あなたへおくる物語   作:紫炎.2

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で、できたぁ・・・・・・今年中に第一章が終わったぁ・・・・・・

とりあえず、どうぞ。


エピローグ:遺したもの

「・・・・・・これでよし、と」

 

柔らかな日差しが差し込み、心地よい風が周囲を駆け巡る。ここは明久たちが駅から歩いてきた森の中で、その奥にある大きな花畑に明久たちはいた。

 

「これでアイツも安らかに眠ることができるだろう」

「感謝する、草壁殿」

「いえ、これぐらいならお安い御用ですよ」

 

あの戦いから村へと戻り、一日が立った。元凶の魔物を討伐したことを告げると、村の人たちは歓喜に満ち溢れた。すでに空から照らす太陽に涙する人たちもおり、村を挙げて宴をすることになった。その中で明久たちは草壁だけに何があったのか、本当のことを話した。その翌日、弥彦には内緒で明久たちは森の中にあるお墓の横に縁の墓を作ることにした。

 

「結局、私はあいつに何もしてやれなかった。せめて、墓ぐらいは作ってやらないと」

 

出来上がった墓に触れながら、草壁はしみじみと彼を想うように口にする。長い間心配していた親友が、今回の事件の真犯人で、自分を含め魔物の姿に変身してまで、復讐しようとしていた事実に彼はいかなる心境か、明久たちには思い図ることはできない。

 

「私が医者になったのは、あいつがボロボロになって帰ってきたときに、それを治してやりたいと思ったから。だが・・・・・・その前に、あいつを探し出して話を聞いてやればよかった。そうすれば・・・・・・もう少し違う未来になっていたのかな?」

「それは・・・・・・わかりません」

「そうだね・・・・・・もしかしたら、なんて未来はない。今は目の前の現実を受け止めなくちゃね」

 

複雑な表情の草壁の言葉に、誰も明確な答えを出すこともできなかった。そのまま彼は二つの墓の前で手を合わせ、明久たちもそれに倣って手を合わせる。しばらく黙祷を挙げたのち、草壁は立ち上がり明久たちの方を向く。

 

「帰るのかい?」

「はい。そろそろゴールデンウィークが終わりますので」

「書きたいこともたくさんありますから」

「考えさせられることもあったしな」

「それにあのまま村にいることはちょっとな・・・・・・」

 

あのまま村にいるのは明久たちにとって居心地の悪い感じがして、少々きついものがあった。

 

「そうだね・・・・・・まぁ、しょうがないことさ。実際に良い話じゃないことだしね」

 

あの時語った縁の話が本当のことだったことを草壁から確認を取れたのだ。あの日、雪代巴を見捨てたこと、にも関わらず彼女を英雄として祭り上げ、それで彼女への償いとしたこと。まだ子供の明久たちにとって、その真実は受け入れがたいもので、村人に対する不信感に繋がるものだった。

 

「剣心さんはどうも思わないんですか?」

「拙者としても思うところはある。だが、そういうものだと割り切るしかないのだ」

「俺は・・・・・・割り切ることはできません」

「それもまた答えだ。結局のところ、自身が納得できるか否かということなのだから」

 

果たして村人の行いは悪かったのか、雪代縁の復讐は正しいものだったのか、明確な答えのない問題を前に、一人の人間ができることは自分自身が納得できる答えを出し、それを信じ続けるしかない。割り切れないという当麻の言葉に、剣心は諭すように話す。

 

「自分自身が納得できるか否か・・・・・・か」

「確かに・・・・・・そうするしかないな」

「時間がかかるかもしれないけど、そうするしかないね」

「それに・・・・・・遺してくれたものもありますから」

 

当麻、雄二、さやかが各々頷く中、明久は縁から受け取った倭刀を握りしめる。それは彼が死の間際、明久に譲ったものだ。

 

「僕はこの刀を大事にしなくちゃいけませんから」

「本当ならあいつの墓の横にでも置いておきたいところだけど、君に託したということならば、君が持つべきだろう」

「本当、大事なものを託されたよね」

「帰ったら登録をしないとな。そのまま持っていたら銃刀法違反だ」

「わ、わかっているよ」

 

固い決意を示していた明久だったが、雄二にくぎを刺され少々たじろぐ。彼の言う通り、ちゃんと登録しないと銃刀法違反になってしまう。

 

「ハハッ。まぁ、それは帰ってからにしなさい」

「はーい」

「そういえば、弥彦には言わなくていいのか?」

 

実をいうと、明久たちは弥彦にはまだ本当のことを話していない。内容が内容だったので、彼に話すのはどうかと思われ、本当のことを話していないのである。

 

「あの時に話せば、無用な混乱を招く恐れがあったからな。弥彦には拙者から後で話すつもりだ。」

「話して大丈夫なんですか?」

「弥彦はお主たち同様、縁のことを慕っていたからな。話さぬわけにはいかぬだろう」

 

話した時の状況を思ってか、剣心は苦い表情を浮かべる。弥彦の性格からして絶対に荒れることが想像できる。明久たちも一緒にいてあげたいところだが、今日帰らなければゴールデンウィーク明けの学校に間に合わない。

 

「弥彦のことは心配しなくてもいい。お主たちは自分たちの家に帰るといい」

「あぁ、その通りだ。それに一週間近く村にいたんだ。ほかの友達も心配しているだろう?」

「そういえば・・・・・・」

「早く帰って安心させないと」

 

一週間近くも他の友達、承太郎や土御門など連絡を取っていないことに気づき、早く帰らねばと思う。明久たちは最後に縁と巴、姉弟が並ぶ墓の前で中腰になる。

 

「縁さん、この約一週間お世話になりました」

「色々辛いことや悲しいこともあったけど、学んだこともありました」

「俺たちはあなたに何をしてあげられたのか分からないけど、色々なことを考えるきっかけになりました」

「あんたから託されたこと、学んだことはずっと忘れない」

 

改めてお世話になりましたと四人は告げて、立ち上がる。そして、草壁と剣心の方に向き直る。

 

「剣心さん、草壁さんもお世話になりました」

「いや、拙者の方こそ世話になった。しばらくはこの村にいるから、また会いに来るといい」

「私は今後もこの村で医者を続けるつもりだ。何より、この二人の墓を守ってあげたいからね」

 

今度こそと草壁は固い決意を誓う。四人は二人に一礼し、駅があった方に向かっていった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「・・・・・・なんだか不思議な冒険だったよね」

「冒険?」

「うん、冒険」

 

丁度駅に電車が来ており、急いで乗ったあと明久たちは向かいの四人席に座ってくつろいでいた。そんな中、さやかがポツリと一言呟く。

 

「本来なら一泊二日の歴史勉強をして帰る予定だったのに、思わぬハプニングに巻き込まれて、そのままズルズルと一週間近く村に滞在しちゃった」

「そうだな・・・・・・今にして思えば、普通じゃああり得ない体験をしたんだよな」

「うん。学園都市ではできない出来事ばかりだったよね」

「まぁな。学園都市もそれなりに魔境だが、今回の出来事はそれを上回ることだったな」

 

何が起こったのか、改めて実感する明久たち。一泊二日の旅行のつもりが、魔物と戦うというファンタジーに巻き込まれ、そこで歴史の中に埋もれていた真実にたどり着いた。まるでフィクションのような話だ。

 

「今まで学園都市で起こっていた喧嘩や争いが嘘のように感じてしまうよ」

「まぁ、直接的な規模で言うなら学園都市の方が大きいが、その中にあったもので言うならな・・・・・・」

 

窓から見える風景のように、ついこの間まで自分たちを取りまとっていた出来事が過ぎ去っていくのを感じる。まるでそんなことがあったのかと疑うばかりに。

 

「だが、確かにあったことで、俺たちに何かしら影響を残していったな」

「うん。そして、それは忘れちゃいけないことだよね」

 

だが、そこで確かに起こった出来事で忘れてはいけないことなのだと、雄二と明久は言った。そして、自分たちに何かを残してったのだと。

 

「帰ったら、急いで宿題を作り上げないとな」

「あっ、じゃあさ。みんなで集まって宿題をしない?」

「あ、いいね。そうしようよ!」

「じゃあ、今からゲームをやって、最下位の奴の家に集合ってことで」

「いいぜ。じゃあ、今から始めるか」

 

そう言って、四人は明久のカバンから取り出したトランプでゲームを始める。ゲームは学園都市に着くまで続き、最後に最下位になった者に家に集まり宿題をやり始めるのであった。

 




どうでしたか?

楽しんでいただけたならば幸いです。

とりあえず反省点がより多く見つかった第一章でした。

当初の予定より、さやかの存在感が大分なかったことと、細かい部分の描写がうまくできなかったこと。あとは・・・・・・想定していた文章量に比べて大幅に増えたことが挙げられますね。ほかに細かい点がありますが・・・・・・まぁ、きりがないので割愛します。あ、最後に一つだけ。

登場人物の死を書くのが辛い。

もう、その一点だけが辛いですわ。

とりあえず絶対に書きたいと思っていた場面は書けたので満足です。

他に言いたいこととか感想とかあったらどんどんください。むしろ、感想があった方がものすごい励みになりますので。

それでは、また次回に。よいお年を。
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