Fate/grace overlord 作:ぶくぶく茶釜
しばし気分を落ち着ける意味で会話を止めてお菓子などを取り寄せた。
宝具は思い切って消してみた。
つい先刻まで出来たことなのでいきなり宝具が出せなくなる事は考えにくい。むしろ二個出せるようになっていたら驚きだ。
「空腹知らずのサーヴァントという話しだけど……。トイレは使うのよね?」
「……それなりに……」
ペロロンチーノは既に追い出しているので部屋には女性しか居ない。
聞きにくい話題の筈だが遠慮しない所に驚くアタランテ。
確かに人並みの新陳代謝が起きるようで食べたら出る身体だという事は初期から気付いて驚いたものだ。
「召喚モンスターの
ぶくぶく茶釜がどもる。
身体が
自分達は元々はゲーム内のアバターである。それが転移によって自分の身体のように扱えているのは前々から疑問だった。それと同じ事がアタランテ達、サーヴァントにも起きているのではないかと思われる。
自分の記憶を保持したまま別の存在へと成り代わる。
その点では納得出来るのだが原理までは分からない。というか分かっていれば自分達も苦労はしていない。
能力だけは引き継がれ、身体の機能だけは生物的、というか受肉したとでもいえばいいのか。
とにかく、本来の原理や規則を逸脱している。
ありえてはいけないことが起きた。
「……飲食不要のサーヴァントなら排泄はしないわよね。それが出来るようになった」
それはつまり
異世界は何でもありな傾向があるが、解決不能は本当に勘弁願いたいものだと強く思う。
「自分達の知らないサーヴァント召喚……。貴女達ってマスターとかに召喚されるのよね?」
「うむ。我らの
それと同じ事が『ユグドラシル』のプレイヤーに起きたと考えると妙に納得出来る。
そんなに簡単に答えが出るとは思えないけれど、ある程度の時間差が生じているのでこの世界に古くから歴史が積み重なっている。
大元の召喚者が居る、または居た。
それが誰かは誰にも分からない。
それはそれとして今回は大量の召喚が
規模も最大級と言える。
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原因はどうあれぶくぶく茶釜たちには手に負えない案件なのは理解した。
起きてしまったものはどうしようもない。次に考えるべきは帰還方法と衣食住の確保だ。その後に仕事となる。
自分たちでさえ長く困難な状況だったものを他人に希望を指し示す余裕など最初からありはしない。
「……帰還に関してはどうでもいいけど……。後から来た人には一大事よね、普通……」
腐るほど英雄が居る状況。
この世界に永住する場合は各々が覚悟を持たなければならない。それと知名度のある英雄が見知らぬ土地で困っている事に対して誰か良い妙案でも考えてほしい。
「英霊は聖杯の為に戦い、消えていく」
第二の人生を歩むためではない。
令呪無き今、誰にも縛られる事無く自由意志で行動できるのであれば自分の足を進める選択が堅実ではないのか。
そう思ったところで元々サーヴァントとして召喚された経験が色々と邪魔をしている。
自分が何の為にこの地に呼ばれたのか、それが一番知りたい事だった。
「……命令する者が居ないのであれば聖杯に固執する必要は無い。そうだとしても……、まだ自分はサーヴァントだと思っている。……いや、そう思い込んだまま離れられない」
現に宝具が使えた。
だからといって他のサーヴァントを倒す動機にはなりえない。
仮に七騎のサーヴァントを倒したとして聖杯が現われなければただの殺し合いで終わってしまうし、とても虚しい気持ちしか残らない。
「………。人間ではない身体の我々が君達にかけられる言葉なんて……、殆ど無いけれど……。弟と同じ事を言うかもしれないけれど、人体再生の実験に付き合ってくれる、と言ったら応じる?」
「……腕だけでは物足りないか」
身体を欲するのであれば腕だけで満足する筈が無い。
それよりも薬品による従属などを想像していたが、それよりも尚おぞましく、また実に効率的な要望には脱帽だ。
下手な人体実験よりも安全で確実なのは理解した。
「……痛いのは好かんな。普通に考えても断りたいところだ」
腕を頂戴と言われて素直に応じられない。また、人並みに痛みは感じる。
いくら治癒の魔法があるからとて平気でいられるわけがない。
せめて尻尾とか触る程度なら妥協出来る。あと、ぶくぶく茶釜が酸性の能力を持っていないことも祈る。