特異点α 『超常科学舞台・学園都市』   作:チラシ寿司

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fgoは始めてまだ半年ですが、初めてすり抜けというものを体験しました。こんにちはヴラドⅢ世。さようならエルバサCEO。また次のピックアップで会おう。


第ニ話・こんにちは学園都市

――――――――――

 

 

 

 

 

アンサモンプログラム スタート

霊子変換を開始します。レイシフト開始まで あと3、2、1………

全工程 完了

アンノウン・オーダー

検証を開始します

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「…………」

 

 

 燃え盛る業火の中。

 少女の手を取った。

 

 

 自分以外の命が散り、目の前でまた新たに命が散ろうとしている中、俺には何も出来なかった。

 

「__」

 

 怖くないと自分に言い聞かせながら。

 逃げ出しそうな気持ちを抑えながら。

 

 そのまま共に炎に包まれながら死ねれば、どれほど楽だっただろうか。

 

 

 

 生き残った先も地獄のような場所だった。

 

 隣に立つ少女と共に、戦場を駆ける。何度も死にそうになり、恐怖に押し潰されそうになった。

 

「先輩_」

 

 けれど、隣に立つ少女にせめて胸を張れるようにと、折れないようにと歯を食いしばり、目の前の理不尽に立ち向かっていく。

 

 

 そうやって、自分の心を励ましながら(ごまかしながら)

 

 

 

 

 

 

____________

________

____

 

 

 

 

「__先輩!起きてください先輩!」

 

 

「……!」

 

 

 聞き慣れた後輩の声を聞き、意識を覚醒させる。そして、今自分が硬い地面に横たわっていることを認識する。

 

「起きたかねマスター」

 

 顔を上げると、どうやら自分たちは路地裏のような場所にいるようだった。エミヤの声を聞き、皆無事にレイシフト出来たのだな、と安堵した。エミヤやマシュに心配かけてごめん、と曖昧な笑みを送る。

 

『藤丸君、無事か!』

 

「うわっ!」

 

 カルデアからこちらをチェックしていたロマンの顔がドアップで現れ、思わず飛び退く。後ろに尻餅をつくように倒れてしまった。

 

『ご、ごめん!大丈夫かい⁉︎』

 

「はい、痛つ…」

 

「だ、大丈夫ですか先輩!」

 

 手の差し伸べくれるマシュに甘え、ありがとうと言いながらその手をとる。その時、ふと気づく。

 

 今回のレイシフトは現代ということもあり、立香はともかく、サーヴァント の格好ではかなり浮く。そんな事情もあり、今回同行するサーヴァントや立香は現代用に合わせた私服を着ている。

 

「……?」

 

 つまり、目の前の少女、マシュ・キリエライトもいつもと違う装いなのだが。

 

(やばい、めっちゃ可愛い)

 

 クリーム色のカーディガンに、白と青のギンガムチェックのワンピース、黒のパンプスに襟付きソックスと可愛らしさを全開にしたコーディネート。いつもレイシフトする時やカルデアにいる時とも違う後輩の姿に、先輩・藤丸立香はノックアウト寸前だった。

 

 そもそも、レイシフト前に衣装を選ぶ際、マシュはなぜか頑なにその姿を見せてくれなかった。単に恥ずかしかったのか、それとも駆け引き上手のサーヴァント達から手ほどきでも受けていたのかは定かではないが、ぶっちゃけそのせいで不意打ち気味に見せられた、否、魅せられたその姿に立香はドキドキしていた。

 

「あの、先輩」

 

「?」

 

「そんなにまじまじと見られると、その、恥ずかしいです…」

 

「へぁ!?ご、ごめん!」

 

 しどろもどろになりながら謝罪すると、生暖かい視線を感じた。隣を見ると、モニター越しのDr.ロマンの娘とその彼氏を見るような複雑な眼差し、ダ・ヴィンチちゃんの愉快なものでも見るような眼差し、それからエミヤの苦労するなこいつもと言いたげな憐憫の眼差し、の三者三様の視線がこちらを見ていた。煩い笑うなら笑え。

 

「こほん…さてドクター、これは一体どういうことだね。確かにレイシフトには成功したようだが、正確ではないようだか?」

 

 自分達同様、現代服に身を包んだエミヤ(ちなみにこちらは黒を基調としたタンクトップ、というかほとんど第一再臨だった)が顎で指し示した方向を目で追う。

 

 すると、そこには大きなゲートのようなものがあり、その先に更に大きな都市がそびえ立っているようだった。

 

「学園都市…正確にはその入り口か。いきなり、中に入ると言った話だったはずだが」

 

『あぁ、そのことなんだが…どうやら弾かれたらしい。レイシフト先に指定していたが、どうやら強引に座標をずらされて、結果として外の座標に転移させてしまったようだ』

 

「弾かれた?」

 

 あっさりと言われるが、そんな事は初めてだった。今回が本来ない筈の世界の特異点の影響なんだろうか。

 

「魔術…いやここは科学だったか。つまり、カルデアのレイシフトに向けて中の人間が妨害を仕掛けたということか?」

 

『いや、そういった指向性は感知しなかった。どうやら、外からの違法な手段での侵入を拒否する防衛設備のようなものだね。魔術師でも出来そうな事だが、まさか科学の力がここまでとはね』

 

 やれやれおそれいったよ、と頭を振るダ・ヴィンチちゃん。ドクターもドクターで苦い顔をしていた。

 

『しかし、困ったね。こうなると、正規の手順で入るしかないが、我々はそもそもこの時代の人間じゃない。国籍もない身分じゃ入るのは厳しいかもしれない』

 

「かと言って、正面突破なんて真似は出来んぞ。顔を知られるのは入ってからをより困難にするだけだ」

 

 となると、あとは。

 

「抜け道を探すとかは?」

 

 見れば、学園都市の側は見通せない程の果てない壁が続く構造になっている。入り口は何箇所もあるだろうが、それを使うわけにはいかない。だが、ここまで広ければ抜け道も一つや二つあるだろう。

 

『それしかないようだね。少し面倒だが、中に入れなければ元も子もない』

 

「そうですね…しかしどこに抜け道があるのでしょうか」

 

『こちら側でも探索してみよう。時間はかかるかもしれないが、根気強く探そう』

 

 方針は決まった。そして、路地裏から出ようとすると、エミヤが後ろの闇の中に視線を向けているのに気づいた。

 

「どうしたんですか、エミヤさん?」

 

「…誰かそこにいるな。隠れてないで出てきたらどうだ」

 

 そう呼びかけた先から、返事はなかった。しかし、

 

ボウッ と闇の中から小さな光源が現れた。

 

 揺らいでいるその光の正体は、炎だった。淡く、そして不規則に揺れるそれは決して自然で発生したものではなかった。

 

「失礼、そちらの話が聞こえたものでね。なんでも君たち学園都市の中に入りたいそうじゃないか」

 

 声と共に、一歩、二歩と炎も近づいてくる。そして、暗闇の人物の全体像が目視できるほどになった。

 

 赤い長髪に高い背丈、たくさんのピアスを付け目元にはバーコードのような模様、黒い服は後ろの闇と同化しそうなほど暗く、不思議な出で立ちだった。

 

「こちらも気になる気配を感じて、近づいてみたんだが、どうやら目的は一緒のようだ。相乗りってわけではないが、よければどうだい?」

 

 渡りに船の提案だった。

 

 しかし、立香が何を言う前にエミヤとマシュが庇うように前に立つ。

 

「いきなり、どういうつもりだ?悪いが、そんな都合の良い話を信用しろと言われてもきな臭すぎるな」

 

「まぁ、それはそうだ。けれど、こちらにも利点はあってね」

 

「どういうことですか?」

 

 煙草を点けながら、今から一息いれるかのように話す男に戸惑いを覚える一同。しかし、次の言葉にその考えは驚きに変わった。

 

「サーヴァント、って奴だろ君達」

 

煙草を構えながら、エミヤとマシュの2人を指してそう言った。

 

「!」

 

『馬鹿な!この時代、いやこの世界は本来の人類史じゃない。サーヴァントのことを知る人間なんているはずがない!』

 

「…何者だ貴様」

 

「顔つきが変わったね、なら交渉の余地はあるかな」

 

 にやりと不敵に笑うその男は、自身の名を告げる。

 

「争う気は無いからこちらの名だけ伝えよう。ステイル=マグヌスだ。相乗りの条件は一つ、サーヴァントについて、そして君達の情報を包み隠さず話せ」

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「カルデア、英霊、そして人理崩壊か…。規模(スケール)の大きな話だな」

 

 ガタン、ガタン と揺れる貨物線の中でステイルはそう呟いた。

 

 結局、立香達カルデアはこのステイルという男の話に乗って、共に学園都市に侵入をしていた。どの道現地での協力者は必要で、自分達も頭を悩ませていたところだった。断らなくても良いだろうと最終的にロマンの判断、そして立香の目利きに任せることとなった。

 

 ステイルにこちら側の事情を伝えると、向こうもある程度の情報を教えてくれた。

 

 曰く、ステイルは学園都市の『外』に生きる、自分達も知る魔術師だというのだ。

 

「学園都市にも魔術師はいたんですね」

 

「正確には『外』だけどね。あの街の人間で魔術を使うものは…いないこともないが、それも一部の特殊な事例だ。基本僕達魔術師はそれぞれの派閥や国に別れている。学園都市に寄り付くのは珍しい部類だ」

 

 煙草に火を点けようとして、エミヤが視線でステイルを嗜める。未成年が2人いる場で、室内での配慮もあるのだろう。肩をすくめるようにポケットに煙草をしまうと、会話を続ける。

 

「事情は分かったが、どうにも手のかかる話だね。面倒なことに首を突っ込む羽目になりそうだ」

 

『では、こちらの質問だ魔術師ステイル。君はこの世界では、存在しないはずのサーヴァントについて知っていた。その理由を教えてくれ』

 

 ロマンが代表して皆が疑問に感じていたことを口にする。

 

「うん?あぁそれは簡単だ。1週間に僕は戦ったんだよ、そのサーヴァントとかいう奴と」

 

「!」

 

 あっさりと告げられた事実に驚きを隠せない。

 

「とはいえ、僕1人というわけじゃない。同僚の化け物みたいな奴や所属する組織の人間との複数人での相対だったが…正直二度と戦いたくないね」

 

『な…サーヴァントと戦って無傷だって⁉︎どれだけの力があるんだい君の組織は!』

 

 立香自身も驚いている。英霊というものの凄まじさを一番近くで見てきた彼は、それがどれだけの偉業なのかはよく分かっている。

 

「たまたまだよ、事実病院送りになった奴も何人もいる。それだけに凄まじい強さだった」

 

 苦虫を噛み潰したような表情のステイル。サーヴァントもたくさんいるが、いったいどんな英霊と合間見えたのだろうか。

 

「サーヴァントを知っている理由は分かった。だが、何故お前は学園都市に向かっている?特異点先だと分かっている我々はともかく、そのサーヴァントの所在も掴めなかったそうだが」

 

「いちいち偉そうだな君は…これを見ろ」

 

 そう言って懐からタブレットツールを取り出し、軽く操作してその画面を見せる。

 

 そこでカルデアの面々は、ここに来て最大の驚きを見ることとなる。

 

 

 

『――――告げる。

  汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

  聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ』

 

 

「…‼︎」

 

『なっ‼︎』

 

「これは…⁉︎」

 

 

 ステイルが見せたのは一本の動画だった。これ自体は立香もカルデアに来る前に何度も触れたもので、様々な時代を渡って来た身として懐かしくは感じるが大して珍しくないものだった。

 

 

『  誓いを此処に。

  我は常世総ての善と成る者、

  我は常世総ての悪を敷く者。』

 

 

  動画に映っている人物は黒いローブを被っており、誰かは分からない。だが、そちらには目もくれず、その人物の前に描かれた魔法陣から立香は目を離せないでいた。

 

 

『   汝三大の言霊を纏う七天、

    抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!』

 

 

  間違いなくそれは。

 

 

 

『英霊召喚だって⁉︎』

 

 

 

 

  …動画は煙が晴れ、魔法陣の中央に立つ人物を映した所で終わっている。召喚者やサーヴァントがどのような人物かは特定できそうになかった。

 

「これは、学園都市にいる同僚(バカ)から送られてきたもので、この動画自体、学園都市専用のI.Dを使って投稿されている。学園都市の人間じゃなければ見れないというわけだが、これで分かったな?僕が学園都市に向かう理由が」

 

『…あぁ、だがもう一つ分かったことがある』

 

  ロマンは手元の資料を見る。その資料には二つの記述があった。

 

  冬木の特異点X。

  そして、その10年前の特異点。

 

 

『何者かがこの地で聖杯戦争を起こそうとしてる』

 

 

 

「…着いたようだ」

 

 

  そして、彼らは学園都市の地に立つ。来たるべき災厄、それを止めるために。

 




話の進みが遅くてすいません。ご指摘、評価、感想待ってます。
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