バカな筋肉と優等生   作:にと‪ ꪔ̤

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決着が近付いてきました。私も緊張しています。


第六問

明久side

 

「それではこれより、Aクラス対Fクラスの試召戦争を始めます!」

 

高橋先生の声がAクラス中に響き渡る。ーーそう、Aクラス。僕達は一騎打ち…いや、正確には五騎打ちかな?の勝負のために、この教室まで足を運んできたのだ。

と、無駄に壮大な感じに言ってみたけど、そこまで遠い道のりじゃない。Aクラスは新校舎入ってすぐだしね。

 

「まず一人目の方、前に出てきてください」

 

「アタシが行くわ」

 

高橋先生にそう促され、Aクラスから出てきたのは秀吉とそっくりな顔をした秀吉のお姉さんの、木下優子さん。

よし!雄二の予想通りだ!

 

「頼んだぞ、秀吉」

「うむ、任されたぞい」

「頑張ってね、秀吉!」

 

対するこちらは弟である秀吉だ。秀吉なら、木下さんの弱点とか秘密とかも知ってるだろうし、崩せそうなら崩せ、というのが雄二の指示だ。

 

「では、科目を「少し良いですか?」…はい、どうぞ」

「秀吉?ちょっといいかしら?」

「うむ、構わんが」

 

木下さんが秀吉を廊下に引っ張っていく。

…あれ、何だか雲行きが怪しいような…??

 

『アンタ、Cクラスの人に何を言ったのよ…!!』

『む?ワシなりに姉上を真似て罵倒してみたのじゃがーーあだだだだ!!!!あ、姉上、関節はそっち側には曲がらっ!!?』

『どうしてくれんのよ!!!主にアンタのせいでアタシとCクラスの人達の間に決定的な溝が出来ちゃったじゃないの馬鹿!!!!』

 

ゴキン、と鈍い音が響いた後、廊下が静まり返る。

しばらくすると、がらがらと扉が開き、木下さんだけが戻ってきた。

 

「秀吉は用があるから帰るってさ、代わりの人を出してくれる?」

「いや、うちの負けでいい…」

 

ハンカチで手を拭きながらにこやかに告げる木下さんに、若干青ざめた顔で返す雄二。

 

「わかりました、一回戦はAクラスの勝利です!」

 

『Aクラス 木下優子 VS Fクラス 木下秀吉

 生命活動 WIN   VS LOSE      』

 

とプラズマディスプレイ一杯に映る。

流石にまだ生きてます、なんて言えるはずもなかった。

 

 

「では二人目の方、出てきてください」

 

 

微妙な空気を壊すように、高橋先生が告げる。

 

「俺か」

 

と、赤髪の整った顔立ちの男子生徒が出てきた。

雄二と同じくガタイも良いのに、どうしてこう、雄二は不細工というかゴリラなんだろう…?

 

『『『チィッ………』』』

 

いたるところから妬むような舌打ちが聞こえてくる。ムッツリーニなんて血の涙を流さん勢いだ。

 

「よし、頼むぞ明久」

「うん、任せて」

「………死んでも勝て…!!!!」

 

雄二に背中を押され、ムッツリーニは僕の肩が外れそうなくらいの勢いで僕の肩を掴んだ。

ようやくムッツリーニの手が離れたところで、その赤髪の男子生徒の前に立つ。確かムッツリーニの情報によるとーー夏目君、だったか。

 

「科目は?」

「世界史でお願いします」 

 

夏目君が言うより先に僕が言う。

もうこれで僕は勝ったも同然だ。何故なら、

 

今日の作戦会議で告げられた、ムッツリーニが調べた情報によれば夏目君の成績はーー()()()()()()()()()()()()()F()()()()()()()だからである。

 

それなら人より少し操作が上手いだけの僕でも勝ち目がある。今までは点差が酷かったけど、同等の点数であれば操作に慣れている僕の方が有利だからね!

 

「君には僕の本気を見せられそうで嬉しいよ、夏目君」

「…ほう」

「今まで黙っていたんだけど、」

 

 

そう区切れば夏目君が興味深そうに僕を見つめ、周りの皆もざわめき始めた。

そのざわつきが治まった後、たっぷりと間をとって告げる。

 

 

「ーー実は僕、左利きなんだ」

 

 

『Aクラス 夏目惣司郎 VS Fクラス 吉井明久

 世界史  325点   VS 97点      』

 

 

『『『はぁっ!?!?』』』

 

ちょっと待って!?夏目君って社会系科目の成績はFクラスレベルなんじゃーーってまさか!

 

「俺達を油断させるための偽情報かよクソッタレ…!!」

 

と、Fクラス陣営にて雄二が悔しそうに呻く。

くっ…!そこまで仕込んで来るなんて…もう少し油断してくれたっていいじゃないか!

 

「酷いじゃないか夏目君。苦手な科目はFクラスレベルなんて嘘ーー」

「?現国はそんなもん(Fクラスレベル)だが?」

 

夏目君の一言に、場が一気に静まり返る。

…夏目君って、Aクラスの生徒なんだよね…??

 

「何でわざわざバラすのよ馬鹿!!!!」

「………優子、落ち着いて」

「夏目君だから仕方ないって、ね??」

 

Aクラス陣営では木下さんが絶叫を上げ、代表の霧島さんと昨日の宣戦布告の時にソファーを勧めてくれた女の子が必死になだめていた。…何だか、Aクラスも大変そうだなぁ…。

 

「…とにかく、この点差だし、僕はフィードバックで痛みも付いてくるから手加減してもらえると」

「それなら安心しろ、あまり苦痛を与えないようにーー」

 

 

「一撃で仕留めてやる」

 

 

鬼か。

 

 

「っとぉ!?」

 

宣言通り一撃で仕留めるつもりなのか、自分の倍の大きさはあるだろう鉈を振りかぶりこちら目がけて振り下ろしてくるのを慌てて避ける。

冗談じゃない!あんなのまともに食らったら補習室どころか天国行きだ!

 

「何故避ける」

「いや避けるよ!?真っ向から鉈なんて受けたら痛みで死んじゃう!!!」

「この点差ならどう足掻いても死ぬだろ」

「うんそうなんだけどさぁ!」

 

「ーーまあ確かに、鉈は痛いか」

 

そう言うと夏目君の召喚獣は、武器を投げ捨てた。

…へ?よくわかんないけどーーこれってチャンス!?

武器を捨てて丸腰の夏目君の召喚獣目がけて木刀を振るう。これで倒せはしないけど、こうやってダメージを蓄積させていけば、いつかは!

 

だけど、僕の召喚獣は二度目の攻撃は()()()()()()()

 

何故ならーー夏目君の召喚獣が、僕の召喚獣の木刀を掴んでいたから。

 

「腹に力入れとけ」

 

そう言うと、夏目君の召喚獣が思い切り、僕の召喚獣に腹パンした。

 

「ぐっふぅ!!!!」

 

鉈でやられるより遥かにマシなんだろうけど、殴られた箇所がジンジンと痛んでぐらぐらと目眩がする。

あまりの痛みに薄れる意識の中、最後に見たのはーー

 

『Aクラス 夏目惣司郎 VS Fクラス 吉井明久

 世界史  297点   VS 0点       』

 

粒子となって消えていく、僕の召喚獣だった。

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