バカな筋肉と優等生   作:にと‪ ꪔ̤

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もう長らく清涼祭編をやっている気分でしたが、原作の時系列はまだ半分と少しという事実に驚いているこの頃です。今から七巻が恐ろしい…!


第八問

明久side

 

「…丁度良い時間だな、行くぞ明久」

「へ?行くって何処に」

 

雄二のダンプをまともに食らってボロボロの体のまま引きずられる。

…大会と喫茶店以外に用事なんてあったっけ?

ずるずると引きずられる中数分後。到着したのは召喚大会で使われている会場の片方、A会場だった。

ざわざわと混み合う雑踏の中を雄二は無理矢理進む。

 

「??僕達の試合はまだだよね??」

「今回は俺達が出るんじゃねえ、見るんだよ」

 

雄二がそう言った瞬間、会場に備え付けられているライトが派手に付いた。

 

「それではこれより、Aクラス霧島翔子、木下優子ペアと、同じくAクラス、久保利光、夏目惣司郎ペアの対戦を始めます」

 

その言葉と同時に、会場の右端から霧島さんと木下さんが、左端から久保君と夏目君が出てきた。

 

「…これってもしかして、」

「ああ、勝った方と対戦だ。…頼むぞ、久保、夏目…!」

 

やっぱりか。

祈るようなポーズで久保君と夏目君を見つめる雄二を冷めた目で見る。

ちなみに僕からしたら霧島さんの方が御しやすい相手だったりする。だって雄二さえ差し出せば万事解決だからね!

 

「久保君と夏目君相手の方が大変だと思うんだけどなぁ…」

「夏目は弱点こそイマイチわからないものの、点数があまり高くない。それに、久保なら懐柔出来るからな」

「あはは、久保君が懐柔なんてまっさかぁ~!」

 

真面目な久保君がそんなことに手を染めるとは思えないんだけど…何だろう、この妙な悪寒は。

 

「「「「試獣召喚(サモン)!!」」」」

 

四人の鋭い呼び声に応えるかのように魔法陣が広がり、その中央から四体の召喚獣が姿を現す。

如何にも強そうな装備の召喚獣が揃ったからか、観客の歓声は凄まじいものだった。……まあ、四人共顔面偏差値が高いのもあるだろうけど。

 

『Aクラス 霧島翔子 & Aクラス 木下優子

 古典   317点  & 328点      』

          VS

『Aクラス 久保利光 & Aクラス 夏目惣司郎

 古典   402点  & 97点        』

 

「………………ねえ雄二。夏目君はAクラスなんだよね?」

「…………………信じたくないがな」

 

表示された夏目君の点数は、僕らにとってとても身近な点数だった。

 

「………はぁ……とにかくこの馬鹿から倒しましょう代表」

「………わかった」

 

木下さんの召喚獣と霧島さんの召喚獣が夏目君の召喚獣に向かって勢いよく武器を振るう。

夏目君はそれを大仰に後ろに飛んで回避した。すかさず横にいた久保君がデスサイズの大鎌を横になぐ。

咄嗟に避けさせる木下さんと霧島さんだけど、霧島さんの召喚獣は少し掠めたのか、点数に変化が出た。

 

『Aクラス 霧島翔子 & Aクラス 木下優子

 古典   302点  & 328点      』

 

流石Aクラス…というより400点オーバー。少し掠めただけで軽く10点は持って行かれてる。

その時、久保君の召喚獣の腕元が光った。あれは…腕輪か!

 

「夏目君、下がって!」

「任せろ!」

 

夏目君が久保君の攻撃を受けないようにか、会場の端まで下がる。

ぶぉん、と強風が渦巻く。どうやら久保君の腕輪の能力みたいだ。

木下さんと霧島さんは顔をしかめつつ、だけど召喚獣は夏目君の方へ避難させようと動く。点数の低い夏目君を気遣ってか、久保君は大鎌を振るえなかった。

夏目君もそれに気付いて二人から逃げようとするものの、点数差が桁違いですぐに追いつかれてしまう。

そんないたちごっこが何回か続けてられていたけれど、やがて夏目君が立ち止まって木下さんと霧島さんの武器を掴んだ。

まさか、と木下さんが顔を歪める。

 

「久保!俺は構わん、やれ!!」

「代表!!」

 

久保君の召喚獣が大鎌を振るうのと、木下さんの召喚獣が霧島さんの召喚獣を突き飛ばすのはほぼ同時だった。

 

『Aクラス 霧島翔子 & Aクラス 木下優子

 古典   298点  & 0点        』

          VS

『Aクラス 久保利光 & Aクラス 夏目惣司郎

 古典   302点  & 0点         』

 

間一髪間に合ったのか、霧島さんの召喚獣がむくりと起き上がると観客から大きな歓声が上がる。

 

「…………優子!」

「良いのよ代表。代表だけでも無事で良かったわ」

「すまない、久保」

「気にしないでくれ、木下さんを倒してくれただけでもとても助かったよ、ありがとう」

 

お互い一言二言交わすと、戦闘不能となった木下さんと夏目君は邪魔をしないように後ろに下がった。

霧島さんの召喚獣と、久保君の召喚獣が向き合う。

一泊置いて二人の召喚獣が動き出した。ガキン、ガキンとお互いの武器がぶつかり合う、鈍い音が辺りに響く。

 

『Aクラス 霧島翔子 VS Aクラス 久保利光

 古典   201点  VS 198点      』

 

戦いで消耗された点数が表示された。点数はほぼ同点の互角だ。だけど、

 

「ぐっ…!」

 

大鎌、と振りの大きい武器は小競り合いに向かないらしく、中々当たらない。それに対して霧島さんは持つ箇所を調整して長さを使い分け、久保君の隙をついて攻撃している。

だけど、久保君の振るう大鎌は当たればダメージが大きい。久保君は焦ってヤケになり振りまわすようなことはせず、冷静に霧島さんの動きを見つつ鎌を振るっていた。

 

『Aクラス 霧島翔子 VS Aクラス 久保利光

 古典   147点  VS 152点       』

 

「…………そろそろ、終わりにする」

 

そう言うと、霧島さんは召喚獣に刀を構えさせた。

 

「お互いの全力の一撃を受けて、立っていられた方の勝ちってことだね…ノッたよその勝負」

 

久保君にしては珍しく不敵な笑みを浮かべ、大鎌を構えさせる。

ピリ、と空気が張り詰めたのがわかった。ここにいる人全員が固唾を吞んで二人の勝負を見守っている。

 

「いざ!」

「……………尋常に」

「「勝負!!」」

 

二人の召喚獣がすれ違う。

さて、どっちだ……!?

 

『Aクラス 霧島翔子 VS Aクラス 久保利光

 古典   3点   VS 0点        』

 

久保君の召喚獣がドサリ、と倒れ、粒子となって消えていった。

 

「勝者、霧島翔子、木下優子ペア!!!」

 

その宣誓と共に、会場が大きな拍手と歓声に包まれる。

 

「ふう、負けてしまったか…やっぱり霧島さんは強いね」

「…………そんなことない。ギリギリだった」

「お疲れ、代表、久保君」

「お疲れ」

「ありがとう、木下さん、夏目君。…ごめんね夏目君。役にたてなくて」

「いいんだ。俺こそ言いだしっぺのわりに動けなかったしな」

「アンタ達の代わりにアタシ達が勝つから安心なさい。ね、代表」

「…………(こくり)」

 

霧島さんがそう頷き、こちらーー正確には僕の隣で苦い顔をしている雄二に視線を向けた。ぶるり、と振るえる雄二を横目で見る。

……はぁ、情けない男め。

 

「まあ、何はともあれ…対戦相手は決まったね。気合入れなくちゃ」

「……そうだな。…っと、秀吉とムッツリーニに連絡しねえとな」

「秀吉とムッツリーニに?どうして??」

「対翔子と木下姉用だよ」

 

そう言うと、先程までの震えは何処にいったのか…雄二はニヤリと笑った。

 

明久side out

 

 

「あ、お前ら大活躍したんだって!?もう超混みなんだよ早く手伝ってくれ!」

 

教室に戻るなり、坊主頭が特徴的な男子生徒ーー安田・アンドリュー・陽太君に声をかけられる。

なるほど確かに、店内は大勢の人達で賑わいを見せている。アタシ達が入っていけば、至る所で歓声が上がった。恐らく先程の試合を見に来ていた人達だろう。

 

「俺はどうしたらいい」

「…仕方ないわね、配膳をして頂戴。ただし、くれぐれも落とさないように」

「わかった!!」

 

夏目は元気よく返事をすると、厨房へと走って行った。

……ほんとに元気ね、アイツ。

ここまで来ると呆れを通り越して感心してしまう程だ。へとへとのアタシからすれば羨ましい限りである。

とにかくアタシも休んでいる場合じゃない、と、疲れた体に鞭打って働き始めた。




出演キャラクター【()内は作者様】
*安田・アンドリュー・陽太(ドM犬様)
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