この手のネタは、風呂とかに入っていると唐突に浮かんでくるから困る。
息抜き程度に見ていただければと。
剣キチさん、乙女ゲーリベンジ後編
神祖 『して、
師匠 『これだ、神祖よ』
神祖 『む……てれびげぃむ、なるモノか』
師匠 『うむ。学園内での権力闘争を征し、大陸を統一する事が目的だ』
神祖 『なるほど、この地にもローマを築けという事だな』
師匠 『そういう事だ』
オッキー『いや、全然違うから』
ニート『乙女ゲーの説明をしているはずなのに、恋愛のれの字すら出ない奇妙さよ』
神祖 『ならば、
剣キチ『鉄の棺……ロッカーの事か?』
師匠 『おおっ! 調べたら選択肢が出てきたぞ!!』
剣キチ『ようやく話が進むな。で、選択肢は……1.誰かいるの? 2.気の所為かな? 3.出て来い、そこのネズミッ!!』
ニート『選択肢さんは、相変わらずいい仕事してますね』
オッキー『なんていうか、もう3だけ別世界だよね』
師匠 『無論3だ。儂の手を煩わせた曲者の顔、見定めてくれる!!』
猛犬 『お、何やってんだ師匠? つーか何だよ、このメスゴリラwww スカサハって、名前がマト射すぎだろwww』
師匠 『…………すまぬが、ここは任せる。儂は急遽犬狩りをせねばならなくなった』
剣キチ『ふむ、やり過ぎないようにな』
猛犬 『とんずらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
師匠 『舐めるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
オッキー『青タイツと師匠が一瞬で消えた件について……』
ニート『ランサークラスの敏捷性を遺憾なく発揮してますね』
剣キチ『メインプレイヤーのおっぱいタイツが消えてしまったが、どうしたものか……』
神祖 『
剣キチ『やってくれるか、神祖よ』
神祖 『うむ』
なすび『あの、皆さん集まって何をしているのですか?』
ぐだ子『あ、これって●●社の最新ソフトだ。みんなもテレビゲームなんてするんだね』
剣キチ『娘からちょっと頼まれてな』
ぐだ子『ふーん。だったら、私達も見ていいかな?』
なすび『そうですね。私もテレビゲームには少し興味があります』
剣キチ『だったら、そこにいるニート達と見ててくれるか?』
ぐだ子『わかった』
ニート『ようこそ、腹筋崩壊の世界に』
ぐだ子『え?』
なすび『それはどういう事でしょうか?』
オッキー『プレイヤーのメンツ見なよ、マ―ちゃん。あの二人におっぱいタイツ師匠だよ、まともなゲームになると思う?』
ニート『選んだソフトが乙女ゲー界のキワモノだった所為で、彼等の超絶選択肢に追随出来てしまうんです』
オッキー『その結果が御覧の有様だよ!』
なすび『あのスカサハさんの髪形をしたダレイオス三世さんはいったい……』
ニート『あれがプレイヤー・キャラです』
スカサハ『ダヴァイッッ!!』
ぐだ子『えぇ……』
なすび『乙女ゲーとは理想の男性と恋愛するゲームと聞いていたのですが、あの方で大丈夫なんでしょうか?』
ニート『すでに攻略対象は一人鬼籍に入っています。後は分かりますね』
オッキー『とりあえず、飲み物片手に見てたらヒドイ目に遭うとだけは言っとく』
なすび『先輩、もしかして私達はトンデモナイところに来てしまったのでしょうか?』
ぐだ子『頑張ろう、マシュ』
剣キチ『さて、おっぱいタイツの選択肢通りにロッカーを破壊して、中にいた曲者を燻り出したところから再開だな』
オッキー『いやいや、おかしいよね。拳圧でロッカー吹っ飛ばすとか、どう考えてもヒロインのやる事じゃないでしょ』
ニート『さすがは武力カンストといったところでしょうか。あれって青の国の王子ですね』
ぐだ子『たしか青の王子って、乙女ゲーのテンプレにある卑屈タイプだったっけ?』
なすび『卑屈タイプ、ですか?』
オッキー『乙女ゲーの攻略対象のパターンの一つにあるんだ。過去の事件なんかで自分に自信が持てなくなったって男の子』
ニート『今作では稀代の軍師と名高い翠の国の王子とは幼馴染で、常に彼と比べられていた事が原因で自分に自信が持てないって設定ですね』
ぐだ子『という事は、セオリーだと彼を認めて前向きにする事が攻略のコツかな』
ニート『あの二人にそんな真似が出来ればよいのですが……』
オッキー『過激派の師匠がいない今ならワンチャンあるかもよ』
【■■の奴、こんな化け物に僕が勝てる訳ないじゃないか……ッ!?】
剣キチ『攻略対象の一人、青の国の王子か。こんな場所に隠れていたところを見るに、今までの襲撃はコイツの手引きという可能性が濃厚だが……』
神祖 『今のセリフを見るに、黒幕は別にいるようだぞ』
剣キチ『そのようだ。まずは情報を引き出すべき……って、また選択肢が出た。1.怯えないで、私は敵じゃない 2.貴方が襲撃犯なの? 3.しゃべるな、貴様の腐った脳みそをハックしてやる』
ぐだ子『えっ!?』
なすび『いま、何かおかしな選択肢があったような……』
オッキー『あ~、選択肢3がヤヴァイのはこのゲームの仕様みたい』
ニート『ああいったセリフばかり出て来るので、逆にプレイヤーには大人気です』
オッキー『けど、今コントローラーを持ってるのは神祖様だからねぇ。さてさて、どれを選ぶのやら』
神祖 『暴力は何も生まぬ、ここは1番を選ぼう』
オッキー『……意外な展開。てっきり3を選ぶと思っていたのに』
ぐだ子『さすが神祖さん! ゲームでも大らかさは変わらないね』
ニート『ふむ、やはり師匠とは一味違うという事でしょうか』
【お……おまえ、本当に僕を殺さないのか?】
神祖 『うむ。少年よ、恐れる事はない。其方の知っている事を
剣キチ『おおっ、話がスムーズに! これがローマ式ハニトラ術か』
オッキー『違う違う、これ普通の会話』
ニート『この程度でハニトラ扱いとか……って、あ』
なすび『どうしたんですか?』
ニート『この流れ、バッドエンドみたいですよ。周囲を警戒しないで青の王子を説得したら────』
神祖 『ぬうっ!?』
剣キチ『暗がりから矢が飛んできた! これは口封じのつもりか!?』
オッキー『もしかしてこれでアウトなの?』
ニート『はい。普通なら青の王子と一緒に射抜かれてデッドエンドです』
ぐだ子『でも、神祖さんなら何とかしてくれる! ほら選択肢が出たよ!』
なすび『提示されているのは1.王子を庇う 2.王子と共に避けようとする さ……あっ、早い!?』
神祖 『ローマッ!』
【ぎゃあああああああああっ!?】
ぐだ子『ええっ!?』
ニート『王子を盾にしやがったwww』
オッキー『3番目の選択肢はこれかwww』
なすび『で、でもっ! 神祖さんも戸惑ってるみたいです!!』
ニート『直感で選択肢を選んだからじゃないですか、たぶん』
剣キチ『神祖よ、意識を切り替えろ! 今ので賊の姿を捉える事が出来た! 王子の犠牲を無駄にするな!!』
神祖 『────うむ! セプテムッ!!』
オッキー『ちょっ、王子の身体を武器にすんなwww』
ニート『こんな無駄にしないやり方があるかwww』
なすび『ダレイオスさんが、逃げようとしていたアーチャーに全力で王子の身体をぶつけています!!』
ぐだ子『振り回してる! 王子の身体、めっちゃ振り回してるよ!!』
神祖 『おおおおおおっ! マグヌスッ!!』
なすび『ああ、王子の身体ごと賊が粉々に!?』
【HEROINE WON】
【BRUTALITY】
スカサハ『バアアァオオオオォオッ!!』
【攻略対象が死亡しました】
【メモリアル・アイテムを入手しました】
【《王子との思い出》】
オッキー『頭蓋骨じゃねーかwww』
ニート『こんな思い出のアイテム、あってたまるかwww』
【メモリアル・アイテムは攻略対象との絆を示す重要なモノです。自分の部屋で大切に保管しておきましょう】
神祖 『うむ、少年の遺志はしかと保管せねばなるまい』
剣キチ『ああ、このゲームをクリアするために必要なモノみたいだからな』
スカサハ『ヴァッ!』
【《王子との思い出》を保管しました】
なすび『なんでクローゼットの中に、服じゃなくて頭蓋骨が並んでるんでしょうか?』
オッキー『プレデターか、こいつはwww』
神祖 『古の戦士には、獲物の頭骨をトルフィーとして持ち帰る習慣があったと聞く。ここに並ぶ戦利品こそが、この娘の誇りなのだろう』
剣キチ『さすがはスカサハの名を継ぐ者といったところか』
師匠 『見事だ、神祖よ。儂がいない間に一人討ち取ったようだな』
神祖 『うむ』
剣キチ『青の国を堕とせたし大陸統一に関しては順調だが、また攻略対象があの世に逝ったのは問題ではないか?』
師匠 『心配するな、剣キチ。他者の傀儡にされるような無能など我らの力にはならぬ。狙うはむしろ、後ろで糸を引く者よ』
神祖 『女王よ、彼奴を取り込むつもりか? 謀略に長けた者は諸刃の剣、こちらを食い破る毒になるやもしれぬぞ』
師匠 『それもまた一興。策士一人も飼いならせぬなら、儂もその程度ということだ』
ぐだ子『えっと……プレイしてるのって、ノッブの野望だっけ?』
なすび『違うと思いますけど……自信がありません』
ニート『相変わらず会話が殺伐としてますね』
オッキー『絶対に乙女ゲーやってる人間の言葉じゃないよね』
◇
なすび『あれから三時間。なんだかんだでゲーム内では一年目の半年が過ぎた訳ですが……』
ぐだ子『この短期間で攻略対象があと一人になるとは思わなかった』
ニート『この半年の軌跡は本当に酷かったですね』
オッキー『翠の王子は謀略(物理)で抹殺するし』
なすび『教室の外から槍を投げて取り巻きごと殲滅するような力技、計略と呼んでいいのでしょうか?』
オッキー『武門を司る赤の国の王子は、衆人環視で公開処刑』
ぐだ子『攻略サイトだと、武力200あれば引き分けられるんだよ。そして、それが切っ掛けになって個別ルートが開くはずなのに……』
オッキー『あのメスゴリラは武力カンスト。振った槍の風圧で生皮剥がれて死んだんだよね』
ニート『武門の跡取りが素振りでやられるとか、あのキャラは死んでも死に切れませんね……』
ぐだ子『後はショタ枠の紫の国は……』
なすび『「貴様のような15歳がいるか」って師匠からイチャモンを付けられた挙句、刺客認定されて窓から放り出されてしまいました』
オッキー『それでステージ・フェイタリティでしょ。どんだけモーコンに拘ってんの、このゲーム』
ぐだ子『サルでも攻略できるという触れ込みの救済キャラすらダメとか。やっぱり絶望的に乙女ゲーに向いてないよね、あの三人』
オッキー『直近で殺されたのは主人公の幼馴染設定の割に、1.2を争う難易度の高さを誇る桃の王子だけど、あれは本当にヒドかった』
ニート『背後から脅かそうとしたところで、「俺の背中に立つな」とゴルゴばりの反応を見せたメスゴリラにハートキャッチ(物理)されましたから』
ぐだ子『初登場だったのに、完全に出オチキャラになっちゃったね』
なすび『【攻略対象が死亡しました】のメッセージが出るまで、剣キチさん達に只の雑魚だと思われていたのも涙を誘います……』
剣キチ『拙いぞ、おっぱいタイツ。残る王子はあと一人だ』
神祖 『何を焦る? 他の国を平定し、ローマ建国は目前ではないか』
師匠 『神祖よ。このゲームの攻略条件の中にはな、他の国の王子を色仕掛けで篭絡するというモノがあるのだ』
剣キチ『この半年で美貌の面も充実してきたから、外面に騙される奴が一人くらい出ると思っていたんだが……』
師匠 『そこは腐っても王位継承者という事だろう。誰一人靡く者はでなかったわ』
神祖 『なるほど。最後の相手には一発一発愛を込めて討てばよいのだな』
師匠 『そうだ』
オッキー『そうだ、じゃねーよwww』
ニート『ここまで来ても、まるで趣旨が分かってないwww』
剣キチ『兎に角何とかせねば。このままではまたしてもガレスに怒られてしまう』
神祖 『剣士よ。学校の噂話では、今の時期は風呂場が混浴だそうだ。テルマエは良い、あれもまたローマである』
なすび『なんですか、このイベント?』
オッキー『今の時期って、普通にやったら目当てのキャラとある程度親密になってるでしょ。ここでお風呂イベントでさらに距離を縮めようって事なのよ』
ぐだ子『なるほど、テコ入れイベントだね。条件は攻略対象とのデートの帰りに通り雨に打たれる事か』
ニート『兄上達の場合、まずデートをする対象がいないのが問題ですね』
師匠 『裸の付き合いで親密度を増し、さらにこちらの裸体を見せる事で情欲を煽るか。悪くないな』
剣キチ『では、善は急げだ。最後の金の王子を探すとしよう』
神祖 『うむ、あの男ではないか?』
なすび『何という事でしょう、出会ってしまいました』
ニート『エンカウントした際の、相手が浮かべる絶望に満ち満ちた表情よ』
師匠『よし。では早速風呂に誘うぞ』
ニート『直球すぎる!』
オッキー『まずはデートに誘え!!』
剣キチ『お、選択肢だ。1.あの、買い物に付き合ってくれませんか? 2.どっか遊びに行こうよー! 3.抵抗するな。大人しくしていれば、貴様を天国に連れて行ってやる』
師匠『無論3だ』
オッキー『今までのパターンからすると、どう考えても天国(あの世)なんだけど……』
ぐだ子『それだと抵抗してもしないでも、王子は死ぬしかないじゃん……』
【この化け物め! 私が金の国の王位継承者であると知っての狼藉かッ!?】
【うるさい】
【ぐ、ぐあーーーーーーっ!?】
師匠『うむ、問題なく風呂場へ連行する事が出来たな』
ニート『アイアンクローで強制連行のどこが問題ないのか』
剣キチ『……おっぱいタイツよ。もしかしたら、このイベントでスチルなるモノが手に入るかもしれん』
師匠『スチル? なんだそれは』
剣キチ『特別なイベントを起こした際に表示される一枚絵の事らしい。娘が言うには、スチルが出たらその男は堕としたも同然だとか』
師匠『ほう、それはいい。ならば、スチルとやらを手に入れる為にも奴を骨抜きにせねばな』
オッキー『スチルってそんな物だったっけ?』
ニート『告白やエンディングの際にも表示されるので、完全に間違ってはいないと思うのですが……』
ぐだ子『一般的にはイベントの一枚絵だよね……』
なすび『では、見れるかもしれないという事ですね』
師匠『ふむ。イベントとやらの影響か、今回は随分と読み込みが長いな』
剣キチ『たしかに』
オッキー『これはもしかして───』
ニート『スチルイベント用のローディングなのでは!』
【打たせ湯を背に浴びながら腕を組み、大股開きで座るヒロイン。そしてその前で縮こまって正座する攻略対象。表題には『嬉し恥ずかし初お風呂』とある】
オッキー『これはwwwww』
ニート『タイトル詐欺にも程があるwwwwww』
なすび『スカサハさんが全然恥ずかしそうじゃないんですがッ!?』
ぐだ子『嬉し恥ずかしっていうか、反省会だよね』
剣キチ『ほー、これがスチルって奴か』
師匠『うむ、なかなかに良い絵ではないか』
神祖 『スチル、それもまたローマである』
【くっ、蛮人め。私をこんなところに連れてきて、どうするつもりだ?】
【この学園に残っている王は私と貴様のみ。故に、虚飾を廃し裸一貫で王の格を競おうというのだ。その粗末な一物同様に自信が無いと言うのであれば、逃げても構わんぞ】
【黙れッ! いいだろう、そこまで言うなら受けて立ってやる!!】
師匠『なかなかに面白い展開ではないか。この私も王としての風格が付いてきたようだな』
剣キチ『気合を入れろよ、おっぱいタイツ。これぞまさしく最終決戦。次の選択肢でグッドエンドかバッドエンドかが決まるぞ』
神祖 『案ずるな、女王。浪漫の示すままに選べばよいのだ』
オッキー『アルちゃん、攻略サイトに何か書いてない?』
ニート『書いてるわけないでしょう、こんなルート!!』
ぐだ子『ですよね~』
師匠『来たぞ、選択肢だ』
剣キチ『なになに……貴様に問う、1.いかにすれば大陸は平和になるか? 2.優れた王に必要なモノは? 3.漢とはなんぞや?』
なすび『ついに選択肢から恋愛要素が消えてしまいました』
ニート『つーか、最後の独眼鉄じゃないですかwww』
オッキー『スチルの画風が男塾調なのは、これが理由かwww』
神祖 『ふむ、いずれも国を背負う者にとっては必要な命題。女王よ、どれを選ぶ?』
師匠『神祖よ、其方は重要な事を見落としている』
神祖 『む?』
師匠『このゲームは恋愛を目的にしているということだ!』
オッキー・ニート『気付いとったんかい!?』
師匠『故に、答えは3だ!!』
【貴様に問う。漢とは何ぞや?】
【な……なに?】
【漢とは何ぞや?】
【そ……そんなもの、性別に決まっているだろう!!】
【愚昧が。貴様は王の器に非ず。そして、我が伴侶となる資格も無し!!】
剣キチ『あ、またスチル』
【───死ぬがよい!】
【あ…あ……ぐわあああぁぁぁぁぁぁっ!!】
オッキー『……ヒロインが拳で攻略対象の首を吹っ飛ばすスチルなんて、未だかつてあっただろうか』
ニート『あるワケないでしょう。しかも今度は絵が原●夫風ですし。力の入れ所が全体的に間違ってますよ、コレ』
ぐだ子『ヒロインの顔、どう見てもラオウだしねぇ』
なすび『先輩、乙女ゲーとはかくも恐ろしいものなのですね……』
オッキー『なすびちゃん。これ、ソフトもプレイヤーも極めて特殊なケースだから。絶対に参考にしないでね』
師匠『ふむ、殺してしまったな。男女の仲になるようにと選択肢を選んだのだが……』
剣キチ『今のは王子が悪い。あそこは性別じゃなくて、全てを征する力と答えるべきだろう』
神祖 『否、漢とはローマである』
師匠『ふっ、それもいいな』
剣キチ『お、エンディングが始まったぞ』
師匠『なになに……。全ての王子を討ち取った事で学校を辞したスカサハは、自国に帰るとすぐさま女王として即位した。王位に就いた彼女は今までの完全平和主義を撤廃し、他国への侵攻を開始』
剣キチ『その電光石火と言うべき挙兵に、後継ぎを失って悲しみに暮れていた他国は後手に回ってしまう。その間にもスカサハ女王を先頭にした白の軍は破竹の勢いで進撃を続け、一月もしない内に近隣の黄と桃の国を平定』
神祖 『その力に恐れをなした他国は連合を結成するも、魔人が如き女王の力の前では烏合の衆に過ぎず、戦争勃発から2年で白の国は大陸を制覇する事となる』
剣キチ『その後、一大帝国の女帝として君臨し続けたスカサハだが、男性へ課す理想の高さゆえに終生帝配を得る事は無かったという、か』
師匠『ふむ……。剣キチよ、これはどうなのだ?』
剣キチ『どうとは?』
師匠『グッドエンドか、それともバッドエンドか、だ』
ぐだ子『乙女ゲーって観点で見たら、完全にバッドだよね』
ニート『自分が死んだり男と心中するならともかく、攻略対象皆殺しなんてエンディングは普通あり得ませんからね』
剣キチ『人生的に見れば、英雄として成功してるしグッドじゃね』
神祖 『うむ。帝国が成っている以上、大団円である』
オッキー『結局、最後まで趣旨を理解しなかったね、ローマ』
なすび『そうみたいですね……』
師匠『ならばよし。そして剣キチよ、貴様が儂を貶めていなかった事も理解したぞ』
剣キチ『わかってくれたか』
師匠『ああ。こういう形式のゲームであれば、武人としての思考を持つ者なら儂のような女傑が生まれるのは必然だ』
剣キチ『誤解が解けたのなら、長々とゲームをした甲斐があったというものだ。そんじゃ解散するか』
師匠『まあ待て』
剣キチ『うん?』
師匠『たしかに画面の向こうの儂は人生には成功した。しかし、伴侶を得てはいないのだ。次は伴侶を得る事を目的にしようではないか』
オッキー『いや、もともと乙女ゲーはそれが目的だからwww』
ニート『さっきのプレイは何が目的だったのかwww』
剣キチ『そうか。ならば更なるブレインが必要になるな』
神祖 『愛とは多種多様、人の数だけ存在すると言ってもよい。ならば、多くの知恵を募るのは必然である』
師匠『では、人材発掘は任せる』
剣キチ『おう』
師匠『ふむ、今度は智謀の代わりに容姿を磨いてみるか』
オッキー『まさかの二周目が始まってしまった』
ニート『というか、やっぱり武力からは離れられないんですね』
剣キチ『助っ人を集めてきたぞ』
師匠『ほう、今回は早かったな』
剣キチ『恋愛ならわりと集まりやすいからな。という事で、今回の助っ人はこの人たちだ』
きよひー『愛と聞いて』
グンさん『妾の経験が役に立つかは分からんが、興味があるので参加してやろう』
モル子(通信)『泥棒猫が、私に無断で剣キチとゲームとか絶許』
ニート『\(^o^)/オワタ』