千聖ちゃん、誕生日おめでとう。
短いかもしれませんが、楽しんでいただけると嬉しいです。
それではどうぞ。
璃夢とリサのファイトが終わり、瑠菜の提案で少し休憩しようとなった一同。
この場所に来る前に、自動販売機があったので、ことりと花音の3人で向かったのだが、道中で変な霧に襲われてしまい、2人とはぐれてしまったのだ。
「電話も繋がる訳ないし……困ったわ」
ことりと花音に連絡しようと思ったが、携帯の画面は圏外。
よくよく考えたら、藍音学院内のセキュリティが徹底してると改めて実感した。
「はぁ……」
自動販売機の隣にあるベンチに座り込み、溜息を吐く千聖。
「…………」
「……?(気のせいかしら……なにか視線を感じるけど……)」
何処からか、視線を感じた千聖は顔を上げる。
そこには……
「じー……」
自動販売機の陰から小学生くらいの子供が千聖を覗き込んでいた。
しかし陰に隠れている為、姿がよく見えない。
「…………(あの子、姿が視えないけど私の事……警戒してるわよね。でも花音とことりちゃんと合流する為にもここがどの辺だが、訊いておかないと……って、そういえば藍音学院に小学生くらいの子って……)」
ふと、千聖は考える。
藍音学院内に、今あそこで自分を覗いてる小学生はいただろうか?
自分が知ってる範囲だと、悠里の妹の涼香ぐらい。ではあそこで覗いてるのは涼香だろうかと思ってると……
「おねーさん、迷子ー?」
「ええ。そうな…………えっ……」
声をかけられたので、視線を向けると声の主の姿を見て千聖は驚愕した。
「悠……里……?」
声の主の正体……それは小学生の悠里だったのだから。
「あれー? 僕、おねーさんと何処かで会ったっけ?」
「えっと……それは……」
この場合、何て言えばいいのだろうか?
悠里?らしき人物は、腕を組みながら考える仕草をする。
「まぁーいっか♪ おねーさん名前何て言うのー?」
「白鷺千聖……って言ったら……信じてもらえる?」
名前を聞かれたので、冗談交じりに笑いながら答える千聖。
「えっー!? ちーちゃんなの!? すっごーい♪ おっきーいちーちゃんだー♪」
「…………(はしゃぐ小さい悠里……可愛い)」
はしゃぐ小さい悠里を見て声には出さないが、密かに可愛いと思う千聖。
小さい頃の彼もこんな感じだったなと思う彼女であった。
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「ねーねー、ちーちゃん。ほんとにジュース貰っていいのー?」
「ええ。実際に、悠里が見つけてくれなかったら、私ずっとここで待ってた訳だし」
小さい悠里にジュースを買ってあげた千聖。
ちなみに自分がいる場所は藍音学院内のどの辺になるかを尋ねたところ、千聖がいる場所は、
簡単に説明すると、境界線みたいなものだと言う。
「多分その霧みたいのはねー、ここに繋がるゲートみたいなやつだよ。ちーちゃん1人で迷子?」
「ううん。花音とことりちゃん……いえ、友達と飲み物を買いに来た筈なんだけど……」
1人ではなく、花音とことりの名前を出した途端、小さい悠里は目を輝かせて……
「えー! ちーちゃん、
凄い組み合わせだねーと言った。
ここで千聖、気になる単語が。ことちゃんと言うのは、ことりの事だろう……間違いなく。
だが、その前……『かのちゃん』というのはもしや……
「悠里? 今言ってた、"かのちゃん"って……」
「? 花音ちゃんのことでしょー? もー、他に誰がいるのさー!」
頬を膨らませ、ぷんすこという擬音を立てながら、千聖の質問に答える小さい悠里。
あぁ……やっぱり親友の事だったか。
「……(でも悠里が花音の事をそういう呼び方で呼んでる様子は無かったけど……)」
普段、悠里が花音の事を呼ぶ時は基本的にちゃん付けだ。
「あー。ちーちゃん、考え事してる」
「えっ? 別にしてないわよ?」
「うっそだー。ちーちゃん、考え事してる時は大体が仮面を被った作り顔だもん」
「…………」
自分が考え事をする時の仕草をする癖を見抜く小さい悠里。
多分、作り笑顔しても見抜かれるだろう……
昔から彼はそうだったから。千聖が辛い時も含めて。
「ねーねー、2人が待ってるんでしょー。戻らないの?」
「恥ずかしい話なんだけれど……その、戻り方が分からなくって……」
「あ。そういえば、迷子って言ってたもんね。ゴメンね? 気が付かなくて……」
「あっ……き、気にしなくていいのよ!? お願いだからそんなに落ち込まないで!?」
しゅーんと落ち込む小さい悠里に慌てる千聖。
それも束の間……
「はっ! そうだ! ちーちゃんをエスコートすればいいんじゃん!」
なんで直ぐに思いつかなかったんだろうと言う彼。
「そうと決まれば、ちーちゃん。はい!」
「え……?」
笑顔で千聖に手を差し伸べる小さい悠里。
「お手をどうぞ♪ はっ……!? この見た目じゃ説得力が皆無だよぅ……いや……でも……」
「……(そうだった。私……悠里のこういうところが……)」
未だに百面相してる小さい悠里をみて彼女は思い出す。
千聖は、悠里のこういう優しさが大好きだった。
"芸能人"という肩書きとか関係なく、彼はいつも"1人の女の子"として見てくれている事……
「ふふ。じゃあ……お言葉に甘えようかしら♪ 頼りにしてるわよ♪」
「あうあう……責任重大だよ……」
微笑みながらも差し伸べられた手を取る千聖。
「ねぇ……悠里?」
「んー? なあにー?」
手を繋ぎながら、もと来たであろう道を歩く2人。
「悠里は……ううん。
「えっ? ちーちゃんはちーちゃんだと僕は思うよ。しっかり者で、可愛くて、友達想いで優しい。偶に頑固なところもあるけどね♪」
「……うん。私も……ゆーちゃんのそういう優しいところ、大好きよ」
「そっか♪」
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歩いて10分だろうか?
先程の霧が再び襲い掛かる。
そして霧が晴れた時……
「「あっ。千聖ちゃ~ん」」
ことりと花音がいた。
「良かった~。はぐれちゃった時はどうなるかと思ったよ~」
「2人も無事でよかったわ。そうだわ、さっき……」
千聖は小さい悠里の事を言おうと思ったが、
隣には誰も居なかった……
まるで、3人が合流できたのを見届けたかのように。
「……え?」
ただ、さっきまで握られていた彼の感触だけは残っていた。
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「良かったー♪ ちーちゃん、かのちゃんとことちゃんと合流できて♪」
「…干渉し過ぎじゃないのか?」
千聖達が元の場所に戻ってる最中、それを見届ける2人の少年がいた。
1人は、小さい悠里。
そしてもう1人は、黒い服を着ており、紫色のマント、極めつけは竜のような頭蓋骨の仮面で顔を隠してる少年だった。
「なんでさー。そっちだって、かのちゃんとことちゃんと一緒だったじゃーん!」
「……否定はしない。というか、正体がバレたらどうする気だ?」
「女の勘でバレるんじゃなーい?」
どうやら、自分達の事についてだった。
小さい悠里は楽観的に、仮面の少年は、悲痛な表情……
「僕もあまり人の事言えないけどさー? おとなしく、ちーちゃんに怒られてくれば?」
「……ああ。そろそろ僕は持ち場につかせてもらう。璃夢にこれ以上、負担はかけさせたくない」
「はーい。いってらっしゃーいー♪」
仮面の少年は、そう言うと、マントを翻しながら、千聖達が向かった場所に向かうのであった。
「……自分の事なんだけどなー」
その背中を小さい悠里は複雑そうに見送るのであった。
読んでいただきありがとうございます。
間に合って良かったです……
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
※今回、登場した小さい悠里について。
見た目が小学生。
性格は今と比べて明るく、表情も年相応。
※謎の仮面の少年。(イッタイナニモノナンダ……)
小さい悠里曰く、自分が千聖といる間、迷子になった花音とことりと一緒にいたらしい。
容姿イメージ:『テイルズオブデスティニー2』のジューダス
誕生日:12月12日、いて座……らしい(本人曰く)
血液型:A型
一人称:僕