本編は下です
リーナ「さぁ、入りたまえ」
キリト「失礼します…」
ゆっくりとリーナ先輩の家の玄関を通る。中はもちろん俺の家のような和風ではなく洋風のデザインである。ライト、机、タンス、マット。どの家具もおしゃれで部屋もとても片付いていて綺麗だ。家に入ってリビングらしき場所に来ると、壁に柄の部分と先端部分が壁のパーツによって挟まれて展示されているリーナ先輩の鞭があった。あれで何度も訓練されたわけだが、その教えもあって強くなったのもまた思い出の一つ。武器も壁に掛けられており、汚れ一つなく綺麗な剣である。ウォロ先輩に勝ったリーナ先輩はすごいと思った。その時の記憶は今でも鮮明に覚えている。
リーナ先輩が手招きしてダイニングのテーブルの椅子に招くので俺はそこに向かう。今の彼女たちの現状のことから警戒が解けない俺であり、つい部屋を見てしまう。ゆっくり椅子に座ると、リーナ先輩は笑みを浮かべてキッチンに向かった。
リーナ「すまないが、今ある飲み物が紅茶かお水くらいなのだ。ワインもあるが、それは今夜にとっておきたい。どっちを飲みたいのだ?キリト」
キリト「えーっと…」
飲み物にも警戒心があり、正直あまり飲みたくはないのが本心である。しかしここで飲むのを拒むのは後輩として失礼だろう。仕方なく紅茶を俺は頼んだ。
リーナ先輩はティーポットを用意し、システムコールで火を生成し水を熱する。ティーポットに紅茶の材料を少量入れ、熱して沸騰したお水をそっと注いでいる。ここからでも香る紅茶の匂いはとても良い。だが目を離せない。なぜなら、何か仕込んでないか心配である。先輩に限ってないとは信じたいのだが、これまでの経験がある故どの人でも飲み物には警戒せざるを得ない。
とくに怪しい術式をするわけでもなく、湯がティーポットに満タンになると、棚からティーカップを二つ取り出してそのティーカップを先にテーブルに持ってきた。何かした方がいいかと立ち上がると、「大丈夫だ」と言われ、少し落ち着きがないまま座りなおした。ティーポットを持ってきたリーナ先輩はそっと机に置いて、ティーカップにティーポットの蓋を左手で抑えながら紅茶を注いでいく。そこからはさっきよりもいい匂いが強くしている。少し茶色の色をした、透明の紅茶だ。
リーナ「ほら、上手くできているか自信はないが飲んでみてくれ」
と、紅茶を注がれたティーカップを手前に持ってくるリーナ先輩。何もしてないとわかっていながらやはり飲むことに抵抗を感じてしまう。
リーナ先輩自身も飲むためにもう一つのティーカップに紅茶を注いだ。注ぎ終わると、ティーポットを置いて俺の対面の席に座った。飲んでいない俺に少し顔を傾けるリーナ先輩。俺は慌ててティーカップの手持ちを握る。すると、リーナ先輩は普通に握ったティーカップを口元に運んで飲んでいた。
少し反応を見てみる。しかし普通通りだった。
リーナ「うむ、私が言うのもなんだが結構よくできていると思う。飲んでみてくれ」
キリト「あ、はい!」
紅茶を少し見て、何も入っていないことを確認し口元に紅茶を流す。口に入った紅茶だが、別に眠気も襲ってくるわけでもなく普通の美味しい紅茶であった。よかったと溜息を出し、紅茶をまた飲む。
少し飲み終えるとカップをおいて、リーナ先輩に向き直る。
キリト「とても美味しいです、リーナ先輩」
リーナ「そうか、よかった」
その後はリーナ先輩と今のことや、俺が今何しているのかについて聞かれて色々と話していた。久しぶりなこともあってかなり話は弾み、飽きない話がほとんどだった。
そして、ソルスが窓からそっと顔を出してきたときリーナ先輩はあることを俺に頼んだ。
リーナ「なぁキリト。久しぶりに剣で決闘でもしてみないか。もちろん寸止めだ。キリトがどれだけ強くなったのかが知りたくてな」
キリト「あ、わかりました。えっと…剣は…」
リーナ「それは持っている。私が用意しよう」
すっかり話に夢中になり、俺は自覚していないが警戒心が解けていた。すっと席を立ち、リーナ先輩は空き部屋の中から木で出来た両刃の剣を俺に渡してきた。リーナ先輩はというと壁に飾っている鞭を手に取って剣も取った。
俺はリーナ先輩を玄関で待っていると、奥からリーナ先輩が何か言っているので耳を傾ける。
リーナ「先に玄関の外で待っていてくれ。ちょっともっていくものがある」
キリト「わかりました。外で待っときます」
俺は靴を履いてすぐにドアを開けた。外は賑わっていてソルスの光がこの街を照らしている。皆は元気よく歩いたり、買い物したりと平和な世界である。
数分経つとドアから出てきたリーナ先輩。ドアが開いたことを確認し、リーナ先輩と一緒に決闘する場所へ向かう。歩いている間にも色々と話し、場所にたどり着いた。場所は草原で広い解放感のある場所だ。森がその場所を囲み、自然であふれている。
リーナ「ここでやろうと思う。良いな?」
キリト「もちろんです。手加減しません」
リーナ「もちろんだ。キリト」
眼が合い、そして互いに距離を取る。ゆっくり後ろ歩きでかなり離れると、地面の土を足で踏む。別に滑りそうな場所でもないので、一気に蹴れそうだ。
リーナ先輩は鞭を手に取って地面を思い切りたたいた。しばらく鞭を握っていなかったのか、柄を握りなおしている。俺は剣を見て、少し振るう。感覚は同じだ。ここは仮想世界。そう、いつもと同じだ。
腰をそっと下ろし、右足を後ろに引く。リーナ先輩も剣を手前に鞭を後ろに構えている。両者見つめあい、リーナ先輩が言った。
リーナ「いくぞ、キリト!」
キリト「はい!」
すっと走り出したリーナ先輩。草が舞い、かなりの速さでこちらに来る。俺は剣を構えて、どのように来るか瞬時に考える。手に持つ鞭がかなり厄介だ。それに気を取られず、しっかりを間合いを詰めていきたい。鞭の特徴はリーチが長いということだ。間合いが詰められなきゃ俺の負けになる。
そして、8メルくらいになったとき、リーナ先輩の持つ鞭が動き出す。空気を打ち、こちらに迫る先端。先端までの線ももちろん当たってはいけない。俺も走り出し、リーナ先輩の動きを集中して注目する。下に鞭を持つ手が下がり、先端もラグのyように下に向き直る。俺は前にも見たことがある攻撃であり、少し飛んで少しの隙も作らず責め入る。しかし、ここで安心してはいけない。よけられた初撃も、その先端は後ろから迫ることもできるということを。
リーナ先輩は鞭を自分の方にぐいっと引き寄せると、その鞭は戻ると同時に俺の体を打とうとする。チラと後ろを確認し、素早く迫ってくる鞭の線を俺は身をかがめて足を突き出しスライディングでくぐって避けていく。
その行動に隙を感じたリーナ先輩はすぐに持っている剣を俺に振り下ろすが、俺はその攻撃に対して迎撃をする。威力は全く落ちてなく、力はやはり強い。
リーナ「流石だな、キリト」
キリト「先輩もです…!」
弾き返すと、鞭を握りなおして大きく腕を振ったリーナ先輩。俺は剣を右にもってきて、強く柄を握る。剣に集中する光が、青く覚醒し剣を覆った。
輝いた剣は剣技を宿し、鞭に対抗する。二連撃《ホリゾンタル・アーク》を放つ。
来た鞭の先端に剣を合わせ、力強く先端にぶつける。小さな火花がぶつけたとこ中心に散った。軽い衝撃音が響き、枝にとまっていた鳥たちが一気に空へと飛び立っていく。
鞭は振った方向とは逆方向に思い切りはじき返され、腕が振られるリーナ先輩。そこを思い切り地面を蹴って接近し、左に振った剣を背中を見せて上から振った。
だが、風を途中まで切って肩の手前でその剣を止める。この試合は、寸止めである。
リーナ「…鈍っていないな。むしろ強くなっている」
キリト「お褒めの言葉ありがとうございます…」
剣を下げて、互いにその場から後ろ歩きでさがり互いに剣をしまった。そして一礼をして顔を上げる。
とても短く、早い展開の闘いだが後から汗をかいていることに気づいた。とても疲れていたのだ。無理に体を動かせる攻撃をしてくるため、とても予測不可能な戦いだった。
多少息が切れているが、リーナ先輩の近くに寄る。
キリト「帰りましょうか、リーナ先輩」
リーナ「そうだな」
俺たちはいっしょに草原を出て町へ戻っていった。帰る途中ももちろん話は尽きない、ゆっくりと歩いていたらソルスはすでに真っ白な光から少し赤がかった夕日に替わっていた。夕日は日が落ちるのが早く何時間後にはすぐに夜になっていくのだ。
家に着くと、一応まだ夕日を保っている。家にあがり、明かりをつけて剣を部屋に置いた。リーナ先輩も自信の武器を壁の立て掛けに置いた。そしてキッチンに戻ると、俺に問いかけた。
リーナ「キリトは何が食べたい?」
キリト「そ、そんな先輩に…」
リーナ「いいのだ。こちらから歓迎したわけだし、食べさせるのも当然だ」
キリト「そうですか…えっと…なんでもいいです」
リーナ「なんでもいいっていうのが一番困る返答だということを知らないのか」
キリト「た、確かに…」
リーナ「では肉にさせてもらう。もちろん、何でもいいっていったからには良いのだな?」
キリト「もちろんです!」
その後、肉を食べてワインを飲む。大人になった気分だ。ワインは前に俺がウォロ先輩に勝った時に一緒に飲んだ経験がある。かなり飲みやすい味のワインのため誰でも飲める。ユージオとゴルゴロッソ先輩は何杯かのんで酔って寝てしまったっけ。
飲んでも睡眠作用はなく、普通に俺は飲んでいた。肉も美味でいただくのが申し訳ないくらいであった。食べていながら他愛もない話をずっとしていた時である。リーナ先輩は気になっていたことを俺に聞いてきたのだ。
リーナ「キリト…お前今日はどこに泊まるのだ?」
キリト「あっ…」
そういえばルーリッド村から来たためここの宿屋にでも泊まろうかと考えていたが、よくよく考えたら俺お金を持っていなかった。しばし顔を下げて考え込んでしまう。
リーナ「どうした?泊まる場所がないのか」
ドンピシャに言い当てられることに少し恥を感じてしまう。だが恥んでいても仕方ないのだ。
キリト「そうなんです…」
リーナ「しょうがないな。私の部屋を使うと良い。ベッドは
キリト「え…で、でも」
リーナ「泊まる場所がないのだろう?泊まっていけ。風呂は勝手に入っていいからな」
キリト「…何から何までありがとうございます…」
リーナ「ふふっ、よいのだ」
リーナ先輩にこんなに迷惑をかけてしまって…俺は少し自分を責めるが、考えてみたら比嘉さんも恨む対象に入るんじゃないのか…。しかし、まだ変化がないので帰っても仕方ない。心の中で恨むことにしよう。
そして風呂から上がり、普段着をまた着た俺はリビングに戻る。リーナ先輩は本を読んでいたので声をかけることを躊躇したのだが、そこを押し切って声をかけた。それに反応するリーナ先輩。
リーナ「おお、上がったか。じゃあベッドの準備をしよう。少し私の部屋に入っていてくれ」
言われた通り、廊下の方を向いてリーナ先輩の自室のドアの前に来る。ドアを開けて、中に入る。まだ暗かったので、奥のランプのねじを明かりが大きくなるまでひねる。光が部屋を照らすと、ベッド、机、本棚と一般的な部屋である。
そして俺はリーナ先輩を待った。後から足音が聞こえ、リーナ先輩が近づく。来たことを確認するため開いたドアを見ると、俺の心臓がかなり飛び跳ねた。なぜか。それは。リーナ先輩の顔がさっきとは打って変わって不気味な笑みへと、目はするどく、口元は細く三日月の様に笑っていた。
俺はなぜ笑っているのかわからなかった。怖く体が一瞬動かなくなる。そして後退り、奇妙な汗が出てくる。そしてリーナ先輩はドアに手を付ける。わかった。一瞬で分かった。
キリト「ま、待っ…!!」
リーナ「ふふふっ…」
バンッ!と音と共にドアは思い切り閉められる。ドアに近づきドアを強くたたく。しかしびくともしなかった。ドアノブに両手をかけて開けようと抵抗するも強い力で開かなかった。
ここから脱出するのは無理そうだと思いどこかに脱出方法がないかと部屋を見回す。壁に大きな窓があることに幸福を感じ、すぐに窓に近づいた。窓の冊子に手をかけ、開けようとした時だった。
リーナ「…ディスチャージ」
神聖術でできた物体を放出する術式を唱えたリーナ先輩。ドアに振り向くと、そこに気を取られた。そして発射された何かはあるものに接近する。もともとここにエレメントを作っておいて、それを帰ってきてここに俺を閉じ込めてそれを放出させたのだ。だからあの時リーナ先輩は俺を先に家から出させたのか。
放出されたエレメントはある瓶の中心にぶつかり、ビンは亀裂がはいったあとすぐ破裂する。割れた瓶は独特な匂いを放出しこの部屋をその匂いが充満させる。すぐに口元を抑え、窓に手をかける。しかし…。
意識はもうろうとし、体の動きは鈍くなり、膝をついてしまう。片方の手で頭を押さえるが、匂いにつつまれて何もできなかった。俺はゆっくり意識を手放して、地面にゆっくりと体を任せてしまったのだ。
全て何もかも計画されていた…。全く警戒していなかったなんて俺としてなにをやっているんだか…。あ…。
その後はリーナは外に言って窓を開けた。もともとカギは開けておいたのだ。開いたドアから匂いはそとに逃げていく。そして部屋から匂いはだんだん消えていき、下の部屋へと戻った。
しかしキリトの意識は戻らず、ずっと眠ったままである。リーナはゆっくりとドアを開け、キリトに近づいていく。思えば、かなり会っていなかった。体の下に手を入れてそっと抱き上げる。そしてキリトの体をベッドに置いた。
ベッドはしっかり二個ある。キリトの体に布団を乗せ、その横にリーナも横たわる。息がかかるほど近く、興奮が抑えられないリーナ。だが、まだその時ではない。しっかりとキリトを抱いて、静かに囁いた。
リーナ「…愛しているぞ、キリト」
長い間投稿できなくてすみません。多忙な身で描くことすらできなくて大変でした。やめたわけではありません。東方の方も、ISの方もやめておりません。必ず次話を投稿するのでどうか待っていて下さい。お願いします。これからもよろしくお願いします!