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明久side
「ー…ん…?」
遠くから聞こえる喧騒で目を覚ます。
…確か、僕らはAクラスと試召戦争をしていて…僕は夏目君と戦って…それで…??
「ってここはどこ!?」
ガバっと
「目を覚ましたようじゃの、ここは保健室じゃ」
「大丈夫?アキ」
すると、左右に掛けられていたカーテンの左側が開き、秀吉と美波が顔を覗かせた。
「ぼ、僕は大丈夫だけど!それより戦争はどうなってるの!?」
「落ち着きなさい、アキ。今は土屋と…工藤、だったかしら?の戦いが終わったところよ。ーー夏目!」
「はーい」
「!?!?夏目君!?」
美波に呼ばれて顔を出したのは、僕を沈めた張本人である夏目君。手にはタブレットを抱えていて、そこに映し出されていたのは、
『Aクラス 工藤愛子 VS Fクラス 土屋康太
保健体育 0点 VS 487点 』
工藤さんの召喚獣が、粒子となって消えていく姿だった。
「む、工藤も強かったが、ムッツリーニには敵わんかったようじゃの」
「良かったわ、首の血管一つ繫がったわね」
「それを言うなら腕の血管じゃないか?」
「…首の皮一枚じゃ、二人とも…」
何でだろう、夏目君とは凄く波長が合う気がする。
「って、これ何回戦目?」
「康太と工藤が三回戦だから、次が四回戦だな」
「ってことは瑞希と久保ね…一番心配だわ」
と、美波が落ち着かない様子で画面を見る。
そういえば、雄二の話だと姫路さんと久保君は互角なんだっけ…だから僕が夏目君を倒して少しでも負担を減らしたかったんだけど、そうもいかなかったからなぁ…。
「姫路さん、頑張れ…!」
画面に映し出されているのは、中央に立つ姫路さんと久保君の姿。
『『
二人がそう口にすると、二人の足元に魔法陣が広がり、その中心から召喚獣が現れる。そしてその傍らに、お互いの点数が表示された。
『Fクラス 姫路瑞希 VS Aクラス 久保利光
総合科目 4409点 VS 3997点 』
『『『なっ!?!?』』』
その点数の高さに息を吞む。この点数、次席どころか恐らく首席の霧島さんレベルなんじゃ!?
『姫路さん、いつの間にそんな点数を』
『………私、このクラスの皆が好きなんです。誰かの為に一生懸命になれる皆がいる、このFクラスが』
『…Fクラスが好き?』
『はい。だから頑張れるんです』
姫路さんはそう、嬉しそうに笑うと久保君の召喚獣を一閃した。
Fクラスが好き。その言葉がじわじわと身に染みてくる。嬉しくてにやける顔を必死に手で覆う。
普通なら彼女はAクラスで、高嶺の花で、もう関わりなんてないと思ってた。
だけど彼女はFクラスに来て、一緒に戦ってくれて、更にこのクラスが好きだから頑張れる、なんて。僕としては嬉しくないわけがない。
『…勝者、Fクラス』
姫路さんの驚異的な点数の上がり方のせいか、それともFクラスがAクラスと渡り合っている事実に驚いているのか、高橋先生の声は少し振るえていた。
『最後の代表、前へ』
高橋先生に促され、Aクラスからは霧島さんが、そしてFクラスからは雄二が前に出て中央に立つ。
『科目はどうしますか?』
『教科は日本史。内容は小学生レベルで、百点満点方式だ』
雄二の言葉にAクラスの人達がざわめく。
『…わかりました、少々待っていてください』
高橋先生はそう言うと、Aクラスの教室から出て行った。恐らく、問題を作るためだろうか。
「…小学生レベルの問題で、百点満点方式…??これで翔子に勝つつもりか?」
「雄二が言うには、昔に霧島さんに大化の改新の年号を間違えて教えたらしいんだよね。それで、霧島さんは一度覚えたことは忘れない…らしいから、今でもそう思ってるだろうって」
「確か大化の改新の年号と言えばーー
すごい、僕と同じ間違い方してる。
「
「……巧妙な罠か!」
「罠も何も自分で引っかかっただけじゃない!」
という美波のツッコミに冗談だと笑う夏目君。
…その割には目が真面目だったけど、一体どこまでが冗談なんだろう…。
『ーーそれでは試験を開始します、始め!』
そんな話をしている間に、雄二と霧島さんの勝負は始まったみたいだ。
プラズマディスプレイには、二人の問題用紙に書かれている問題が大きく映し出されていた。
何問かの問題が映し出されてーー
《 》年 大化の改新
『『『来たぁっ!!!!』』』
とうとうその問題が出てきた。
「アキ、木下!」
「うむ、これでワシらの机はーー」
「「「システムデスクだ!!!!!」」」
『日本史勝負 限定テスト 100点満点
Aクラス 霧島翔子 97点 VS Fクラス 坂本雄二 53点 』
僕達の机が、みかん箱になった。
「……そういえば、霧島が百点を取れないと言うだけで、雄二が百点を取れる保障はなかったのう」
「ゆっ、雄二いいいぃぃぃっっ!!!!!」
「あっ、コラ待ちなさいアキーっ!!」
僕は勢い良く廊下に飛び出し、Aクラス目がけて走り出した。
明久side out
「ーー言い訳は?」
「いかにも俺の実力だ」
「いい度胸だよぉし死ね!!!!!」
「落ち着きなさい、アキ!アンタだって百点取れないでしょ!?」
「それは否定しない!!」
「そ、そこは否定して欲しかったです…」
凄まじい叫び声を上げながら、夏目によって保健室へ連れて行かれた吉井君が戻ってきて、Aクラスは阿鼻叫喚の絵図となる。
暴徒と化した吉井君を止める島田さんと秀吉、それを苦笑いで、でも何処か楽しそうに見つめる姫路さんを尻目に、夏目がこちらに戻ってきた。
「おかえり、夏目君」
「ああ、ただいま」
「…ねえ、夏目。大化の改新は何年に起きた出来事?」
愛子が軽く声をかけた後に、念のため尋ねる。
…大丈夫よね…??いくらコイツでも、小学生レベルの問題は解けるわよね…???
「645年だろう?」
「…良かったわ…アンタが小学生レベルの問題もわからない馬鹿じゃなくて…」
「ああ、ーーさっき教えてもらったからな」
「もうヤダこの馬鹿!!!!!!!」
何でコイツAクラスにいるの!?!?学園最高峰のクラスにこんな馬鹿いてもいいの!?!?!?
「……………雄二、約束」
そんな喧騒を破ったのは、静かな代表の声だった。
座って力なく項垂れている坂本君を見下ろしている。
「…約束だからな、煮るなり焼くなり好きにしろ」
と、観念したように答えた。
吉井君は代表と姫路さんを何処か期待するような、でも残念なような目で交互に見ている。
土屋君に至っては、鼻血をダラダラ流しながら入念にカメラを拭いていた。
…まだ誤解を解いてないのかしら、坂本君たら。
そして姫路さんを一瞥した後、改めて坂本君に向き直ると小さく息を吸い込んで、静かな声で告げる。
「………雄二、私と付き合って」
「まだお前は諦めてなかったのか」
「……諦めない。私はずっと雄二が好き」
「だから、その気持ちは勘違いだと言ってるだろ?」
「……勘違いなんかじゃない」
「………はぁ」
「……とにかく、約束は約束。今からデートに行く」
「は!?え、おい、ちょ、ちょっと待ッーー」
ポカーンと呆ける各々のクラスメイトを置き去りにしたまま、代表に引きずられて退場する坂本君。
「………お互いの代表もいないわけだし、お開きにしましょうか」
「………そうね、ほらアンタ達!ボーッとしてないで帰るわよ!ハイ文句は言わない!暴れるなら明日坂本が来てからにしなさい!」
アタシがそう声をかけると、島田さんがクラスメイト達を促す。…何だか不穏な話が聞こえたけど、大丈夫かしら…??
「優子、」
「行っておくけどデートはしないわよ」
「…」
そう釘を刺せば、夏目はぶすくれた顔をした。
その間抜けな顔が面白くて、ついつい笑ってしまう。
「……ま、奢ってくれるならファミレスくらい付き合ってあげるわ」
「…!ーーありがとう」
夏目は見ているこちらがドキリとしてしまいそうな、心底幸せそうな笑みを浮かべた。
ということで、第一章完結です!
ここまで頑張れたのも、お気に入り登録してくださった方や投票してくださった方、感想をくださった方々等々様々な読者の方々のおかげです、本当にありがとうございました…!
この後は、ちょっとしたお知らせ(出来れば小話も)を挟んでから清涼祭編に入っていこうと考えています…!今後ともよろしくお願いします!