ストライク・ザ・ブラッド 誓いの光の巨人   作:カラムイラス

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10話 アルデアル公

 南宮と話をしてから約三十分後。ようやく客人の所有する豪華客船が港に着いた。俺は早速客人を迎えるために、その船に近づいていく。近くまできて、その大きさにあっとされる。戦王領域で自治領を任せられる人物だ。これくらいの船ならいくつもM逐っているのだろう。そう考えながら今、船より下りてきた白いスーツを着こなした金波油の客人に近づいていく。

 

「ようこそ、絃神島へ。自分は今回、貴方の案内役を受けたまりました。攻魔師の暁光牙といいます。以後お見知りおきを」

 

 俺が自己紹介をしながら、そっと握手を求めるように手を伸ばす。すると、彼の背後に付き従っていた男が、その行動に警戒したのか、客人を守護しようと前に出ようとする。そかし、それは客人の手によって、阻まれた。客人はこちらの意図を感じ取ったように、俺の手を握る。

 

「へぇ! 君も暁なんだね。ボクはディミトリエ・ヴァトラーだ。初めまして、光牙」

 

 客人であるディミトリエ・ヴァトラーはフレンドリーの言葉を返してくる。彼から発せられた言葉あまりにも流暢な者で少し驚く。だが、あくまで内心で。

 

「日本語がご上手ですね。さすがは古き世代といった所でしょうか」

 

「そんなんでも無いさ。やはりこういう物は日頃から使い慣れている日本人の方に長があるものさ」

 

 彼は謙遜した様子を見せる。しかし口に笑みを浮かべながら、好奇心を宿した目を向けてくる。

 

「ところで、光牙。君に聞きたい事があるんだけどさ」

 

 先程の彼の自己紹介の時に発せられた言葉である程度予想はしていた。だからこの後、彼が何を口にしてくるかはおおよそ想定していた。

 

「君は暁古城っていう少年を知っているかい?」

 

 彼から発せられた言葉は想定した物通りだった。俺は彼に微笑みを向けながら、正直な事を話す。

 

「暁古城は自分の実弟です。アルデアル公は弟にどのような用件があるのでしょうか」

 

「やはり、というべきか。君に名字を聞いてもしやとは思ったが。まさか本当に血縁者だったとはな」

 

 彼は驚きを隠せないように自分の世界に入り込む。しかしすぐに此方に戻り、含みのアル笑みを見せ付ける。

 

「君の弟に逢いに来た。といったら君はどうする?」

 

 まるで此方を試すような質問を投げかけられる。

 

「貴方と会うかを決めるのは、あくまで弟です。自分にあいつを止める権利は存在しません」

 

「おや、意外だね」

 

 アルデアル公は何故か口の笑みを深めた。

 

「君は古城がどういう存在なのか、ご存じの様子だ」

 

 その言葉に、彼の後ろに控えていた部下であろう、二人の青年が警戒を見せる。

 

「あいつがどういう存在であろうと、自分の弟という事実は変わりませんよ。アルデアル公。弟に恐怖を抱くようでは、兄なんか勤まりません」

 

 俺は自分の考えを笑みを浮かべながら口に出す。

 

「君も相当面白い人物のようだ。アハハハハ!っ」

 

 そう口にすると、彼は愉快そうに笑う。

 

「楽しんでくれたようで何よりです。さて、これより絃神島をご案内いたしましょう。配下の方々もご一緒に。そして、君も一緒に来るといい」

 

 俺は方向も変えず、先程から背後に感じていた気配の人物に声を掛ける。すると、アルデアル公は益々楽しそうな笑みを浮かべる。背後の人物は、俺の言葉に一瞬体を震えさせ、少し考えた末に姿を現す。俺はアルデアル公との握手を離して、背後に目を向ける。そこには長い髪をポーニーテールにした、どこかの学校の制服を身につけている顔を強ばらせた少女の姿があった。彼女は俺に警戒の目を向けたあと、此方に近づいてくる。俺の横を素通りして、彼女はアルデアル公の前で立ち止まり、彼に軽く頭を下げた。

 

「初めまして、アルデアル公。獅子王機関より、御身の絃神島滞在中の警護の任を承った煌坂紗矢華です」

 

「ああ、よろしく頼むよ。さあ、行こうか」

 

 アルデアル公は彼女に一瞥だけして、此方に近づいてくる。煌坂と名乗る彼女は何故か此方に鋭い視線を向けてくる。何故だ? 獅子王機関から来たということは、姫柊ちゃんと何か関わりがあるのだろうか? もし、この考えが正しかったら、俺は第四真祖の兄貴ということで警戒するのも当然だな。まあ、それはさておきだ。

 

「車は此方で用意した物を二台ご用意させていただきました」

 

 俺がそれを言いながら、車の方に手を差し伸べる。その方向にあったのは、黒塗りの二台の高級車。

 

「一台には案内役の自分とアルデアル公。そして彼女が乗り合わせることにいたします。すいませんが、配下の方々は二台目にご乗車していただきたく思います」

 

「ああ、構わないよ」

 

 アルデアル公に許可を取り、俺は彼を車に乗れるように後部座席のドアを開き、乗るように促す。彼はその要求に反論すること無く、素直に乗ってくれた。次に彼の護衛役である煌坂ちゃんにも乗るように目配せを送る。彼女は反抗的な目を向けながらも、素直に乗車してくれた。そんなに警戒すんなよと思いながら、ドアを閉め俺は運転席のドアを開く。

 

「おや? 君が運転してくれるのかな?」

 

「はい。これでも案内役ですので、この方が都合がよろしいのです。ですが何か度不満でもありましたでしょうか?」

 

「いや、不満はないよ」

 

「そうでございますか」

 

 俺は作った営業スマイルを浮かべて、運転席に乗り込んだ。すぐにドアを閉め、シートベルトを填めて、エンジンをつける。

 

「それでは参りましょうか」

 

 俺はそっと、アクセルと踏み込んだ。 

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