バカな筋肉と優等生   作:にと‪ ꪔ̤

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第四問

 

フィーに連れてこられたのはパークの中央部にある小洒落たレストランだった。

二人はお化け屋敷の時と同様に中には入らないようで、レストランのドアを開き俺達に入るよう促す。

 

「……いらっしゃいませ。お席へご案内します」

「姿を見ないと思ったらここに居たか、ムッツリーニ」

「……何の事だかさっぱり」

 

秀吉と似たような格好をしたムッツリーニに言われるがまま着いていく。

内装はレストラン…というよりパーティ会場に近い形だった。正面奥には大きなステージもあるようだが、赤色のカーテンに覆われていてその全容はわからない。

 

「……こちらのお席へどうぞ」

 

俺達が案内されたのはちょうど真ん中のテーブルだ。ムッツリーニが着席を促すように恭しく二つの椅子を引く。

……仕事だとは分かっているが、気兼ねない友人にされるのは少しばかり変な気持ちになった。

俺達が座るとムッツリーニは席中央に置かれたシャンパンボトルを手に取った。そして慣れた手付きでボトルを開け、グラスに飲み物を注ぐ。

 

「っておい、未成年だぞ」

「……シャン⚪︎リーだから問題ない」

「それはそれでどうなんだ……」

 

試しに一口飲んでみたが、確かにガキの頃飲んだものと変わらないシャン⚪︎リーの味がした。

 

「……それではお食事の方ご用意させていただきますので、そのままお待ちください」

 

ぺこりと一礼し、ムッツリーニがその場から去る。

 

「……意外といけるな、シャン⚪︎リー」

「……(こくり)」

 

そんな会話をしながらシャン⚪︎リーを数口飲んでいれば、数分も経たない間に豪華な料理が運ばれてきた。慣れないフォークとナイフを使った食事に苦戦しつつ、舌鼓を打つ。

食後のデザートも食べ終え、食事の余韻に浸っているとーー不意に会場の照明が落ちた。

 

 

『皆様、本日は如月ハイランドプレオープンイベントにご参加頂き、誠にありがとうございます!』

 

 

カッ!、と、ステージの端に一条のスポットライトの光が当たる。

そこに立っていたのは、秀吉やムッツリーニと同様に仮面で目元を隠したギャルソン姿をしたーー明久だった。

 

『本日なんと、この会場に、結婚を前提にお付き合いを始めようとしている高校生カップルがいらっしゃっていまぁす!』

 

明久が指を鳴らすと、また今度は複数のスポットライトが動き出し、幾重にも光を重ねて俺達を照らし出す。しまった、と席を立つも時既に遅く。出入り口に目をやるといつの間にかその門扉は固く閉ざされていた。

あの野郎、完全に退路を断ちやがったっ!!

 

『そこで、当如月グループとしてはそんなお二人を応援する為の催しを企画させて頂きました!その名も【如月ハイランドプレゼンツ!ウェディング体験】〜!』

 

ダッ!(俺が駆け出す音)

ガッ!(翔子が足を引っ掛ける音)

ズザーッ!(俺が顔面から転ぶ音)

 

「……逃がさない」

 

翔子にガッチリと襟首を掴まれる。

……こうなってしまってはもう何も出来ない。この場での逃亡は諦め、大人しくする事にした。

……そう、この場では。

 

「新婦さんは私達と一緒に来てください」

「新郎さんは僕とこっちへ」

 

最早すっかり見慣れたギャルソンスタイルに身を包んだ姫路と島田が翔子に、久保が俺にそれぞれ声を掛ける。

 

『それでは一時間後、如月ハイランド内にある特設会場にて挙式を行います!皆様宜しければお越し下さいませ!それでは、お食事中に失礼いたしました〜!』

 

明久が一旦締めの言葉を述べ、一礼をするとパチパチパチパチと拍手が起こった。

クソッ、あの野郎、清々しい顔をしやがって…!!絶対に後で復讐してやるからな!!

 

            ⭐︎

 

久保の案内の元レストランから連れ出され数分。俺達は「STAFF ONLY」とドアに表示がかけられている建物の前に来ていた。

 

「一時間も着替えがかかンのか?」

「ああ、霧島さんの着替えが大変みたいで…。坂本君はすぐに終わると思うよ」

「そうか。ならちょっくらトイレにーー」

 

この辺りでテキトーにバックれれば大丈夫だろう。トイレが理由なら久保も深追いしてこないだろうしーーと思ったが、俺が背を向けると久保は俺の手首を力強く掴んだ。

 

「……ごめん。あまりこういう事はしたくなかったんだけど……吉井君が、雄二は隙を窺って絶対逃げ出すだろうからって」

「……おい、久保?」

 

冷や汗が背中を伝う。な、何だかとてつもなく嫌な予感がする…!!

 

「だから、着替える前に気絶させておいてってーーだからーーその……ごめん!!」

「あぎゃあっ!?」

 

バチンッ!!という派手な音と共に背中に激痛が走る。意識が遠のく前に皮膚が焼けたような焦げ臭い匂いがツンと鼻についた。

 

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