それではどうぞ!
「ジン坊ちゃーン!新しい方を連れてきましたよ!!」
俺達は、黒ウサギの案内で箱庭の入口に来ていた。入口の近くには噴水のある広場があり、そこには数人の子ども達がいた。その内の一人、緑髪の少年が前に出てきた。
「お帰り、黒ウサギ。そちらの三人が?」
「はいな、こちらの御四人様がーーーー」
くるりと振り返り、石の様に固まる黒ウサギ。
「え、あれ?もう一人居ませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から‘俺様問題児!’って感じのオーラを放っている殿方が」
「ああ、十六夜君のこと?彼なら『ちょっと世界の果てを見てくるぜ』って言いながらあっちの方に走って行ったわよ」
そう言うと飛鳥は俺達が歩いてきた道の逆の方向を指さす。
街道の真ん中で呆然となった黒ウサギは、ウサ耳を逆立てて三人に問いただす。
「な、なんで止めてくれなかったのですか!」
「『止めてくれるなよ』って言われたから」
「なら何で教えてくれなかったのですか!?」
「嘘です、絶対嘘です!三人共面倒くさかっただけでしょう!」
「「「うん(ああ)」」」
ガクリ、と黒ウサギが前のめりに倒れる。
そんな黒ウサギとは対照的にジンは顔面蒼白になっていた。
「たっ大変です!世界の果てにはギフトゲームのために野放しになっている幻獣が居ます。早く連れ戻さないと」
「幻獣?」
「はっはい、ギフトを持った獣のことです。特に世界の果てには強力なギフトを持ったものがいます。出くわしたら最後、人間では太刀打ちできません!」
「あら残念、彼はもうゲームオーバー?」
「ゲーム開始前にゲームオーバー?・・・・・・・斬新?」
「あぁ斬新だな」
「冗談を言っている場合ではありません!」
ジンは必至になって訴えるが、三人は叱られても肩を竦めるだけである。
そんな中、黒ウサギは黒ウサギはため息を吐きながら立ち上がった。
「はぁ、ジン坊ちゃん申し訳ございませんが御三人様の案内をよろしくお願いします」
「わかった。黒ウサギはどうするの?」
「問題児を捕まえて来ます。それでは皆さん、一刻程で戻ると思うので箱庭ライフを御堪能あれ」
そう言うと黒ウサギは髪の色を桜色に変えて来た道を逆走しながら飛び跳ねて行った。それを見ていた飛鳥が呟く。
「箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」
「黒ウサギなら余程の幻獣がいない限り大丈夫だとは思いますが」
「そう。なら黒ウサギも言っていたし、お言葉に甘えて箱庭を堪能しましょうか。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」
「あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一の若輩ですがよろしくお願いします。三人の名前は?」
「久藤飛鳥よ。そこにいる猫を抱えているのと腕に機械を着けているのが」
「春日部耀」
「九重遊だ。よろしくな」
ジンの丁寧な自己紹介に倣って一例した。
「それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ」
「あぁそうだな。なん腹減ってきたし」
「異議なし」
そう言って飛鳥はジンの手を取ると、胸を踊らせるような笑顔で箱庭の外門をくぐるのだった。