燐子ちゃん、誕生日おめでとう。
少し短いかもしれませんが、楽しんでいただけると幸いです。
それではどうぞ。
「はぁ……」
ことりから悠里の伝言を聞かされたその日の朝。
燐子は水無月家のベランダで色んな意味での溜息を吐いていた……
「(わたし達さえ良ければ、一緒に暮らさないって事は……そういう事なんだよね)」
そう捉える事しかできない。
いや、もしかしたら自分達の勘違いかもしれないと思った燐子は……
「直接……ゆうりくんに訊いてみようかな……」
おもむろにスマホを手に取る。
しかし、この時間に電話をかけてしまったら彼に迷惑をかけてしまうのではないか?と思った燐子だが、気づけば通話ボタンを押していた。
「(ど、どどど……どうしよう!? かけちゃった……)」
あたふたしてる燐子をよそにコール音が鳴る。
『…もしもし?』
「ひゃあっ!?」
悠里の声に驚き、思わずスマホを落としそうになった燐子だが、なんとかそれを回避する。
なにせまさか本当に、こんな時間に出てくれるとは思わなかったから。
『……えっと、大丈夫?』
「う、うん。その……ゆうりくんまだ寝てるのかなって思っちゃって……」
『えっとね、珍しく朝方に起きて、外で軽い運動をしてたところだよ』
「そ、そうなんだ……」
近くにある自販機で朝にピッタリがキャッチコピーのコーヒーを飲みながらだけどね?と悠里は付け足す。
『それで? 電話なんかしてどうしたの? 何か困った事でもあった?』
「え、えっと……」
なかなか本題に切り出せない燐子。
『もしかして言いにくい事?』
「う、うん。そ、その……朝ね? 南さんが、わたし達が良ければ、ゆうりくんが部屋を増築するって……」
『うん。言った。それで?』
「その後……その、如月さんが、それはゆうりくんが一緒に暮らさないかって言って……その……」
『……』
恥ずかしながらも燐子は悠里に話す。
電話越しとはいえ、かなり恥ずかしい……
「だ、だから……その、本当なのかなって思って。わたしの勘違いかもしれないから……」
『それで気になって、わざわざ電話かけてくれたの?』
「う、うん……」
以前、悠里は燐子に『自分は普通以下で何もない人間。かと言って、鈍感でもないから安心していい』と言った。
もしこれが本当なら、燐子の好意も気づいてるという意味にもなる。
『質問の答えだけど……燐子ちゃんの解釈で合ってるよ。色々と大変になるかもだけど。まぁ、最初はルームメイトみたいな感じって思ってもらえればいいよ』
「う、うん。わたし、すごく嬉しい……」
『そっか。この事なんだけどさ? 友希那ちゃん達にも説明してもらってもいいかな?』
理由は、2度手間にならないようにする為だと悠里は言う。
「うん。わかった。友希那さん達には、わたしから言っておくね?」
『お願いね? さて。朝ご飯の用意とティナさんから頼まれた手紙と書類の確認をしなきゃいけないから、そろそろ切るね?』
「うん。無理だけはしないでね?」
『気をつけるよ。あ。そうだ。言い忘れてた……』
「?」
なんだろうと思いながらも燐子はスマホに耳を凝らす。
あんまり僕が言っても説得力がないと思うけどさ?と悠里は言うと……
『好きだよ』
「えっ……?」
それだけ言い残して、電話を切った。
「…………」
「燐子~、紅茶を淹れたんだけど……って、ちょっと燐子! 顔が赤いけど大丈夫!?」
「? 今井さん、どうしたんですか……って、白金さん!? 大丈夫ですか!?」
「…………」
お茶の用意をしてくれたリサと紗夜が通りかかるまで、燐子は顔を真っ赤にしながら放心状態だったという。
読んでいただきありがとうございます。
次回は友希那ちゃんの誕生日に投稿すると思います。
本日はありがとうございました。