後を取るなど、吸血鬼の攻撃は思った以上に幅が広い。

 だがしかし、ガウェインが対処に遅れる攻撃は、黒のアーチャーを初めとした他のサーヴァントのフォローによって、あの子の身体に届くことは無い。

 そして、あの子の持つガラティーンは太陽の聖剣。

 陽光が弱点の一つである吸血鬼には覿面の効果を表す。

 他の者よりも明らかに回復が遅いガウェインの攻撃を前に、吸血鬼は先ほどまでの不死性を前にしたゴリ押しが封じられている。

「オノレ……ッ!?」

 霧化を目晦(めくら)ましにした死角から鉤爪に矢を受けた奴は、忌まわしげに呻きながら間合いを取る。

「どうした、吸血鬼! これならば杭と槍術の波状攻撃を得意とした公王の方がよほど強かったぞ!!」

 ガラティーンを突き付けながら叩き付けたガウェインの言葉に、吸血鬼の表情に変化が訪れる。

 今までの餓えた獣のそれから苦悶の表情ではあるが、人間と判断できる容貌へと切り替わったのだ。

「太陽の騎士よ、余を殺してくれ……! 生き血を啜る化け物に貶められて生きるよりも、人としてとして、ワラキア公王として誇り高き死を……ッ!!」

 皺枯(しわが)(かす)れているものの威厳の感じられる声で、吸血鬼……いやヴラド三世はこちらへ懇願する。

 令呪を依り代に寄生されたとはいえ、魔術師と英霊ではその魂の容量に大きな差がある。

 それ故に彼の人格が消え失せた訳ではないのだろう。 

 だが、誇りを穢されて怪物に堕とされた無念は筆舌し難いモノがあるらしく、人へと戻ったその頬を流れる血涙が彼の心情を如実に表していた。

「黙レ、使イ魔風情ガ! 貴様ノ誇リナド知ッタコトカ! 私ハ聖杯ヲ手ニスルマデ、永遠ニ生キ続ケルノダ!!」

 だが、それも一瞬の事。

 再び獣の形相となった吸血鬼は、かつての己に罵倒を浴びせながら出口に突進する。

 放たれた『意』から察するに、奴の狙いはガウェイン───ではなく、背後に控えたルーラーを強行突破してこの部屋を抜け出ること。

 その目的は言うまでもなく、大聖杯へと接触することだろう。

 しかし、それは並走する形で間合いを詰めていた赤のランサーによって阻まれた。

 振り上げの一閃で腹から肩口まで切り裂かれ、追い打ちに天井まで届かんばかりの業火によって焼き払われる。

「───詰みだ。未練を残すな、怪物。()く消え去るがいい」

 平坦な口調のままに吸血鬼へと敗北を突き付ける赤のランサー。

 しかし、劫火の中から返って来たのは嘲りの笑い声だった。

「嫌ダネ! 私ハ聖杯ヲ手ニスルマデ生キ続ケルノダァァッ!!」

 妄執を吐き出しながらも再び身体を霧へと変える吸血鬼。

 だが、それも自身の周囲一帯を焼き払うランサーの炎の前には無駄な抵抗に過ぎない。

 さらに身体を炙られた奴は、悲鳴と共に冷たい石畳の上にその身を横たえた。

「言ったろう、詰みだと」

 黒こげの状態から再生を始める吸血鬼に槍を構えるランサー。

 しかしトドメの一撃が放たれる寸前、彼は己が得物を取り落として膝を付いてしまう。

「なんだ?」

 隣にいるガヘリスが眉を顰める中、ランサーの変調は他の赤のサーヴァント達へと伝播(でんぱ)する。

 赤のサーヴァントの行動不能によって一気に半減する迎撃側の戦力。

 吸血鬼はその隙を見逃さずに逃走を図ろうとする。

 だが、そうは問屋が卸さない。

 窓枠から宙に身を躍らせた俺は、霧と化しながらガウェインの頭上を抜けようとする吸血鬼に刃を一閃させる。

 一刀が産んだ剣風によって後ろへ吹き散らされ、霧から実体に戻る吸血鬼。

「カッ……ッ! カカッ!?」

 身体に刻まれた刀傷を押さえながら床をのたうち回る吸血鬼を他所に、俺はハルバードを肩に担いだガヘリスと共にガウェインの傍らに立つ。

「大丈夫か、ガウェイン?」

「助かりました、父上」

「つーか、霧になった奴までぶった切るとかスゲーな。さすが父ちゃん、頭がおかしいって言われるだけの事はあるぜ」

 黙らっしゃい。

 頭を使わない事に定評のある次男には教えないが、今のタネあかしをするならば要点は剣戟の質の差だ。

 内勁をある程度まで極めた剣士の放つ一刀は、肉や骨を断つだけに留まらない。

 万物を司る根源たる因果を見切り、それに刃を走らせる事にこそ極意はある。

 故にこちらの放つ斬撃の前では、肉体を如何に変化させようとも逃れることができないのだ。

「キッ、キサマァ! アノ時我ガ城塞に乗リ込ンデ来タ男ッ!?」

 怒りの叫びを上げながら、ゆっくりと立ち上がる吸血鬼。

 足元が覚束ないながらも傷の方は回復しているようで、もう出血が止まっている。

 まあ、今から狙う場所は再生能力なんざ関係ないんだが。

「ガウェイン。任せてるところ悪いが、一度だけ手を出させてもらうな」

 言葉と共に俺は吸血鬼に向けて踏み出す。

 軽功術によって一足でトップスピードへと引き上げた踏み込みは、奴の抵抗を許すことなくその懐を取ることに成功する。

 ようやくこちらの姿を確認した吸血鬼は慌てて右手を振り上げようとするが、それはあまりにも遅きに逸している。

 そして放つは袈裟斬りの一撃。

 内勁を込めた白刃は、奴の肉体ではなくその魂に巣食うダーニックのみを両断する。

「ギ……ギャアアアアアァァァァァァァァァッ!?」

 ランサーの口を借りて(ほとばし)るダーニックの断末魔。

 醜悪な叫びが終わった後にそこにいたのは、魔的な雰囲気と王としての威厳を兼ね備えた偉丈夫だった。

「父上、公王に何を?」

「ランサーの魂に寄生していたダーニックの魂だけを斬った。俺はああいう他人の力を安易に奪う奴は大嫌いなんでな」

 ガウェインの疑問にやや憮然となりながら答えると、ヴラド三世はこちらに顔を向ける。

「───礼を言おう、剣士よ。其方のお蔭で余は名も無き怪物ではなく、ヴラド三世として最後を迎える事が出来る」

 深紅の瞳や人より伸びた犬歯など吸血鬼の特徴を残してはいるが、彼が浮かべる笑みは人と同じ穏やかなものだ。

「気にしないでくれ。短い間とはいえ息子が世話になったんだ、その礼だと思ってくれればいい」

 こちらの言葉に頷いたヴラド三世は、今度はガウェインの方に向き直り手を広げて見せる。

「太陽の騎士よ、すまぬが余を消してくれ」

「ランサー、よろしいのですか?」

「いいのだ、大賢者よ。聖杯に未練が無いと言えば嘘になる。しかし『鮮血の伝承』は使わぬと決めていた以上、この姿となってまで生き永らえようとは思わぬ」

 黒のアーチャーの言葉に、静かながら揺らがぬ決意で答えを返すヴラド三世。

 それを感じ取ったのだろう、ガウェインもまた静かに剣を構える。

「……公王。一度ではありますが共に剣を並べた戦友として、御身の介錯を務めさせていただきます」

「うむ……」

「御免!!」

 気合と共に放たれた刺突は狙い違わずにヴラド三世の心臓を貫いた。

「……太陽の騎士よ、其方の誠意に感謝を」

「…………」

 血と共に吐き出したヴラド三世の言葉に、ガウェインは口を開こうとしない。

「大賢者、そしてキャスター。盟主の座に就いていながら、責務を半ばに()く余を許せ」

「お気になさらずに。お疲れさまでした、ランサー」

「…………」

 光の粒子に還りつつあるヴラド三世にねぎらいの言葉を掛けるアーチャーと、無言を貫く仮面のゴーレム使い。

「では、さらばだ」

 その言葉を最後に、黒のランサー・ヴラド三世は消滅した。

「よく頑張ったな」

 志願したとはいえ、味方だった者を手に掛けるのは少々キツかったのだろう。

 俯いたままのガウェインにねぎらいの言葉と共に、軽く頭を撫でてやる。 

 この子も騎士だった身なのだから、戦場で自失を続けるほど(やわ)ではないだろう。

 さて、本来なら黒と赤双方の陣営から武器を突き付けられる場面なのだが、ヴラド三世の件もあってか黒の陣営はこちらに敵対行動を取っていない。

 対する赤の陣営も身体の自由を取り戻しているものの、何故かこちらに手を出そうとする気配は見えない。

「さて、貴方方に聞かねばならない事があります」

 三つ巴のにらみ合いの中、最初に声を発したのは黒のアーチャーだ。

「何故、マスターでもサーヴァントでもない貴方達が、この聖杯大戦に介入してくるのですか?」

 彼が付きつけてきたのは至極真っ当な質問だ。

 シラを切ってもいいのだが、その場合はここで双方を敵に回してしまう可能性が高い。

 俺だけならともかく、息子達を連れている以上は危険な橋を渡るべきではないだろう。

「こっちの知り合いがこのバカ騒ぎに巻き込まれてな、望まぬ形でマスターになっちまったのさ」

「マスターという事は……」

「そう、黒のアサシンだ。本来なら令呪を使ってリタイヤすればいいんだが、知り合いの方が呼び出したサーヴァントと意気投合しちまってな。聖杯を使って願い事を叶えようって事になったんだ」

「ならば、なぜその者が参戦していないのですか? 部外者を代理立てて競う姿勢を見せないのでは、ルーラーとして聖杯戦争の勝者と認めるワケにはいきません」

「俺達が止めたんだ。知り合いは魔術師じゃない一般人だし、呼び出した英霊は正真正銘の子供だったんでな」

「子供だと?」

 ルーラーと俺の会話を聞き咎めたのは赤のアーチャーだ。

「ああ。その子は水子、要するに生まれてくる事の出来なかった子供や親に捨てられた子供の霊の集合体を英霊という形に押し込めた存在らしくてな。能力はともかく、容姿も中身も完全な子供だった。そんなのを英霊なんて化け物が飛び交う鉄火場になんて出せんだろ」

「汝の言う事には同感だ。ならば、その子が望む願いとは何なのだ?」

 鋭い目つきのまま、此方を問う赤のアーチャー。

 もっとも、聞かれたからといってバカ正直に答える奴なんて───

 ……いや、待てよ。

 あの子の願いを聞いても、ジャックちゃんの正体に辿り着く奴なんてまずいないはずだ。

 となれば、願い事を教える事も不利になることは無いし、もしかしたら共感してこっちに付いてくれる奴もいるかもしれない。

「あの子の願いはお母さんのお(なか)に還る事なんだと。マスターである知り合いは、ちゃんと生まれ直して幸せになりたいって意味で取ってるけどな」

「そうか……」

「その子はマスターである知り合いを母親だと認識してるようでな。知り合いの方も乗り気で、願いが叶ったらあの子を産む気マンマンなんだわ。で、事情を知った俺達は協力する意味で荒事一切を引き受ける事にしたわけだ。納得いったか?」

「───ええ、確かに得心がいきましたよ。イレギュラーの皆さん」

 俺の言葉の答えは、思わぬところから放たれた。

 その声の主は、中心部へと続く回廊の奥からゆっくりとこちらに向かって歩を進める男。

 いつぞやの胡散臭い神父である。

「そんな……」

 だが、その神父を見たルーラーの様子がおかしい。

 まるで、あり得ないモノを目の当たりにしたかのように、驚愕の表情を浮かべているのだ。

「そういえば、貴女とお会いするのは初めてですね。では改めまして、私がお探しの赤のマスターであるシロウ・コトミネです」

 穏やかな口調で自己紹介を行う神父改めシロウ・コトミネ。

 しかし、ルーラーの表情から驚きが消えることは無い。

「そんなに驚かれるとは、少し面映(おもは)ゆいですね」

「驚きました。まさか、十六人目のサーヴァントがいようとは」

 絞り出すように声を上げるルーラーだが、シロウ神父はそれを否定する。

「それは違います。私は一人目のサーヴァント、そして貴女と同じルーラーですよ」

 事もなげに驚愕の事実を口にするシロウ神父。

 それに対してルーラーは糾弾の声を上げる。

「何故なのです? 貴方はルーラーだというのに、聖杯戦争のルールに反している!」

「ルール、ですか。ルールの中で生きていても、誰も救えなかった」

 そう溜息と共に言葉を吐き出すシロウ神父。

 その顔には深い悔恨のようなモノがこびり付いているように見える。

「ルールを破る事になっても、誰にも俺の夢を邪魔させはしない」

 顔を上げたシロウ神父の目には不退転と言えるほどの決意が光っていた。

 赤のキャスターの証言が本当ならば、この男の夢というのは───

「貴方は……ッ! 何が目的なのですか、天草四郎時貞!!」

「知れた事。全人類の救済だよ、ジャンヌ・ダルク」

 そう、神父の口から出た通り、人類救済という傍迷惑な妄想だった。

 ところで、天草四郎って誰だっけ?

 




 スパロボX クリア記念一発ネタ

剣キチ    『またもや縮地をミスッてしまった。ところで、ここはいったい何処なのか?』
???    『助けてー』
剣キチ    『来て早々悲鳴とか。トラブルに好かれすぎだな、俺』
ブリキントンA『ブリキーーーー!!(おら、妖精ちゃん! 早くお宝を渡しな!!)』
ブリキントンB『ブリキーーーー!!(でないと、薄い本的展開が待ってるぜ!!)』
???    『いやーー! 誰かーー!!』
ブリキントンA『ブリキーーーー!!(こんな森の奥じゃ誰も助けにこねぇよ!!)』
剣キチ    『ところがいるんだよ、これがな』
ブリキントンB『ブリキーーーー!!(だっ、誰だぁ!!)』
剣キチ    『通りすがりの剣キチです。というワケであらよっと!』
ブリキントンA『ブリキーーーー!?』
ブリキントンB『ブリキーーーー!?』
???    『ヒドい!? ギャグ要員なのにバラバラに!』
剣キチ    『この剣キチ、サイボーグには容赦せん』
???    『えーと、とりあえず助かりました』
剣キチ    『どういたしまして。ところで妖精さん、ここが何処か分かるかな?』
???    『ここはアル・ワースと呼ばれる場所です。私もここの者ではないので、詳しい事はわかりません』
剣キチ    『アル・ワースねぇ……。やべぇ、また変な世界に迷い込んだか』
???    『やっぱり、貴方は異世界人なのですね。よかった! いきなりで申し訳ないのですが、私のお願いを聞いてくれませんか?』
剣キチ    『お願い?』
???    『私の管理する白き秘宝を護ってほしいんです!』
剣キチ    『秘宝って、いきなりすぎないか? こっちは君の名前も知らんのに』
???    『ごめんなさい、私はシルキー・マウといいます。突然なのは分かっていますが、この世界には悪いオーラを持つ者が多いんです。もし白い秘宝が彼等の手に落ちたら、多くの悲劇が産まれてしまいます!』
剣キチ    『だから俺にってことか? 自慢じゃないが、俺も真っ当な人間じゃないぞ』
シルちゃん  『大丈夫です。貴方からは良きオーラを感じますから』
剣キチ    『ふむ……。まあ、今のところ帰る目途は立ってないし、ここにいる間だけなら』
シルちゃん  『ありがとうございます! じゃあ早速取りに行きましょう!!』
剣キチ    『うおっ!? 秘宝ってロボットだったのか!』
シルちゃん  『これはサーバイン。バランバランの白き秘宝と呼ばれるオーラバトラーです』
剣キチ    『俺も巨大ロボットデビューする日が来るとは。というか、こんなん動かした事がないんだが……』
シルちゃん  『大丈夫です。『オーラ力』があれば、あとは思考制御で動きます』
剣キチ    『マジか……。そんで、その『オーラ力』って?』
シルちゃん  『簡単に言うと、生き物の持つ生きる為の力です』
剣キチ    『要するに氣の事だな。なら自信がある』
シルちゃん  『サーバインはより多くのオーラ力を必要とします。そこは注意してください』
剣キチ    『氣については専門家だから任せんしゃい。はぁぁぁぁぁぁぁっ!』
シルちゃん  『なにこれ!? 凄いオーラ力――――!!』
剣キチ    『…………おっきくなりました』
シルちゃん  『なにやってるんですか、バカーーーっ!!』


試運転


剣キチ    『武装は剣だけとか、俺向きだな!』
シルちゃん  『逆に喜んでる!?』
剣キチ    『おし、慣らし運転代わりに因果が断てるか、試してみよう』
シルちゃん  『え!? ちょっと待って!!』
剣キチ    『哈っ!!』
シルちゃん  『なんでタメ無しでハイパーオーラ斬りを!? って、空間が裂けたぁ!?』
剣キチ    『よっしゃっ、世界斬り成功! いい機体だな、これ』
シルちゃん  『私、託す人を間違えたかも……』
剣キチ    『ところで、空間の裂けめから切れた尻尾が出てきたんだが、なにこれ?』
シルちゃん  『ヒィィッ!? これって聖獣の尻尾じゃないですかぁぁっ!!』
剣キチ    『ふむ、ヤバいのはわかった。取り敢えず、ズラかろう』
シルちゃん  『やっぱり渡す人、間違えた!?』


 その後


シルちゃん  『いきなり魔従教団のお尋ね者になってるんですが……』
剣キチ    『エンデ様を傷つけたとか言ってるけど、エンデってなんだ?』
シルちゃん  『この世界を創った知恵の神、だったと思います』
剣キチ    『もしかしたら、あの尻尾がそうだったのかな?』
シルちゃん  『なのかな? じゃないですよ!! どうするんですか!!』
剣キチ    『不幸な事故だったんだよ。ノーカン、ノーカン』
シルちゃん  『キッパリと人災です!!』

剣キチ    『ほー、救世主ねぇ。英雄は山と見てきたが、救世主は初めてだ。こんな小さいのに頑張ってるな、坊主』
ワタル    『ありがと。お兄さんも違う世界から呼ばれた人でしょ。だったら、僕の仲間になってよ! ドアクダーを倒したら、元の世界に帰れるからさ』
剣キチ    『そうなのか! そうと分かれば、話が早い。ちょっとドアクダーとかいう奴の首を獲って来るわ』
ワタル    『ちょっ!? 待って待って!!』

ショウ    『君が白いダンバインのパイロットか。ハイパー化してるけど大丈夫なのか?』
チャム    『ショウ、この人からは悪いオーラは感じないよ』
剣キチ    『オーラバトラーの先達か。三日くらい前に初めて乗ったから、勝手がわからんのだ。色々教えてくれると助かる』
シルちゃん  『聖戦士様ですね。ハイパー化については大丈夫です、この人のオーラ力が強すぎるだけですから』
ショウ    『そうか。フェラリオがそう言うなら問題ないな』
剣キチ    『ところで、ハイパー化とは何ぞや?』
チャム    『そこから!?』

剣キチ    『ところで、いつの間に妖精さんと入れ替わったのかな、姉御』
モル子    『今さっき。あの妖精は似たような機体があったから投げ飛ばしといたわ』
剣キチ    『せめて転移させてあげようよ』
モル子    『妻を差し置いて夫とタンデムとか、神が許しても私が許さないわ』
剣キチ    『…………済まぬ、妖精さん』
剣キチ    『そういや、来たのって姉御だけ───』
長男     『武装合体! ファイアーガウェイン!!』
次男     『剛力合体! パワーガヘリス!!』
モル子    『もちろん、ガウェイン達も来てくれたわ。あと……』
陛下     『魔竜合体! ヴォーディガーーーーン!!』
剣キチ    『なして陛下まで……』
モル子    『このウェーブに乗らないと出番がないとか言ってね』
剣キチ    『メタ発言禁止』

続かない

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