バカな筋肉と優等生   作:にと‪ ꪔ̤

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操作を間違えて、書いたものが全て消えたのかと焦りました。自動保存で保存されていて何とかなったのでよかったです、ありがとう自動保存…!!


第三問

嵐のような始業式から数日たった昼休み。

スパン、と勢いよくAクラスの扉が開かれ、怒りからか顔を真っ赤にした女生徒が入ってきた。

 

「私達Cクラスは、Aクラスに試召戦争を申し込みます!!」

 

思わぬ宣言にポカンとしてしまうアタシ達だったけれど、その女生徒はどうでもいいのか、霧島さんーー改め代表の方へツカツカと歩み寄った。

 

「午後13:00から開戦で良いかしら?」

 

代表はちらりとクラスを一瞥する。特に不満そうな顔をしている人が居ないのを確認して、代表は頷く。

その女生徒は満足そうな顔をした後、アタシを一睨みして

 

「木下優子…!覚えてなさい!」

 

と吐き捨て、来た時と同じように扉を乱暴に閉めて去って行った。

 

「随分と嫌われているようだが」

 

隣で総菜パンを食べていた夏目がこちらを見る。問いかけの答えが気になるのか、その場にいたクラス全員もアタシの方を見ていた。

 

「知らないわよ、…とにかく、13:00というと後1時間くらいしかないのね、…代表」

「…………わかってる。皆、席に座って」

 

代表がそう言うと、各々元の座席に戻り始めた。…まあ、元々自由席だから、あまり移動する人もいないけど。

アタシはといえば、代表に手招きされて隣に立った。大方、口下手な自分の代わりに仕切って欲しいということだろう。…難儀な代表だけど、クラスを好きに動かせるのは悪くないわ。

 

「Cクラスだからって油断は禁物よ!何か案があれば言って頂戴」

 

そう声を張れば、眼鏡を掛けた如何にも知的な男子ーーもとい、久保利光君が手を挙げた。

 

「ハイ久保君」

「先程のCクラスの女生徒を見た感じ、木下さんに悪意…というか、とにかく良くない感情を持っていることは確かだ。……あまり良い案ではないと思うが、木下さんを囮にするのはどうだろう」

「アタシが囮…??」

「ああ、木下さんが敵を引きつけて、本体が手薄になっているところを撃破…なんてどうかな」

「……………でも、一人で何人も引きつけるのは難しい」

「それに、ボク達が相手の代表を倒す前に優子が戦死しちゃったらキツいんじゃないかな~」

「そうだね…それに、逃げ回るということは木下さんにもそれ相応の体力が必要だし…ごめん、やっぱりこの作戦はやめーー「ちょっと待ってくれ」?夏目君?」

 

「何を話してるのかさっぱりわからん。もう少しゆっくり話してくれ」

 

「「「…………」」」

 

あまりの馬鹿さ加減に、開いた口が塞がらない。

 

「ーー夏目君、僕は木下さんを囮にしようと提案した、これはいいね?」

「ああ」

「だけど、木下さん一人で大量の相手を引きつけなきゃいけないこと、木下さんが戦死してしまうとこの作戦は失敗してしまうこと、それから大勢から逃げ回るにはかなりの体力がいるんだけど、木下さんにはその体力はないから逃げ切れないんじゃないかってことで、成功率がとても低い作戦なんだ」

「だからこの作戦はなしだと」

「そういうことだよ、これを踏まえて何か意見はあるかい?」

「この作戦は、優子が逃げ切れれば成功するのか?」

「そうだね、だけどそれが成功する確率はかなり低い」

 

「なら、俺が優子を抱えて逃げる」

 

「「「……は??」」」

 

「俺は体力があるからな、優子一人くらい抱えて逃げ回るくらい余裕だ」

「ちょ、ちょっと夏目!?」

「ぷっ、あははははは!!!夏目君って本当に面白いね~」

「愛子まで!ふざけてる場合じゃないのよ!?」

「……………でも、悪くない」

「代表…!!でも、アタシはともかく夏目は成績に偏りがあるのよ!?もし苦手な教科で挑まれたらどうするの!?それに…アタシを抱えながら戦闘なんて無理に決まってるじゃない!」

「ならもう一人担ぐか」

「へ?」

「少し雑にはなるが、そこを気にしないなら二人担ぐ。…そうだな、流石に男子はキツいから女子だと有難い」

「ちょ、ちょっと勝手に「ならボクはどう?」あ、愛子ー!?」

「工藤なら問題ない。翔子、どうだ?」

「………………惣司郎が問題ないなら良い。ただ、失敗は許されない」

「わかった。それなら20人程逃走の手助けが欲しい。新校舎から旧校舎のいたるところに待機してもらう形で」

「………構わない。じゃあ、久保を討伐の方に回してその隊を10人で編成したい、良い?」

「僕は構わないよ、…でもそれなら、僕も逃走の方を手伝いつつ待機、本体の様子を見つつ出来そうなら撃破…という感じかな?」

「……………そうして貰えると助かる。残りの20人はAクラスに待機して、護衛や攻撃に専念」

 

アタシを置き去りにして、作戦はどんどん進んで行く。しかも良い感じにまとまって。

 

「…………そうと決まれば人員を考える。成績順で決めるけど、良い?」

 

と代表が辺りを見渡すと、皆一様に頷いた。

 

「じゃあ、代表が決めてる間にボクらも待機してて貰う場所を決めとこっか」

 

と、愛子がシャーペンと新校舎と旧校舎の見取り図を持ってこちらにやって来た。夏目も愛子の後ろから付いて来る。……はぁ、今更後には引けないわよね…。

 

「ーーいい?ひとえに逃げると言っても人数や状況次第ですぐに捕まってしまう場合もあるわね?そのためにはアタシ達が先に有利になるように色々と仕込んでおかなくちゃいけないの。そのためにはまずーー」

 

現在時刻は12:15。

アタシ達の、初めての試召戦争が幕を開けようとしていた。

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