絃神島の西方40キロメートル海底。そこでは怪獣とウルトラマンが死闘を繰り広げていた。
怪獣は右腕に巨大なハサミ。左腕に鞭を持っており、中距離・近距離の射程を持っている。怪獣は近づくウルトラマンに鞭を打ち付ける。
「ヴィア!」
それにはウルトラマンも悲鳴を上げる。怪獣は
彼に続けざまにその攻撃をくり返す。しかしウルトラマンもただ遣られている訳じゃ無い。四回目の打ち付けの時、彼は鞭を掴む。この対応には怪獣も驚いた様子だった。 彼は鞭を手綱のように引っ張り、怪獣をこちらに引き寄せている。
「ヴィーーアー!」
ウルトラマンは怪獣を引き寄せ終わると手に作った光輪で鞭を切った。
「ギュアアア!」
怪獣は悲鳴をあげるもすぐに右腕のハサミをウルトラマン目がけて振るう。しかし、それは彼のバク転をしながらの後退によって避けられる。怪獣はめげずに彼に近づこうと勇み足で、彼を追う。ウルトラマンは無為に後退を止め、怪獣の迎撃に入った。
「ギュリュヤ!」
「ヴィア!」
怪獣を再び、ウルトラマンに向けハサミを振るう。しかしその攻撃は先程切られた左腕の鞭によってふさがれる。彼はすぐに鞭でハサミを開かないように縛った。ここからは完全なウルトラマンのターンだった。彼は怪獣の胴体に蹴りを入れる。怪獣はその衝撃に耐えられず、後ろに吹き飛んだ。
「ギュアアアアアア!」
怪獣は海底に転ぶ。しかし追撃は終わらない。ウルトラマンは怪獣に覆い被さり、胴体に攻撃を続ける。パンチだチョップだのを繰り出す。しかしこの怪獣はそれでは終わらなかった。突如口を開き、衝撃波をウルトラマンに食らわせる。怪獣に覆い被さっていた彼はまともにそれを受けてしまい、飛び退いた。怪獣はその隙に立ち上がり、ハサミを縛っていた鞭を口でかみ切った。それを振りかざし、ウルトラマンに攻撃する。
「ヴィアアア!」
今度は直撃した。何故ならウルトラマンは先程の衝撃波のダメージから立ち直ってはいなかったから。しばらくウルトラマンは攻撃を食らい続ける。そこに追い打ちのように再び衝撃波を浴びせようとする。すると、彼はそのタイミングを待っていたように顎にパンチを食らわし、自身の口の中で爆発させるように仕組んだ。
「ギュリャヤヤヤヤ!」
その戦法は見事に成功し、怪獣は自信にダメージを負う。そこでウルトラマンのカラータイマーが点滅し始めた。彼は勝負を付けるかのように必殺技を繰り出す。
両腕を胸の前で掲げる。すると両腕が突如放電を始めた。彼はそれは腹の前まで下ろして、腕を交差させる。そのあと、両腕で半円を作るように回し、腕を広げる。そのまま自身の体の前で腕を十字にクロスさせた。すると、そこから光線が怪獣目がけて発射された。照射は数秒続き、徐々に怪獣の体が赤く膨張を始める。その数秒後、怪獣は海底で爆散した。ウルトラマンはそれを見届けると、腕を解いて海上へと飛び立った。
俺は先程まで海底にて、ウルトラマンとなって戦っていた。ウルトラマンとしての俺の名前はアイン。あいつの意志を継ぐためにそのまま名乗らせて貰っている。そんな俺は戦った場所より割と近くにある島にいた。
ここは絃神島。東京より南方海上330キロメートル付近にある島。カーボンファイバーと樹脂と金属と魔術によって作られた人工島。別名「魔族特区」。この島は絶滅寸前の魔族の保護と研究の為に作られた島だ。島は東西南北と中央のギガフロートによって構成されている。そんな俺は今、南方の島、アイランドサウスの大通りの路地裏でビルの壁に体重を預けていた。
「ギリギリだった」
俺がそれを口にしたのには理由がある。なぜなら俺がウルトラマンに変身できる時間は三分。それ以上は勝手に変身が解けてしまう。そして今日戦った場所は海底。今の俺なら死なないが、それでも人間の姿で海底から脱出するのは苦労する。そのため、俺は今日。それなりに急いで決着を付けた。それでも正直ギリギリだった。
「随分と消耗しているな。木偶の坊」
突然声をかけられ、俺はその方向に顔を向ける。そこには常夏の島に似つかわないフリル付きのドレスを身に纏う少女の姿があった。
「うるさいぞ。チビ。こっちの戦いに口出しするな」
俺が息絶え絶えの声で抗議すると、彼女はこちらに近づく。
「今回はどこまで近づかれた?」
「40キロだ。これまでで一番近い。目的は竜脈の力だな。どう考えても」
この島は竜脈が複数重なる場所の上にある。設計者である絃神千羅は竜脈の力でこの島を維持する設計をした。そのためか、竜脈の力を求める怪獣もこの島に近づいてくる。
「お前だけであと、どれくらい対応出来る?」
「っ!」
不意に聞かれたその質問に俺は答えを詰まらせる。
「一生だ。俺を舐めるなよ。クソチビ。俺の使命は怪獣の脅威から人々を守ることだからな。それに俺は弟と同じで死なないからな」
俺は不意に立ち上がり、大通りに出ようと立ち上がる。
「じゃあな、チビ」
「私をチビと呼ぶな。木偶の棒」
それだけいうと、俺はその場から姿を消す。