月の少年の休日日記   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
梨子ちゃん、誕生日おめでとう。
新しく出る"なるかみ"のトライアルデッキに
推しユニットの『グレートコンポウジャー・ドラゴン』が入ってて、大歓喜です。
発売が待ち遠しいです……(ワクワク♪)

拙い内容ですが、楽しんでもらえると嬉しいです。

それではどうぞ。





特別編 梨子の誕生日

「……身体……地味に痛い」

 

自室で目が覚めた時の葉月心結(はづきこころ)の第一声はそれだった。

仕方のない事だけれど。

 

前日の放課後の事だ。疲れていたのだろうか。

本人は特に普段と変わらないつもりだと思っていたのだろうが、夏々(ナナ)から顔色が良くないよー、と告げられた。

 

平気だと言って、図書委員の仕事を始めようとしたら、無理矢理保健室に連行されてしまった。

そして保健室の中で、検温され、藍音学院の生徒の中では年長者の悠里からハッキリと告げられた。

 

「…過労が祟ったうえに、風邪の菌をもらったね

 

しかも赤き真実で告げられた。

体温計を突きつけられて見てみると、驚くほどの熱があった。

人間というのは案外、現金なもので体調不良等を自覚すると途端に怠くなってくる。

例外が心結の目の前に2人、存在するが……

 

心結が図書委員の仕事があるんだけどとやんわり言ったら、夏々と悠里に睨まれた。

しかも無表情で。

しまいには、悠里に魔法を使って動けなくしてから治療してもいいけど?なんて言われる始末。

 

図書委員の仕事は僕と夏々がやっておくからと言われ、その日は悠里の言葉に甘え帰ることにして、注射をしてもらい、薬を受け取って保健室を後にした。

 

帰宅して、すぐに寝床についたのが幸いだったのか、熱自体は動くだけならぐらいには下がっている感じだった。

身体の向きを変えると、ある事に気が付いた。

 

「…あれ?」

 

昨日は着替えて寝た筈だが。

脱ぎ散らかしていた筈の制服が何故か畳んであった。

 

(……誰だろう?)

 

知り合いの誰かが来たのだろうと心結は思った。

さて、誰だろ……と考えかけた矢先。部屋のドアが開いた。

 

「あ! 心結君、起きてる」

 

入ってきたのは、心結と同い年くらいの少女だった。

 

「……え、梨子ちゃん?」

 

部屋に入って来た少女、桜内梨子(さくらうちりこ)を見て、心結は驚いた。

 

「えと……お、おはよう?」

「もうちょっとで、お昼だけどね。おはよう♪」

「……え? 僕、そんなに寝てたの?」

 

枕元に置いてあったデッキケースの画面に表示されてある時刻を確認してみれば。

梨子の言うとおり。もうちょっとで、お昼に差し掛かっていた。

そして、ある事に気が付く。

 

「お昼……お昼……って、梨子ちゃん、学校は?」

「もぅ。心結君? 今日は休日。学校は休みだよ?」

「えっ?」

 

梨子は苦笑いしながらも心結の質問に答える。

念の為に日付を確認したところ。

案の定、休日だった。

 

「もしかして心結君、今日が休日だって分かってなかったの?」

「……あぅ……そうみたい」

 

休日だという事すら忘れていたなんて、曜日感覚すら狂ってんじゃないかと心結は思えてきた。

 

「ねぇ、心結君?」

「……え、なに?」

「起きたのはいいよ? でもなんでベッドから出ようとしてるの?」

「……少し楽になったから、大丈夫かなーと思って」

「だ、だめだよ!!」

 

自分をベッドに押し戻す梨子。えー、と言いながらも心結はベッドに身を戻した。

布団をかぶって横になると、梨子の手が額に触れた。

片方の手を自分の額に当てながら梨子が不安な声で……

 

「ほら……まだ熱ある」

「僕は大丈b……」

「だ・め・!」

「…………」

 

梨子にピシャリと言われ、心結は黙ってしまった。

 

「今日は私が看病してあげるから大人しくしてる事! 分かった?」

「……は、はい」

「分かればよろしい♪ じゃあちょっと待っててね?」

 

そう言うと、梨子は部屋から出ていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

横になっていると、梨子がお鍋を抱えて部屋に戻ってきた。

どうやら心結が起きるまでの間にお粥を作っていたらしい。

 

「はい、心結君♪ あーん♪」

「梨子ちゃん、僕、1人で食べれるよ?」

「あーん♪」

「…………」

 

レンゲを向けながら、笑顔を浮かべる梨子。

だが、何故だろうか?

その笑顔に謎の圧……というかプレッシャーが視えるのは何故だろうか?

それは彼女のみぞ知る………

 

「あ、あーん…………」

「味……どうかな……?」

「美味しい……」

「良かった……♪」

 

それを聞いた梨子は嬉しそうに微笑んでいた。

その後も心結は梨子に食べさせてもらった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

食事を終え、安静にしてる心結。

とはいえ、本人は何故か不服そうな表情……

 

「……早く、治りたい」

「だめだよ?」

「…僕、まだ何も言ってない」

「ちょっとだけ動きたいって言うんでしょ? 心結君は安静にしてなきゃだめ」

 

彼が言いたい事を当てる梨子。

図星だったのか、心結は黙ってしまう。

すると突然、梨子は心結に対してこんな事を言い出した……

 

「あのね? 今日、心結君の風邪が早く治る()()()を持って来たんだけど……」

「え!? ほんとに!?」

「………………うん。試してみる?」

「治るならなんでもいいよ。早く治って梨子ちゃんと何処か遊びに行きたい」

 

心結がそう言うと、梨子は顔を赤くしながら何故か電気を消した。

なんで電気を消すのかと心結が疑問に思ってると……

 

「えっと……梨子ちゃん? なんで僕の上に乗ってるの?」

 

何故か梨子が自分の上に跨っていた。

とりあえず理由を彼女に理由を訊いてみると、思わぬ答えが……

 

「風邪を引いてる人ってね? ある程度の汗をかけば、治るらしいよ?」

「……も、もしかして特効薬って……ま、まさか……」

 

 

心結がその意味を理解した時にはもう時すでに遅しだった……

 

 

 

余談だが……

 

 

「悠里兄~。心結、大丈夫かなー?」

「大丈夫だと思うよ? 梨子ちゃん、心結の看病をするって言ってたし」

「彼女に看病されるなんて、心結が羨ましいなー♪ ボクも1度は憧れちゃうんだよねー♪」

「…夏々がこの様子じゃ、真姫ちゃん達も大変だなぁ……

 

 

藍音学院にある喫茶店で、悠里と夏々がこんな会話をしてたそうな。




読んでいただきありがとうございます。
この作品での心結は、梨子ちゃんと付き合っております。
悠里がこの作品という分岐ルートを選んだ時点で、心結のヒロインは決まっちゃうんですが………
ちなみに本編でも梨子ちゃんは出します。
梨子ちゃんが使うクランもそれなりには決まってたり………(苦笑)
本日はありがとうございました。


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