特異点α 『超常科学舞台・学園都市』   作:チラシ寿司

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はじめまして。ハロウィンイベントにうつつを抜かしてストーリーが全然進まない作者です。

物語の都合でカルデア及びマスター藤丸立香はいくつかの特異点を抜けた後です。見てるといろんな疑問や違和感が湧くと思いますが、何卒よろしくお願いします。


プロローグ・それぞれの始まり

「新たな特異点…ですか?」

 

 隣に立つ後輩、マシュ・キリエライトのそんな言葉を聞きながら、藤丸立香は目の前の男、ロマ二・アーキマンに意識を向けていた。

 

「あぁ。人理崩壊に深く関わる七つの特異点、それとは別の、けれど規模としては同等以上の存在である特異点が発見された」

 

 人理崩壊。

 その言葉を聞き、藤丸は今までのことを思い出していた。

 

 レフ・ライノールや魔神柱、ひいてはそれらを率いる魔術王が起こした恐るべき陰謀。

 自分たちカルデア、そして最後のマスターとなった自分はこれまでに様々な特異点を巡った。

 

 第一の特異点、フランス。

 ルーラーのサーヴァント、ジャンヌ・ダルクらと共に、フランスを支配せんとする別側面のジャンヌと戦った。

 

 第二の特異点、ローマ。

 当時のローマ皇帝、ネロ・クラウディウスと共に、ローマを救い再び相見えたレフ・ライノールを打ち倒した。

 

 第三の特異点、オケアノス。

 海賊フランシス・ドレイクと共に、海賊黒髭やアルゴナイト船最強の英霊ヘラクレスなどの強敵と死闘を繰り広げた。

 

 そして、第四の特異点、ロンドン。

 ついに相対した魔術王…ソロモンを前に自分たちは。

 

「うっ…!」

 

 その時の恐怖を思い出し、思わず吐き気がこみ上げる。無理矢理にそれを戻し、けれど気分は落ち込んだままだ。

 

 自分たちは負けたのだ。

 なす術もなく、そして圧倒的に力の差を見せつけられて。

 

 まともに戦ったわけではないが、目の前に現れただけであの威圧感。

 途方もなく高い壁が自分たちの目の前にあると、自覚させられた。

 

「先輩…?大丈夫ですか?」

「あぁ…なんでもないよ」

 

 けれど、隣に立つこの少女を思い出し、折れそうな心を奮い立たせる。

 自分は最後のマスターなんだと。

 世界を救うのだと。

 皆を守るのだと。

 

(でも、なれるのだろうか俺に)

 

 そんなヒーローみたいな奴に。

 

 

「大丈夫かい藤丸君?」

「はい大丈夫です」

「無理は禁物だよ。…さて話を戻そうか、新たに発見された特異点、その詳細について」

「新たな特異点…具体的にそこはどこなんですか?七つの特異点と同じ、人類の歴史における転換点ということでしょうか?」

「いや、今回はそういったとこではなく、むしろ特異点としては意外すぎる場所だ」

 

 何しろ魔術を知る僕たちにとってはね、と付け加え、ロマンはモニターを映した。

 

「年代は特異点X冬木と同じく2000年と少し。場所は東京都西部」

 

 そこには、科学が映っていた。

 

「超能力が伝わる街、学園都市だ」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AD・20XX。

特異点α『超常科学舞台・学園都市』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「くぁ…疲れたぁ〜」

 

 学園都市、某月某日。

 上条当麻は久しぶりに学校からの帰路についていた。

 

 ここ最近は魔術結社『グレムリン』との死闘や、『魔神』やら『理想送り』上里翔流との対決などで散々な目に遭っていたが、漸く目に見える脅威が去ったことで、久しぶりに学校に登校していた。

 本来自分にとって本分であるはずの学校生活が新鮮に感じることに、(主に出席日数的な意味で)やや危機感を覚えないでもないが。

 

(いくら小萌先生の補習に出ててもこのままじゃなぁ。これ以上休むことになると…)

 

 頭の中に留年の二文字が浮かんでくるが、頭を振ってその不穏な思考を中断し、今日の献立にシフトする。

 大食らいシスターやお人形サイズの『理解者』、そして猫のことを考えながら行きつけのスーパーに進路を変更する。すると唐突に

 

ピキーーン、とガラスが砕けるような音がした。

 

 

「なっ…!」

 

思わず、自身の右手を見る。

 

 幻想殺し。

 あらゆる異能を殺すとされるこの右手は、今までどんな相手に対してもその力を発揮してきた。

 

 例えば、学園都市第3位の『超電磁砲』。

 例えば、学園都市第1位の『一方通行』。

 例えば、イギリスの魔術師の『魔女狩りの王』。

 例えば、グレムリンの戦争屋『雷神トール』。

 

 

 今更疑いようのない事実であり、この右手はさまざまな窮地を救ってきた。だが、問題はそこではない。

 

(今…こいつは何を殺したんだ?)

 

 

 自分が何らかの攻撃を受けた…わけではない。それなりの数の修羅場を潜り抜けた上条は、そこの認識はしっかりしている自負がある。

 かといって周囲に異変もなければ、体に異常もない。ただ、得体の知れない何かを殺した、という結果だけが残っている。

 

「一体何なんだ?」

 

 とはいえ、問題が起きたわけでもなし、上条はひとまず当初の目的を思い出し、後ろ髪を引かれながらもそこを動くことにした。

 

 

 何かが起ころうとしていた。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜、だりぃ」

 

 

 朝から妙な気怠さを感じながらも、浜面仕上は、学園都市の街に繰り出していた。

 

 同居人である少女達に半ば押し切られる形で追い出され(というかパシリにされ)、近くのコンビニに足を運んだ浜面は、鮭弁やら日用品やら鮭弁やら鮭弁を、乱雑にカゴに突っ込んでいく。そこで新作映画のパンフレットの調達も頼まれていたことも思い出し、映画館にも寄らなければならないことを悟り、少しばかり肩を落とす。

 

(それだけの為に映画館に行くのって面倒くせぇな。なんなら映画の一本でも…でも、絹旗の行きつけだしなぁ)

 

 知り合いの映画のセンスのなさに絶望し、長いレジ前の列に並びながら、ふと備え付けのテレビから流れるニュースを見る。

 

『現在学園都市全域で不可解な磁場が観測されており、専門のチームが調査を進めているとの連絡が_』

 

(磁場?まさか)

 

 何げ無しに列を見て見ると、出勤前のサラリーマンや学生など、偏りはあったが確かに皆浜面と同様、うっすらと疲れのようなものが見える。

 

(学園都市だけで起こる磁場とかそんなピンポイントなもんがあるのか?)

 

 ふと、疑問に思った浜面だったが、すぐにその考えを消す。ここは超能力の街。得体の知れない実験施設だとか、訳の分からん電波を飛ばす工場だとかがあるのだ。磁場の一つや二つ、不思議ではないだろう。

 

 ありゃッしたー、と聞こえる若者バイト特有の有難い見送りの言葉を背に受け、浜面はスマホを開く。音楽でも聴きながら歩こうと考えていた矢先、動画サイトからのおすすめ動画が開かれていることに気づく。

 

(なんだ、こりゃ?アネリのやつが勝手に開きやがったか?)

 

 見ると、その動画はサイトの中でもランキング1位とされている動画だった。胡散臭いものを見るような目で浜面が眺めているその動画。タイトルには、こう書かれていた。

 

 

 

 『大魔術・英霊召喚』と。

 

 

 

 何かが起ころうとしていた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 学園都市。

 其処の頂点に君臨する超能力者、一方通行は今朝から全身に刺すような違和感を感じていた。

 

 第三次世界大戦、魔術結社グレムリンとの死闘と、少なくない関わり方をした彼は、この違和感の正体についてある程度の見当をつけていた。

 

 魔術。

 超能力とは別の、未知なる力。

 

 学園都市最強の名を冠するだけあって、科学側では今の一方通行に無策に喧嘩を売ろうなどと思う奴はいない。

 しかし、だからといって魔術サイドとやらに恨まれるようなことをした記憶もないので、多少は疑問に思ったが。

 

(関係ねェ、潰す)

 

 これが一方通行個人を狙ったものであったら、直接な攻撃にでも及ばない限り彼は無視をしていただろう。

 

 だが、この不可視の攻撃とも呼べないものは、学園都市全土に広がっている。そして、その中には彼が守るべき存在である少女達もいる。

 

 今はまだ、害はない。しかし、本当にそうならないとも限らない。疑問は疑問のままに、けれど確実に芽は摘んでおく。そうして、彼女らを巻き込まないようにするため、今朝から一緒に住んでいるファミリー層のマンションから一足先に出た。敵は個人か組織か、何が目的かを探るべく、手掛かり一つない状態で、人気の少ない裏通りを虱潰しに歩いている。

 

(だが、そう心配もいらなかったみたいだなァ)

 

 決して、一方通行は物事を楽観視しているわけではなかった。

 しかし、疑いようのない事実が彼を襲っていた。

 

 

 

 いたのだ。

 目の前に黒いローブを被った如何にもな奴が。

 

 

 

「…一応聞いておくが、準備中のとこを間抜けに発見されただとか、全く関係ねェ黒ミサとかの帰りだとか愉快なこと抜かしやがる訳じゃねェよなァ。流石に俺も、そこまで暇じゃあねェぞ」

「あぁ、そこは問題ないよ」

 

 ローブ越しの瞳さえ見えない状態で、唯一見えた口元を三日月状に裂き、笑う。

 

「僕が黒幕だ」

「オーケー、潰す」

 

 カチリと。首元の電極に手をかけ、そのスイッチを入れる。学園都市最強の能力が行使される。

 

 

 黒いローブの男は、ただ笑う。これから起こるであろう暴虐の嵐、それさえも些末なことだと言わんばかりに。

 

 

 

 

 

 何かが起ころうとしていた。




始めの話がこんないろんな奴からの視点ですいません。
一応時系列は、上条(特異点発見2日前の夕方)→一方通行・浜面(特異点発見1日前の朝)→カルデア(特異点発見)となります。
藤丸くんに関しては、ほぼオリキャラのつもりで書いていくので受け付けない方はすいません。逆に見てくださるという方は、できる限り頑張りますので、どうか温かい目で見てください。
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