堕天物語   作:EIMZ

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堕天使と魔王と部活動見学(文化部編)

 いよいよ今日、藤崎君の案内の元、僕とヨハネは部活動見学に行ことになっている。昨日、藤崎君と相談をした結果、文化部を先に行き、文化部を全て回ったら運動部に行く、という内容になった。うちの学校は、文化部だけで10つほど存在する。ちなにみ運動部は15つある。今日は放課後を全部使って回ることになっている。

 

「津々宮君、津島さん、そろそろ行くよ。」

「ああ。それじゃあ、案内を頼む。」

「委員長として全力でやらせてもらうよ。」

「あはは、頼りにしてるよ。ヨハネ、準備できた?」

「ええ。行きたくないけど。まったく、どうして私が部活見学なんかに行かなくてはならないのかしら。」

「もう諦めろ。」

 

ヨハネの準備もできたしそろそろ行くとしよう。

まず僕たちは、文化部の部活がある特別校舎に向かった。

 

「そういえば、シェリアス。あなた前の学校で何か部活に入っていたの?」

「え?い、いきなりどうした?」

「いえ、ちょっと気になってね。」

「あ、それ僕も気になる。やっぱり、運動部に入っていたの?」

「う、うーん。色々な部活を兼部してたかな。」

 

主に帰宅部をな。

何とかごまかせたが、痛いところを突かれたな。元々中二病だったから、前の学校のことを聞かれると答えずらいな。前の学校のことは適当に設定を作っておく必要がありそうだ。そんなことを考えていると、ヨハネがひそひそ声で聞いてきた。

 

「ねえ、本当に部活に入っていたの?」

「・・・魔王が人間のしたにつくと思う?」

「そう、入っていなかったのね。」

「理解できたんだ。」

 

あれで伝わるんだから、中二病というのはすごいな。まさか中二病患者はみんな意思疎通ができるのだろうか。

そんなことをしていると、一番最初に見学する部活の部室についた。

 

「二人とも、ついたよ。ここが一番最初に見学する部活の活動場所。科学室だよ。」

 

そう、僕たちが最初に見学する部活は、科学部だ。科学部といえば白衣と眼鏡をかけたインテリが集まった頭脳派集団というイメージがあった。正直僕には合わないのではないだろうか。真面目な人たちの中に元中二病が入るのは、心細い。しかし、過去の僕を変えるためには、こんなところで心が折れそうになっているわけにはいかないんだ。

僕は心を決めて科学室のドアを開けた。

 

「し、失礼します。見学に来た津々宮と津島です。」

「津々宮さん、それに津島さん。ようこそ科学部へ。話は顧問の先生から聞いています。僕が科学部の部長です。よろしく。津々宮さんは医者志望だと聞きました。うちの部活にも医学部を目指している部員が数人います。そのために日々研究をしています。ですので、ぜひわが部に入ることをお勧めしますよ。きっとこれから有利に働きますよ。」

「あはは、前向きに検討します。」

 

科学部の部室は色々な実験器具が置いてある。強い酸性を持っていそうな液体から丸底フラスコまで、たくさん置いてある。ほかの部員は11人ほどいる。みんなそれぞれで活動している。顕微鏡をのぞいている人、フラスコに入った液体を熱している人、生物観察の結果を話し合っている人たち。彼らが話している内容は、呪文のようだ。正直ついていけない。

 

「どうです、津々宮君、津島さん。うちの部活を見てみて。」

「は、はい。前向きに検討することを検討していきます。」

「私はついていけない。」

 

僕たちは一瞬で悟った。この部活、ついていけない。多分僕たちとは次元が違う。

 

「そ、それじゃあ、僕たちそろそろ次の場所に行きます。行こう藤崎君。」

「あ、じゃあ、最後に僕から質問いいですか?」

「え?藤崎君が?」

「ええ、いいですよ。答えれる範囲なら何でも答えますよ。」

「じゃあ、ずっと気になってたことがあって。前にコインで打つ超電磁砲を作ろうとしたって本当ですか?」

 

何してんだよ科学部!君たちはレベル5になりたいのか?!

 

「それってレールガンの噂?」

「津島さんもやっぱり気になるの?」

「まあ、超電磁砲が使えるようになったらカッコいいし。」

「そ、そんな噂が流れたか?」

「うん、僕たちが一年生の時に。」

 

そ、そんな噂が流れたのか?急にこの部活に親近感がわいてきた。

 

「ああ、プロジェクトレールガンですね。確かに前部長が企画していました。あれは、すごかったですよ。ライトノベル研究部との合同の企画でした。前部長は『これが私の、全力だー!!』なんて言っていましたよ。結局成功せずに終わりましたが、今では懐かしい思い出です。」

 

そんなことがあったのか。ちょっと見てみたかったな。でもその前部長もしかしたら天才肌なのかもな。将来大物になりそうだな。

 次に僕たちは調理部に向かった。

調理部は家庭科室で活動していた。調理部はみんなで、スイーツを作っているところだった。マカロンから、大福はたまた、八つ橋まで色々な物を作っていた。

 

「ダメよ、ヨハネ。こんな、下界の食べ物に魅了されては。堕天使の心が浄化されてしまうわ。」

「ただのチョコマカロンだろ。そんな効果ないよ。」

「フッ、あなたには、わからないでしょうね。今のあなたには。」

 

つまり過去の僕なら分かったといいたいのか。僕ならお饅頭と食べながら、

「下界にはあんこく(あんこ)の封印された菓子があるのか。フッ、下界も捨てたものではない、ということか。」とか言いそうだな。

 そんなことを考えながらもう一度ヨハネの方を見る。結局欲望には抗えなかったか。美味しそうにマカロンを食べている。ヨハネもやっぱり女の子なんだな。なんか、かわいい。幸せそうな顔をして、その表情だけは天使のようだよ。あれ、なぜこんことを考えているのだろう。忘れよう。

 

「津々宮君、どうしたの饅頭を咥えたたままボーっとして。」

「へ?そう?」

「うん。さっきから津島さんのほうを見てるから。」

「え?ヨ、ヨハネを?き、気のせいじゃないかな。」

「ふーん。そう。」

 

まったく、藤崎君は何を言ってるんだ。ぼ、僕がヨハネを見ていただと。いやいやいや、まさかそんなことあるわけ・・・・なくもないのか。ま、魔王が堕天使ごときに?ありえないな!でもヨハネも黙ってさえいればかわいいのだがな、黙ってさえいれば。

 

「シェリアス、そろそろ次に行くわよ。」

「え?あ、う、うん。」

 

ヨハネ、最初よりやる気がでてきたな。甘いものを食べてご機嫌になったのか?どちらにせよ好都合だ。機嫌がいい間にさっさと終わらせよう。

 そして僕たちは次々に部活を見て回った。

 美術部

 

「わー!津々宮君も津島さんも美形!、ぜひ美術部に入って私たちのモデル(着せ替え人形)になってよ。このプリントに名前だけ書いてるれればいいから。」

「悪魔の契約?身の危険を感じるんだけど・・・」

「まさに『この美術部には問題がある』ね。」

 

園芸部

 

「キャー!ちょっと、シェリアス!あのおぞましい生物どもを何とかしなさいよ!」

「お、落ち着け。たかが芋虫とミミズだ。お、恐れることはない。」

「じゃあ、何とかしなさいよ!」

「無理言うな!誰にだって苦手なものはある!」

「二人とも、虫苦手なんだ。」

 

軽音部

 

「さっきから、彼らが演奏してる曲、アニソンばっかりだな。」

「あ、レールガンの曲だ。」

「この学校どれだけレールガンをしてるんだ。まあ確かに、面白かったけど。」

 

その後僕たちは、演劇部、放送部と回って文化部も残すところ3つとなった。

そして今入ろうとしているのは、残り3つの部室のうちの一つゲーム部の部室だ。

 

「ねえ、もう疲れてきたんだけど。帰っていい?」

「ダメだ。ちゃんと最後まで回らないと。さ、入るよ。」

「し、失礼します。」

 

そう言って僕はドアを開けた。中には男女合わせて7人ほどいた。その中の男子が一人こちらに向かって歩いてきた。

 

「ようこそ、シェリアスさん、ヨハネさん。」

「え?!シェ、シェリアス?!」

「ああ、この部活ではゲーム名で呼び合うんですよ。」

「あ、そ、そうなんですね。」

「ところでシェリアスさん。ゲームの腕がプロ級だと聞きましたが、どんなゲームをされているんですか?」

「え、えーと。ソシャゲやRPGを主にやってます。」

「そうなんですか。いいですよね、ソシャゲ。」

「そ、そうですね。」

「津島さんは、どんなゲームを?」

「え?わ、私も同じような感じです。」

「そうですか。」

「僕たちは部に入るように強要はしないので、もしよかったら今度、一緒に協力プレイをしましょう。」

「はい。ありがとうございます。」

「まあ、入ってくれたら一番ありがたいんですがね。」

「あはは、検討します。」

 

そうして僕たちはゲーム部を後にした。

 

「感じよかったわね。」

「ああ、少なくとも身の危険は感じなかったな。」

「じゃあ二人ともゲーム部に入るの?」

「まだ文化部しか見てないからなんともも言えないな。まだ運動部もあるし、文化部もあるだろ。」

「私はあまりどこにも入りたくない。」

「そっか、じゃあ見学を再開しようか。」

 

僕たちは最後に漫画研究部とライトノベル研究部に向かった。この二つの部活は部室が隣り合っている。

 

「よし、この二つの部活を見学したら、文化部は終わりだな。さてと、さっさと終わらそう。」

「でも、最後が一番難問だと思うよ。」

「どういう意味だそれ?」

「実は、この二つの部活すごく仲が悪いんだ。だからお互いの部員をあまり合わせないほうがいいんだ。」

「・・・なんだか嫌な予感がするんだけど。」

「・・・奇遇だな。僕もだよ。」

 

その時、二つの部室のドアが同時に開いた。

 

「何ですか?騒がしいですね。集中できないじゃないですか。」

「誰だよ、部室の前で騒いでるのは。もしかして、見学の人?」

 

「「「「「あ・・・」」」」」

 

「おやおやおや。これはこれは、ラノベ部の部長さんじゃないですか。我が漫画研究部の前で騒ぐのはやめていただきたいですなー。」

「ああ?俺は騒いだ覚えはないぞ。お前らが騒いでいたんじゃないのか?漫画研究部部長さんよぉ。」

「罪の擦り付けですか?見苦しいですよ。」

「お前が先になすり尽けようとしたのは、そっちだろう。」

 

うわー、犬猿の仲。もう帰りたい。こんな空気のところにいたくない。そんな仲の悪い二人の間に藤崎が入っていった。

 

「まあまあ、今は見学者が来てるんだから、二人とも抑えてください。」

「ということは、後ろにいる男子は例の転校生か?」

「すいません、お見苦しいところを見せてしまいました。このバカのせいで。」

「誰がバカだ。ようこそ、津々宮君、津島さん。」

「え、あ、ども。ところで、お二人は仲が悪いんですか?」

「ええ。こいつのことだけは大嫌いなんですよ。」

「俺だってお前のことが大っ嫌いなんだよ。」

「へ、へーそうなんですね・・・。」

 

もうやだ、こいつらと関わりたくない。でも、一様からんどいてやるか。

 

「そ、そういえばどうしてお二人は仲が悪いんですか?」

「ああ、それはですね。このラノベバカは僕の書いた、いや漫画全般の素晴らしさを微塵も理解していないからですよ。」

「ああ?お前こそ、俺の書いた素晴らしいラノベを理解してないくせに。」

「君のほうが理解していないのだよ。まあ、バカな君には理解できないか。」

「お前もその人を小馬鹿にする性格、直したほうがいいぞ。だから友達が少ないし漫画にしか目がいかないんだよ。」

「無駄な心配どうもありがとう。君こそラノベしか見えないその目、一度医者に診てもらったらどうだい。」

 

このやり取りいつまで続くの。僕たちの見学どころではなさそうだな。それにしてもさっきから、後ろにいるはずのヨハネが静かだな。あいつ何してるんだ、と思ったらラノベ部の中から本を拝借して読書してやがる。このちゃっかりめ。

 

「ヨハネ、何してんの?」

「何って読書よ。見てわからない?」

「わかるよ。わかるからこそ聞いてるんだよ。なんであの争いほったらかしなんだよ。」

「フフッ、堕天使は人間同士の争いになど興味はないの。」

「今この状況にも堕天使を持ってくるか。まったく自称堕天使サマにも困ったものだな。」

「誰が自称堕天使よ!私は本物の堕天使よ!」

「はいはい、本物の堕天使ね。失礼しました。」

「あなた今バカにしたでしょう?」

「いえ、全然。」

「絶対バカにしてる!いい加減にしなさいよ!たかが魔王レベルでこの堕天使にたてつこうなんて生意気よ。」

「フン!口を慎め。貴様こそ堕天使の分際で僕にたてつこうなんて100万年早いわ!・・・それに僕は魔王じゃない!」

 

 今二つの部室の前の廊下で、二つの喧嘩が起きていた。そしてその二つの争いを見守る男子生徒、藤崎には一つの考えがあった。その考えとは、二つの争いを止めるのに、一番面白くなりそうな作戦だ。この作戦をとれば、自分の前で言い争いをしている男女はどんな反応をするかと考えると、自然と笑みがこぼれてしまう。今の彼は、目の前の堕天使や魔王よりも、黒く輝いていた。

そろそろ、この争いを止める作戦を実行させるか。

彼は奥で言い争っている両部の部長に近づいた。

 

「まあまあ、お二人とも落ち着いてください。」

「しかしだな、こいつが。」

「そうだ、俺たちの喧嘩は終わっていない。」

「だから落ち着いてくださいって。要するにお二人は、どちらの作品のほうが優れているのかを決めたいんですよね。」

「えっ。あ、ああ。」

「まあ、そうだな。」

「だったら、これから、どちらの作品の方が優れているか、決めればいいじゃないですか?」

「確かにそうだが、どうやって決めるというのだ?」

 

藤崎は待ってましたと言わんばかりに微笑む。外から見たら自然に笑っているが、心の中は真っ黒な悪魔のような笑みを浮かべている。そして彼は、この作戦の生贄の方を見て微笑む。いや、生贄たちの方を似て微笑む。

 

「これから2週間後に、それぞれがそこで言い争いをしている二人をモデルにした、ライトノベルまたは、漫画を描くというのはどうでしょうか?お題は何でもあり。二人が恋人同士でも、兄弟でも、夫婦でも、幼馴染でも、先輩後輩の関係でも、主従関係でも何でもありで!」

 

「「えっ・・・?」」

 

その瞬間、僕たちは状況が理解できていなかった。

 

「なるほど、それはいい考えですね。」

「確かにあの二人なら面白い作品が書けそうだ。」

「でしょ。あの二人、はたから見たら美男美女カップルに見えますからね。」

 

「「は?」」

 

「僕は賛成ですよ。どんな戦いでも正々堂々戦いますから。」

「俺も賛成だ。あの二人なら面白いものが書けそうだ。」

「じゃあお二人とも同意ということでよろしいですね。」

「ああ。」

「うむ。」

「では2週間後に・・」

「ち、ちょっと待って僕たちが知らない間に話が変な方向に進んでるですけど。どういうことですか?」

「だから、津々宮君と津島さんをモデルにしたラノベと漫画を・・・」

 

「「はぁ?!」」

 

「僕たちがモデルってどういうこと?」

「え?例えば、作品の中で二人は先輩後輩だったり、兄妹だったり・・」

「兄妹?!」

「恋人だったり・・」

「こ、恋人ぉ?!」

「例えばだから、そこまで反応しなくてもいいと思うけど。」

「ちょっと、その戦い中止!」

「そうだ!こんな戦い認めない!」

 

僕たちが抗議すると部長たちが反論してきた。

 

「見損なったぞ!津々宮君!男の戦いに口をはさむとは、何事だ!」

「そうだ!俺たちの戦いは誰にも止められない!」

 

ええー?なんで僕たち怒られてんの?もうやだメンドクサイ。

 

「大丈夫だ安心しろ。俺の手にかかればお前らを最高に輝かせてせてやる。」

「いやそういう問題じゃないし、そんな輝きいらないんですけど。」

「僕も遠慮します。」

「君達を見ているとなんだか、いいアイデアが浮かんできた。」

「俺もアイデアが浮かんできたぞ。悪いがお前ら帰ってくれるか。俺は今から、部室にカンヅメする。」

「では僕も部室にカンヅメするとしよう。では2週間後。」

 

二人の部長はそれぞれの部室へと戻っていった。

 

「私たち、見学に来たはずよね。」

「ああ」

「どうしてこうなったのかしら?」

「わからない。」

 

僕たちの後ろで藤崎君は不敵に笑っていた。

 

こうして僕たちの部活動見学文化部編は幕を閉じた。

 

 




 皆さんはどんな部活に入っていたでしょうか。僕は中学時代、科学部に入っていました。本文みたいな部ではないですよ。どちらかというと生物部に近かったです。色々な生物を飼育して観察しました。いい思い出だ。

目標は「つれづれなるままに」
これからも読んでいただけると幸いです。
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