いやあ……気温も暑くなって、ようやく夏か。と実感しました……
皆様もこまめに水分補給はしましょうね?
さて。今回から第3章『4大高校対抗試合編』になります。
基本的に長くなる予定の章ですので、よろしくお願いします。
それではどうぞ。
第39話 理事長命令って、断りにくいよね?
「このパスタ、美味しい~♪」
「こら、穂乃果! お行儀が悪いですよ!」
「……(ようやく落ち着ける)」
ウィッチわーるどに新しくオープンしたというレストランカフェに来た悠里達御一行。
女性陣達は料理にご満悦のようだ。
「あ。そうそう。ユーリ」
「…何?」
紅茶を飲んでる最中、ティアが思い出したとばかりに口を開く。
「ママがユーリにクエストをお願いしたいって。通信機能開いてもらってもいい?」
「…ん。分かった。ちょっと待ってて」
クエスト。
藍音学院にある独自のシステムの1つ。簡単に言えば、おつかい又はバイトのようなものである。
内容は理事長であるティナが受け持つ物もあるので、種類は様々……
ただし、藍音学院の事を知ってる人物からしかクエストは来ないが。
とりあえずデッキケースを取り出し、通信機能のアプリを開き、理事長であるティナの欄を選びタップする。
『はーい♪ 如月ティナでーす♪』
そこにはティアの母であり、藍音学院の理事長……如月ティナが
『あらあら、今日はお客さんがたくさんね? 娘のティアがお世話になってます』
「ママ! そういうのはいいから! ホログラムの姿でやらないでよ、恥ずかしい!!」
ペコリと紗夜達、花咲川女子学園組に挨拶するティナ。
そして海未達を見つけると、あら~久しぶり~♪ 3人共、大きくなったわね~♪と手を振る始末。
それを止めるティア。これには海未達も苦笑い。
「あの、ティナさん。本題を……」
『あら。ごめんなさい。それでクエストなんだけど、ちょっと大きめの手紙を届けて欲しいの』
それを聞いた悠里達は、ちょっと大きめの手紙って何? 新しい表現かと思ったそうな……
「…招待状か何かですか?」
『概ね正解。ヴァンガードの大会で出場する事が決まった学校まで届けて欲しいの。本当はもう少し遅くでも良かったんだけどね?』
「…………」
意味深な事を言うティナ。
悠里の隣に座ってた千聖が「代表選手関連じゃない?」と目線で訴えていた。同じく目の前にいた海未も「…多分そうじゃないですか?」と目が語っていた……
『ちょうど昨日の朝かしら? その学校の最寄り駅にあるカードショップでクエストの依頼が入ったの。その依頼者の子が代表選手の1人だって、学校の理事長から聞いたから、ユーリ君の名前で引き受けちゃって……』
「ちょっと……何やってんのよ、ママ……」
テヘペロ☆と舌を出しながら経緯を教えるティナ。
これには娘であるティアも唖然である。自分の母は何をやらかしてるんだと……
「…遠いんですか?」
『えーっと、そうね……ユーリ君とカレンちゃんが昔小さい頃住んでた……団地の近くね。一応』
「…微妙に遠いですね。花怜ちゃん、僕らが昔住んでた団地って……あそこだよね、確か……」
「うん。あそこしかないよね。でも流石に他の人が住んでるんじゃ……」
『そこは大丈夫よ。こんな事もあろうかと、何年も前に私とアイリとミカで買い占めたから♪』
「「「何やってるんですか(の)!?」」」
ティナの言葉に悠里、花怜、ティアがつっこむ。
事情を知らない9人に瑠菜がティナが何をやったのかを簡単に説明する。それを聞いた9人は驚愕せざるを得なかった……
『という訳でユーリ君。理事長命令です』
「…あ、はい」
『学校の場所は、端末に送ってあるから』
「…あ、はい」
『一応、端末にもクエスト内容は書いてあるけど、先に指定されたカードショップに行くこと』
「…あ、はい」
なんかさっきから悠里が「…あ、はい」しか言ってないので、見ていた一同は心配になってきた。
特に燐子、花音に至ってはオロオロし始めた。
『期限は観光も含めて約7日間。大丈夫だと思うけど、制服で行ってね?』
「…了解です。出発はもしかして……今からですか?」
『ええ。そうよ。出発は今から』
「…承りました」
そう言って悠里は通信を終了する。
ふぅ……と溜息を吐き、静けさだけがその場を支配した。
「…………」
「ユーリ、その……本当にゴメン……」
「…いいよ。ティナさんにはお世話になってるから、これくらい大丈夫だよ」
「アポイントメントは……とってあるんでしょうか?」
ティアが悠里に謝った後、紗夜が訊く。
「…ティナさんの事だから、とってあると思う。ティナさんの人脈って、数え切れないくらいだし」
「偶に天然なところもあるけどね……」
さっきの事を根に持ってるのだろうか、ティアが溜息を吐きながら付け足す。
「あれ~? じゃあ、ゆうくん当分、家を空けるの~?」
「…うん、7日くらい」
「じゃあ~、
「…じゃあ、ルーちゃん、お願いしますー」
「は~い♪ 任されました~♪」
『…ん? わたし達?』
悠里が不在の間、留守番を買って出た瑠菜の言葉に違和感を感じた友希那達9人。
「…必要な荷物はトレインの運転席にあるから良いとして……お土産は……みんな何がいい?」
「はいはーい、私、もんじゃ焼きがいいー♪」
「あ。わたしも~♪」
お土産は何がいいと訊いた花怜と瑠菜が何故か『もんじゃ焼き』を要求。
「…もんじゃ焼きね。おばあちゃんに今もテイクアウトできるか訊いてみるよ」
理由を察した悠里はとりあえず承諾。
「…じゃ僕、そろそろ行ってくるよ」
「あ。ゆうり君、3人に会えたらよろしくね?」
「…分かったー。万が一3人に会えたら、伝えとくよ」
じゃあ行ってきまーすと言い、ウィッチわーるどを後にする悠里なのであった。
余談だが……
「ねぇ瑠菜? 留守番するって言ってたでしょ? 瑠菜1人でやるの?」
「違うよ~、リサちゃん達も一緒にやるんだよ~! 疲れて帰ってきたゆうくんを出迎える役目をしなきゃだめ~!」
『えっ!? そ、それって……もしかして……!?』
さっきの会話の違和感の正体が分かったのと同時に、自分達がこれから何をやらされるのか理解する9人なのであった……
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トレインを使い、藍音学院を出て、普通の電車に乗り継いだ悠里。
ガタンゴトンと電車が揺れる中、クエスト内容を確認する……
「…えっと、依頼の内容はヴァンガードを教えてください、か……って事は、ティーチングファイトか」
ティーチングファイト。
それはヴァンガードを初めてやる人に実際にファイトをしながらルールを教えるというもの……
そういえば、誰かにヴァンガードを教えるのって、随分久しぶりな気がするなと悠里は思った。
『ねぇユーリ、昔住んでいたところってどんな感じなの?』
そんな事を考えてると、ソナタがデッキケースから話しかけてきた。
「住んでる感覚は、パーレル村に近いかな。敷地は……アトランティアくらいだったと思う」
『ひ、広いね……!』
「…と言っても、何年も前の事だから、多少は変わってるんじゃないかな。もしかしたら敷地が更に増えてる可能性も……」
ある訳だし。と悠里が言おうとした時、ティナが指定した最寄り駅の駅が視えてきたので……
「ソナタ。そろそろ着くみたいだから、セレナにも伝えといて」
『うん、分かった』
降りる準備をする為、ソナタにも伝えとくのであった。
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「…ここか。それにしても……」
『広いな』
『広いね』
『広い……ですね』
『広いね~』
『広いの一言で済ませていいの!? 広過ぎだよ!』
最寄り駅に降りた悠里の言葉にセレナ、ソナタ、カノン、フィナ、キャロがそれぞれ述べる。
指定された最寄り駅は、
ここから数分、徒歩で行くとカードショップがあるらしい……
「…とりあえず行こっか」
『ユーリ、ブレないな……』
「慣れてるから」
その言葉を聞いた5人のマーメイドの少女は、落ち着き過ぎだなと思ったそうな。
目的地のカードショップに着き、店内に入る。
それにしても中も広い。特に奥行きがヤバいくらい広かった……
「…すみません。クエストの依頼を受けに来た水無月悠里なんですけど……」
「わざわざ遠くからすみません。ちょっと待っててくださいね?」
カウンターにいた店員のお姉さんにティナから依頼された証明書を見せると、依頼者を呼んで来ると言って、店内にあるショーケースコーナーへ向かった。
すると先程の店員が1人の少女を連れて来た。
身長は157cmくらい。瞳の色はライトブルー。腰まで届くダークブラウンのロングヘアをお嬢様結びにし、赤いリボンで纏めていた。
悠里から見た第一印象は、しっかり者という感じだった。あと控えめに言って、運動とか、演劇部にも居そうとだなーと内心思ったそうな……
「彼女が依頼者の……」
「初めまして、
「ご丁寧にどうも。初めまして、水無月悠里です」
本当に礼儀正しいと思ったのと同時に、しずくが本当に代表選手の1人なのか?と内心ちょっと疑ってしまった……
「えっと……クエスト内容に、ヴァンガードを教えてほしいって……」
「あ。はい、デッキはあるんですけど……」
「彼女、全く……ではないけど、初心者さんで。ちょっと触って、呑み込みが早いという理由で学校の代表選手に選ばれちゃって……」
「…あー、分かりました。そういうパターンですか……」
店員が理由を説明する。
ヴァンガードを初めてやる際はデッキを買うところからなのだが、稀に自前のデッキを持って始める初心者がいる。
しずくの場合、この例に当たる。
次に、初ファイトの際だが、大抵はルールブックを読んで実際にファイトして覚えるという流れだが、彼女の場合、何らかの流れで借りたデッキを使ったところ、ルールが曖昧で、分からないのに何故か勝利してしまったのだろう……
そして気づけば、学校の代表選手に選ばれてしまった……という珍しい形の初心者の例である。
「僕も誰かにヴァンガードを教えるのは久しぶりだから、なるべく分かりやすく教えられるように頑張るね?」
「はい。よろしくお願いします」
こうして悠里によるティーチングファイトが開始されるのであった……
読んでいただきありがとうございます。
次回はティーチングファイト回になります。
しずくちゃんの使用クランは決まってますので、お楽しみください。
本日はありがとうございました。