IS 《インフィニット・ストラトス》典型的な転生 作:犠牲になったのだ…
そんな。
そんな形になってまで。貴様はまだ戦うのか。
そんな折れた日本刀を。ナマクラ刀で戦おうというのか。
彼は戦慄した。
その行為にでは無い。その行為をさせるほどの、誰しもが諦めるような展開で覚悟を決めるその有り様に。
そして大男・神鳴誠一は、武人としてその女の有り様に敬意を表しながら自身の力をさらに発揮させる。
能力名、サイコキネシス。その真の能力を隠すために右腕に岩の腕を形成するようにサイコキネシスを発揮させていた。
先ほど形成してた大きさの倍以上の大きさの岩の腕を形成する。
確実に潰して殺す。
その殺意を胸に今まで以上のスピードで振り下ろす。
人生で聞くことのないようなほどの大きな、風を切る音。
それを聞きながら、地面ごとこの女を粉砕する。
大きな地割れがあたりに響き渡る。地面の殴った部分は大きく陥没し、上から破片が落ちてくる。それほどまでの力で殺したのだ。
勇敢な女への敬意を胸に、織斑千冬の方向を向く。もう、邪魔者はいない。不本意な命令だが仕方なし。
すまないが命を貰う。
そう思いながら腕を横に構え、力を貯める。
そしてその力を一気に爆発させ、目で追うのも至難なほどのスピードで横に腕を薙ぐ。
これで終わりだ。
────不意に腕を何かが切り裂いた。
ばかな。
そう思いながら腕を切ったものの方向を見る。
そこには、先ほど殺したはずの女が刀を構えて立っていた。
どうやらしくったようだ。
師匠には悪いが織斑姉弟を守るのは無理だったようだ。そもそも能力がないのに、能力者などに叶うわけがない。そう、心の中で愚痴りながらスローモーションに見える大きな腕が自分に段々近づいてくる。
耳はその腕が圧倒的なまでのスピードにより起こしている風の切る音を聞く。
前世はわからないが、今生はこれでおしまいのようだ。
思えば俺の今生はほとんどを家の中で過ごしている。生まれつき肌が黒いと言ってもずっと家の中にいたのでまったく遊んだりもしていない。
なんやなかんや後悔を思いついてしまったな。そう思いながらある光景が目に映る。
織斑姉弟の姿。
織斑一夏と織斑千冬はこちらを見て愕然としている。当たり前か。目の前で人が死ぬ瞬間になるとは思ってもみないだろう。
しかしそこであることを思い出す。あることと言っても言葉や出来事ではなく、俺の気持ち。ちっぽけな、しかし確実な誇りを心のどこかでかけていた「織斑姉弟は守る」という気持ち。
師匠から命令されたもの。それを思い出した。
するとその時、体の奥になにかが爆発する感覚があった。体の底から物理的な熱さを感じる。沸き起こる不思議な現象を感じながらも腕は俺を押しつぶした。
クレーターができ自分は地面に埋まる。
ドン、ドンという地響を感じながら一瞬で埋まっていた状態から脱出すると、今にも殺されそうな織斑姉弟が目に映る。
その瞬間、体が自然に居合の型を取る。刀も持っていないというのに。
あれを防げるものを持っていないのに、なぜか自分は腕を振るため力を込める。
その瞬間、紅蓮の炎を巻き起こしながら、朱色のの鞘に収まった刀を出現させた。そしてそのまま刀を振るう。
その瞬間、炎が飛び、その腕を切り落とした。
体が熱い。しかし不思議と気分は高揚していた。
背中の傷は嘘みたいに無くなり、先程までの激痛も残っていない。
見覚えのない赤い刀を持っていたが、いまは関係ない。この男を倒さねば。
師匠から任されたんだ。この兄弟を守れ、と。
男はいきなりの出来事に理解が追いつかないのかこちらを見て驚いていた。
能力者なのだ。戦いぶりなら見ても多くのものと戦ってきたんだろう。死なないものや傷を一瞬で治すような能力を見たかもしれない。だが、今回は殺したと思った人間が生きていたのだ。そうもなるだろう。
自分は刀を構え一気に男との距離を消す。
先程までは見えもしないし避けれもしないはずの腕が、今では良く見える。スローな動きを見ながらそれを体制を低くしながら避けさらにスピードを上げて懐に潜り込み、袈裟斬りをする。
手応えはあるが筋肉のせいか死ぬまではないと思った。
しかし、今はそんなこと関係ない
ただただ
─────気分がいい。
織斑千冬は目の前の出来事を疑った。大男が岩の腕で潰したはずの淑守が生きているのだ。それもらんらんと赤く目を輝かせながら。
そしてもっとも疑ったのは大きな岩の腕を、先程までは持ってなかった、赤い刀身の刀で切り裂いたことだ。
彼は笑っていた。オモチャを手にいれた子供のようでもあり、戦いが楽しそうにも見える。
刀を軽く振ると、とても人間とは思えないようなスピードで岩の腕を避け、大男に近づき、一閃。
淑守の動きを捉えきれなかった大男はその斬撃を腕に受け、血が流れた。
室内を縦横無尽に駆け回りついには、蹴りで大男を外に蹴り飛ばすという、体格や体重差などを無視したような力を見せつけた。
千冬は朝のことを思い出す。
目が覚め、いつも通り1階に行き、水を飲もうとすると、ソファのところに黒い少女がいたこと。
近所のギルガメッシュという自分勝手な王のような人物から話を聞いていたがまるでイメージとは違った。
あまり室内から出ず、修行もあまりしない。やることは趣味でご飯だけ。
自分の趣味であるゲームもあまり付き合わないという気ままさ。
実際に、たしかに他人の家のソファで寝るなど気ままさが現れているが
不思議と嫌悪感は無かった。
ダボ付いた黒いカッターシャツを来ている彼女はぼーっと外の、壊滅している家を見ると、こちらをちらっとみてきた。
何を思ったのか知らないが、興味を湧いた。
正直弱そうだとも思っていた。こんなやつが一夏や私を守れるのか、と。
だが、実際は強かった。今まで色々な格闘技を見てきたが、それに当てはまらずも見てきた人たちよりもしぶとく、生きるのに必死で、なによりも守るために標的を自分に移すように戦っていた。
そして今になっては大男を圧倒してさえいる。
しかしどこか危ういような雰囲気を醸し出している彼女は、さらに加速していた。
やばいいいいいん