ストライク・ザ・ブラッド 誓いの光の巨人   作:カラムイラス

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2話 暁宅

俺は那月と分かれた後、弟妹が住むマンションまで来ていた。理由としては姦しい妹からメールが届いていたのだ。内容は長いので省略するが、要約すると、お隣さんが引っ越してきて、その子が妹と同級生らしく。その子の歓迎会をするから来て欲しいとのことだ。一人暮らしの俺は夕飯をどうしようかと考えていたタイミングだった為、丁度良いと踏み、お呼ばれすることにした。

 

「おーい。凪沙。いるか?」

 

 部屋に入るなり、俺は妹を呼ぶ。するとリビングの方からこちらに向ってくる足音聞こえた。

 

「お帰り、光牙君。ちょっと早くない?」

 

 凪沙は首を傾げながら訪ねてくる。俺は手に持った紙袋を凪沙に押しつけ、リビングに入る。

 

「何だ? 早く来たらまずいのか? 俺の家でもあるのに」

 

 嫌み風に返すと、凪沙は「グヌヌ」と唸る。それをみて、俺は溜息を吐く。

 

「そう簡単に不機嫌になるなよ。その土産で機嫌直せ」

 

 俺がそう言うと、凪沙の眉が吊り上がり、訝しげに袋の中を覗く。瞬間、凪沙は笑顔を咲かせた。

 

「これって、絃神島一高級なアイスクリームだよね? 光牙君。これどうしたの? しかも六個も」

 

 機嫌を直したように興奮した様子で、姦しく聞いてくる凪沙。それもそうだろう。俺が渡したのは一個五千円はする高級アイスだ。それを六個も渡されて興奮しない方がおかしいだろう。俺は何事もなかったかのようにソファーに座りながら答える。

 

「だから買ってきたんだよ。お前達がお隣さんと食べられるようにな」

 

「ありがとう、光牙君。最高のお兄ちゃんだよ」

 

 凪沙は嬉しそうに礼を言うと、俺は鬱陶しげに適当に手を振る。凪沙は笑みをこちらに向けた後、いそいそとキッチンに向う。その足は軽かった。

 

「ん? 古城はどうした?」

 

 俺は疑問に思った事を凪沙に問うた。

 

「ん? 古城君。今ね、自室で宿題をしているんだ。また補修だったみたいで。雪菜ちゃんも古城君の宿題の手伝いをしているんだ」

 

 聞き慣れない名前を聞き、訝しげな顔になる。

 

「雪菜ちゃん?」

 

 そこで凪沙は何かに気付いた様子だった。

 

「そっか! 光牙君は知らないんだったね! 隣に引っ越してきた子なんだけど、凄くかわいい女の子なんだよ!」

 

「ん? あれ? たしかお前の同級生じゃなかったっけ?」

 

「そうだよ! どう思う? 中学生に宿題を手伝って貰う高校生」

 

 その言葉を聞いてこっちが情けなくなる。思わず頭を抱えたくなる。しかし俺は続けて凪沙に言葉を投げかける。

 

「大丈夫か? 古城とその子を二人きりにして・・・」

 

「大丈夫じゃない? さすがに古城君も会ったばかりの子に手は出さないでしょ?」

 

 呆気なく帰ってくる返答。しかし俺は知っている。古城はあの父親の素質を間違いなく継いでいる事を。それを考えると、再び、頭を抱えたくなる。

 

「なにもするなよ。古城」

 

 俺は頼りなく小さく呟いた。

 

 

 

 

 

「先輩ってお兄さんいらっしゃるんですか」

 

 雪菜は先程凪沙と話している声が気になり、古城に問うた。すると、古城は宿題に目を向けながら答えた。

 

「ああ、いるぞ。半分しか血繋がってないけど」

 

「どういうことですか」

 

 首を傾げながら雪菜は聞き返す。そこで古城はペンを置いた。

 

「兄貴は親父の連れ子なんだよ」

 

 古城は特になにもなさそうに答えた。それを聞いた雪菜は少し驚いたよう中おつきになった。

 

「あの、お兄さんは知っているんですか? その。先輩が第四真祖だって」

 

 雪菜は恐る恐るそれを口にした。それに対して、古城は溜息をついた。

 

「兄貴は知っていたな。っていうか俺が伝える前に知っていたみたいだ」

 

「それはどういうことですか?」

 

 警戒するような口調で雪菜は聞いてくる。すると古城は呆れた様に答えた。

 

「俺が第四真祖になった後に会った時に『難儀な運命背負ったな』って半笑いで言われた」

 

 それを耳にした雪菜は驚愕のあまり、目を見開いた。古城は半笑いで話を続けた。

 

「どうやって知ったのかは分からない。だけど忠告はされたな」

 

「ど、どのような忠告だったんですか」

 

「いや、大したことじゃないんだ。ただ『暴れすぎるなよ』とは言われた」

 

「・・・・・。あの、言われたことは本当にそれだけだったんですか?」

 

「そう思うだろ? だけどそれだけ言って兄貴は立ち去っていったんだ。それ以降会ってもその件には触れてこなかった。まったく。なにを考えているんだか」

 

 古城は呆れた様に溜息を吐いた。そんな古城を呆然と雪菜は見つめた。

 

「先輩のお兄さんは、どことなく先輩に似ているのかもしれませんね」

 

 彼女は笑みを作って古城にに向けた。その表情に彼は一瞬心を奪われた。しかし、古城は雪菜に言われたことを噛みしめて、苦笑いした。

 

「そうかもな。俺と凪沙は兄貴に育てて貰ったようなもんだからな」

 

「そうなんですか?」

 

「そうだな。親父も母さんも多忙だったからいつも家にいなかったからな。小さかった俺と凪沙は兄貴が面倒を見てくれてたからな」

 

 彼はそう口にすると、真面目な顔をした。

 

「だからこれ以上は兄貴には面倒をかけられない」

 

 古城はそう言った後に目の前の宿題を見て項垂れた。

 

「とは思っているんだがな」

 

「先輩はお兄さん想いなんですね」

 

 雪菜はそんな彼に笑みを浮かべながら見守っていた。

 

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