Fate/grace overlord 作:ぶくぶく茶釜
サーヴァントという特殊な存在を欲する彼らの目的。それは本当にただの収集でしかないかもしれない。そして、それを成すだけの実力を持つ者達にアタランテは抗える自信が無い。
それでも彼らは強引な手を使わずに交渉してきている。
聞き様によっては上から目線による恐喝とも取れる。
今のところ拒否権はあるようだが欲望を抑えられていないせいで何度も同じ質問を受ける事になっている。
欲しいものが目の前にあるのだから仕方が無い。
自分であれば獲物は絶対に逃がさない。
「……増やせる宝具に群がる様を見れば……、我らも同じか……」
深くため息を突く麗しのアタランテ。
拒否すれば敵として襲いかかれる。
そうだとすると疑問が生まれる。
収集癖の無い自分にはうかがい知れないがサーヴァントといえば宝具。それを持って何を成したいのか。
単なる趣味だけか。
「……収集は
尋ねてねれば簡潔明瞭な答えが返ってきた。
後の世界において武具とは観賞用に成り下がる。
宝具で世界を救うのではなく、一般に開放する。
平和な世界に兵器は要らない、という意味ならば理解出来るのだが。
自分達の生きていた年代は闘争に明け暮れていた。だから平和な世界の理が理解出来ない。
「宝具はサーヴァントと一心同体のようだから君たちが消えれば武具も消える。けれども消えない処置を施せばまだチャンスがあると思う」
他人に使われて世界が滅びるのであれば不本意極まりない。
他人に使えない専用宝具ならば問題は無い。
「……生きたまま解剖されるような事は遠慮したい。……だが、それを選べば強引な手を取られる口実が出来上がる」
「そうね。でも、痛い思いをさせない方法は確立されているわ。近所……、というには少し距離があるのだけれど……。
聞いているだけで物騒極まりない。
床一面が血まみれになる映像を幻視してしまった。
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嫌な話しばかり続いた後はぶくぶく茶釜の部屋で休ませてもらえる事になった。アタランテとしてはとても不安ですぐに眠れる筈が無い。
身の回りの世話をするメイドがとても物騒な存在にしか思えない。
「……はぁ」
服を脱ぎつつ薄着に着替える。
そういえば身につけていた服のデザインが欲しいと言われていたのでメイドに渡しておく。
「そのまま戻ってこない事は……、無いよな?」
「型紙に起こしたり、図を描く程度だと思いますよ」
仮に持ち帰られてもこちらから消せる。
「ぶくぶく茶釜様はご自分のベッドをお使いになられません。毎回、清掃する我々を気遣ってのこととは思いますが……。一部の備品について至高の御方のものであってもお客人に使わせよ、と命じられております」
定型分を読み上げるようにメイドが言った。その表情は微笑んでいたが見た感じでは怒っている雰囲気は無かった。
寝巻きに着替えたアタランテはベッドの上に乗る形となった。
大の字で寝転がり、黒い岩壁の天井を見つめる。
中空に浮かぶ照明は命令によって自在に点灯する。点けるかどうかはメイドに任されていた。
眠るまでは部屋担当のメイドが付き従う形だ。
それから静かな時間が流れ、アタランテが寝息を立てたところで彼女の身体に掛布団をかけ、消灯してからメイドは部屋から静かに退出した。