堕天物語   作:EIMZ

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堕天使と魔王と休日Ⅰ

 今日は僕が沼津に来てから初めての休日だ。沼津に来てからというもの色々なことがあった。堕天使や腹黒委員長など個性豊かな友達ができた。そしてこっちでは僕は完璧超人の津々宮修斗として生きている。そんな津々宮修斗の一番最初の記念すべき休日は、昨日届いた1本のメールによってつぶされた。そのメールはうちのクラスの委員長、藤崎からだった。そのメールの内容は、

『昨日ラノベ部と漫研の見学に行ったとき、今度津々宮君達をモデルにした作品を作るって決めたんだけど、部長たちが二人の取材をしたいって言ってるから、もし明日暇だったら、お昼から津島さんと、二人っきりでお出かけしてほしい。津島さんはOKだって。僕らは邪魔にならないくらいのところから見ているから。』との内容だった。断りたかったが彼の後ろにあのめんどくさそうな先輩たちが待ち構えているので断るに断れなかった。ヨハネも多分同じような理由で了解したのだろう。しかし、休日に出かけるとなると、魔王の呪いが出る気がするな。心配だ。

 そして翌日、予想通りの雨だった。やれやれ、こっちでもか。ヨハネとの待ち合わせ場所に着いたはいいものの、着いた瞬間に雨が降り出した。大事な時に限って雨が降る、これが魔王の呪いだ。他のもいろいろな効果があるがそれは後程。

 

「やれやれ、魔王の名前は封印しても魔王の呪いは健在か。」

 

つい口に出してしまった。しかしほぼ同じタイミング、すぐ隣から同じような内容が聞こえてきた。

 

「まったく、こんな時にも雨だなんて。本当にヨハネって堕天使なんだから。」

 

「「えっ?」」

 

そこには今日の待ち合わせの相手、ヨハネが立っていた。

 

「おはよう、ヨハネ。」

「お、おはよう、シェリアス。」

 

今日の彼女の服装は、白いTシャツに黒のパーカーだった。対して僕は白いYシャツに黒のパーカーと、ペアルックで二人とも黒がベースの服装だった。中二病は黒色を好むのだろうか。

 

「あなたさっき、魔王の呪いって言ってたけど、なんなの?」

「ん?あ、あれは僕の生まれつきの能力で、今日みたいに特別な日には確実と言っていいほどに高確率で雨が降るんだ。これが魔王の呪いだよ。その他いろいろな効果がある。」

「フフッ。そんなところまで私に似てるのね。」

「その言い方だと、君も同じような力を持っているようだな。」

「ええ。私も今まで同じような目にあってきたわ。」

「お互い苦労してきたんだな。」

「そうみたいね。」

「さて、そろそろ、行くか。」

「行くってどこへ?」

「どこって、これってデートみたいなもんだろ。だったらヨハネが行きたいところがあれば、どこでも行くよ。」

「で、デート!?」

「みたいなものだろう。付き合ってないんだし。」

「そ、そうよね・・。」

「まあ、きっと今もどこかであいつらが僕らを見ているんじゃないのか。どうせ先輩たちのネタになるのだったら、今日だけ限定で付き合ってもいいけど。」

「ええ?!」

 

なんでこんなに動揺してるんだ。心なしかヨハネの顔の赤い。まあ、そうか。こんなイケメンと街中で仮にでもデートみたいなことをするなんて、普段から中二病をしている彼女からしたら難しすぎたか。まあちょっと前まで僕も同じような状態だったからわからなくもない。

 

「さて、本題に戻るけどヨハネはどこか行きたいところある?」

「ええ?!そ、そうね。それじゃあカフェに行きましょう。前々から前の学校でのあなたの話が聞きたかったの?」

「前の学校の話か。まあ、君にならいいか。いちようカフェの場所とかも調べてるけど、君の方が詳しいかな?」

「知らなくもないけど・・・。今日はあなたが私をエスコートしてちょうだい。」

「了解。」

 

僕たちは雨の中、目的のカフェへと向かうことにした。待ち合わせ場所から目的のカフェまではそう遠くない場所にあった。十分歩いていける距離だったので、傘をさして歩いていくことにした。それから数分歩いているとヨハネが口を開いた。

 

「ねえ、シェリアス。」

「ん、何?」

「今から行くカフェってどんなところなの?」

「たしか、スイーツが多かったな。今は、イチゴともう一つ何かキャンペーンしていた気がするな。」

「イチゴ!?」

「う、うん。もしかして、イチゴ苦手だった?」

「いえ、そんなことないわよ。むしろ逆ね。」

「そうならよかった。」

「フフ、このヨハネの心の見抜くなんて、さすがは魔王ね。」

「元、魔王な。」

「いいえ、ヨハネの魔眼はごまかせれないわよ。きっとあなたの中で、今も魔王は生きているわ。」

「・・・そんなものなのかな。」

 

僕の中でまだ生きている、か。確かにそうかもしれないな。今もまだ気を抜くと中二病発言がでてきてしまう。フッ、魔王が封印を破ろうとしているのか。やはり、魔王シェリアスは外に出たがっているのか。もしかしたら、押さえつけられることで今まで以上に力がでてきているのか。それとも、彼女との出会いが原因だろうか。堕天使ヨハネとしての自分を押さえつけることなく、外に出している彼女が僕に影響を与えれているのか。僕は彼女に憧れているのか。僕は完璧な人間としてではなく、素の自分として生きろというのか。そんなはずない。僕はヨハネとは違う。

 

「どうしたの、シェリアス。難しい顔をして、何か考え事?」

「え?いや、何でもない。」

「そう?」

 

出会ったときから思っていたことだが、彼女の勘は鋭いな。本当にすべてを見通す目でも持っているのではないだろうか?

 そうこうしているうちに目的のカフェに着いた。内装は白い壁で明るい雰囲気だった。今日は偶然客が少ないようだ。

 

「思ったよりも、空いてるな。」

「好都合じゃない。」

「まあ、そうか。」

 

僕たちは窓際の席に座った。しばらくすると店員の人がメニューを持ってきた。メニューは色とりどりのパフェや様々なドリンクが並んでいた。今までの僕では来れないような店だなと、内心思っていた。

一方ヨハネは目を輝かせてメニューに見入っていた。多分ページから察するにシーズン限定パフェのページを見ているのだろう。甘いものを前にすると、普段は中二病全開の彼女も一人の少女に戻っているようだ。普段からそんな天使のような顔をしていれば、彼女もモテているんだろうな。

しかし彼女にも僕が転校してきてからたった噂のせいで迷惑をかけてしまった。何かお詫びをしなくては。

 

「ヨハネ、今日は僕がおごるから好きな物を頼んでいいよ。」

「本当?・・何か企んでる?」

「何も企んでないよ。ただ、君には色々と迷惑をかけたから、何かお詫びをしたいなと思って。」

「フフ、さすがは私のリトルデーモンね。それじゃあ、お言葉に甘えて。何にしようかしら。」

 

そう言ってヨハネは再びメニューに目を戻した。僕も何を注文するか決めるか。

 

「ご注文はお決まりでしょうか?」

「私は、チョコカフェラテとストロベリーケーキで。」

「僕はキャラメルフラペチーノとケーキは同じものを。」

「かしこまりました。」

 

そういうと、店員の人はメニューを持って行った。しばらくしてヨハネが口を開いた。

 

「さて、メニューも注文したし、そろそろ前の学校でのあなたの話を聞かせてもらおうかしら?」

「ふう。ついにこの時が来たか。正直あまり話したくないんだが・・・。」

「フッ、ヨハネとの契約は絶対よ。さあ、話しなさい、リトルデーモン。」

「はあ・・。どこから話そうか。」

「そうね。あなたの、シェリアスの誕生から話してちょうだい。」

「魔王の誕生、か。いつ頃からだったかな。あんまりよく覚えてないけど、原点は幼稚園ぐらいからかな。確かその時くらいには、自分はほかの人間とは違うって考えてたからな。そのあと色々あってシェリアスっていう名前が付いた。」

「結構前なのね。」

「お恥ずかしい。幼稚園の頃は、『ぼくは、あくまの王さまなんだ!』とか言ってたな。」

「フフッ。かわいいところもあったのね。」

「かわいいとか言われてもそんなに嬉しくないのだが・・・。そういうヨハネの原点はどうなんだ?」

「えっ、私?!」

 

動揺してるな。自分にも僕の過去に負けず劣らずの過去があるのだろう。少し詮索してみるか。素直に気になるし反応が面白い。彼女は中二病なのに表情が顔に出やすい。笑ったり怒ったり見ていて飽きないな。

 

「で、どうなんだ?ヨハネの誕生は?」

「・・・私も初めは幼稚園くらいだったかしら。『わたし、ほんとうは天使なの!』とか言ってたわね。」

「ロリヨハネの今とさほど大差なし、か。」

「何よ!あなただってそうだったんでしょ!」

「まあ、そうなんだけど。」

「ほんと、私たち似てるわね。」

「・・・そうだね。」

 

僕たちが似てるか。似ているといえば似ているのだろう。ただ、似てると言われるほど複雑な気持ちになる。きっと僕の中には、外に出たがっている魔王がいる。堕天使の自分と真正面から向き合っている彼女を見ていると、僕の中に眠る魔王が疼いてしまう。もっと彼女のように正面から自分と向き合え。真の自分をさらけ出せ。本当の自分はそんなものではない、と。自分の中にもう一人の自分がいるというのは複雑な気分だ。彼女といるといつも以上に考え事をしてしますのか。それは彼女が僕の中の僕が求める本当の姿だからか、自分の消し去りたい過去に似ているからだろうか。いずれにせよ、この感情にはいつかけじめをつけなくては。

そうこうしているうちに店員の人が注文していた品を持ってきた。

 

「お待たせ致しました。チョコカフェラテとキャラメルフラペチーノ、こちらがストロベリーケーキ、それとキャンペーンのバーナームショコラストロベリーパフェでございます。」

「あの、キャンペーンって、何のキャンペーンですか?」

「はい。ただいま当店ではカップルキャンペーンを実施しています。男女二人でご来店になられたお客様にはサービスでパフェをタダでご提供させていただいています。」

「・・・そうなんですか。ありがとうございます。」

「では、ごゆっくりどうぞ。」

 

そんなキャンペーンをしていたのか。そういえば書いてあったな。あまり目を通さなかったけど、こんなパフェが出てくるのか。それにしてもさっきからヨハネが静かすぎるな。

 

「・・・・」

「ヨハネどうしたの?顔赤いよ。」

「だ、だって、そのパフェは・・・か、かか、カップルのためのパフェでしょう。なのにどうして受け取ったのよ?それじゃあまるで、私たちが・・・つ、付き合ってるみたいじゃない!」

「まあまあ、受け取れるものは受け取っとこうよ。ヨハネ、イチゴ好きだろ。」

「確かに好きだけど・・・。」

「じゃあ問題ないじゃん。」

「で、でもこれを食べると私たちはカップルだって認めるようなものよ。あなたはいいの?」

「うーん。君とならいいかな。いや、君だからこそいいんだ。」

「ええ!?え、え?っ、うう・・・。」

「なんてね、ときめいたいした?」

「へ?」

「わざとだよ、わざと。演技だよ。」

「・・・・っもう!人の心で遊ぶな!性格悪いわよ。」

「あはは、ゴメンゴメン。おもしろくてつい。」

 

本当に表情がころころ変わるな。中二病ならもっとポーカーフェイスでいるべきなのに。まあ、彼女はそこがいいのだがな。もしも彼女が表情を変えなかったら違和感があるだろうな。いや、無表情の彼女は彼女でちょっと見てみたいな。クーデレだったらさらに面白い。

 

「もう!これからは、ヨハネで遊ばないで。」

「はいはい。まあ食べようよ。パフェがとけるよ。」

「まったく、誰のせいでこんなことになったと思ってるのよ。」

「あはは、ゴメンゴメン。・・・・・まあ、あながち嘘でもないんだけどな。」

「何か言った?」

「いや何も。」

 

ケーキにも手を付けていないのに、一波乱起きてしまった。今日一日、僕の体は持つのだろうか。

 食べ終えてからしばらく、現在の時刻は16時か。まだ時間があるな。

 

「ヨハネ。この後どこか行きたいところはある?」

「そうね。デパートに行きたいかしら?」

「デパートか。いいよ行こう。」

 

次に僕たちはデパートに行くことになった。

カフェの代金が4000円近くになったがそれはまた別の話。

 

 

 




今回の回は何が難しかったて、メニューの名前を考えることですかね。
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