Kaiserreichで幼女戦記   作:溶けない氷

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第6話

世界は発狂したのだろう。

こんにちは ターニャ・デグレチャフです

軍医殿によると墜落時のショックで私は重傷を負ったとのことで、この度東亜総合商社本社のある山東の軍病院で治療を受けられるとのことです。

入っててよかった民間の医療保険、セレブリャーコフ伍長も一緒に入院とのこと。

軍の良いところは高額の医療費が無料で良いところでしょう。

悪いところは空を飛ぶパイロットの場合はたいてい医療費が別の意味で無料になり、代わりに葬儀代になることですね。

あの後、戦闘はいつもの定期実弾訓練の域を超えて(毎回の“訓練”で死者が百単位で出る。中国怖ぇ)反乱軍の全面攻勢となりました。

塹壕に走りこんだ我々の上を95式軽戦車が通り越えていった時はまたも命の危険を感じたり、塹壕に飛び込んで来た敵兵(槍しか装備していない)を拳銃で撃った時にも命の危険を感じたりした。

しかしそれは単なる新たな地獄の始まりに過ぎなかった。

「ガス!ガス!着面しろ!」

反乱軍は塩素ガス砲弾をこっちの塹壕にぶち込んで来やがった!

ジェネーヴ条約はどこへやら、しかしこれは清からすればあくまでも反乱鎮圧に過ぎないため催涙ガスの使用は暴徒鎮圧では認められているという理屈らしい。

間抜けなことに、ドイツがBC兵器技術を清に渡すことを拒否しているため

日本かロシアから化学兵器を買い付けた反乱軍の方がこの点では優位に立っている。中国の田舎はあっという間に煙幕と毒ガス、硝煙が立ちこめ銃弾と砲弾が飛び交う暗い地獄になった。

「くそっ!連中、後方の野砲陣地まで回り込む気だな

何が時代遅れの宗教狂いだ!最新兵器で武装した正規軍だぞ!」

咄嗟に無線機で連絡しようとするが、清国の部隊はとっくに寸断され

塹壕は侵入して来た後続の敵歩兵に制圧されつつあった。

『後退!後退!』

まともに戦闘できているのはもはや外人部隊と義勇兵のみでありこのまま前方に止まれば私たち自身も置き去りにされる可能性がある。

「後退だ!嬢ちゃん、ついてこい」

外人部隊の軍曹の分隊が我々の退路を確保すべく後方の塹壕へと扇動してくれるそうだ。

「嬢ちゃん、ではない。デグレチャフ少尉だ」

「おっと、こいつは失礼。全く今時のドイツ人は何考えてんだか…

メリノヴィチ軍曹でさぁ。

上等兵!援護しろ、後退するぞ!撃ちまくれ!敵に頭を上げさせるな!

おい!砲撃支援はどうなってる!?無線手」

「駄目です、後方に浸透して来た敵兵の対処でどこも手一杯です!」

 

MG34が唸りを上げて敵方に銃弾を吐き出す。

「今だ、走れ!」

塹壕からぱっと飛び出し、手近な遮蔽物に飛び込む我ら外人部隊の面々。

「後退!後方の拠点にしてある、寺院まで下がれとの命令です!」

ヴィーシャがさっきヤられた無線兵の無線機を背負って這いずって来た。

「こちらに戦車と装甲車を送るとの事です、射撃援護の元後退せよとの事!」

なるほど、向こうからやってくる二号戦車が援軍か。

20mm機関砲がこれほどまでに頼もしく思えるとはな。

我々は戦車の援護の元、装甲車に転がり込み

奇跡的に五体満足で前線を離脱できた。

「こんな事がしょっちゅうなのか?」

「まぁ、年に4、5回ってとこですね。少尉さんは運が悪い.

気をつけろ!連中、ぱっと撃ってはぱっと消えるからな」

くそっ!運が悪いだと!六ヶ月契約ということは2、3回は確実に死にかけるということではないか!

騙された…何が楽な仕事だ!ああ、どうしてこうなったのだ。

後方の中国の寺院に交代した我々は寺院の周囲に防御陣形を築いた。

まぁ寺院というか寺院の残骸というか…

「ここも戦争が来る前は結構、風雅なところだったんですがね

連中が全部壊したそうですよ、邪教の寺院だってね」

どうやら文化大革命を待つ必要もなかったらしい。

対戦車砲を用意し、手元に収束手榴弾を用意しながら敵がまた前線を突破したという報告が入って来る。

 

「少尉!デグレチャフ少尉はいるか!?」

「はっ、デグレチャフ少尉ここに!」

 

「爆弾がようやく届いた!今すぐ50kgを八発敵の重砲陣地にぶち込んでこい!」

「重砲!?敵に重火器はなかったはずでは!?」

「相手だってバカじゃない、どっかから調達したんだろ。

とにかくパイロットが手一杯だ、セレブリャーコフ伍長も一緒に行け!」

今も陣地の周辺に重砲がズドンと落ちてきた。

「くそっ、今のは100mmクラスだぞ。

連中の方が装備が新しいなんて、聞いてないぞ」

 

後方の飛行場まで年代物のT型フォード(キュベルワーゲンはまだ無い!)で乗り付けると、そこにはピッカピカの複葉機であるHs123が待っていた。

「少尉!清に納入されたばっかの新型ですからね!壊さんでくださいよ!」

「少尉!一緒に頑張りましょうね!」

整備員と伍長が励ましてくれるが歴史を知る私からすればメッサーシュミットが欲しいところだ。

例え初期型で機銃が2丁しかついていないとしても。

空へ舞い上がった我々は時速250kmまで加速。

880馬力の強力なBMWエンジンのおかげで複葉機ながら加速は実に良好。

あっという間に下で砲弾が炸裂し続ける戦場に到着する。

 

単座とはいえ爆撃機なだけにでっかい無線機を積んでいるおかげで感度は良好。

『ピクシー2、5km先に敵の野砲陣地だ。ピクシー1、先行して敵重砲を叩く。

我に続け』

「ピクシー2、了解」

我々2機は連続して敵重砲陣地への緩降下投下体制に入る

50kg爆弾十六発を食えばただでは済まない。

『注意!対空砲火!』

「もう投下体勢だ、構うな!」

下からはこちらに気づいた敵が機銃を盛んに打ち上げて来る。

「投下!投下!」

爆弾十六発が投下されると、機を持ち直して大急ぎで離れていく。

『命中!少尉、敵の野砲は沈黙しました!』

見ればパンパンと下で敵の積んであった砲弾が誘爆しているのが見えた。

これで、下の連中もひとまずは息をつけるだろう。

『敵機!2時の方向!上方1000!』

上を見上げれば今度はまたもや敵の戦闘機が迫ってきていた。

 

(なっ!95式の次は96式だと!?ここは日本軍の最新兵器のモデルルームか!?)




1936年現在
九二式十糎加農 1935年正式採用
95式戦闘機 1935年採用
96式艦上戦闘機 1936年採用
列強の最新兵器が内戦で試験運用されるのはテンプレ
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