俺はマンションを出た後、その足でアイランドイーストに向け、駆けていた。
「くそ! 今回の怪獣は早すぎるだろ!」
俺は怪獣の気配を察知すると、その近さに思わず顔が歪む。それはそうだろう。マンションを出てから今まで五分と掛かっていない。それなのに今、怪獣がいる場所は絃神島沖合い5キロ。一分で1キロ進んでいる。このままだと、あと五分もしないうちに上陸を許してしまう。それだと今後、面倒な事になるだろう。何せ絃神島は魔族特区。怪獣の存在が確認でもされたら、保護という名目で捕獲しようとするだろう。しかしそれは無理だ。何故なら、怪獣は魔獣や眷獣と違ってこの星の生き物ではなく、宇宙より来た未知の能力を持つ物が多い。そんな存在がこの星の住人である吸血鬼や獣人が向って勝てる勝算は著しく低い物だろう。それに加え、これから現れるであろう怪獣は合成獣で有ろうから、抵抗も虚しく蹴散らされるであろう。放っておけば、この島自体沈められるかもしれない。もし倒せたとしてもだ。その後が怖い。研究者が怪獣の細胞を研究して新種の魔獣が誕生しかねない。その場合、この星の脅威が増えるだけだ。それを起こさせないために俺は今まで、この島を狙う怪獣は未然に始末してきた。ウルトラマンの力を行使為れば、怪獣は細胞一つ残さないで退治できる。しかし、今回ばかりは間に合わないだろう。その事実が俺を苛立たせる。
「あと、一分」
走りながら、俺は徐ろに時計を見る。思わず舌打ちをしてしまう。
「怪獣と共に姿をさらすことになるが、しょうが無いよな。今回ばかりは」
俺は走ることを止めずに、身につけているジーンズに備え付けられている、細長の容器からある物を取り出した。
「頼むぜ」
そう口にして、俺は取り出した物。アインダガーを胸の前に突き出す。為ると、俺は今まで走っていた町とは違う景色が目に入る。そこは辺り一面が黄金の光りで満たされている。俺はその景色に目もくれずにウルトラマンになるためのメダルを二枚取りだした。
「流れる星!」
そう呟きながら銀色のメダルをアインダガーに柄尻の挿入口に入れる。
『ウルトラマン!』
すると、アインダガーから渋い声が聞こえる。刀身が透明になっている剣元の部分からそのメダルが見える。
「走る稲妻!」
次に先程古城達に見せた黄色のメダルを挿入する。
『エレキング!』
そのメダルが剣元に見えると俺はアインダガーを天に向けて突き上げる。
「アイン!!!」
言葉と共にアインダガーの柄にあるトリガーを引いた。
『ミックスアップ! ウルトラマンアイン! タイプ・スターボルト!!』
そこから俺の身体は変化し始める。身体は銀色に染まり、そこに赤と、黄色と黒の斑のラインが入る。顔もウルトラマン特徴の物になった。
俺は光りの玉につつまれて、怪獣のいる方法に向っていく。
アイランドイーストの港。そこには今日もいつもと変わりない平穏な日常が続いていた。先日起きた落雷被害により大分被害を受けたが、それでも人々は魔族特区ではいつもの事と割り切って、過去の事とばかりに忘れ去り、通常通り仕事に勤しんでいた。しかし彼らは知らないのだ。もう近くまで魔族よりも恐ろしい存在が近づいていることに。
「今日も疲れたな!」
海沿いの倉庫に勤めている男がくたびれたように座りながら部下の男にそういう。部下は「そうですね」と苦笑いを浮かべながら返した。
「どうだい? この後これでも」
徐ろに親指と人差し指で円を作り、それを口の高さで軽く動かす。
「良いですね。もちろんここは上司の奢りって事で」
調子よさげに部下の男がそういうと、上司は愉快に笑った。
「調子の良い奴だ。良いだろう。今日はおごってやる!」
「やった! それじゃあ、帰り支度を早めないとですね」
部下の男は活き活きと、帰り支度を始める。それを眺めて、男は呆れた様に海の方に目を向ける。
「ん? あれは・・・」
海を見ると、なぜか泡立っており、湯気のような物まで発生している。それを男は怪訝そうに見ている。
「お、おい! こっちに来てみろ。海がなんかおかしいぞ!」
それが異常な物だと分かると、男は想わず叫んだ。その声に引かれるように数人が男の近くまで来て、海の様子を見て、驚愕していた。
「何が起こっていやがる・・・」
戸惑って思わずそんな声が漏れた。
「GIGAAAAAAA!」
甲高い、獣の鳴き声が泡立っている所から聞こえる。それと同時に海が段々せり上がった。
「な、なんじゃこりゃ!」
思わず叫びながら、後ずさりする。他の集まった人達も同じような行動をした。
「GIGAAAAAAAAAAAA!」
その咆哮と共にそれは海から現われた。体長五十メートルを超える獣じみた存在の姿を。それを目にした人達は方向を変え、我先にと逃げ始めた。
「ま、魔獣だああ! それも巨大の」
そんな声が近くから聞こえた。男も駆け足で逃げていた。魔獣かどうかも分からない存在のはずなのにその声はある程度知っている存在に勝手に押し込めた。これはこの世界ならでわの光景だった。
「GIAAAA」
その間も魔獣は上陸しようとしてくる。男は想わずその姿見たさに振り向く。そこにいたのは両腕がちがう形のハサミになっている頭が二つに割れている四本足の獣がいた。その姿はこの世の物とは想えなかった。
「もう終わりなのか・・」
「ヴィアアー!」
男が諦めかけたその時ちがう声が聞こえた。その咆哮に急いで目を向けると赤い玉が魔獣に向っていくのが見えた。赤い玉の魔獣に体当たりを駆ける。魔獣はその体当たりに耐えられず、横に倒れる。赤い玉はゆっくりと魔獣地面に降りると姿を変えた。
「何なんだよ。今日は」
球体だった赤い玉は段々と巨大な人の形になっていく。その間に色を変え、赤かったそれは白に近い色を放っていた。いや、色ではない。それは光りを放っていた。
「ヴィア!」
やがて光りが薄れていくと、そこには銀の身体に赤と、黄色と黒の斑のラインが入っている五十メートルを超える巨人がそこにいた。