人外は常識外れだからボクはまだ人間だと思う   作:黒樹

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サブタイトル選考。
×心拍数上昇
×温度差



運命の赤い糸

 

 

小学二年生。最近では朝から篠ノ之神社に通うことが多く、基本的にスカートで活動することが多くなった。束さんを朝食の席に連れて行くには彼女の用意した服を着るしかなく、たまにそのまま学校に通学している。色々と破綻した人を相手にしているとボクの神経も鍛えられたようで他生徒との会話が困難ではなくなった。相変わらず男の子にはからかわれるけど、何故か女の子には嬉々として話しかけられる妙なサイクルがあるが。

 

「婦人警官の制服で登校してはいけません!」

「えっ、なんで?」

「それは別の制服です!」

「お言葉だけど先生、小学校にはそんな校則ないよ」

 

私服で自由な校風が小学校の特権だというのに。でも先生、なんでその手に携帯電話を構えているんだい? 通報するのならボクはこれを脱がなければいけない。婦人警官が警察のお世話になるなんて近代は警察組織も信用ならない。パシャりと証拠写真を撮られたボクは自慢の三つ編みを撫で付ける。

 

「もう行っていい先生?」

「えぇ、いいわよ。こんな可愛い生徒の担任になれるなんて幸せ」

 

早速、証拠写真で愉悦している女性教師は役に立たない。別世界に飛び立った気がするが見慣れているので放置だ。

 

「じゃ、バイバーイ」

 

手を振りながらその場を離れる。担任教師はひらひらと手を振り返してくれた。

 

 

 

 

 

最近のボクの悩みといえばとても簡単なことだった。篠ノ之神社に通い出した時にも判明したことだが、織斑一夏と篠ノ之箒は少しだけ馬が合わないようだ。己を研鑽する時も互いに競い合うまではいいのだが度々の衝突も少なくはない。特にボクに対しては何故か余計に棘があるような感じだ。

しかし、千冬姉と篠ノ之束という二人を知っている為かボクは板挟み状態。このまま仲が悪いとなんというかむず痒い感覚に近い妙な気分で二人と稽古を続けなければいけなくなる。一夏が一度多く竹刀を振れば、箒も竹刀を倍多く振る。その繰り返しで倒れるまで握り続けるものだから頃合いを見計らって剣を弾くのもボクの役目だ。

 

午前中の授業を束さんからの宿題を片付ける時間に割り当てていると、昼食の時間になってしまったようだ。まるで机をぶつけ合うように設置する二人の机がガツンと大きな音を鳴らす。

堪らず驚いて、授業が終わっていたことを知った。奇しくも同じ班員となってしまった二人。一夏と箒はこんな時間にも互いに睨みを効かせることを忘れない。

 

「春香、授業終わったぞ」

「そうだね。給食の時間だ。さてと、給食当番頑張るか〜」

「まったくだらしない。授業に集中できないなんてな」

「春香は毎日朝食作ったり、夕食作ったり忙しいんだよ。おまえにわかるか」

 

いや、君が一番わかってないからね?一夏。

人をダシに喧嘩しだすあたりもうなんて言っていいのやら。

 

「貴様は関係ないだろう。自分でやっているわけでもあるまい」

「うっ……知ってるんだぞ。おまえの姉ちゃんだって春香に面倒見てもらってるだろ」

「あーはいはい喧嘩しない。そもそもボクは束さんに勉強を見てもらってるし、等価交換的な関係だから」

 

喧嘩する前に止めに入る。何故か不満そうな二人の視線が突き刺さるがボクは完全スルー。束さんに勉強を見てもらっているのも嘘じゃないが虚偽でもある。ボクが彼女の力になるための今なのだから。

 

「何故貴様が姉さんに気に入られているのだ……」

 

それこそボクが知りたい。

 

 

 

給食の配膳を終えて、席に戻ると班は殺伐とした空気で昼食の席を囲っていた。残りの班員三人が救世主を見るような目で訴えかけてくる。「この二人をどうにかしろ」と。もはや肩身の狭いのはボクだけではなく班員まで被害が及んでしまった。楽しい給食の時間でさえも煽り合いが続くのだ。

 

「おまえニンジン食べれないのかよ」

「うるさい、黙れ」

「一夏はピーマン食べれなかったよね」

 

火種となりそうなのものは同じ火で打ち消す。どっちの味方をしているのかって? 仲良くしようとしない限りボクはどっちの味方でもありません。

 

「貴様も同じではないか」

「ピーマンは苦いからいいんだよっ」

「どういう理屈だ?」

「ニンジン食えない方がおかしい」

「ピーマンは栄養たっぷりなんだぞ」

「ニンジンだって……!」

 

皿上のピーマンとニンジンをお互いに押し付け合う。実は仲良いだろう君達。なんでお互いの嫌いな食べ物を押し付けあって食べてるんだか。

 

「一夏、いい加減にしないと夜ご飯がピーマンの肉詰めになるよ」

「肉になんて仕打ちするんだよ、春香」

「好き嫌いしてたら強くなれないよ」

「……」

 

皿の押し付け合いが終わり二人は苦手な食べ物に手を出し始める。苦手な食べ物を食べない時に役に立つワード。千冬姉の冷たい視線よりは幾分かマシじゃなかろうか。

ほっとした班員達の箸も進み始める。手の掛かる妹が増えた気がする。

 

 

 

昼食が終われば掃除の時間となる。みんな大嫌いな掃除の時間が終わると待ちに待った昼休憩の時、子供達はボールの支配権を握る為に教室へと逸早く帰ろうとする。争奪戦争に負ければ遊ばないグループは溢れて違う遊びを見つける。元々クラスに一個しかないボールだ。倍率は高い。

 

ボクは確かに一部の男子とは仲は良いが、ボール遊びに興味はない。最近作った“グラシュ”で空を飛ぶ以外には束さんのIS計画の進行の為にボクは知識を蓄える。勉強する為に喧騒教室から抜け出して図書室に通う。あそこは本に興味がある静かに過ごしたい等の理由でしか使用されない為に都合が良かった。

あぁ。最近知り合ったシャルロットに手紙の返事でも書こうか。電話よりは安く済む為重宝している。国際電話なんて料金バカにならないからな、うん。

長い手紙をしたためるとそれを折れないように本を借りて、中に挟んでおく。シャルルマーニュ伝説。ボクが好きなのはジャンヌダルクの歴史的なものなのだが、確か束さんが初対面でこの名前を言っていたはずだ。気になるので一応読んでおく。

 

図書室を出て廊下を歩く。まだ昼休憩の時間は終わっちゃいない。しかし、勉強をするのにも中途半端な時間で仕方なく教室へと帰ることにした。特別棟を出てクラス棟へ。自分の教室の前に来た時、それは聞こえてきた。

 

 

 

「–––やーい、男女」

 

 

 

入学から落ち着いた生徒の一部はよくボクや箒を揶揄う言葉としてそんな言葉を使う。所謂イジメというやつだ。ボクは別にそんなことを言われても気にしないけれど、箒には少しキツイらしい。特にボクが何の反応も示さないからかボクへの矛先は殆どない。その代わりと言ってはなんだが箒に向けてのイジメが多くなった。スカート捲ったり髪を引っ張ったり。ボクの場合はそうなる前に腕を掴み上げてしまうので男の子達は手を出してこない。

 

何度注意しても止めない。これがイジメに入るかと聞かれればどう答えていいのか。度合いというものを知らないし、ただ癪だなとは思う。先生が見てないところでやるから尚更性質が悪い。

 

そして、ボクは–––。

またその騒動を止めようとして、教室に入った瞬間に見てしまった。

 

「うわぁあああ!」

 

篠ノ之箒がはじめて泣く姿を。

 

教室には床にへたり込んでしまった箒と守るように立つ一夏、二人に対立するように三人の男子達が遠巻きにニヤニヤと泣きじゃくっている箒を見ていた。その一人の手には鋏が一本。赤い液体と髪の毛が絡まっている。一夏の小指から流れ出た血が床に落ちて、小さな水溜まりを作っていた。

 

「ちょっと君ら何やってんの!?」

 

教室に入ると硬直した空気がボクに流れる。視線が射すのも構わず、二人の側へと駆け寄ると一夏だけは反応を返してくれた。

 

「春香、あいつらが–––」

「そんなの聞かなくてもわかる」

 

できるだけ柔和な表情で男子達を見た。

 

「いい加減にしないと怒るよ?」

 

–––束さんがっ!!

他人に対する態度が絶対零度としたら、篠ノ之箒に向ける束さんの感情はもはや甘いとかレベルじゃない。怪我なんてさせたらモンスターと化して介入してくるだろうし無事では済まない。パンデミック級の恐ろしさを秘めている。他人であればどれだけ酷かろうと冷酷に冷徹にできるのが篠ノ之束だ。

それが、妹を傷つけられたとしたら……想像するだけで恐ろしい。

 

男子達もやり過ぎだとは感じていたのか、動揺した様子だ。

 

「な、なんだよ……いきなり突っ込んできたのが悪いんだろ」

「怪我させるつもりなんてなかったんだよ」

「だいたい篠ノ之の態度がムカつくから……」

 

怖いのは何も篠ノ之束だけじゃない。うちの織斑千冬も負けてはいない。むしろ、ボクと一夏が一番畏れるのは千冬姉の機嫌を損ねることなのだから。

 

言い訳を並べ立てる男子達。

たぶん、ボクは–––ボクの人生で五本の指に入るほど怒っていた。

 

「あのさぁ。別にボクだって君達が全部悪いとは言わないよ。確かに箒はこんな態度だし少しくらい怒るのもわかる、けどそれとこれとは違うじゃないか。箒は暴力で誰かを屈しようとは思わなかったし、むしろ弱い者の味方だった。確かに言葉では人を傷つけることもあったかもしれないけど……正々堂々としていた」

 

ボクに当たりはキツイかもしれないけど、ボクは知っている。強く儚く誰よりも優しい。男子に意地悪をされた女子がいれば怒るようなそんな子だ。

 

「それに比べて君達はどうだい? よってたかって三人で、卑怯な上に男らしくない」

「女の格好してるおまえなんかに言われたくねぇよ!」

「男らしいっていうのが君達のような卑怯者のすることなら、ボクは男らしくなくていい!」

 

いや、それは言い過ぎか。しかし、このままでは収集がつかないのも事実だ。

おそらく、箒が今日付けていたであろうリボンを男子の一人が持っているのを目にしてボクは前に出る。今にも飛び出しそうな一夏を制止して、一言。

 

「怪我してるんだから一夏は下がってて」

「はい、わかりました」

 

妙に物分かりがいい一夏を放置して更に一歩。

 

「それ返してくれない?」

「と、取り返せるもんなら取り返してみろよ」

 

更に一歩で鋏を持っている男子の手から鋏を奪い盗る。同時に転倒させて次の標的へ。

何も持っていない男子の両足に手錠を掛けて、転けた男子の方に押し出す。床に這いつくばっていた男子の身体に引っかかりすぐに転倒することになった。グエッと呻く声が聞こえたが無視。

最後にリボンを持った男子の鳩尾に拳銃の形で指を突きつけ、震脚と同時に突く。

 

「バーン♡ってね」

 

リボンを取り戻しボクは銃口を吹くような仕草を見せた。

 

 

 

「こら! 喧嘩しちゃダ–––」

 

担任の先生が到着すると同時に唖然とその光景を見渡す。

倒れた男子生徒が泡吹いているのを見て、ボクはやり過ぎたことを自覚した。

こういう時はどうすればいいのか。

そういえば束さんに教えてもらった魔法の言葉がある。

 

「逮捕しちゃうぞ」

 

先生、ボクは無実です。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「ねぇ、誰にやられたの? 何処のどいつ? お姉ちゃんに教えて」

 

親が呼び出されるなり出てきたのは千冬姉と束さんだった。一番恐れていた事態にボクは終わったことを悟る。もちろんあちらの親は平謝りするほどで子供の頭を下げさせていた。特に一夏は鋏で斬られる事態にまでなったのだ。いくら親がいなくともナメられるわけにもいかず、千冬姉自身怒り心頭の様子で冷静に話を聞いていた。束さんに至ってはゴミ虫を見るような絶対零度の目で男子達を怯えさせていたものだから、たぶん二度と同じことは起こらないだろう。

 

ボクは日課の夕食作りを終えて篠ノ之神社へ。そこでは仲睦まじく精神統一の為に前座を組む一夏と箒がいた。怪我のせいで一週間竹刀を握ることを禁じられた一夏に付き合っているのは一目瞭然だ。

 

そこは素通りして、束さんのいる地下室へ。

ボクが取り持つまでもなく、成長する二人に微笑ましい思いを抱いていると、地下からは途轍もなく冷たい冷気が流れてきているではないか。

 

「ゴミクズゴミクズゴミクズ」

「ちょっと待って、女の子の出していい声じゃないよ束さん!?」

「だってー、箒ちゃんの髪を切ったんだよ? ナニ切り落とされても文句言えないよね?」

「そこは同意するけど、犯罪だから」

「あれ、着替えちゃったんだ婦人警官の制服。あのまま牢屋にぶち込んで欲しかったのに」

「ほら、束さんのリクエストに応えるから許してあげるって約束したじゃん」

 

なんでボクが彼らの罪の清算を行わなければいけないのか。これも束さんが犯罪に走らない為だ。今頃、千冬姉の相手を柳韻さんがしていると思うと同情を禁じ得ない。

 

「それで何を着ればいいの?」

「これ」

「え、こんなんでいいの……?」

「今、束さんは癒しを求めているのです」

 

クローゼットから何を取り出すかと思えば普通に白のワンピース。

 

「因みに束さんのおさがりだよ。興奮する?」

「しません」

「匂い嗅いじゃう?」

「嗅ぎません」

 

Tシャツとホットパンツを脱ぎ捨ててワンピースに袖を通す。その瞬間、首を通したところで地下室の入り口から珍しい声が聞こえてきた。

 

「うわああああ!?」

「いらっしゃい箒ちゃん」

 

どうやら箒が来たようで、ボクは急いでワンピースを着た。途轍もない軽さと風通しにこれまでにない冷たさを背筋に感じ、もう二度とワンピースだけは着ないと誓う。

 

「おまえ何やってるんだ!」

「着替え」

「それって姉さんの……」

「らしいね」

「おまえもう慣れてないか……」

「順応しないと世の中生き残れないよ。それで、どうしたの?」

 

さっきまでイチャイチャしていたのに。普段は訪ねて来ないこのラボにどうして来たのかと訊ねると彼女はチラチラと束さんを気にしているようで視線は泳ぎっぱなしだ。

 

「おまえに用があるんだ」

「誰にも聞かれたくない話?」

「できればおまえだけに相談したい」

「……」

 

後ろでウサギの崩れ去る音が聞こえた気がしたが気にしない。きっと頼られたのが自分ではなく、ボクだったのがショックだったのだろう。

 

 

 

地上に帰ると一夏と千冬姉はもういなかった。まぁ、今日は色々あって篠ノ之神社に来るのも遅れた為仕方ないと言えば仕方ないが、どうして彼女はボクだけを呼び出したのだろうか。思い当たる節がない為、縁側に腰掛けた箒の横に座ることでボクは黙って座ろうとして、思い出したように口を開いた。

 

「そうだ、髪整えてあげようか」

「おまえそんなことできるのか?」

「失敬な。これでも千冬姉と一夏の髪はボクが切ってるんだよ」

「ふふっ、さっきも一夏に『春香に切ってもらえば?』と言われた。おまえの良いところ散々言われたんだからな」

「で、どうする?」

「うむ、頼む」

 

箒の背後に回るとリボンを外す。ポニーテールがバラバラになり、綺麗な黒髪ストレートが出来上がった。千冬姉は髪がそこまで長くないので新鮮な眺めだ。

髪カット用の鋏と櫛を手に取り敢えず、髪を梳いていく。ある程度、髪を梳いたところで箒は口を開いた。

 

「その……今まで済まなかった」

 

普段ではないしおらしい態度で謝罪の言葉を搾り出す。ボクはこっそりと笑んでから、彼女の下を向いてしまった顔を上に戻す。

 

「ほら前向いて、やり難いから」

「そ、そうだな、すまん……」

「わかればよろしい」

「あぁ……って、これじゃあまたおまえのペースじゃないか」

 

いきなり振り向いてきたせいでボクは少し後ろに下がる。箒をもう一度前に向かせて、鋏を手に取った。

 

「一夏にも言ったんでしょ」

「あぁ、おまえ達は本当にお互いのことがわかるんだな」

「さっきも同じこと言ってたって? 残念ながらボクに一夏の考えはわからないかな」

「そ、そうなのか……?」

「話の続きはどうしたのさ」

 

これ以上はこちらから話し出すのを止めようと誓う。このままだと話が進まない。

そうだったな、と言って箒は告白する。

 

「実は……おまえには何もかもを取られそうで怖かったのだ。自分の方が早く始めていたのに剣では全く敵わない、姉はおまえにゾッコンで姉を盗られたような気がして……キツく当たっていた。本当に済まない。本当は姉とまた一緒に食事ができて嬉しかったのにな」

「でも、今回の件でわかったでしょ。束さんは箒のこと大好きだって」

「……そうだな」

 

フッと吹っ切れたように息を吐く箒の髪がサラサラと流れる。手入れは終わりもう一度ポニーテールに戻す。

 

「ついでに聞くけど、一夏のことどう思う?」

「ぐふっ!? ど、どういう意味だ?」

 

不意打ち気味に揺れ動いている心を突かれたからか、慌ててタジタジになる箒。その反応だけで一目瞭然である。つまり彼女は一夏にほの字だ。

 

「実は一夏にお返しがしたいからボクに相談しにきたんでしょ?」

「……助けてもらってばかりじゃ癪だからな」

 

そっぽを向く彼女の頰は赤い。

確かにこれは、千冬姉と束さんには相談できない内容だ。

方や男前、方や他人に興味のない自由人。

そして本人とくれば、消去法でボクしかいない。

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「どういうことだ春香!」

 

織斑家に帰るなり千冬姉が出迎えると同時に迫ってきた。

 

「どうしたのさ血相変えて」

「せ、赤飯だぞ!?」

 

一夏と箒が仲良くなった記念に赤飯を炊いた。篠ノ之家でも同じく夕食は赤飯となっている。しかし、何故そこまで千冬姉は焦っているのかボクの肩を掴んだ。

 

「誰だ? 春香を傷物にしたのは……束か? 束なんだな。よし、我が剣の錆にしてくれる」

「ちょっ、違うから。あと傷物っておかしいでしょ!?」

「春香、ご飯まだー?」

「一夏手伝って。別の件で千冬姉が犯罪者になる!」

 

玄関で荒れ狂う鬼にボクは必死でしがみつく。

ボクは最終兵器を発動した。

 

「–––お姉ちゃん、大好き」

 

普段は絶対に言わない死語。上目遣いにぎゅっと抱き着くの二段攻撃。

 

「……」

 

この後散々、千冬姉を甘やかした。




補足。束さんが教えているのはISに必要な知識だけ。
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