戦闘時に常に自身にとって最適な展開を“予想するが予想できない”能力。
本人が第六感と信じているそれはもはや呪いに近い。視覚・聴覚に干渉する妨害をシャットアウトさせるが、同時にアドバイスや支援スキルなどの効力を半減させてしまう。
Q.つまりどんなの?
A.先読みしてるつもりだけど全然先読みできてない むしろ避けようとして当たる
相手の考えてることを予想して当てようとするとたいてい当たらない
クジ引きで絶対にあたりが出ない
ギャンブルで絶対に当たらない
王の財宝をランダムで飛ばすと全部騎士王に当たる
Q.元ネタはあれじゃな?
A.名作だからみんな読んで
金糸を垂らした翡翠色の一対が少年のことを見下ろしていた。
極東の地、日本。遠い島国で英霊として座に運命付けられた一人の騎士が少年の危機に反応したかのように召還された。膨大な量の魔力が収束していったかと思えば、瞬く間に人の形状を取る。今まさに少年に槍を突き立てんとしていた蒼装束は、けたたましい音を上げて引き裂かれる大気の奔流に後退を強いられた。後退することは苦ではなかったが、異常とも言える圧力に距離をとるというのは、癪ではあった。
自身が父親から受け継いだ土蔵で腰を抜かしている少年は、いままでのことを思い出していた。それは走馬灯ではなくて、赤と黒の男と青の男の戦いを目撃したこと、逃げたこと、道中でまた二人が殺しあうとこ、そしてまた自宅で襲撃を受けたことだった。死ぬときは走馬灯が走ると聞いていたが、どうやらそうではないらしい。
などと暢気なことを考える少年の前で、ブロンド髪をシニヨンに結い上げた騎士装束の乙女は、傍らに携えた凡庸な剣を軽く振り回して纏わしていた風を緩めた。
騎士の格好は騎士として完成した鎧であったが、実用性の高い剣と短剣がそれとは相反していた。唯一、腰にぶら下がる鞘を除いて。
少年は思わずその剣を解析していた。素材は鉄と銅と炭素。歴史は、職人の手によって作られた量産品のうちの一振り。短剣にいたっては店で購入され少女が生涯狩猟道具として使っていたものだった。誉れもなければ、英雄談のかけらもなかった。それどころか戦場にあったことさえなかった。ただひとつ、その鞘を除けば。青と金をあしらった見事な鞘だけは、人ではない何かが作り上げた輝かしい何かであることはわかった。それは鞘の形をとった魔法そのものだった。
「問おう」
少女が剣の切っ先を揺らして問いかけた。
「あなたが私の敵か」
「へっ?」
少女が剣呑な表情で剣の切っ先を向けると怒鳴り声を上げた。
「いきなり味方をよこして挟み撃ちとはなんたる仕打ちか! もう許さんぞ!」
「あのよぉ」
両肩に槍を通した男が呆れた表情を浮かべて土蔵に足を踏み入れた。いくらなんでもおかしいとは思わんのか、と顔に書いてあった。
「普通に考えようやお嬢ちゃん。俺がその小僧を殺しにかかってて召喚されたんだろ? ということは俺はむしろ敵で、そこで腰抜かしてる小僧がお嬢ちゃんのマスターじゃないのかい?」
「………ぐっ………たしかにそうだが……いいだろう状況はわからないが受けて立つ。表に出ろ槍兵」
「いいぜ。俺としても丸腰を殺すよりかあんたのほうが楽しめそうでいいや」
槍兵が犬歯をむき出して笑う。その眼力だけで、少年は床に縫い付けられていた。
「小僧といいましたね」
「名前じゃないだろ……」
ようやく頭がはっきりと状況を認識し始めていた少年は腰をあげようとして、震える手を抱えていた。少女がその手を握ると片腕一本だけで立ち上がらせる。
少年が美しい容姿が急接近して、あろうことか接触したことで顔を赤らめていた。一方少女はまるで気にした様子がなかった。
「ではなんと呼べと?」
「衛宮。衛宮士郎。まさかあいつと戦うのか? だめだ! 殺されるぞ! だったら俺が行けば……」
「ええ、無残にも殺されてしまうでしょうね。しかし私は死にません。攻撃手段には劣るでしょうが」
私には鞘がありますから、と少女が言うなり士郎を突き飛ばすと、土蔵に転がっていた鉄パイプ数本を持って外に出て行った。戸が閉まる。
少年は後を追いかけようとして閉じた戸を開こうとしたが、かんぬきでもかかっているようにびくともしなかった。
「待てよ! クソ! 開かない!」
少女はおもむろに土蔵の戸と戸を鉄パイプで強引に繋ぎとめていた。少なく見積もっても少年と大差ない年齢であろうというのに、鉄パイプを手で加工してみせるその異常性。それもそのはず。人でありながら人ではない、言うならば過去偉業をなした人間がより高位に昇華したサーヴァントと呼ばれる存在だったからだ。
手をぱんぱんと払うと、ため息を吐く。
「ふう。これで他のものに狙われることもないでしょう」
あくまでそういうつもりだったらしいが、説明すらしなかったので少年にはわからないままだった。
少女は凡庸な剣を抜くと、槍兵と距離を取り立った。
「てめぇどこの英霊だ。その武器、凡兵が握るようななまくらだろうが」
「生憎剣は返してしまってな。鞘ならあるが、これで戦うなと釘を刺されている」
「ぬかせ!」
槍が迸る。銃弾のように射出されたそれはしかし槍兵の足運びと腕を使った見事な刺突であり――。
「ぐうぅッ……!」
少女は腹部直撃を狙ったその軌道をかわそうともしなかった。槍兵は目を見張る。雰囲気といい、足運びといい、正統的な剣術を学んだ騎士であろうことは明白。武器は剣であるならばおそらくクラスはセイバー。最優の騎士が、己の緩い牽制攻撃をかわさないなどということがあるか。わざとだとすれば、何が狙いか。
一方少女は驚愕していた。攻撃が来る方角は違う方角だったはず。回避したはずというのに敵はその上を行く動きで攻撃を当てて来たのだ。
その実、数十合。剣戟は一方的なものに見えた。槍兵特有の射程の長さに飛び込まんと果敢に少女が挑みかかっているが、風を纏わせた剣は槍を突破できず、逆に攻撃のほぼ全てを受け止めている。
槍による攻撃を受け止めて無事で済むはずがない。大地には血痕が無数に滴っており、少女の肉体はまさに穴だらけであった。というのにもかかわらず傷口は映像を巻き戻すかのように秒を追うごとに元通りに再生しており、両者が距離をとったそのわずかな時間で完治していた。
「からくりは読めないが大体わかったぜ。お前その鞘が傷口を蘇生させてやがるな? 持ち主を死から遠ざける鞘の持ち主を俺は一人しか知らん。ブリテン諸国を治めた王。騎士王アーサーだ」
「なぜわかった!」
槍兵が少女の腰にささっている鞘を指差しながら言うと、少女は驚愕していた。槍兵、ここに来て悟る。この少女は恐ろしく勘と察しが鈍い。さらに言うと話を聞いているようでまるで聞いていない。
「だからさっき言ったろ!」
「そういう貴様は……………フィアナ騎士団の……」
「クー・フーリン! 違う奴と勘違いしてねェか! お前馬鹿にしてんのか!? ……チッ。名乗っちまった」
「そうだったのか。すまないな!」
それがどうしたと胸を張る少女――アーサー王に対し槍兵が頭を抱えていたが、すぐにくるりと槍を手元に引き寄せて腰を落としていた。
「――――ならばその心臓を穿たれても生きていると宣言できるか」
「やってみろ」
少女に対し蒼い男が握る槍が爆発的な殺意を宿した。地面を擦る低空から穂先が照準される。
「
「………」
対する少女は鞘を腰から抜き握り締めていた。
「――――
「―――
鞘が無数の欠片に分解し、防御の幕と化す。
それは魔法ですら到達できない、御伽の国に自分を置く、絶対的な守りであった。
「やめろぉぉぉっ!! うわああっ!?」
土蔵の戸を封じていたパイプが弾け飛ぶと、角材を握った少年が飛び出してきた。そして、庭で発生した赤い閃光が縦横無尽に駆け巡り少女の元に飛び掛らんとする様と、少女を守る幕がその光をことごとくはじく様だった。
少年こと士郎は遅れて発生した衝撃波に吹き飛ばされ壁に打ち付けられ意識を失った。
なんやかんやあって王になったけど直感スキルが偽な騎士王様。
軍略とか考えさせると絶対に負けるので、本人に予想させてその逆振りするといいとかやってたと思う。
人の話を聞かないというか直感スキルが酷過ぎて聞いてるけど聞いてないような空気の読めなさにギスギスしてきた円卓を配下にいさめられてじゃあ私最前線で兵士やるわと政治とかを全てぶん投げた。
「剣と鞘どっちが大切か」
「剣といいたいところですが……これは! 鞘のほうが大切なのですね!」
と本人が逆張りしたりなんやかんやあって剣がなくなったので、そのへんにあった剣を次々取り替えながら最前線で肉壁をやる。モードレッドに「貴公、男だな!」とかちんぷんかんぷんなことを言ってなんやかんやって王位を譲って引退。鞘はなんか持ってるとヤバイ気がすると思って返しちゃった(返さなきゃよかったのに)。狩人として一生を終える。ブリテンはやっぱり滅びた。仕方ないね。
ほっとくと頑丈な鞘で殴りかかる。剣が量産品しかなかったから仕方ないね。最盛期の姿なので鞘はあるけどエクスカリバーがない。
エクスカリバーもってる状態ので召喚されて使うと間違いなく敵には当たらないのに住宅地にはクリティカルヒットする。
そして続かない。