こちらの投稿が遅れてしまい申し訳ありません……。
サブタイと内容が合ってないかもしれませんが、楽しんでもらえると嬉しいです。
今回は千聖ちゃん視点になります。
それではどうぞ。
「花音、そこにある胡椒を取ってもらってもいいかしら?」
「うん。えっと…ホワイトペッパーとブラックペッパーがあるけど……」
「ブラックで大丈夫よ?」
私と花音は、悠里の家のキッチンを借りて料理を作っている。
どうしてこうなったかというと、家でデッキの調整をしていたら花音からメールがあり、内容を確認してみたら……
『悠里くんがまたやらかしたよ』
と、たった一行だけ書かれていた。
その意味を理解した私は、少し前まで一緒に散歩してた彼を思い出す。顔色はそんなに悪くなかった筈だし、もしかすると食生活だと思い……
『分かったわ。直ぐに食材を買って悠里の家に行くわね?』
花音に返信のメッセージを送る。
あのバカの事だから、またカップ麺で済ませようとしたわね…。絶対そうよ!
そう思いつつも私は出かける用意を始めた。
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自宅から歩いて20分くらいかしら?
スーパーに着き、入口にあるカゴを取って店内を回る。ここのスーパーはどういう訳か、私が変装しなくても何故かバレない……。
流石に帽子はかぶって来たけど、バレないのも不安で逆に怖いわね……
「えっ!? キャベツが1玉15%オフ!? これは買った方がいいわね」
い、いけない……。あまりの安さに声に出してしまったわ……
この前もティアちゃんと花音の3人で買い物に行った時に、うっかり同じ事をしたら……
『チサト。今の貴女、完全に主婦染みてたわよ』
って、ティアちゃんに言われた事がある。
それ以来、私は買い物する時は商品が安くても大きな声を出さないように自重すると決めたが、これが意外と治らないのが悩みだったりする……
ある意味、
今に始まった事ではないので諦めて買い物の続きをする。
そういえば私がこうなったのって、悠里が藍音学院に引っ越す前なのよね……
確かあの時は……
────遡る事1年前……
この日。
私は今日を入れて仕事が3日ほど休みだった。
久しぶりの休みだったので、どうやって過ごそうかなと思い考えていると……
「ああ。千聖。これ昨日あなたに渡しそびれたから渡しておくわね♪」
「ありがとう……」
お母さんが私に手紙を渡してきた。
やけに上機嫌だし、ニヤニヤしてるのは何故かしら?
疑問に思いつつも、とりあえず部屋に戻って手紙を読みましょうか……
部屋に戻って手紙を開封すると、
差出人は随分会ってない幼馴染みからだった。
えっと………
『拝啓。白鷺千聖様
此度は忙しい中、手紙を読んでいただきありがとうございます。
つきましては
誠に勝手ですが、このような形でお知らせする事をお許しくださいませ……。
私情ではございますが、もう1枚の紙に私が現在住んでいる家の住所を書いておきました。
PS.現在、私の家の玄関は開いております』
なんなのこの手紙……。
ほんとに悠里なのかしら……? 他人行儀な書き方で色々と言いたいんだけど……
もう1枚の手紙を確認すると、手紙に書いてあった通り、住所や地図が丁寧に書かれていた。
(今から会いに行こうかしら)
そう思った私は、お母さんに出かけてくると伝え、悠里の家に向かう事にした。
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手紙に書かれた地図を頼りに無事に目的地に着いた。
家ごと引っ越したって昔言ってたけど、本当みたいね……。何故か違和感を感じない……
それとも私がおかしいのかしら?
「わんっ!」
すると玄関に設置してある小さなドアから、1匹の子犬が私を覗いていた。
か、可愛い……///
それにしても悠里って犬なんて飼ってたかしら……?
「わんっ! わんっ!」
そう思っていると、子犬がドアから出てきて何かを訴えながら吠えた。
見た感じ、何か焦ってるように感じるわね……。
私の家で飼ってる犬もこんな感じがあったし……
ここで私はある事を思い出す。
『家の玄関は開いています』
あの手紙が正しければ多分、多分だけど、着いたら家の中に入ってもいいと解釈して良い筈。
そう考えた私は家主には悪いと思いつつも中に入る……
(あんまり……昔と変わってないわね。家の中……)
確か、もうちょっと歩くとリビングが見えた筈だけど……。あっ、あそこね。
「悠里、久しぶ……ゆ、悠里!?」
リビングに入ると悠里が倒れていた。
あまりの衝撃過ぎた光景に私は急いで彼の元に走りより彼を抱き起こすが、ここである事に気づいた。
(えっ……。な、なんなの、この腕の傷……)
悠里の腕には生々しい切り傷の痕が無数に残っていた。目元には隈ができていた……。いてもたってもいられなかった私は、携帯を取り出して救急車を呼ぼうとした時、悠里から寝息が聴こえてきた。え? もしかして……
「ね、寝てる……の?」
寝てるだけと分かった途端、手に持っていた携帯を思わず落としてしまった。
それと同時に……
「…あ、あれ? ちー……ちゃん?」
悠里が起きた。
「久しぶりに会えたと思ったら、心配させるような事……しないでよぉ……バカァ……!」
「え、えっと………」
安心して思わず悠里に文句を言ってやった。
こうでもしないと私の気が済まないし、何より私を心配させた罰だ。
ーー20分後ーー
落ちついた私の様子を見計らって、悠里は何度も謝ってきた。
「…あー。改めて、どうもお久しぶり……」
「なんでそんなに他人行儀なのよ。悠里らしくないわ……」
「いやだって、ほら……ちーちゃん有名人でしょ?」
「それ理由になってないわ。昔みたいに喋ってくれて良いのに……」
4~5年振りに会うのに何なのかしら? この会話……。
なんていうか距離を感じるわね。なんか嫌な感じがした私は悠里に近づいてみる。
傍から見たら密着してる感じだけど。
「…近くない?」
「そうかしら? 昔からこうだったでしょ?」
「ちーちゃんが嫌じゃないなら別に良いけど……」
…おかしい。
私が予想してた反応と全然違うわね……
私が予想していたのは、もっとこう……年頃の男の子みたいに照れたりとか、動揺したりとかそんな感じを予想していたのに、悠里にはそういうのが全くなかった。演技をしてる訳じゃないみたいだし……
「話を変えるけど、腕の怪我どうしたの?」
「……転んだだけ」
「嘘ね。どう見ても転ぶだけじゃできない傷でしょ。それに顔の血色も悪いわよ。夜更かしをしたっていうレベルじゃないわよ?」
私がそう言うと悠里は黙ってしまった。
これは悠里の昔からの癖で、隠し事をする際は必ず口数が減る。特に、特定の誰かに言いたくない場合は、黙ってしまうのは相変わらずだった……
「それで? ほんとのところはどうなの?」
「…落ちこぼれ生活を3年間満喫してきた。そしてこの傷はその時につけられた」
その言葉を発した時の悠里は、私でも見た事がない機械のような表情だった。
…なんなのよ、これ。
どうしてそんな
違う…………。こんなの、私が知ってる悠里じゃない!!
「…悠里、今から私とファイトしなさい!」
デッキを取り出して、ファイトを申し込む。
ファイトをすれば、その人間の全てが分かる筈だと思ったから……
「…いいよ。
前のクランが無くなったという意味は分からないけど、今は目の前にいるのが本当に私が知ってる悠里なのかを確かめるのが先だった。
「スタンドアップ……」
「スタンドアップ・ザ……」
「「ヴァンガード!」」
────そして現在……
結果は私の惨敗だった。
その時に悠里が使ってるクランが"ギアクロニクル"というのを初めて知った。
終わった後に、何気なく昨日の夕飯は何を食べたのと訊いたら、犬ご飯を食べたと平気な顔で言ったので、強引に悠里を連れて、2人で買い物に行ったのが切っ掛けだったわね……。
そして
『…ユーリは中学時代に虐められたのよ。12歳の誕生日を迎えた後の3年間ずっとね』
それを聞かされた私は言葉を失った。
腕についてた傷は、刃物で付けられたもので、更には全身に殴られた痕があると聞かされた。そして極めつけは、悠里がいる前で自分の大切なデッキを破られ、精神的なダメージを与えられたとの事……。
ここで私は悠里が言ってた言葉を理解した……。前に使ってたクランのデッキ、50枚の内
49枚が目の前で失ってしまったという事になる。
悠里が失ったクランは私と花音が使ってるものと同じで、
デッキ構成や戦略は違うけど、ユニット達に愛されている為か、そのクランを使った悠里は負けなしだったのは覚えてる。
(あと買う物は……甘い物でも買おうかしら?)
花音も悠里の家にいる事だし、少し多めに買いましょうか。
仕事で普段稼いでるし、何より悠里の為だもの♪
これくらい奮発しても問題はないだろうし。
そう思いつつ、私は買い物を終え、悠里の家に急いだ……。
悠里、倒れてなければいいんだけど……
読んでいただきありがとうございます。
次回は穂乃果ちゃんの誕生日に投稿しようと思います。
頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。