ストライク・ザ・ブラッド 誓いの光の巨人   作:カラムイラス

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 ストブラ三期決定! 嬉しすぎます。知ったとき、思わず声を上げてしまいました。しかも今度は聖殲篇完結までやると言うことで凄く楽しみです。自分的には十四巻の話が凄く好きなのでそこは絶対にやって欲しいです。


閑話

「どうしましょう。やることが無くなってしまった」

 

 私は現在居候をしている暁光牙の部屋にてやることが無くなってしまったことへの喪失感に苛まれながら、リビングにあるソファに腰を下ろす。そもそも私は一体何をやっているのだろうか? 私は別宇宙にあるM-78星雲の光りの国の宇宙警備隊よりこの星に派遣されてきたウルトラ戦士だ。授かった指令は嘗て力を授けたこの星の者の援護という物だった。当時私は宇宙警備隊の中で別宇宙追撃班という部署にいた。そこは別宇宙に移動できる凶悪な怪獣や宇宙人し対抗し、作られた部署だった。設立者は宇宙警備隊隊長のゾフィー隊長で主な任務は別宇宙に逃亡を図った凶悪な宇宙人。又は怪獣を逃げた宇宙まで追って退治するという物だ。もしその逃げ込んだ宇宙にもウルトラ一族やその役目を負った者たちがいた場合は、その者達と協力し、その逃亡を図った宇宙人。又は凶悪怪獣を退治する。しかし、その宇宙にウルトラ一族やその役目を負った存在がいなかった場合、その宇宙に留まりその役目を負う存在になるという使命を持った部隊なのだ。この部署は宇宙警備隊の中でもあまり人気が無い。それもそうだろう。もしかしたら一生生まれ故郷の光りの国に帰れなくなるかも知れないのだ。調べたところこの宇宙にはその存在が確認出来なかったため、私は死ぬまでこの宇宙に留まることになるだろう。しかしそれを覚悟して、私はここにやってきた。私だけでは無い。別宇宙追撃班に所属するウルトラ戦士は皆、それを覚悟している。別宇宙追撃班はその役目上から、相当な実力者が必要とされる。それも宇宙警備隊最強といわれる勇士司令部の上位と真面に戦える程度には。私がこの宇宙に派遣されていることはそれだけで名誉な事なのだ。それだけ実力を認められているという証拠なのだから。

 

「まあ、今はその実力も発揮出来ていないのだけれど」

 

 自分でもびっくり為るくらい声の生気は弱かった。不意にテレビの棚に飾ってある金色の剣身をもった短剣に目が行く。あれは宇宙警備隊の実力者。ウルトラマンゼロがとある事情で変身能力を失った私に持ってきてくれた新しい変身アイテム。ゼロとは昔なじみであった為、彼に頼るのは少し癪だったが背に腹は代えられない。別宇宙より単独での移動手段を持っている彼が態々送り届けてくれた物だ。今はまだ調整中のため使えないが、もう少ししたら使えるようになる。そうしたら少しは彼の負担は減るでしょうね。

 

「・・・・・。買い物しなきゃね」

 

 しばらくぼうっとしていると、食材を切らしていたことを思い出し、私は軽く腰を上げる。そんな変身能力を失った今の私に出来る事はこの家の主負担を減らすこと。それ故に、家でのあらゆる家事をこなしている。元々家事は光りの国に居たとき、好きで積極的にやっていた。最初は光りの国とは扱い方の違う家電に少し手間取ったけれど、成れれば簡単だ。すぐにポケットに財布を入れると、私は近くの大型スーパーに向うため、玄関の扉を開ける。

 

 

 

 

 

 マンションから出て物の数分で大型スーパーに着き、私は早速入り口前で買い物かごを手に為る。

 

「ああ、そういえばいろいろと足りなかったわね」

 

 思い直してカートに手を伸ばし、その中に今さっき取ったばかりのかごを中をのせ、それを押して店に入っていく。

 

「買う物は米と出汁の素。それと今日の夕飯の材料とトイレットペーパーくらいね。あと、コーヒー豆とお茶請けも買っておかないと」

 

 小さく独り言ちりながらまず最初に米の販売エリアに向う。スーパー内は夕方の時間帯もあり、それなりに人が多く、その場所に行くのは少し時間を取られると思っていたが、意図も簡単にその場所に着くことが出来た。私は積み重ねられた一番上の米を持ち上げカートの下部に置く。たかだか10キロだ。あまり重く感じることはない。今度はトイレットペーパーを取りに行くことにし、カートを推し進める。

 

「エイリさん?」

 

 不意に後ろから呼びかける声が聞える。私を知っている風に声を掛けてきたため誰かと思い、後ろを振り返るとそれは納得した。

 

「少し前ぶりね。コジョウくんにユキナちゃん」

 

 そこに居たのは私と同じ買い物をしていたであろう二人だった。一人は光牙の弟で世界最強の吸血鬼だという暁古城。もう一人は彼の監視役という名目で日本政府によって派遣された姫柊雪菜。彼らとの初めての邂逅は少し前に彼らが光牙の家を訪問してきた時だ。その時には少し気まずい雰囲気の中私が光牙の後を引き継いで行ったもてなしをし、丁重に帰した。二人は私を見つけると、此方に近づいてきた。

 

「エイリさんも買い物か?」

 

 古城くんは少し不思議そうに首を傾げつつ効いてくる。私はまず頷き、少し笑みを浮べつつ返答を返す。

 

「ええ、そうよ。主に家事は私がやっているから、こういう買い出しも私の役目」

 

 私がそれを口にすると、彼は何故か驚いた表情を見せる。私は何か彼にそんな驚かせるような事を言ったかしら?

 

「主婦みたいですね」

 

「ちょっ! 先輩!」

 

 彼が呆けた顔をして言ったことに隣にいた雪菜ちゃんは慌てて彼を諫める。そこで彼も自分が言ったことに気付いたらしく、慌て出す。

 

「いや、そういう訳じゃ無くてですね」

 

「分かってるわよ。そんなに慌てなくて大丈夫よ。君がそういう先走った考え方をするって事はコウガから聞いているから。安心しな」

 

「安心出来ねぇよ!」

 

 私はからかう様にそれを口にしてそっと向きを変え、足を進める。数歩進んだ後、私は再び振り返り、彼らに言葉を投げかける。

 

「二つ言いたいことがあるわ。一つは私はコウガに全くそういう意識を持っていないという事。もう一つは二人の方が夫婦に見えるから気をつけた方が良いわよ」

 

 それを口にして私はその場を去る。去り際に雪菜ちゃんに目を向けると少し顔が赤くなっており、それをみて、余計微笑ましい気持ちになった。

 

「あの子も私と同じなのよね」

 

 不意に考えが頭に過ぎり、溜息を吐く。彼女と私の境遇は少し似ている。彼女も私も上の命令によってこの場所に派遣された。私は後悔などは無いが彼女はどうなのだろうかと思ってしまう。

 

「私が考えても仕方が無いな」

 

 そう結論付けて、私は買い物を続けた。


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