堕天物語   作:EIMZ

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堕天使と魔王とテスト1週間前

「みんな、これから1週間後、二年生に上がって最初のテストである中間考査があるぞ。これからの1週間は部活も休みになる。テストまでの1週間気を抜かずに勉強に励めよ。以上、今日の帰りのSTはここまで。」

「きりーつ、れい。」

「「「「ありがとうございました。」」」」

 

まさか今週からテスト1週間前だったとは。これではあまりゲームができない。せっかく昨日、オンラインゲームを始めたばかりだというのに。今回はみんなからしたら2年生初のテストであり、僕にとっては沼津にきて最初のテストとなる。あまり気は抜けないな。それは、隣で騒いでいるヨハネも同じはずなんだけどな。彼女は

 

「まったく、テストなんてどうでもいいわ。それよりもゲームのキャラの育成の方が大事よ。シェリアス、今日一緒にセカオラやるわよ。」

 

などと言っている。まったくなぜ僕も巻き込むのだ。というかテスト前にゲームやるなよ。せめてやるなら他の人を巻き込むなよ、一人でやればいいじゃないか。などと考えたが反論したらそれはそれで面倒事になりそうだったので言葉を飲み込んだ。

 

「ちょっと、聞いてるのシェリアス!」

「? なにが?」

「聞いてなかったの?」

「・・・うん。」

「もう、ちゃんと聞いてなさいよね。」

「すまない。それで、何の話だったっけ?」

「だから帰ったら早速ゲームにログインしようって話よ。」

「ゲームにログインって、テスト前だぞ。テスト勉強は?」

「そんなのしないわよ。しなくてもそれなりの点数取れるし。だからあなたを誘ったのよ。」

「僕を? なんで?」

「だってあなた、勉強しなくても1位くらい余裕でしょ。」

 

その言葉は誉め言葉として受け取っていいのだろうか。少しに微妙だな。でも確かにヨハネの言う通り、僕はそんなに勉強しなくても、そこそこいい点数が取れる。ちなみに僕はこの学校の編入試験で過去最高点を取ったらしい。それにこの中学は私立で中高一貫となっている。別の高校に受験する人もいるが、大体の人はそのまま進級することになる。しかしテストも人生も何が起こるかわからないからな。いつも満点の奴が一気に気を抜いて点数が落ちるなんてこともないわけではない。常に用心した方がいいと思うのだが。

 

「ヨハネ、テストは何が起こるかわからない。今はテストに集中しよう。」

「でも、日頃勉強してたら大体はできるじゃない。」

「そうだけど、僕は今回、本気でトップを取りに行きたいんだ。だから今回はゲームはやめおかないか。」

「・・・わかったわ。私も一緒に勉強してあげる。その代わり、テスト明けにまたパフェでもおごってもらうからね。」

「・・・わかった、いいよ。」

 

なぜおごることになってしまったのだろう。まあ、いいか。

学校が終わってから、今日から1週間は津島家で晩御飯を作った後、二人で勉強することにした。いつものように二人で帰る帰り道に今日はもう一人加わった。その人物は藤崎元、僕らのクラスの委員長で部活仲間で今はゲーム仲間でもある。

 

「おーい、二人とも!」

「ファースト、委員会の仕事は終わったのか?」

「うん、さっき。」

「そっか、お疲れ。」

「おつかれさま。」

「ところで、二人は勉強どうするの?もしかして二人で一緒に?」

「ええっ?!そ、そんなわけ・・」

「まあ、各々で色々やるよ。」

「なんかテキトーな言い方だね。」

「気にするな。そういう君はどうするんだ?」

「いつも通りにやるよ。」

「そいえば、ファーストって結構成績上位よね。」

「そうだね。まあ、上の方なのかな。」

 

どうせこいつのことだしれっと学年トップ20くらいに入っているのではないだろうか。

 

「まあ、僕は今回はいつも通りにやって、そんなに本気じゃなくてもいいかな。」

「よかった、これでライバルが一人減った。」

「そんなこと考えていたの?」

「あはは、まあ今回はトップを狙っていきたいからね。」

 

とりあえず、一番何を考えているのかわからないやつを意見を聞けたのはありがたかったかな。いやもしかしたらこいつのことだからこれも作戦なんじゃないのか。自分はあまり参加的ではないと見せかけて、後で美味しいところを持っていくことはよくあることだしな。まだまだ油断はできないということか。

しかしこの三人でこうして一緒に帰るのはもしかしたらこれが初めてかもしれないな。これもあのゲームの影響なのだろうか。

 

「それじゃあ二人とも、僕はこっちだから、ここで。」

「ああ、また明日なファースト。」

「また明日ね、ファースト。」

「うん。また明日ね、ヨハネちゃん、シェリー。」

 

そういうとファーストは小走りで分かれ道を走っていった。独特の呼び名で呼ばれた僕たちはその場に取り残された。

 

「シェリーって、外国の女性の名前みたいね・・・。」

「・・・確かに。君のヨハネちゃんってのも違和感しかないけど。」

 

僕たちはしばらく茫然としたが、分かれ道を後にした。彼は何を思ってあんな呼び名にしたのだろう。やっぱりあいつは何を考えているのかよくわからないな。

ファーストと別れた後、僕たちは家に直行するのではなく、夕食の材料を買いに行くためにスーパーに向かった。ここのスーパーもいつもヨハネとの帰り道でよくよるようになった。今日もいつものように買い物籠を持ったがここで夕食のことを考えていなかったことを思い出した。

 

「ヨハネ、今日の夕食何かリクエストとかある?」

「そうねえ、魔界の禁断の赤い実を使った、血のように赤い霊薬を金の糸にかけた下界の食べ物がいいかしら。」

「・・・トマトソーススパゲッティ?」

「なんでわかるのよ?!」

「・・・まあ、同じような考え方を持ってるし、わからなくないかな。」

「フフフ、さすが私が認めた魔王様ね。」

「褒めてるのかそれ?」

 

なぜだろうな、彼女の考えていることが手に取るようにわかってしまう。エスパーだろうか。そんなわけないか。僕たちはトマトスパの材料を買うと、マンションに向かった。

今日は自分の家には戻らず、直接津島家に向かうことにした。トマトスパならそこまで特別な道具もいらないだろうし、勉強道具は学校の荷物に入っているし、取りに行く材料もないからな。

 

「さて、トマトスパなら、1時間もかからないから、しばらくは勉強してよう。」

「真面目ねえ。」

「いいだろ。今回は気を抜けないから。」

 

今回の教科は、国語、数学、英語、理科、社会の5教科だ。僕は大体の教科はできる、ただ、一つ昔から道徳が苦手だった。だって問題の中の人物たちが何を考えているのかとか僕にはあまり理解できないから、現に自分の感情もよくわからない。感情が乏しいわけではないからな。笑顔は大切だ!・・何の話だったか。そうそう、今回の5教科に苦手は教科はない。だからこそ全教科しっかりとやらなくてはならない。

 

「ヨハネ、苦手な教科とかある?」

「苦手・・・社会かしら。」

「ほほう、教えてあげようか。」

「じゃあ、わからなくなったら頼ってあげなくもないわよ。」

「何で上から目線なんだよ・・。まあいい、社会はこの世界の時の流れを表したもの、世界を総べる魔王には容易い教科だ。」

「時の流れ、ねえ。そう考えるとちょっとやる気が出てくるわね。他にもそういう考え方あるの?」

「あるよ。例えば、国語の古文と漢文と英語は古代文字か異世界文字の解読、理科は錬金術の勉強みたいな考え方かな。」

「数学はないの?」

「ない。ただ解く。」

 

数学は解けば何とかなるからな。答えを導き出すのは結構楽しい、はず。

しばらく二人で勉強してきたが、先にヨハネの集中力が切れた。

 

「もう!文字ばっかりで、飽きた。黒魔術の本でもないのに、こんなにも苦労するなんて。フフフ、どうやらこの魔導書はヨハネを混乱の渦の中に陥れようとしているのね。」

「いいから、勉強しろよ。」

「でも、もう集中できない。」

「はあ、しょうがない。休憩しようか。」

 

あまり詰めすぎると内容が頭に入ってこないしな。僕は一度キッチンに行き、休憩すると気用に作っておいた紅茶を取りに行った。キッチンから紅茶の入ったカップが乗ったお盆を持って戻ると、ヨハネの前にカップを置いた。

 

「はいよ。」

「ありがと。」

 

紅茶の飲むと口の中に染み渡るような感覚を感じた。僕も気づかないうちに疲れていたのだろう。紅茶の飲みながらふと目の前を見ると、両手でカップを持ちながらちびちびと飲んでいるヨハネを見て一つの疑問が浮かんだ。

 

「なあ、ヨハネ。」

「なに?」

「君のお母さん、教師だよな。」

「そうね。」

「勉強しろとか言われないの?」

「あんまり言われないわね。」

「ふーん。じゃあ、将来はお母さんを同じ仕事に就きたいとかは?」

「ないわね。」

「・・・そういうものなんだ。」

「何が言いたいわけ?」

「いや、僕の親はあんまり帰ってこないし、どんな仕事してるのかよく知らないから、普通の家庭で普通に親を持つ子はどんなことを考えているのかなと思って。」

「・・・あなたも、色々考えてるのね。で、あなたはどうなの?」

「何が?」

「あなたは自分の親と同じ職に就きたいと思うの?」

「・・・ヤダよ。あんな各地を飛び回るような仕事。」

「確かに、しんどそうな仕事ね。」

「そうだろ。しかも家族とも全然会えないなんて、僕は絶対に就きたくない。」

 

ヨハネに言われてから僕は初めて親の仕事に就きたいか考えたかもしれないな。良くも悪くも僕にとって彼女の影響力は絶大なものだな。

 

「さて、休憩もそろそろ終わりかな。さあ、またテスト勉強再開だ。」

「えー、もう少し休憩しましょうよ。」

「もう十分だろ。」

 

それからまたテスト勉強をしたが時間が6時に差し掛かってきたのでまた休憩をとった。休憩を兼ねて僕はトマトスパを作ることにした。一方のヨハネはリビングのソファに座りながらテレビを見ていた。休憩から約40分ほどたつと、トマトスパが出来上がった。今回は麺を茹でるときに塩を少し加えたことでたぶんトマトソースに合うはず。お皿によそったトマトスパとサラダをテーブルにもっていくと、ソファに座っていたヨハネもテーブルに来た。二人が椅子に座ると、同時に両手を合わせた。

 

「「いただきます。」」

 

毎回毎回新しく作った料理をヨハネに食べてもらうとなると、何度も緊張してしまう。まったく、心臓に悪いな。

 

「この、スパゲッティ美味しいわね。」

「そう。よかった。」

「この麺からは普通の麺とは違ってかすかに魔力を感じるわ。さすが闇を総べる王が作った料理ね。」

「・・・君は塩を魔力と呼ぶのか。」

 

よくわからないが褒めてくれたのだろう。別に彼女に料理評論家みたいな感想は求めてはいないけど、もう少しわかりやすい感想が欲しいな。毎回解読が必要になるから苦労する。まあ、過去に自分も同じようなことを言っていたからわからなくもないが、自分が言う側だとカッコいいとか思っていたのに、聞く側となると面倒だな。でもそういう中二発言を自信をもって言えるのだから、彼女は僕をも超える存在なのだろう、なんてね。

沼津に来てからというもの今までよりも毎日が楽しいと感じることが多くなった。それもヨハネやファーストとの出会いのおかげなのだろうか。今はそんな事よりも1週間後のテストに集中しなくてはな。

 

「さあ、食べ終わったらまたテスト勉強再開するよ。」

「えー。」

 

 

 

 

 




 リアルでテスト前になったので1週間から2週間の間、更新頻度が下がります。ごめんなさい。多分テストが終われば冬休みも近くなるので、更新頻度もテストが終われば上がります、一時的に。
くっ、パソコンを触りたくて、この呪われし右手がうずいてしまう・・・。しかし、今はマウスではなくペンを持たなくては。なんてね。
 ほんっと、テストさえなければいい、ですね。

この作品を読んでいただいた皆様に神々の祝福があらんことを。
 
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