「ばかやろー!」
「やめちまえー!」
別にどっかの島国ではなくここは世界一の国力を誇るアメリカ合衆国ワシントンDCの議会。
21年のフランス崩壊、25年のイギリス崩壊、そして29年のウォール街の崩壊というトリプルパンチはアメリカに致命傷を与えていた。
7年間高止まりし続ける失業率に対しフーヴァー大統領は何ら有効な手を打ち出せずにいた。
1921年の有力な政治家であったフランクリン・ルーズヴェルトの暗殺。
いたずらに政争に明け暮れるのみの共和党と民主党の無為無策に失望したアメリカで急速に勢力を拡大してきたのが以下の二つの党派である。
「America First!!!!資本主義者は欧州の惨劇に手を貸して何を得たのか?
何もだ!そして彼らはその損失を人民に被せたのが今の現状だ!
全ての富を全ての人民に!皆を王様に!皆を平等に!America First!」
「「「「America First!!!」」」
ワシントンの政治決起集会において主に南部のアメリカ・ファースト党支持者たちが威勢をあげる。
アメリカ南東部で支持を集めるヒューイロングのAmerica First Union Partyだ。
通称”アメリカ第一主義党”
「ありがとう、皆さん。ではここで我々の支持者であり、アメリカの偉大な英雄。
チャールズ・リンドバーグ氏が応援に駆けつけてくれました!
皆さん、盛大な拍手を」
「わーわーわー!」(大衆の叫び声)
そして、もう一方の集会所では別の団体が政府に怒りの声をあげていた。
「我々はいつまで耐え忍ぶべきなのか!?
15年間にわたってアメリカ人民は苦しんできた!
資本家は言う、アメリカには全てがあると!
だが今日を生きるアメリカの労働者人民に聞いてみるがいい!
諸君らは何を持つか?
何もだ!労働者人民が座して搾取に甘んずる存在だと思ったのか?
万国の労働者よ団結せよ!リンカーンの意思を継ぎ、新たなアメリカ革命は我らが始めよう!
労働者人民万歳!アメリカ万歳!」
「「「労働者人民万歳!」」」
ジャック・リード率いるCombined Syndicates of America Party
通称”アメリカ連合組合党”
ロシア革命の『世界を揺るがした10日間』などの作品があるので興味がある人は読んでほしい。
「皆さん、ありがとう!ありがとうございます。
ここで我々アメリカ組合から素晴らしい発表です!
同志チャールズ・チャップリン氏の新作映画、
“モダンタイムス”がフランスのカンヌ人民映画祭で大賞を受賞いたしました!
想像してみてください!全世界の人民が映画を通じてのプロレタリアート団結の必要性を感じ取るのです!この映画の威力は100万の軍隊よりも強烈だと言えるでしょう!
我々はこれを機会に同志チャップリン氏の承諾を得て全国の映画館に無償での上映が決定されました!
どうぞ!同志チャップリン氏です!」
重なる政治的混乱にアメリカ政府は右往左往するばかりで何ら有効な手を打てなかった。
これに対し、既に世界一の工業国であるアメリカがどのような体制になるかは各国の極めて重要な関心であった。
既に状況はワシントンの政治屋には手が追えなくなっており、世界の列強各国はそれぞれのイデオロギーに近い勢力と既に極秘裏に連携を取ろうとしていた。
英仏伊からシカゴのサンダース大付属高校に派遣されたのはマジノ人民学院、グロリアーナ人民学院、アンツィオ人民学園といった組合主義各国からの“留学生”であり、
輸入されたのは“トラクター”や”農業用航空機”といった重機であった。
一方でカナダやドイツからもヒューストン向けに“トラクター”や”農業用航空機”といった重機が輸出されていた。中身はお察しである。
こんな状況の中、日本側からもロサンゼルス向け機械の中身が偶然にも“トラクター”や”農業用航空機”といった重機であった。
世の中不思議なこともあるものだ。(棒