来たか、少年。いや狩人よ。
さてどうするね?私は前任者のように持って回った言い回しは苦手なのでざっくり行こう。
少々痛いが夜から解放され、夜明けに目覚めるか?
それとも私に挑み、私の椅子を奪うか?
そして、私を倒し、神をも超えてみせるか?
さあ、どうする?
ほう・・・・・・?三本目の三本?これをくれてやると?自分はさっさと目覚めるから因縁は自分で蹴りをつけろ、か・・・・・・
ああ、久々に爽快な気分だ。ふふふ、それもありだろう。とうとう五択か。
そうさ、実は私の方からも、もう一つの選択肢を用意しておいた。
まあ見たまえ。どうだ?君好みの子だろう。君はいろいろ小さめが好きらしいからな。
ああ、わかってたさ。女性は胸への視線に敏感なものだ。気をつけたまえよ。
ははは、そうへこむな。私を救いたいならば、まずこの子を救ってやることだ。
ああ、この子もまた古い血を継ぐ定めの者なのさ。
さあ、どうする?なあに向こうはこちらに比べれば平和なものさ。血も獣も夜もずっと少ない。
どうだね?ピクニックがてら行ってみては。なあに、どうせ一夜の夢にも、永遠の夜にもできるのだ。
時間の軛のなんとくだらないものか。だから向こうとこっちの時間は気にするな。私がどうとでもする。
どんなに長くとも一夜。夢とはそういうものだろう?
ははは、そうスネるな。決意が無駄になって気が抜けた?なあに無駄じゃないとも。ああ、無駄じゃないさね。
ああ、行ってこい。いつか来る夜明けのために。良い狩りを若き狩人よ。
■
行ったか・・・・・・おや、まだかすかにだがつながっているな。
ふむ、君は君で面白いな。君もまた狩人の業を継ぐ者、か・・・・・・ならば助言者として放っておけないな。
君は二本目、といったところだろう?一本目の闇の映し鏡。火を求める灰・・・・・・ああ、雪か。そうだな。
どうせ三本目はどこまでも昼間にいる者だ。光り輝く方の映し鏡。
呪いの首飾りは腐り落ち、始まりの炎を手に入れて災いからどこまでも遠くある者。
雪も深淵もそばにありながら触れられない。だが暖めることはできる。
だからこそ君も彼女のそばにいるのではないかね?
ふむ、自分はすでに使い魔を手に入れている?三股はよくないと言ったのはあなた自身?
そうだな、そのとおりだとも。ならば私の主に聞かねばなるまいよ。直視するなよ?狂い死ぬぞ。
どうです?青き血、月の御方。あの暖かな地などいい保養所では?
火が消え、夜になったこちらよりは暖かいでしょう。人も血も。
ふふふ、そうでしょう。そうでしょうとも。反逆の従僕など側にいて欲しくありますまい。
ここは一つ互いに距離を取るのも一手かと。
そら、主の許可は出たぞ?どうするね?
ああ、迷うならばこれも言ってしまおうか。君の竜は君のものだ。君を乗せ、どこまでも駆けることができるだろう。
だが、どこに?とらわれの母を救い出して、それでどこに行く?狂王を倒して、ではその後は?
そうさ、君には何も残らない。たとえ正気に戻ったとしても老いた母とくたびれた従僕だけだ。
あとはせいぜい君を暖める火たる友人?それで十分?ふーん、本当に君はそれでいいのかね?
そうだな、仮に君をそこから救い出す勇者・・・・・・ああ、竜狩りのイーヴァルディなんてどうだ。
まあそういうのがいたとしてだ。君は二本目だ。すでに勇者には姫君がいる。
君は彼の冒険譚でたまたま助けられた聖女の一人でしかない。勇者はいつか姫君の元に帰る。
それはあまりに不公平じゃないか。だから魔女がドレスをしつらえてやろうというのさ。
信じない?そうかね?なるほど確かに、君は正しく、そして幸運だ。
君の求める正気を取り戻す霊薬。まさにヤーナムの血の医療だけが可能とするものだ。
そうだ、そうだとも。私はすでにそれを持っている。
病など契約料として治してやろう。
だが、縁なき者に渡す法もない。だから君、まずはヤーナムの血を受け入れ給えよ・・・・・・
くくく、ははは!そうだ、そうするだろうとも!
皆そうするのだ。火に焼かれる羽虫のように神の血に焦がれるのさ!皆そうして堕ちるのだ。
君も、私もだ!
なあにそう悲嘆するな。畏れるな。
ぶっちゃけ君には助言者も力も必要だろう?先達として少し世話を焼きたくなったのさ。
私もそうされてここまでなったのだ。後輩にもそれを分け与えるべきだろう?
それに、私は人形が大好きなのさ!
ああ、そういう事で少し遊んでくるから人形ちゃん。
お留守番任せたよ。君ならできるだろう?なあに、すぐにまた帰ってくるさ。
「行ってらっしゃい、狩人様。あなたの目覚めが有意なものでありますように」
ああ、行ってくるよ。フローラの母、その遺志を継ぐ人形よ。