バカな筋肉と優等生   作:にと‪ ꪔ̤

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とてもとてもお久しぶりです。

かなりお待たせしている状態になってしまい、続けるべきなのか悩みましたが、自身で何度も読み返すほど気に入っている作品なので自己満足として続けることにしました。今章では出番がないのですがいただいたオリジナルキャラクターの皆さんも変わらずお借りしようと思っています。

それではドキドキの如月ハイランド編、お楽しみください。


如月ハイランド編(第3.5巻)
第一問


明久side

 

「それで用ってなんですか、ババア長」

「俺達若者はアンタら老人の暇つぶしに付き合える程暇じゃないぞ、ババア長」

「ったく、相変わらず失礼なガキ共だねえ」

 

清涼祭の熱気も落ち付いてきたこの頃。僕達は再びババア長に呼び出しを受けて学園長室に来ていた。

それにしても本当に何の用だろう?腕輪にまた問題点でも見つかったのだろうか。

 

「で?なんだ、腕輪の話か?」

「違うさね。今回呼び出したのはもう一つの景品の如月ハイランドのプレオープンチケットの方で話があってねえ」

「え?アレですか?アレ夏目君にあげちゃったんですけど…」

 

意外にも用があったのはチケットの方だった。でもアレ、夏目君に欲しいって言われたからあげちゃったんだよなぁ。僕も雄二も使わないし。

するとババア長が顔をしかめる。そしてしばらく思案した後に口を開いた。

 

「じゃあその夏目って奴に伝えておいてくれないかい?如月ハイランドのウェディング体験のことなんだが、是非学生側でプランを練ってもらってそれを主体に進めたいから企画書を作ってそれを送って欲しいそうだ。出来たら高橋先生に提出してくれればこっちで渡しとくから。じゃ、頼んだからね」

 

もう用はないと言わんばかりにババア長がシッシッと手を払った。

えーと…ウェディング体験のプランを考えて企画書を作って、それを高橋先生に渡せってことかな?

 

「雄二、」

「Aクラスだろ?俺は行かねえぞ。明久、頼んだ」

「…へいへい」

 

学園長室を出ると雄二はそさくさと行ってしまった。

……はぁ。こうなると雄二はガンとして行かないだろう。敷居が高そうであんまり行きたくないんだけど…仕方ない。

踵を返してAクラスへと向かった。

 

 

「失礼しまぁす…」

 

後方のドアをおそるおそる開ける。昼休みで色んな人が出入りしてるのか、幸いなことに僕の存在は目立たなかった。えっと、夏目君…夏目君は…。

いた。教室の後方の席で木下さんと久保君と談笑している。…いや、談笑というよりは木下さんが怒鳴っている、ような。

 

「あの…」

「あら、吉井君?」

「よ、吉井君!?どうしてここに」

「どうした?」

 

声を掛けてみると三者三様の反応を返された。

先程までの怒声は何処に言ったのやら、即座に微笑む木下さん。

目をパチクリとさせ慌てる久保君。

いつもと全く変わらない夏目君。

 

「えーと…如月ハイランドのチケットのことで話があって…」

「…何か不備が?」

「ああ、いや。ウェディング体験のことなんだけどさ、学生側の方でプランを練って企画書を作って高橋先生に渡して欲しいんだって」

「なぁんだ、わかったわ。わざわざありがとう」

 

僕がそう伝えると皆一様にホッとした顔をした。そして何故かご機嫌そうに頷く木下さん。

 

「…?木下さんと夏目君で行くんじゃないの?」

「ぶふっ!?」

「き、木下さん…?大丈夫かい?」

 

そう尋ねると木下さんは飲んでいたお茶を勢い良く吹き出した。そのままけほけほと呼吸を整えるように咳をする。隣では久保君が心配そうにポケットからハンカチを取り出していた。

それを手で断り、木下さんは自らのポケットから取り出したハンカチで口元を抑えるとこちらを睨む。

 

「断じて違うわ」

「まあ行きたかったがな。今回は翔子に譲る事にした」

「え?霧島さんに?」

「ああ。どうやら坂本と上手くいっていないらしくてな。だからそのウェディング体験が一つのきっかけになればと」

「なるほど、それであんなにペアチケットを欲しがってたんだね。なぁんだ、僕はてっきり木下さんと行くのかと思ってたよ」

「ああ。誤解だからその左手に構えているカッターの刃は仕舞ってくれ。流石に教室を血塗れにするのは偲びないからな」

「そういう問題じゃないと思うのだけれど…」

「コイツらに何言っても無駄よ、久保君」

 

チキチキチキ、と5センチ程出していたカッターの刃を仕舞い、用済みになったカッターはポケットへと仕舞う。

それにしても僕の誤解で良かった。もし木下さんと行こうものなら夏目君の言う通りこの教室は血塗れになっていた事だろう。…裏切り者の血で。

 

「しかし困ったな。翔子と坂本のウェディング体験のプランを俺達で考えなければならないのか」

「…参ったな……。男女の色恋沙汰に関してはめっきりでね。霧島さんと坂本君の仲をぐっと縮められるプランなんて思い浮かぶ気がしないよ」

「アタシもちょっと自信ないわ。ウェディング体験なんてやっぱり、普通のデートじゃなくて特別に凝った演出とか必要そうだし…」

 

うぅん、と悩ましげな顔で溜息を吐く三人。

その瞳は真剣で、本当に霧島さんの事を思って悩んでいるのだなとありありと伝わってくる。

…………本当は、霧島さんと雄二の仲を持つような真似なんてしたくはない、けど。

 

「……あのさ。良かったら僕も一緒に考えていいかな?」

「…いいのか?」

「うん。雄二に貸し作っておくのも悪くないしね」

 

まあウェディング体験が終わった後に命で返してもらうけど。

 

近くの空席から椅子を拝借して座る。するとそれだけで察してくれたのか、木下さんが自席からノートパソコンを持ってきてくれた。そうして開いたワードの一行目に企画書、と文字を打ち込む。

 

「それじゃ、代表と坂本君の距離がぐっと縮まるような特別なウェディング体験プランを考えていくわよ!」

「「「おー!」」」

 

こうして僕達の、霧島さんと雄二の為のウェディング体験計画が始まった。

 

 

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