これから1週間投稿かと思われます
ガラガラと音を立てて、瓦礫ガ崩れる。
月光が土煙を透かし、土煙が立つ中で立つ人影を浮かび上がらせる。
ただし、その人影にはいくつか棒状のモノが刺さっていた。
「・・・ひどく、やられましたね」
その人影は体中の血を見て、一人小さくこぼす。
主の危機に、私は何か義務感のようなもので敵に向かって行った。有り体に言えば単身突撃だ。その無謀な突撃がどう転じたかはわからない。ただがむしゃらに敵を殺し、敵から殺されかけただけだ。この身の傷でいくら損害を被ったかはわかるが、決して、自らが積み上げた屍の数は把握できない。
「この荒れよう・・・お嬢様たちは生き残ってますかね?」
突撃の時に脳裏に浮かんだ三人の娘に思いを馳せながら、美鈴は口に木片をくわえる。
妖怪の身で、舌を噛みきることに心配する必要はないのかもしれないが、なぜだかついやってしまう。
ふぅ、ふぅと覚悟を決めて、お腹に刺さった短槍を引き抜く。ドチュという水っぽい音ともに、全身に激痛が走る。痛みという熱が血管でなく神経を通って全身を駆けめぐる。あふれ出る血に、少しめまいを覚えるが、これは恐らく血が足りないからだろう。
犬歯が木片に刺さるが、抜けて落ちないのなら僥倖だ。一度拾い上げる力を使うのも億劫だ。
体に刺さる武器は残り二本、覚悟が消えないうちに、さっさと引き抜こう。
背中に刺された槍と、肩に刺さって折れた剣の先が深々と刺さっている。
そして、その後二回、夜の野外に呻いた声が響く。
「龍が呻いているわね」
レミリアは、外から聞こえた声に耳を澄ませ、フランにそう話をふる。
もちろんネーヴェを膝枕をして、髪を梳きながらではあるが。
「めーりん生きてたのね。死んだと思ってたのに」
辛辣なことを言っているフランだが、立ち上がって、扉の方に足を向けていることから、呻いた龍を回収しに行くのだろう。
「・・・さて、ネーヴェをベッドに運び込むことにしますか」
ゆったりとネーヴェを抱き抱えると、棺桶の中に下ろし、揺らされて広がった髪の毛を整える。
その間も魔力はできる限り、そそぎこんでいる。しかし、やはり、ネーヴェは目を覚まさない。
死んではないと希望に縋るが、死んでいるという不安もやはり浮かぶ。
ガチャリと扉が開く、いつもは緑が目立つ服装だった美鈴が、フランに担がれて入ってくる。
「庭先で呻いてたわ。一気に刺さったモノ抜くから貧血で倒れるのよ」
ドサリと下ろされた美鈴はウグッと鈍いうめき声を上げる。
急患ねと言って、フランに治癒の指示を出す。さすがに怪力という能力を持つ私でも、この舘一つの復興は難しい。今は少しでも人手がほしい。
ほかの生きている奴も探して見ないとなと頭に浮かべた後、頭を振って、今はネーヴェに集中するべきだと考え直し、魔力を送り続けた。