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1週間とは早いものだ。気が付くとあっという間に流れていってしまった。時の流れは川のようで戻ることもなければ、止まることもない。過ぎ去りし時間は二度と戻ってこない。どんなにあらがっても手に入ることはない。だからこのテスト前の一週間はとても早く感じたが、戻ってくることはない。テスト当日、僕とヨハネは一緒に学校に向かっていた。
「さあ、遂に今日、戦いが始まるぞ!」
「燃えてるわねえ。」
「当然だ。これから僕はこの学年の生徒全員をテストで倒すのだからな。フハハ。」
「調子に乗ってるとイタイ目みるわよ。」
「フン、甘く見るな堕天使。今の僕ならどんな難題が降りかかろうと僕は倒せないだろうな、今日の僕は絶好調だからな。」
「・・・それを調子に乗ってるというのよ。」
ヨハネは調子に乗っているというが実は起きてからも一人で復習をしてきたから内容は頭に入っている。ゆえに今日のテストは問題なく解けるだろう。しかしヨハネの言う通り調子に乗ると、ミスをするかもしれない。ケアレスミスには注意しなくてはな。
それからしばらく雑談をしながら登校していると校門の前でファーストにあった。
「あ、おはよう、シェリー、ヨハネちゃん。」
「おはよう、ファースト。」
「おはよう。」
「二人とも勉強ちゃんとした?」
「まあ、それなりに。」
「抜かりない。」
「なんだかご機嫌だね、シェリー。」
「フフフ、成果を発散できるからね。」
「そっか、まあがんばれ。」
「そっちこそ。」
ファーストと合流してから僕たちは三人で教室に向かった。既に教室には朝から勉強していた、クラスメイトが10人ほどいた。彼らもきっとテストで上位を狙ってくるだろうから今はクラスメイトだけどテストの時はライバルになるだろう。さて、僕ももう少しだけ復習をしておこう。この学校は5教科のテストを2日間かけて行う。1日目は英語と国語。2日目は数学と理科と社会。つまり1日目は文系の教科を2日目は理系の教科をやることになる。朝は英語を復習しておこう。隣をみるとヨハネは古文の復習を、ファーストは漢字の復習をしていた。みんなそれぞれの勉強に集中してるな。これなら朝の勉強に続きができそうだ。
10分ほど朝の自習をしているとほかのクラスメイトも登校してきた。どこの学校にもいるがいるだけで空気が明るくなる奴が教室に入ってきた。今まで張りつめていたような空気が一気に柔らかくなったような気がする。そして教室に入ってきた奴らは勉強をするもすぐに悩み始めた。そして教科書をもって立った。どこに行くのかと思うと、こちらに向かって歩いてきた。
「津々宮君、ここの問題教えてもらっていいかな?」
「? ああ、ここの問題難しいよね。ここは先にここの文を先に訳したらスムーズにできると思うよ。」
「ほんとだ!ありがと!」
「いえいえ。」
「津々宮君私も教えてもらっていいかな?」
「ぼ、僕もいいかな?」
「あ、私もわからないところが・・・」
「津々宮、俺にも教えてくれ。」
一人に教えたら次々とクラスメイトが集まってきた。既に6人ほど集まっている。みんなわからないところ多すぎだろ。
「わ、わかった。とりあえず順番に教えるから、まずどこから教えればいいかな。」
やれやれ、優しいとは罪なものだ。仕方ない、者どもの悩み、僕が張らしてやろう。まったく僕も自分の勉強したいのだがな。クラスメイトから頼られている、リア充な津々宮修斗を見て、隣りの席のヨハネは複雑な気持ちになった。彼女もまた、隣の席の秀才に質問をしようとしたのだが、先に他の生徒に取られたことを少しばかり悔やんでいた。まるで自分の所有物を他の誰かに取られたような気分だった。
しばらくクラスメイトの質問攻めにあっていると、教室の扉が開き、担任の前田先生が入ってきた。
「おまえらー。席につけ。朝のSHLを始めるぞー。」
先生の声でみんなは自分の席についた。みんなが自分の席に着いたのを確認すると、このクラスの委員長であるファーストが号令をかけた。
「起立ー。きよつけー、れい。」
「「「「「「「「おはようございます。」」」」」」」」
クラスの生徒、僕を含めて全員で40人ほどがあいさつをした。
「ちゃくせきー。」
「今日は遂に中間テストだ。みんな気を抜かないように。1時間目は国語、2時間目は英語だ。それぞれ自分のベストを尽くすように。」
前田先生の話が終わると、遂にテストが始まった。1時間目の国語。国語の問題は、現代文、古文、漢文の3つに分かれていた。現代文の問題は特に何のの苦労もなく終わった。古文の問題は、・・・何の苦労もなく終わった。漢文は・・・何も苦労もなく終わった。結局国語ではそこまで苦労はしなかった。残りの時間に見直しも終えた。さて問題は次の英語だな。国語の余った時間に英語の勉強を頭の中でしておくか。
キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が1時間目の終わりを告げた。解答用紙が後ろから回収されると、次の問題と解答用紙を配るために生徒は一度廊下に出された。廊下に出された生徒たちは、次のテストの勉強をする人、さっきのテストの見直しをする人、いろんな人がいた。そんな中僕は目を閉じてさっき頭の中で勉強していた内容を思い出していた。そしてその横ではヨハネが自分に呪文をかけているかのように英単語を読んでいた。
そしてしばらくすると、またチャイムが鳴った。そしてそのチャイムと同時に二時間目のテスト、英語のテストが始まった。英語は、最初にリスニングテストが行われた。リスニングテストは最初のスペルだけ少し苦労したが、まあ、なんとかなった。リスニングテストが終わると、筆記に取り掛かった。筆記の試験では少し難関なところもあったが、朝にクラスメイトに教えた問題に近いことを思い出し、解くことができた。そして英語のテストも終了した。これで今日のテストは終了した。今日はこれでテストが終了したので生徒は午前中で下校した。テストの後僕とヨハネは一いつものように一緒に下校した。
「ヨハネ、今日のテストどうだった?」
「まあまあね。」
「そっか。」
「・・・」
「・・・」
何だか今日のヨハネ、ちょっと冷たいような気がする。朝はそうでもなかったのに。何かあったのかな。もしかしてテストで何かあったのか。すると今まで黙っていたヨハネが口を開いた。
「今日、私あなたに問題を質問しようとしたの。」
「う、うん。」
「でも、他のみんながあなたに聞いてて聞けなかったの。」
「・・・うん。」
「その時、私のものが他の誰かに取られたような不快な感覚がしたの。」
そう言ってヨハネは僕の方を見てきた。その時の彼女の眼には光が宿っているようには見えなかった。光が無くなった目は夜の闇のようだった。なんだか今日の彼女はヤンデレみたいだな。じゃあこの後僕は痛い思いをしなくてはならないのだろうか。というかいつの間に僕は君のものになったんだ。その前にいつからヤンデレっぽくなったんだよ、ヨハネ。
「じゃあ、この後わらかないところとか聞いてあげるから、それでどう?」
「それならいいわ。」
よかった、とりあえず身の安全は確保できたかな。まったくテスト期間に心臓に悪いことを。この後ヨハネに社会の問題をとことん聞かれた。
そして次の日。迎えたテスト2日目。今日もまた途中までは僕とヨハネは一緒に登校していた。
「今日でやっとテストが最終日ね。」
「そうだな。昨日の教科もほとんどミスはなかったと思うし、今日も昨日と同じような結果だったらいいんだけど。」
「そうね。それに今日が終わったらやっとゲームができるわ。」
「そこかよ。テスト頑張れよ。」
今日の教科は数学、理科、社会と理系のものだった。昨日、さんざんヨハネと社会は勉強したから大丈夫だろう。今日もまた、チャイムの音を合図にテストが始まる。
またしても始まったこの戦い。こんなもの、僕にかかれば造作もないことだ。フハハ。一時間目 数学
・・・√2をこうしたら、ここが出るからsinΘは1。よしこれで全部解けたな。見直しも完璧だ。間違いもないだろう。さすが僕。まだ20分ほどあるな。暇だし問題用紙の裏に落書きしとくか。もう一度シャーペンを持つと問題用紙の裏にセカオラ内のヨハネのアバター、✟ヨハネ✟のイラストを描き始めた。約20分後、僕の大作が完成した。タイトルは『とこしえの闇を操る堕天使』と名付けよう。そこに描かれていたのは杖から放たれる漆黒の炎に身を包んでいる黒の魔法使いだった。炎からでた風で舞い上がる帽子を片手で抑えているところが自信作だ。自分の作品に見とれていると、チャイムが鳴った。数学のテスト終了だ。
休み時間に問題用紙をカバンに片付けようとすると、隣りにヨハネが現れた。
「シェリアスー。さっきのテストどうだった?」
「ええっ?!」
まずい。まだ問題用紙の裏に書いたやつが残ってる。これを彼女に見られたら変な誤解が生まれてしまう。そう思って問題用紙を自分の後ろに隠そうとしたが、その行動は彼女には逆効果だったようだ。
「? 今何隠そうとしたの?」
「い、いや。何でもないよ。」
「怪しいわね・・・」
するとヨハネはすぐさま僕の後ろに回り込んでさっきの問題用紙をつかみ取った。ああ、終わった。そこに描かれた✟ヨハネ✟の姿を見てヨハネはどんな反応をするのか。
「これって、セカオラの私のアバターよね?」
「・・・はい。」
イラストを見ながら表情を変えずに聞いてきた。するとヨハネは笑顔でこちらを見てきた。
「なんだ。シェリアスもやっぱり早くこのゲームやりたいのね。」
「えっ?・・ああ、そうなんだよ!だから待ちきれなくてそれを余った時間に書いてたんだ。」
「・・・余った時間にこれを描くなんて、すごいじゃない。」
「い、いやあ。あはは・・・。」
何とかごまかせたようだ。危ない危ない。ほっと一息ついたとき、2時間目開始のチャイムが鳴った。僕たちは急いで教室に戻ったが問題用紙はヨハネがちゃっかり自分のカバンに入れていたことに僕は気づかなかった。もし気がついたら次のテストに支障が出ていただろう。
2時間目 社会
この教科、ヨハネが苦手とかなんだとか言っていたな。大丈夫だろうか。隣の席に耳を傾けると、すらすらと止まることなくシャーペンで文字を書く音が聞こえた。問題なさそうだな、まあ、僕が教えたんだから当然か。昨日社会をヨハネに教えていた時から、彼女はただ苦手意識があっただけだと僕は思う。苦手意識さえなくなればきっと点数も上がるだろうな。さて、僕も続きを解くか。
チャイムが鳴り、解答用紙が集められた。テストも残すところあと一教科となった。そして最後の休み時間、生徒はそれぞれで勉強やらテストが終わってから何をするか話している生徒であふれかえっていた。ヨハネはすでに帰ってからのゲームのことしか頭に入っていないようだ。唱える必要もないのにゲームで呪文を使った時のリアルの自分が何というのか考えている。理科のことはもう完全忘れているようだ。まあ、イタイ目にあいたければ勝手に合えばいいさ、僕は知らないぞ。
3時間目 理科
今回のテスト最終教科となる理科のテストが始まった。このテスト、一度目を引いてみればただ呪文が並べられているようにも見える。しかし、どんな問題が来ようとも僕は止められないだろう。・・・やっぱり20分ほどで解き終わってしまった。フフフ、我ながら自分の才能が怖い。さて残りは見直しにでも費やしてやるか。
しばらくして、今日最後のチャイムが鳴った。このときみんな解放されたような空気に包まれた。ヨハネも同じような状況のようだ。
「さあ、さっさと帰ってゲームの続きやるわよ!シェリアス、カバンを持ちなさい!」
「いや、まだ帰りのホームルームがあるから。とりあえず座れ。」
どうやらホームルームのことも完全に忘れていたらしい。帰る気満々だったのに邪魔されて少し不機嫌になっている。ホームルーム中も前に立って話をしている前田先生のことを睨み続けていた。意味も分からないのに生徒に睨まれるなんて先生って大変だな。僕は絶対に先生なんてなりたくないかも。5分ほどたってホームルームが終わると、ヨハネはしかめっ面が笑顔に変わった。どれだけ嬉しいんだよ。
「起立、きよつけー れい。」
「「「さようなら。」」」
最後にファーストの合図で全員があいさつをした。挨拶が終わった瞬間、ヨハネは隣の席、つまり僕の方を見た。
「さあ、帰るわよ!」
「急に元気になったな。・・・っておい!人の話を聞け!」
ヨハネはすでに教室の外に出ようとしていた。そこでまだ自分の席にいる僕のことに気が付いたのか、僕の席に戻ってきた。
「何ぼさっとしてるのよ!帰るわよ!」
そういうとヨハネは僕の右腕をつかんだ。そしてそのまま扉に向かって走り出した。
「おい!引っ張るな!」
「だってこうでもしないと遅れるでしょ!」
後ろも振り向かずに廊下を走り抜ける彼女に引っ張られる僕。どういう状況だよ。階段を下りて1階に降りようとしたとき、後ろから声が聞こえた。その声の主はファーストであった。
「おーい二人ともー。」
「ファースト!助けて、止めてくれ!」
「えー、それが人にお願いする態度?それに面白いから止めない。」
こいつどこまで黒いんだよ。すると、前しか見ていなかったヨハネがようやく後ろを向いた。
「ファースト、あなたも何をしてるのよ。さっさと帰ってゲームにログインしなさい!」
「ゴメン今日、委員会の仕事で残らなきゃならないんだ。先に二人でやっといて。」
「そう大変ね。じゃあ先に入って待ってるわね。行くわよシェリアス!」
「だから引っ張るなって!」
猪突猛進となったヨハネに連れられ、帰り道も半分くらいに際かかったころ、少し疲れてきた。彼女に引っ張られているせいでずっと変な姿勢で歩いてきたから腰が痛い。わしゃもう駄目じゃばーさん、とか言ったら止めてくれるかな。いや女の子にばーさんと言った時点で息の根を止められるかな。どうしよう。やはりあの手しかないのだろうか。
「おい、一回とまれ!」
僕は今まで掴まれていた腕を離し彼女の手に自分の手を重ねた。ヨハネの右手と僕の左手が初めてつながった。堕天使の右手と魔王の左手か、名前だけならすごそうだが、実際に僕たちがやっていることは、ただ手をつないでいるだけだ。・・・カップルみたいに。
「ちょ・・・ちょっと何するのよ!」
「はあ、やっと止まった。」
「あ、あなた、堕天使の手に振れるとは、大罪を犯したわよ。」
「それを言うなら魔王を連れまわした君にも同じような罪があると思うのだが。さっきから変な姿勢で歩いてたから、腰が痛いんだよ。すごい前傾姿勢になってたと思うぞ。」
「そ、そう。それは・・・ごめんなさい。」
「いや、わかってくれればいいんだ。さあ、帰ろうか。」
そう言って僕が彼女の手を放そうとすると、彼女の手が僕の手を強く握ってきた。
「・・・・こ、このままで帰りましょ。」
「う、うん。」
まさかこんなことになるとは、まだ恋人つなぎとやらではないにしも、ヨハネと手をつなぐ日が来ようとは。想像したことはあったが、こんなにも早く来るとは。自分からやっといて恥ずかしくなってくてしまった。
さっきまでの前後で歩くのとは違い、僕たちは並んで歩いていた。手をつなぎながら帰る二人の足取りはさっきまでよりもどこか弾むようだった。
そして後日
廊下にテストの順位表が張り出された。順位表はクラスごとに見に行くことになっている。
第二学年中間考査総合順位
1位 津々宮修斗 487点
「おおー。転校生が一位だ!」
「下剋上達成だ!」
「すげー」
「津々宮君素敵ー」
周りから完成の声が上がった。フフフ、流石僕!
「凄いな津々宮!」
「いや、運が良かっただけだよ。」
とりあえずここは謙遜しておいてやろう。一位になっても調子に乗らないなんてさすがだな僕。それにしても約200人中一位か、素晴らしい!
すると横からもう一度歓声が上がった。
2位 藤崎元 469点
「おおー委員長もすげー!」
「流石元学年一位だな。」
「いやーあはは。」
「・・・君が元一位かよ、ファースト。」
「あれ?いってなかったけ?」
こいつわざと言わなかったな。まあいい、今回は僕が勝ったのだから。
ふと、次にうちのクラスで順位が高いのって誰なんだろうと思い、もう一度順位表に目をやった。
15位 津島善子 419点
お前かよ!知らなかった、ヨハネがこんなにも頭だよかったなんて。
「フフフ、まあ当然の結果ね。」
「へー意外だな。」
「ちょっと!意外ってどういう意味よ!」
「いや、もう少し下だと思ってた。」
「フッ、まったくなめられたものね。この堕天使ヨハネが人間ごときに負けるわけないじゃない。」
いや10人程度に負けてますがね。
「あれ?おかしいなーここにあるのは善子っていう名前だけど。ヨハネさんは何位なんですか?」
「ああー!はめたわね!」
「まあまあ、二人とも。落ち着いて。」
僕たちの間にファーストが入った。この三人は結構順位が上の方だったようだ。偶然なのか、はたまた運命なのか。それは僕たちには知る由もなかった。ただ、僕はこの二人に出会えたことを嬉しく思う。ほとんど一人でいることの多かった僕にはもったいないくらいの友達だ。
リアルのテストの結果は、まあ、その、いつも通りですかね。
近いうちに新シリーズを3つ出します。二つはラブライブ!一つはラブライブ!サンシャイン!!の作品になっています。このシリーズはまだまだ続きます。読んでいただければ幸いです。どの作品の主人公も修斗君と関係がないわけでもないと思うので、たぶん。
読んでいただいた皆様に神々の祝福があらんことを