雪風と狩人様   作:照喜名 是空

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始まった時にはだいたいすでに手遅れ

やあ、こんな夜明けに何事かね?

ふむ、ヴァリエールのご令嬢が使い魔のあいつと一緒にどこかに行った?

きっと何か冒険だから助けになりたい?ははは、なるほど。

 

いいよ。元より君の竜なんだし、好きにすれば良いさね。

まあ、おそらくは最近キナ臭いアルビオンあたりだろうから、ラ・ロシェール方面に行けば追いつけるだろう。

 

ところでその杖の使い心地どうだね?悪くない?それはよかった。

何にしろ、戦地に行くのだ。存分に狩り、殺したまえよ。

君にはあまり手を汚して欲しくないのも本当だがね。

 

じゃあせいぜい頑張り給え。

 

■

 

おや、久しいな。我が弟子、そしてヴァリエールのご令嬢。

招いてもいないのに我が弟子についていって狩人の夢にこれるとは驚きだ。

さすがは尊き血、古き遺志を継ぐ者、といったところかね・・・・・・

 

前置きはいい?ならば本題を話したまえ。どうせアルビオンの件だろ。

なんとかしてくれって?おいおい、狩人が集団戦苦手なのは知ってるだろうに。

 

ふむ、そこで二つアイデアね。いいよ言ってみなさい。

城の三〇〇人全員狩人化?アホか。いやできるけど駄目だって。

ここに三〇〇人はいれると思うのかい!?そして彼らが卒業したら墓石がさらに三〇〇個増えるんだぞ!?

住む場所なくなるわ!

 

ふう・・・・・・まあ、それを置いておいてもだ。そんな数の狩人が国の指導層に出来てみろ。

間違いなくアルビオンはヤーナム化するぞ?

どこもかしこも人を浚っては獣に堕として素材にして売りさばくような外道だらけ。

上位者だらけになって誰も彼も発狂するか獣に堕ちる。

城とかどこも石化した人々を壁に埋め込むのが当然。そんな地獄で良いのかい?

控えめに言っても世界の破滅になるけど。

 

まあ、そんなになっても多分人間は生き延びて種をつなぐだろう。

地獄は地獄で楽しくもある。だから、地獄になっても良いなら私はするけど?

赤い月、青い血の御方はどうもそれを歓迎してる様子だし。

 

うむ、そうさね。辞めておくのが賢明だ。

では二つめの案とは?ふむ、武器を売ってくれと。いいよ。好きなだけ彼らに渡すが良いさ。

この間のロケットランチャー?あるよ。ぜひ買いたまえ。

 

ははは、解っているとも手持ちが少ないんだろ?聖杯なら開けてある。

潜ってかせぎ給えよ。ああ、時間のことか。そうだな、ちょうど一夜しかない。

 

ああ、そうさね。我が弟子よ、君との契約はまだ生きてる。

まあいいさ。また一夜の夢を見るが良い。何度でも。

適度に進んだ様子ならそのたびに「灯り」を設置してやるからクロムウェルの首でも何でも取ってくるが良いさ。

 

どうしたね、ヴァリエールのご令嬢。なんでそんな意地悪言うのか?

いやあ、これは私の故郷では大分やさしいよ?

だいたいの狩人は問答無用で刃物と銃を持って襲ってくるからね?

 

ほう、ならば自分も狩人に?本気かい?月の御方は満足というか多分それが目的なんだろうけど。

いやでも、大変なことになるよ?王家の血に上位者の血が入るとか・・・・・・

ああ、そうか。弟子を召喚した時点でいろいろ手遅れだわ。あー・・・・・・やってしまったな。

 

まあいいか!やってしまったことは仕方がないさ!

え?どうしたのかって?なんでもないとも。いずれ思い知る。

だがまあ、まずは弟子が聖杯に潜る様子を見ていたまえよ。ここに鏡があるだろう?

これを遠見の鏡をはめて弟子の様子が見えるようにした。

 

まずは狩人というモノがどういうものなのか。上位者に関わると言うことがどういうことなのか。

よく知って決断するが良いさ。というかどうせ関わるハメになるだろうから覚悟して欲しい。

 

そして知るだろう。あのレベルの戦争で死ねるというのがどれだけ幸福なのかと。

決戦前夜に明るく振る舞う意味を。

 

では、良い悪夢を。

 

■

 

うるさいなあ。庭で昼寝ができないじゃないか。

狩人にしろ?君はアレを見てなおそう言うのだね?

 

蜘蛛とかアメンドーズとかざっくりいえばナメクジ連中を見てなおアレと戦う決意があるのだね?

 

どっち道関わるなら自分から攻めていった方が自分らしい?背中をみせて見て見ぬ振りはしない?

おまえはあんなのに従ってる卑怯者?

 

ああ、そうだな。どちらもその通りだ。

そして狩人になるというのはアレの血をすすると言うことだ。しくじればああいうことになる。

君だけではなく、国一つくらいは軽く沈むだろう。

それでも答えは変わらないかね?

 

参ったな。よろしい、いいだろう。そこまで覚悟を示されたらやらぬわけにはいかんよ。

 

さあ、穢れた我が血をすすり給えよ・・・・・・

 

契約は結ばれた。さあ、騎士の元に行くが良い姫君。詳しいことは奴から聞け。

 

あ、そうだ。その指輪があるならぜひアルビオンにある始祖の香炉、トリスティンの始祖の祈祷書を求めたまえ。

隠された知識が手に入り、それはきっと君の役に立つはずだ・・・・・・

ざっくり言えば魔法が使えるようになるだろう。だがそれも根本的には狩人の血と変わらぬものと思いたまえ。

 

では、良い狩りを。

 

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