艦隊刀記録   作:飛行士

42 / 51
今回は七瀬大佐のお話です


大佐

「司令官!」

「ん?どうした?朝潮」

「これ、妹たちと作ったんです!良かったら食べてください」

「ありがとう、では頂くとするよ」

 

朝潮は目を輝かせて司令官を、この私『七瀬透』を見る

朝潮達が作ってきたクッキーを褒めて欲しいのだろう

その期待に応えるべく一枚を口に頬張る

 

「……!旨い」

「本当ですか!?」

「あぁ、これは店でも出せるくらいだ」

「えへへ♪褒めすぎですよ~」

「いやこれは誇張無しで店でもいける」

「絶対お店じゃ売りません」

「何で?皆にもこの幸せを分けてあげたいのに」

「だってそれは司令官の為に作った特別製ですから♪」

「ふふっ、嬉しい事を言ってくれるものだ」

「それじゃあまた今度も作ってもらっても良いかい?」

「えぇ、司令官の為なら幾らでもお作りします!」

「楽しみだ、では仕事に戻るとするよ」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

「提督、大本営からお手紙です」

「?何かやったかな?」

「……!、クソッ」

「どうされました?」

「いや何でもないよ、次の作戦についてだ」

 

嘘は言っていない、アメリカであった事件に関するものを再開発し実戦投入するという機密作戦だ

……それなのに何故私の家族を監禁する必要がある!

あれか?家族を守りたきゃどんな命令にも従えと?!

この書類には平賀元帥の部下を送るとも書いてある、確実に奴が関わっているが陸軍の人間が海軍にそう易々と何か出来るとは考えられない

ということは、海軍上層部にも加担してる奴がいるはずだ

 

(いつも優しい提督の表情が険しい、あの手紙何かあるのかも)

「……数日後に陸軍部隊がここに配属されるらしい、準備を宜しく頼めるか?」

「えぇ、お任せください提督」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

「大佐」

「何だ」

「付近の空域を未確認機が飛行しています、敵機かもしれません」

「……そうか、ならば二度未確認機に警告を送り反応がなければ撃墜せよ」(敵機かも?友軍機でも落とすんだろ?自分たちのしていることの機密を守るために)

「では、伝達して参ります」

「あぁ」(ここはもう彼奴(村井)の私物となっているな)

 

「防空隊に告ぐ、現在本島の南西82kmの空域を未確認機が飛行中、至急発進し確認後『即撃墜』せよ」

 

「帰還しました!報告します中尉殿」

「何だ」

「敵は旧海軍の零式水偵で搭乗員は一人でしたが、技量が高く逃げられました」

「そうか分かった」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

あれから調べたがどうも笹井大将が怪しい

更に九州に二つ同じように家族を監禁状態にして地下で実験を『行わされている』場所がある

探っていることがバレれば家族が殺されてしまう

特に妹には旦那も子供もいるんだ、俺がこの身を、この命を賭してでも守ってやらなければならぬまい

 

 

「もしもし、私だ木村少将に繋げるか?」

「少々お待ちください」

するとプツッと言う音と共に清々しい声がきこえる

「木村だ、どうした中尉」

「報告です、無事艦娘を利用した生体実験及び軍律違反者を用いた通常実験を開始しました」

「ふむ、首尾は如何程だ?」

「現在二十三体のサンプルのうち十七体が失敗、廃棄でのこり六体が適合予備軍といったところです」

「ほう」

「それと少将閣下、一つ気になることがあります」

「なんだ、言ってみろ」

「ここの提督をしている七瀬海軍大佐ですが、大本営上層部に探りを入れているようです」

「……そうかならば仕方がない、始末せねばな」

「とりあえずこちらは手出し無しと言うことで宜しいですか?」

「あぁ、上には報告しておく」

「では失礼します」

「引き続きよろしく」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

減ってしまった、艦娘達も例の陸軍部隊もそして残っている皆の精神もだ

残りの艦娘は二十数名で陸軍部隊は部隊長の中尉ただ一人だ

その状態で精神を磨り減らすなというのが無理な相談だ

中尉は地下壕の更に下に造られたあの実験場に最近入り浸っているし、最後に顔を見せた時には『私はあいつらの様にはならない』などと言って不気味に笑っていた

「大淀君、君にはこの二年間大戦初期から随分と苦労を掛けたな」

「良いんですよ?提督、それが私の仕事ですから」

「それに私は提督に死ぬまで付いていくと心に決めているんです、だから今更言われてもどこにも行きません」

「そうか、すまなかった」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

いつもは上を通らない海軍の輸送機が上を飛行している、ここも終わりか

だが最後に一つ仕事をしよう、あいつらの研究成果を焼き払うための『演技』をするんだ

そうすれば、海軍のエリート連中は『海軍人の主導した』事件を抹消するだろう、なぜなら自分のキャリアに傷がつくからな

おや、海軍の佐官が艦娘とともに空挺降下してくるとはもしや話題になった単冠湾の提督だろうか

士官服をマントの様に羽織ってくるとは中々だな

フリルの付いたワンピースって……ん?彼処の提督は男では無かったか?まぁいいか、これが人生最期となるだろう仕事だ

親や妹は護れただろうか?祖父には向こうで会えるだろうか?

「さあ逝くぞ、大淀」

「えぇ行きましょう」

「君達だけは絶対に守るからな」

「何か言いましたか?」

「いいや、何でもない」

(提督、これで提督の苦労は消えますよ?今まで苦しめられた実験も助けを求められれば解決します)

(それに……絶対何があろうと御守りさせていただきますからね)




シリアスになりましたが上手く表現出来ているでしょうか?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告