あなたへおくる物語   作:紫炎.2

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一日を終えて、目覚めた明久達。この村に起こっている事態とは?

それでは、どうぞ。


第10話:目が覚めて・・・

「・・・・・・知らない天井だ」

 

僕は目が覚めると、そこはいつものアパートの自室の天井ではなく、木造造りの屋根だった。何でだろうと思いつつもボンヤリしていると、ヒュンと風を斬るような音がした。何かなと思い、起き上がる。

 

「う~ん・・・・・・あれ?」

 

目を擦りながら周りを見ると、見たことのない障子や畳があり、自分の部屋ではないことがわかる。

 

「えっと・・・・・・確か・・・・・・」

 

不思議に思い、何があったのかを思い出そうとした時、またヒュンと風を斬る音がする。音が鳴る方を見ると、土間の方で誰かが素振りをしていた。若干ボンヤリとしつつも、よく見ると、一人の少年が竹刀で素振りをしていた。

 

「・・・・・・あっ、思い出した」

 

少年こと弥彦君のことを見て、昨日までのことを思い出す。帰りの駅がなくなったこと、魔物に襲われ、助けられたこと、そしてこの村の異常事態と彼の家に泊めてもらったこと等を。

 

「昨日だけで色々なことがあったなぁ・・・・・・」

「おっ、目が覚めたか」

 

昨日のことを改めて思い出していると、僕が起きていることに気づいた弥彦君が声を掛けてきた。彼は素振りをしたあとか、とてもすっきりとした表情である。僕はまだ寝ている当麻と雄二、さやかと緋村さんを起こさないようにしながら、弥彦君がいる土間の方に向かった。

 

「うん、おはよう」

「おう、おはようさん。眠れたか?」

「まぁ、何とかね」

 

若干、体がだるいけど、昨日よりはマシだ。これなら今日一日、しっかり動ける。僕はみんなを起こさないようにしながら、弥彦君の方に向かう。

 

「いつもこんな時間から素振りを?」

「まぁな。剣心みたいな強い侍になりたいからな」

「侍?」

 

そういえば弥彦君は昨日から侍を目指しているとか言っていたような気が・・・・・・気になったので聞いてみることにした。

 

「昨日から侍になりたいって言っていたけど・・・・・・」

「おう。何だ、お前も侍になりたいのか?」

「いや、あった時から気になってね」

「つまり侍になりたいって事か」

 

侍について教えてやるよと弥彦君はそこに座れと言う。だから違うだけど・・・・・・そう言っても聞いてくれそうもないので、おとなしく座って話を聞く。

 

「いいか、侍ってのはな・・・・・・」

「うん」

「・・・・・・とにかくすごいんだよ!」

 

説明もへったくれもない言葉にガクッとなる。弥彦君・・・・・・自信満々なのは分かるけど、それじゃあ、何も伝わらないよ。弥彦君は申し訳なさそうな顔をして、頭を掻く。

 

「悪いな、良い感じの言葉が思いつかなくて・・・・・・」

「いや、別に良いよ」

「剣心なら、ちゃんと話してくれると思うけどなぁ・・・・・・」

「拙者がどうしたでござるか?」

 

後ろから声がして、僕と弥彦君が振り返るとそこには寝間着姿の緋村さんがいた。体調が良いのか、とても自然な笑みを浮かべている。

 

「剣心! もう傷は大丈夫なのか?」

「もう大丈夫・・・・・・と言いたいところでござるが、まだ傷は疼く」

「そうか・・・・・・やっぱり市販のクスリじゃあ駄目なのか」

「それでも昨日よりは大分マシになったでござるよ」

「そうか・・・・・・良かったぜ」

 

緋村さんの具合を聞くと弥彦君は胸をなで下ろした。すごく心配だったのがよく分かる。緋村さんは弥彦君を安心させた後、僕の方を見る。

 

「しっかりと眠れたでござるか?」

「はい、それなりに・・・・・・」

「拙者達も間借りしている身でござるから、人数分の布団しかなかったのだ」

「それはしょうがありませんよ。急に押しかけてきたのはこちらですし・・・・・・」

 

申し訳なさそうにする緋村さんに、僕はそんなことないと頭を振る。本来なら、宿屋に泊まって一晩過ごす予定だったのだが、宿屋に泊まれず押しかけるように来たのはこちらの方なのだ。

 

「何だ・・・・・・何を話しているんだ・・・・・・」

「ふぁ~・・・・・・一体何だよ・・・・・・」

「う~ん・・・・・・何事・・・・・・」

「あ、みんなが目を覚ました」

 

土間の方で話をしていると、眠っていた三人が目を覚ました。三人はまだ眠いのか、目元を擦ったり、体を伸ばしたりしている。

 

「ふむ、丁度皆も起きたであるし、朝食でも作ろうか」

「あ、手伝いますよ」

「いやいや、お客人に手伝わせるわけには・・・・・・」

「むしろ手伝わせてください。泊めさせてもらったお礼に」

「ふ~む、それなら手伝ってもらおうか」

「ていうか、剣心は横になってろ」

「おろろ・・・・・・」

 

弥彦君に言われて緋村さんは居間の方に戻っていく。入れ替わるように三人がこちらにやってくる。

 

「手伝うぞ」

「いいのか?」

「さっき明久が言っただろ、泊めてくれたお礼だって」

「そうそう。私たちも手伝わせて」

「わかったよ。じゃあまずは・・・・・・」

 

そう言うと弥彦君は土間にあるキッチンの使い方を僕たちに教えながら、料理を進めていった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「なぁ、緋村さん」

「何でござるか、え~と・・・・・・」

「坂本雄二だ。どうしてあの男性は家を壊しているんだ?」

 

朝食を食べた後、昨日から疑問に思っていたことを雄二が緋村さんに尋ねる。僕もそれはずっと気になっていた。

 

「ふむ・・・・・・あれでござるか」

「どう見ても普通じゃないですよね。自分の家を泣きながら壊すなんて・・・・・・」

「狂っているのかと言われたら、そういう風には見えなかったですし」

 

さやかと当麻が僕たちが思っていることを言う。二人の言うとおり、あれは異常事態としか言いようがない。あんな泣きながら家を壊すなんて・・・・・・緋村さんは改まった顔つきで話し始める。

 

「先に言っておくでござるが、アレは気が狂ってあんなことをしているわけではござらぬ」

「あ、やっぱりそうなんですね」

「うむ・・・・・・アレはこの地に現れた魔物の仕業でござるよ」

「魔物?」

 

魔物って・・・・・・あの村の外にいたあれらかな。確かに強いし、恐ろしいけど・・・・・・

 

「それって、外にいる奴らですか?」

「いや、もっと力のある魔物でござるよ」

 

さやかの疑問に緋村さんは違うと首を振り、違う魔物がいることを話す。

 

「拙者達も又聞きでござるが、その魔物は突如この村に現れたそうだ」

「村の近くの民家を木っ端みじんにした後、『命が惜しかったら、お前達の居場所を自らの手で壊せ』って命令したらしいんだよ」

「なるほど・・・・・・」

 

突然現れた村の外から現れた魔物によって脅威にさらされたということか。信じがたい話だけど、今の村の現状を見ると納得してしまう。

 

「警察とかはいなかったんですか?」

「近くに交番があったらしいだけど、連絡がとれないみたいだぜ」

「恐らく、その魔物の仕業でござろう。来る者拒まず、出る者逃がさず、とな」

「俺たちも電車でここの近くまで来たしな・・・・・・」

 

緋村さんの言葉に、当麻は頭を掻きながら同意する。それって、つまりここから帰れないって事・・・・・・?

 

「ねぇ・・・・・・つまりさ、私たち帰れないって事・・・・・・?」

 

僕が思った不安をさやかがとても不安げに言う。さやかの言うとおり、その魔物がいる限り僕たちは帰れないと言うことになる。それは・・・・・・嫌だ。

 

「安心されよ。後日、拙者がその魔物を倒しにいくつもりでござるよ」

「えっ・・・・・・本当ですか?」

「おい、剣心!?」

 

緋村さんの言葉に勇気づけられるも、慌てて弥彦君が咎める。そういえば、確か緋村さんは・・・・・・。

 

「お前! その魔物に敗北して、今の大怪我負ったのを忘れたのかよ!?」

「それはまだ、魔物の情報がなかったからで・・・・・・」

「ふざけんな! 俺の目が黒いうちはそんなことさせねぇぞ!」

 

そう、緋村さんは体に大きい切り傷を負っている。そんな状態じゃあ、やられにいくようなものだ。言い渋る緋村さんに絶対行かせないと言い張る弥彦君。

 

「とにかく! アイツが特効薬を取ってくるまでの辛抱だ! それまで寝てろ!」

「いや、だがな、弥彦よ・・・・・・」

「い・い・な!」

「う、う~む・・・・・・」

「「「「“アイツ”?」」」」

 

急に二人の会話に出てきた“アイツ”という言葉に僕たちは首を傾げる。アイツって・・・・・・誰のことだ?

 

「ねぇ、弥彦君」

「あぁん? 何だよ?」

「アイツって・・・・・・一体誰のこと?」

「あぁ・・・・・・雪代縁だよ。白髪の」

「「「えぇ!?」」」

 

思わぬ人物の名前に驚く。雪代さんって・・・・・・あの!?

 

「白髪で丸眼鏡をかけていて」

「妙に細長いバットケースを担いでいる!?」

「お、おう。多分そうだけど・・・・・・何だ、知っているのか?」

「う、うん。僕たち、魔物に襲われていたところを助けてもらったんだよ」

「その後、この村まで守ってもらって・・・・・・」

 

本当にあの人には感謝してもしきれない。できればもう一度会って話をしたいし、お礼も言いたい。

 

「へぇ~。素っ気ない奴だったけど、アイツも侍なんだな!」

「侍かどうかはわかんねぇけど・・・・・・少なくてもいい人だよ」

「・・・・・・そうでござるな」

「そうそう! それにアイツがいなかったら剣心は今頃死んでいたかも知れないし」

「えっ、どういうこと?」

「アイツ、重傷の剣心を魔物がいる塔から安全な場所まで連れて行こうとしたんだよ」

 

雪代さんのことを嬉々として話す弥彦君に僕たちも頷く。素っ気ない人だったけど、やっぱりいい人だったんだなぁ、あの人。さやかに当麻も一緒に頷く。

 

「・・・・・・」

「どうしたの、雄二。それに緋村さんも」

「いや、何でもねぇ」

「うむ。何でもござらぬよ」

 

雪代さんのことで盛り上がる僕たちに対して、緋村さんと雄二は神妙な面持ちで考え込んでいる。一体どうしたのだろうか。

 

「つまり、この村には強力な魔物が現れて、村に理不尽な要求を叩きつけている。そして、緋村さんはその魔物を倒そうとしたが、返り討ちに遭い、重傷を負って養生しているって所か」

「うむ、そうでござる。あと、拙者のことは気軽に剣心と呼んでも構わんよ」

「んじゃ、剣心さん。次の疑問だが・・・・・・」

 

雄二が話を纏めて、話を変える。次の疑問って・・・・・・何かあったかな?

 

「その傷は普通に養生していれば治るのか?」

「この傷でござるか・・・・・・」

 

傷のことを言われて、剣心さんは胸に手を当てる。そっか、魔物退治に行くなら万全な状態で行くべきだよね。でも朝の話を聞いた感じだと、完治していないようだったけど。

 

「確かにこの傷は普通の傷ではござらぬ。一般の医薬品を用いても傷口が塞がらぬし、しばらくすると血が出血し始める」

「えっ? それってやばいんじゃ・・・・・・」

「だが、村の者達の精神状態も限界に近い。全員日差しを拝めず、泣きながら家を壊す住人をみて、不安で夜も眠れぬ者も現れている状態だ。もはや、一刻の猶予もない」

「でもよ、万全の状態の剣心でもやられたんだぞ? なのに、そんな状態で行ったら間違いなく返り討ちに遭うのが関の山だ」

「しかし・・・・・・」

 

言い渋る剣心さんと心配だからと説得する弥彦君を見て、どうすればいいのだろうと僕は思う。確かに昨日の村の人の様子だと、他人を気遣う様子もなく、余裕などない状態だ。だからと言って、剣心さんの今の状態だと返り討ちに遭う可能性の方が高い。せめて、怪我だけでもどうにか出来れば・・・・・・。

 

「なぁ、その怪我ってもしかして呪いのようなものか?」

「うむ? 恐らくそうでござるが・・・・・・」

「じゃあさ、俺に任せてくれないか?」

 

みんな悩んでいると、突然当麻が話し始めた。当麻がどうにかって・・・・・・あっ、そうか。

 

「「幻想殺し(イマジンブレイカー)!」」

「あぁ」

「「「幻想殺し(イマジンブレイカー)?」」」

 

そうだよ、呪いとかだったら当麻の出番だ。当麻の幻想殺しなら、剣心さんの傷を治せるかも。幻想殺しを知らない雄二と弥彦君、剣心さんを前に、当麻は右手を前に出す。

 

「俺の右手には幻想殺しって力が宿っていて、どうゆう理屈か分からないがあらゆる異能を問答無用に打ち消す能力が備わっているんだ」

「えっ、マジで?」

「うん。しかも生まれた時から備わっていて、魔法とかも打ち消しちゃんだって」

「回復魔法まで打ち消しちゃうから、一概に便利とは言えないんだけどね」

「だから、剣心さんの傷が魔法とか呪いとかようなものだったなら、俺の幻想殺しで治せると思うんだ」

 

当麻の話に考え込む剣心さん。まぁ、急に言われても信じようがないからね、こんな話。普通の人なら眉唾物だし。でも、それで治るのなら・・・・・・

 

「あの、剣心さん」

「何でござるか、吉井君」

「信じがたいのは分かりますけど、ものは試しというわけにはいかないでしょうか?」

 

昨日見た剣心さんの怪我はとても痛々しく、傷クスリを塗る弥彦君も辛そうにしていた。出来れば早く治して、弥彦君を安心させたい。

 

「傷は早く治る方がいいですし・・・・・・」

「そうでござるな・・・・・・では、お願いするとしよう」

「あっ、はい! それじゃ、早速・・・・・・」

 

当麻はそのまま右手を剣心さんの胸に当てる。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・何も起こらねぇぞ」

「えっと、当麻?」

 

あまりにも何も起こらないため、さやかが訝しげに当麻に尋ねる。当麻はゆっくりと右手を離していった。

 

「当麻?」

「・・・・・・剣心さん」

「・・・・・・う、うむ。なるほど、確かに効果はあったようだ」

 

剣心さんが意味ありげに呟いた瞬間、剣心さんが着ていた服の胸の辺りが急速に赤く染まり始める・・・・・・って、血!?

 

「なっ!? おい、剣心!?」

「慌てる必要は・・・・・・ないでござるよ。確かに呪いは消えた」

「消えたって・・・・・・でも、出血が!?」

「消えたから、正常に血が出始めてきたのか!」

 

思わぬ事態に僕たちは驚くものの、急いで治療を開始する。とりあえず知っている限りの応急手当を施して、剣心さんの出血を抑えにかかった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「とりあえず応急処置は終わったが・・・・・・」

「本格的な治療をしたわけじゃないから、いつ急変してもおかしくない状況だよね」

「すまん・・・・・・俺のせいで・・・・・・」

「当麻のせいじゃないよ」

 

応急手当を終えて、僕たちは横になった剣心さんから少し離れて話す。正直、当麻の力が発動すると同時に大量に血が出血し始めるとは思っていなかった。剣心さんの方を見ると、弥彦君が心配そうに剣心さんを見ている。

 

「とにかく、このままじゃあまずい。早く、医者に診てもらった方が良い」

「じゃあ、私。医者を探してくるね!」

「あ、待て! 俺も行く!」

 

さやかと当麻は家を出て、医者を探しに行く。残った僕と雄二はとにかく他に薬はないか、家の中を探すことにした。

 

「どうして傷から出血し始めたんだろう。しかも、あんなに大量に・・・・・・」

「お前達の言う幻想殺しがしっかりと働いた結果、正常に出血し始めたんだろうな」

「だからってあんなに・・・・・・」

「呪いのせいで緩やかに出血していただけで、元々は深い傷だからあんな事になったんだろうな」

「そんな・・・・・・」

 

雄二が僕の疑問に答えてくれたけど、もしそうなら、当麻が一番傷つく。当麻は誰かを助けることに一生懸命に動く奴だから、自分の力が発動した結果、こんなことになったと知ったら・・・・・・。

 

「呪いを払ったとしても、傷跡の大量出血で相手を死に至らしめる・・・・・・これを掛けた奴は相当性根がひん曲がっているぜ」

 

この事態に雄二は苦々しげに顔をしかめる。僕も雄二と同じだ。こんな二重の罠のような呪いを掛けた奴のことを許せない。

 

「・・・・・・グリーンストーンさえあれば」

 

他に医療道具がないか探していると、弥彦君がぼそりと何かを呟く。グリーンストーン?

 

「何だそれ」

「万能の傷薬だ。それさえあれば、剣心の傷を治せるんだ」

「そんなものが・・・・・・」

 

万能の傷薬なんて聞いたことないけど、もしあるのなら・・・・・・僕は物探しをやめて、弥彦君の方に近寄る。

 

「それはどこにあるの?」

「この村から南にある龍山坑道の奥にあるって・・・・・・」

「わかった」

 

この村の南か・・・・・・僕は立ち上がり、玄関に向かう。

 

「おい待て、明久」

「なに、雄二」

「どこに行く気だ?」

 

外に出ようとした時、雄二に腕をつかまれて止められる。雄二はこちらを咎めるかのように見ており、それが若干苛つく。

 

「放してよ」

「先に俺の質問に答えろ」

「・・・・・・龍山坑道に向かう」

「お前・・・・・・自分が何を言っているのか分かっているのか?」

「うん」

 

雄二はなおも腕を放さずに話し続ける。僕としては早く行きたいので、放して欲しいのだが・・・・・・。

 

「龍山坑道は村から南にあるんだよな」

「弥彦君の話だとね」

「つまり、村の外に出るってことだ」

 

その意味が分かっているのかと雄二は目で訴えてくる。僕だってその意味は分かっている。

 

「このままじゃあ、剣心さんの命が危ないよ! だから・・・・・・!」

「一人で行って、確実に取ってこれる保障はあるのかよ!」

「保障は・・・・・・ないけど。でも!」

「それでも行きてぇと?」

「・・・・・・うん」

 

行くのを咎めてくる雄二の言葉に僕はどうしても行くと言葉に力を込める。事態を察してか、弥彦君もこちらの方に来る。

 

「吉井・・・・・・坑道に行くのか?」

「うん・・・・・・グリーンストーンがあれば、剣心さんの怪我も治るんだよね?」

「あぁ。村の奴の話が本当ならな」

「なら、取りに行くしかないよ」

「それなんだけどよ・・・・・・」

「・・・・・・ハァ~、しょうがねぇな」

 

弥彦君と話していると雄二がため息を吐く。その後、顔を上げてこちらを見据える。

 

「お前一人じゃあ不安だから、ついて行ってやるよ」

「えっ、いいの? 危ないよ?」

「今更何を言ってやがる。その危ないところに突っ込んでいこうとした奴が」

「うぅ・・・・・・」

 

痛いところを突かれてしまい、僕は何も言い返せなくなる。いや、だけど・・・・・・他の誰かを危険な目には合わせたくなかったので、雄二の同行は遠慮したい。

 

「でも・・・・・・」

「それにこれ以上お前一人だけで行かせるかってんだ・・・・・・」

「えっ、何か言った?」

「何でもねぇよ! ほら、行くぞ!」

 

何か小さな声で呟いた気がするけど、雄二は誤魔化すようにさっさと外に出て、どんどん先に進んでいく。僕は慌てて雄二の後を追う。

 

「ちょ、待ってよ! あ、弥彦君! それじゃあ、行ってくるから!」

「あっ、おい! 待てって! 話を聞けよ!?」

 

弥彦君が何か言っているようだったけど、雄二はどんどん先に進んでいくので、僕は雄二の方を追うことにした。目指す場所は龍山坑道のグリーンストーン。剣心さんの怪我を治すために、頑張らないと・・・・・・!

 

僕は固く決意し、雄二と一緒に龍山坑道に向かった。

 




今までで最長になりました。本当に長くなるなぁ・・・・・・。

龍山坑道に向かう明久と雄二に待ち受けるものは何なのか?

次回をお楽しみに。
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