コミーではなくてサンディーが敵
皆様こんにちは、ターニャ・デグレチャフです。
異世界に転生して8年になります、
さて…くそったれなニュースの中でも最悪なニュースをお届けしましょう。
36年に入り、私もついに2年生として1年生を教育する立場になりました。
5分前行動もできないクズの口にMP18を突っ込んで粛清しようとしたらレルゲン少佐に怒られた、解せぬ。
「失礼ながら、少佐殿。本官はドイツの士官候補生として、自らの職責も果たせぬ有害物質を排除しようとしただけです」
「先の大戦で300万の同胞が戦場に倒れたことを考えれば、時間すら守れない人間が次の戦争で1日とて生き残れるとは本官は考えておりません。
それならば今の内に給料泥棒は間引くのが帝国の財政を考えれば合理的な結論かと」
よし!上官への合理的アピール!
で、これだ。
2月3日の新聞の一面記事はこれだ
『ベルリン株式市場暴落!市場閉鎖へ!』
まぁこうなるとはわかってた。
だって現状は明らかにバブルだし、29年のアメリカ株式市場と極めて近い動き方をしていたのに誰も止めなかったのか。
まぁ世の中にはバブルになるとわかっていても何もせず、不況になってから緊縮財政を行うアホな国があるから、ドイツ人の悪口は言えまい。
そして私、ターニャは軍人年金と士官候補生としての給料を大幅に値下がりして底値になったドイツの大手優良企業の株式を購入した。
これでドイツが存続しなかったら、素寒貧確定なのでますます勝利に向けて粉骨砕身しなくては…
そして新聞にはフランスの対外発表が出ていた。
『コミューン・ド・フランス国会総選挙。全世界に向けて発信。
世界共産革命を宣言、ドイツを“帝国主義の権化”と非難』
頭沸いてるのか?いや今のフレンチならやりかねん。
何しろ連中、産めよ増やせよと戦後から子沢山を“ほぼ強制”してまで国力増強に励んできた。
ドイツ憎しの一念で。
その結果、1939年には18歳以上の男性つまり徴兵可能年齢の男性がドイツに匹敵する状況となっている。
前世の日本も見習うべき凄まじい少子化対策だ。
当然のことながら、わがドイツ士官学校での仮想敵国はフランスとイギリスであり
前大戦の様々な戦いである、マルヌ、ヴェルダン、ソンムそして決戦である最終攻勢の1919年攻勢“Kaiserschlacht ”が講義の内容と中心になっています。
「ではデグレチャフ候補生、“マルヌの戦い”での航空機運用について君が現場指揮官だったらこの場合どう取るかね?」
「はい、この場合は史実同様に地上軍と連携しての偵察活動が重視されますが
当方に充分な機関銃の搭載が成されていれば空戦の機会を逃さずに積極的に敵偵察機の排除を優先します」
「ふむ、よろしい。一年生もいるようだから重ねて説明しよう、
この空軍士官学校では単なるパイロットを求めてはいない。
ドイツ空軍に必要なのは地上戦について理解し、航空部隊の指揮官・管制官として来るべき戦いに方面の、さらには全般を俯瞰し適切な指揮をとれる人材を求めていると言うことだ」
「では、次の例。地上部隊からの航空支援要請を受けて120分以内に航空機が攻撃を開始する例だが…」
…ああ、素晴らしきかなキャンパスライフ。
世間の阿鼻叫喚の不況を暴風雨から遠く離れた学び舎で給料をもらいながら過ごすこの贅沢。
衣食住の保証に加えて給料まで出る、更には極めて実践的で先進的な理論に肌で触れることができる士官学校という理想の学び舎。
なぜ目の前の馬鹿のようにここの素晴らしさを理解できない人間がいるのか全く理解できませんね。
「諸君らは、騙されているのだ!」
はいはい、立てよ万国の労働者、団結せよウンタラカンタラ。
フランスの回し者ですね、憲兵隊が自白を強要したのかと思うくらい典型的なアカだ。
実に結構な口上だ、資料では警察署に火炎瓶を投げ込み銃撃。
共産主義のプロパガンダポスターを貼って回る程度ならまだ可愛げがあるが
目の前の銃殺隊の前にいるのは主義者で殺人犯だ、躊躇う必要がどこにある?
ぱぱぱっと撃ってチャチャチャッと終わり!
ある日、私が図書館に行くと…ああ、帝国軍士官学校の図書館というのは世界有数の蔵書を誇っております。
「これかね?ほう、“ブルシーロフ攻勢でのオーストリア軍の反応”
空軍士官学校の候補生がこんな題材に興味を持つとは意外だな」
さ、参謀モール!っていうかマンシュタイン将軍ではありませんか!
私の知る歴史ではドイツ最高の知将として後の参謀総長、これはチャンス!
ここで私の事を売り込めば空軍参謀として安全で快適な後方勤務への道が開ける!
「そう、固くならんでいいよ。ここには士官学校の卒業生としてきているのだからな。どうかね?」
「ふむ、では君も将来のドイツは前回以上の総力戦に巻き込まれると考えているのかね?それは我が国の軍備が現状では英仏を打ち倒すのに不足だと」
しまった!自分の口を縫いあわしてやりたい!
「はい、いいえ。我がドイツは先の大戦で世界の覇権国となりました、
しかしながら如何に我が国の軍事力が卓越しているとはいえ、あまりにも仮想敵国が世界規模で散らばっております。
陸軍はフランス、海軍はイギリスを相手取る事を前提としておりますが
不安定なロシア情勢を考えれば東部から兵力を引き抜くわけにもいきません。
ここに我が国の東南アジア、および中国大陸での権益を狙う日本。
友好国であるオランダ領インドネシアへの野心を隠そうとしないオーストララシアの存在。
更にインド権益にとって危険なガンジーのベンガル共和国などの潜在敵などの存在を考えればユーラシア大陸の広大な戦線で兵力を分散し各個撃破の危険性があります」
よし!よし!ドイツの軍事力は世界一ぃぃぃをアピールしつつも
戦線が広すぎるから仕方ない理論で補強。
「ふむ、では君なら具体的にどのような政策をとるかね?」
「はい、我が国の基本はドイツの存在によって利益を得る友好国を増やすことにあると考えております。
それには上にあげた列強の干渉によってそそのかされた反ドイツ勢力を主要国から駆逐する外交努力、軍事力を行使する場合は義勇兵の派遣などが考えられます」
史実でのスペインや南米での秘密任務や、先のロシア内戦へのドイツの干渉(調べたところではアドルフおじさんは東部戦線で21年に戦死していた)などからもわかるように
つまり“チームドイツ!ワールドポリス”みたいなノリである。
悪い共産主義者はイネェガァ!なノリで他人の家のドアを蹴破るのだ。
「ふむ、義勇兵か。どの程度の規模で?」
「あまりにも大規模では列強との摩擦を産みかねません、おおよそ大隊規模。
小回りが効き、世界規模での即時展開が可能。
かつ現地の地上兵力の支援を考えた航空部隊が適切だと考えます」
「空の義勇兵か、中々面白いアイディアだな。
だが、航空兵力だけでは戦争には勝てないだろう?」
「はい、即応部隊としての航空兵力で。現地勢力の地上部隊にドイツ軍が直接参加することは政治上難しいので軍事顧問の派遣が求められます。
ですがパイロットの養成は中小国家ではコストの面から難しいと考えられるので
場合によっては形式上退役したドイツ空軍のパイロットが必要と考えられます」
まぁドイツの政治力を考えれば身元を偽る必要はないと思うよ。
フライング・タイガースみたいに中立のはずのアメリカ人が日本軍機にバリバリぶっ放してた例もあるし。
要するにドイツ版のフライングタイガース構想、あるいはコンドル旅団。
「ふむ…学生の貴重な時間を使わせてしまってすまないな。
実に有意義な話し合いだったよ」
よし!よし!これで参謀本部との繋がりができた!流石だな、私!
そして一ヶ月後
『中国で内戦再び。上清天国、大清帝国を攻撃』
そんでこれだ。
「ターニャ・デグレチャフを少尉に任命する。
大清帝国支援航空義勇軍、コンドル軍団に参加せよ」
ファッ!?
次回、幼女中国へ逝く