堕天物語   作:EIMZ

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堕天使と魔王と部活動見学(運動部編)

 今日、僕たちは部活動見学に来ている。さっきまでは文化部の見学をしていた。ついさっきまでは漫画研究部とライトノベル部に見学に来ていた・・・はずだった。見学に来たはずなのにいつの間にか、僕とヨハネが漫画とラノベのモデルにすることになっていた。ほんと、どうしてこうなったんだろう。

 

「「はあ・・・」」

 

僕とヨハネは同時にため息がこぼれた。そんな僕たちを見て、こんな状況に僕たちを陥れた張本人がかすかに微笑みながら訪ねてきた。

 

「どうしたの二人とも?ため息なんてついて。」

「誰のせいでこんなことになったと思ってるのよ。」

「え?誰のせいだろう?」

「藤崎君、君のせいだよ。」

「え?僕のせい?そんなの侵害だな。」

「どの口が言うのよ・・。」

「まったくだ。君が変な案を出したからこんなことになったんだろう。」

「ええー?いい案だと思ったのに。」

「「どこが!」」

 

まったく、どうしてこうなったんだ。僕たちはただ、部活動見学に行っただけのはずなのに。まだ文化部の見学しかしていないのにもう疲れてしまった。これから運動部の見学もあるというのに、体持つかな。

 

「どうしたの、シェリアス。なんだか少しやつれてない?」

「そう見える?」

「ええ、ほんの少しだけど。」

「そうか。気持ちが疲れてきたからかな。」

「大丈夫なの?休んだら。」

「いや大丈夫だ。」

 

こんなことで倒れてはリア充にはなれない。しっかりと運動部の見学もして僕のイメージをしっかりと作っておかなければ。

 

「津々宮君、津島さん疲れている場合じゃないよ。」

「誰のせいで疲れていると思っているのよ。」

「そんなことより、そろそろ、体操服に着替えて運動部の見学に行くよ。」

「はいはい。じゃあ着替えてくるよ。」

 

僕たちは一度着替えるために更衣室へ向かった。

この体操服、何日か前に授業でやった身体測定以来だな。うちの体操服は白を基調とした体操服に黒を基調としたジャージと、まあ嫌いではないデザインだ。

 

「そういえば津々宮君。男子更衣室の隣って女子更衣室なんだよね。」

「ふーん。それがどうした?」

「いや、今隣で津島さんが着替えてるんだなーって。」

「ふ、ふーん。」

 

ヨハネが隣で着替えてる・・。ヨハネの雪のように白い肌や、なくもない胸があらわになっているのか。いやいやいや何を考えているんだ僕は。ヨハネの裸体なんて微塵も興味ない。興味なんて微塵も・・やっぱり少しは・・結構あったり・・いやでも・・。

 

「やっぱり、津々宮君も男だね。」

「どういうことだよ。」

「いや別に。完璧超人の津々宮君も男なんだなって。ちょっと安心した。」

「その言い方だと、今まで僕が普通と違うように見えていたような言い方だね。」

「いやぁ。津々宮君てさ、今まで違う次元の人間みたいに見えていたから。」

「そう見えるものなのかな。」

 

僕が違う次元の人間か。まあ元魔王だからな。他とは違うように見えるのかもしれないな。まだ完全にリア充を演じ切れていないのかもしれないな。少し不安が出てきたな。運動部見学もバレないようにしないと。

 さて着替えも終わったしそろそろ行くとしよう。着替えを終えた僕たちは更衣室前でヨハネを待っていた。

 

「おまたせ。」

 

しばらく待つと着替えを終えたヨハネが出てきた。ヨハネは僕たちが着ている体操服にジャージを着ていた。髪はいつものようなお団子を解いて後ろでくくっていた。いわゆるポニーテールにしていた。いつもの髪型じゃないとイメージが変わるものだな。それにさっきの話も合って妙に意識してしまう。

 

「な、何よ人の顔をジロジロ見て。」

「へ?い、いや。なんでもない。」

「・・もしかして、ヨハネの美しさに魅了されてしまったのね、リトルデーモン。」

「・・・面倒だからそれでいいよ。」

 

あながち間違ってもいないしな。

 

「さて、二人ともそろそろ行くよ。」

 

また、藤崎の案内の元、今度は運動部見学が始まった。

まず最初に僕たちはサッカー部へと向かった。

 

「お前が津々宮だな。よく俺たちサッカーへ来た。俺がサッカー部キャプテンだ。さあ、俺たちとサッカーしようぜ!」

「はあ・・・。」

「あ!僕良いこと考えた!」

 

藤崎がまた何か案を出そうとしている。またメンドクサイことに巻き込まれそうだな。

 

「津々宮君、キャプテンとPK戦で戦って、サッカー部側が勝ったら入部を優先的に考える、というのはどう?」

「いいなそれ!俺たちが勝ったらサッカー部に入ってもらう。津島さんはマネージャーになってもらいます。」

「いや、入るじゃなくて、入ること前向きに検討するだけだから。」

「というか私も!?」

「さあ、勝負だ!」

「熱いわねこの人。」

「めんどくさそうなタイプだな、この人。断る方がめんどくさそうだ。」

「とりあえず、津々宮君頑張って。」

「私もマネージャーなんてつきたくないし、しょうがないから応援してあげる。」

「はあ・・。しょうがない、PK戦やってくるよ。」

 

そして結果は、

 5対0で僕の全勝終わった。

 

「な、なぜ・・。」

「おー!津々宮君凄い!」

「ま、私の応援があったからね。」

 

正直最初の1.2回はなめられていたな。残りは結構本気だったが、僕には及ばない。

 

「く、さすがだな、津々宮。まだ次は負けん!」

「まだやるの?」

 

このままだと、僕が負けるまで勝負を仕掛けてきそうだな。少し悪い気もするが、ここは冷たくいかせてもらおう。

 

「まだやる気かい?」

「ああ。何度だって立ち上がる!それが俺たちだ!」

「フッ、負け犬の遠吠えだな。君と僕とでは格が違うんだよ。」

「くっ・・・。」

 

ちょっと冷たくしすぎたな。

 

「だが、いい勝負だった。試合の助っ人くらいなら受けるよ。じゃあね、サッカー部さん。」

 

これくらいでいいだろう。はあ、まさか勝負で決めるなんて思ってもみなかったな。というかこれ見学じゃない気がする。見学じゃなくて、殴り込みに近いぞ。

サッカー部の後、僕たちはテニス部に来た。

 

「聞きましたよ。サッカー部では勝負をして勝ったら入部してもらう、ということをしたそうですね。ならば、我々とも同じ勝負をしましょう。」

「またか・・・。そして入部じゃなくて優先的に検討するだけだから。」

「じゃあ、津々宮君頑張ってー。」

「へいへい。」

 

結果はまたも、僕の圧勝。

 

「まだまだだね。」

 

言ってみたかったんだよな、このセリフ。

そのあと僕たちは陸上部や野球部、空手道部、ラグビー部にも勝負を挑まれては勝ち、勧誘を断り続けた。途中、ヨハネだけチアリーディング部の勧誘を受けて途中で抜けた。一旦別行動をとることにした。僕は藤崎と一緒に先に最後の運動部、弓道部へと向かった。弓道部の練習場は広々としていた。広い割には部員も少なくほとんど貸し切り状態だった。

 

「よく来たな、津々宮。」

「前田先生。どうしてここに?」

「俺は弓道部の顧問だからな。」

「そうだったんですか。」

 

僕たちの担任の前田先生は弓道部の顧問だったのか。知らなかった。

 

「さてと、やっと最後か。で、どうせここでも勝負でしょ。だったら、さっさと終わらせよう。だれと勝負すればいいの?」

 

今まで弓を引いていた部員たちは反応はしない。ということは彼らが相手ではないのか。

 

「僕が相手するよ。」

「藤崎君、弓道部だったの?」

「うん。言ってなかったっけ?」

 

藤崎君、弓道部だったのか。特に勧誘もしてこなかったから気にならなかったな。

 

「まあいいや。誰が相手でも僕は負けないよ。」

「僕も全力でやらせてもらうよ。」

「熱いなお前ら。そんなお前らに一つアドバイスだ。弓道は集中力が大事だぞ。初めての津々宮は最初の何発かは狙い目を探したほうがいいぞ。」

 

なるほど・・・。集中力か。しかし今まで10を超える部活と勝負をしてきたから、少し心配だな。まてよ・・。

 

「先生たち仕組んでない?」

「どうしてそう思うの?」

「弓道部の状況を見る限り、少しでも部員を増やしたいはず。そんなところに運動神経抜群の転校生。しかしその転校生は色々な部活からも勧誘を受けている。そこで、それぞれの部活と勝負をさせて集中力を削る。それによって最後に案内した弓道部では疲労がたまるから、集中力を必要とする弓道の勝負は不利になる。そして最後に自分たちが勝負に勝てば、僕たちの勧誘に成功したことになる。というのが僕の推理なんだけどどうかな?」

「さすがだね津々宮君。」

 

推理物のドラマとかだったら、今は決め台詞を言うタイミングなんだろうな。「これが真実だ!」とか。

 

「まあ、いい作戦なんじゃない?」

「何とも思わないの?」

「別に、それくらいで僕は負けないから。さあ、勝負しようか。」

 

弓道の勝負は4本の矢で1立ちとして、1立ちを今回は3回やる。弓道には射法八節といって専門のやり方があるが、試合前に頭に叩き込んだ。

 

「やり方は覚えれた?」

「ああ。さっき頭に入れた。」

「それじゃあ二人とも、射場に立て。」

 

まず1立ち目。先生に言われたように最初の矢で狙い目を探すことにするが、カット。

結果は僕が1中、藤崎が2中だった。

 

「初めてで1中するなんてすごいよ。」

「言ったろ。あれくらいじゃ、僕は負けないって。」

 

そして2立ち目。

結果は僕が4中、藤崎が3中だった。

 

「さすが、津々宮君。初日で懐中するなんて!」

「え?懐中?」

「うん!4発全部当てることを懐中って言うんだ!」

「へー。まあ、さすが僕だな。」

「やっぱり、ここまで凄いとうちの部活に欲しいな。やっぱり最終兵器を使うしかないのか。」

「へ?最終兵器?」

「ああ。」

 

藤崎の合図と一緒に弓道場の扉が開いた。そこから、数人の女子生徒が出てきた。彼女たちは女子の制服一人分持っていた。

 

「津々宮君、君はひとつ間違えているんだ。」

「なに?」

 

藤崎は不敵な笑みを浮かべている。

 

「実はこの学校、チアリーディング部は存在しないんだ。」

「?!ヨハネ!!お前らヨハネに何をした!!」

 

この時僕は自分でもわからないくらい激怒していた。なぜこんなにも不安になっているのか。なぜこんなにも怒っているのか。自分でもわからなかった。ただ、一心不乱だった。しかしそんな不安をよそに藤崎は笑っている。こいつ何を企んでいるんだ。

 その時、弓道部の扉がもう一度開いた。そこに立っていたのは、チア服に着替えた、ヨハネの姿だった。

 

「・・・なにしてんの、ヨハネ?」

「こっちが聞きたいわよ!なんで、いきなりこんな服に着替えさせられて、いきなりここに連れてこられて、説明しなさいよ!」

 

説明しろと言われてもな。でもよかった、無事なんだな。あれ?なんでこんなに安心しているんだろう?

 

「さあさあ、最終試合をするよ。津島さんたちは観戦席にいて。」

「え?ええ。わかった。」

 

まったくヨハネのどこが最終兵器なんだ。多分、チア服のヨハネを見て動揺して勝負に集中できなくなる、そんな感じの作戦だろう。フッ、甘いな。視界に入ってこない限り、僕は揺るがない!フハハ、残念だったな藤崎。

そして勝負を再開しようとしたとき全てを悟った。

 ああ、これ負けたな。

なぜなら矢を飛ばす矢道のすぐ横が観戦席になっているからだ。つまり必然的にチア姿のヨハネが視界に入ってくるからだ。

 無理だろこれ!全然集中できない!

 

そして、試合結果は・・・

僕は0中、藤崎は4中。

合計は

僕が5中、藤崎は9中。

 

「ちょっと、シェリアス!何負けてんのよ!」

「いや、今回は君にも責任があると思うが・・・。」

「どうして私に責任があるのよ!」

「それは・・・。とりあえず先に着替えてこい!」

「いやー、惜しかったね。でもこれで、弓道部への入部を最優先に考えてくれるよね。」

「くっ、藤崎、君というやつは。」

 

なんだか今回の部活動見学自体こいつらにはめられた気がするな。あれ?そういえば、部活動見学を進めてきたのって、前田先生だったな。ということは、先生も含めて、こいつらにはめられたってことか。

 

「君たち黒いな。」

「え?どういうことかわからないな。」

 

こいつ、魔王や堕天使よりも黒いな。

 

「ちょっと、どうなってるのよ?」

 

チア服を着替えたヨハネが聞いてきた。正直さっきまでの服では目のやり場に困ったからこっち方が助かる。まあ、さっきの服も悪くはなかったが、制服のほうが僕は好きだな。

 

「ヨハネ、どうやら僕たちは巨大な陰謀に巻き込まれたようだ。」

「なっ?巨大な陰謀ですって?!まさか、このヨハネを付け狙う闇の支配者が・・・」

「君も闇の仲間だろうが。」

「二人とも、その話は置いといて、とりあえずこれ、入部届渡しとくよ。」

「なあ、藤崎君。1つ聞いていいかな?」

「何?」

「今日のことは君が仕組んだことだったのか?」

「さあ?どうだろうね。」

「お前黒いな。」

「ひどいな。策士だと言ってくれ。」

「はあ・・。まあいい、入部するよ。ヨハネもいいよな。」

「しかたないわね。このことも運命の導きだと言うなら受け入れるわ。」

 

その後、僕たちは弓道部に入部した。

 

 

 




 もし実際に弓道をやる場合はしっかりと準備運動や素引き、巻き藁撃ちと段階を踏んでから行ってください。怪我しますよ。

目標は「つれずれなるままに」
これからも読んでいただけたら幸いです。
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