キリト「皆がヤンデレすぎて怖い」   作:エーン

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弁当を食べようと女社員と外に出た

本編は下です


67話 キリトは不安になりつつある

スグの作ってくれた布に包まれた弁当を座って開けてみる。シュルっと布が解けて弁当の蓋を恐る恐る開けると、その弁当は少し変わっていた。

いや、なんというかとても食えないものだ。

 

和人「…」

 

これまではそんなことなかったのに、今は米に髪の毛がわざと多く入っていたり、すこし赤い液体…何か想像したくないが、そうならなおさら食べたくない。

そっと蓋を閉じる。

 

女社員「…ん?どうしたんですか?」

 

俺の行動に少し疑問を感じた女社員が俺に聞いてきた。

 

和人「あーえっと…ちょっと近くのコンビニ行って弁当を買ってくるよ」

 

女社員「え?弁当ならあるじゃないですか」

 

和人「ちょっとな…色々と理由があって。とりあえず買ってくる」

 

まさか弁当を買う羽目になるとは、しかし財布は持っといてよかった。女社員には申し訳ないが早く買ってこよう。近くには確かコンビニがあった気がする。そこまであまり距離はないし、小走りで行けるだろう。

そして小走りで少し会社から離れているうちにコンビニの看板が見えた。道があっててよかったと思いコンビニに入ろうとした時だった。

右側にある道路を走るリムジンが見えた。リムジンなんて珍しくて全く見たことがないと思い本当にあるんだなぁと見ていた。

するとリムジンがコンビニの駐車場を登ってきたのだ。リムジンなのにコンビニに行くなんてらしくないと思ってしまった。

リムジンが駐車場に止まると、そこから姿を現したのは意外な人物だった。

 

和人「誰かと思えば」

 

小柄な姿にして、銀髪の天才少女。今は社会の科学技術、ならびにVRやARにも貢献している人物。天才博士の彼女だった。

 

セブン「久しぶり、キリト」

 

私服姿に身を包み、手には小さい箱を持っている。

 

和人「あぁ、最近あんまり会ってなかったな。何をしていたんだ?」

 

そう問いただすと、呆れたような溜息をして答えた。

 

セブン「そりゃキリトがあんなに色んな人に囲まれたら話す機会なんて減るに決まってるじゃない。まぁそれはとりあえず、これ!」

 

持っていた箱を俺に差し出した。手に取ってみる。暖かい。

 

和人「これって弁当か?」

 

セブン「そう。どうせ買いに行こうとしていたんでしょ?あげるわ」

 

和人「あ、そう…ありがとう」

 

受け取ったのはいいのだが、さっきあのような弁当を目の当たりにしたため、今はコンビニの弁当が最も信じられる。だがセブンが弁当を作ってくれたのはこれが初ではない。前作ってくれたときはとても美味しいものだったので普通に食えるものが入っていると思っている。

今回は受け取ろう。

 

和人「弁当の容器はいつ返せばいいかな」

 

セブン「そうね、また明日ここに来るわ。そのとき渡してくれたらいいわ」

 

和人「わかった」

 

セブンはリムジンに戻って軽く手を振った。俺も軽く手を振るとリムジンはまた道路に入っていった。

さて、セブンからもらったこの弁当。とりあえず一回ここで開けてみるか。もし中身があのようなものだったら買わざるを得ない。

パカっと音を立てて開けると、そこには綺麗に並んでいる具材、米、野菜。どれも綺麗で品性がある。それにセブンが自分で作ったっていうのがよくわかる。みてわかる努力の物だった。

それになにも怪しいものは入ってないように見える。安心して蓋をし、俺は会社へ戻った。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

女社員「あ、おかえりなさい。随分立派な弁当ですね」

 

和人「あ、あぁ」

 

とりあえずもらったものを食べよう。蓋をあけついていた箸で食べ始めた。うん、普通に食材の味だ。米も普通だ。普通に美味しい弁当だ。

なんでスグはあんな弁当を作ってしまったのだろう…。とてもじゃないが食べられるものじゃなかった。

俺はセブンの作ってくれた弁当を食べ続け、女社員と少し会話した。

 

女社員「最近は大変ですね。なんか皆さんずっとアルヴヘイム・オンラインについて話していましたよ」

 

つい体をびくりとさせてしまう。この混沌を招いたのはほかでもない。俺だからだ。

 

和人「皆じゃない。一部の人だけだ。この問題は俺が解決しないといけない。会社の趣旨が変わってきているな」

 

少し苦笑いをして俺は弁当を食べ終えた。今でも力を蓄え続けているアドミニストレータは、アルヴヘイム・オンラインの脅威だ。

生き返った彼女だが、生かしてはいけない。命を勝手に与えてしまった俺は罪深い。

 

和人「…」

 

顔を下に向け、考え込んでしまった。

そもそも、ユージオを再会を望んだ俺だが、ユージオはもうすでにいない存在だ。いわばこの世に存在してはいけない。それも命を与えたのは俺だ。たった少しの作業で命が芽吹くのならば、なんて力を手にして待ったのだろうか。

ユージオは…君は…。

 

女社員「…大丈夫ですか?」

 

和人「…あぁ、大丈夫」

 

女社員「そうは見えませんけど…」

 

和人「そうかな…」

 

確かに、今の俺は大丈夫じゃない。そろそろ自分自身も気づいてきたはずだ。もうすでに俺の心の一部は、彼女たちによって壊れているということを。精神が侵食されているのにも気づいている。彼女たちの掌の腕踊らされている人形ような気がしてきた。

そうだ。もう俺は壊れている。心のどこかが。

 

和人「うっ…」

 

女社員「だ、大丈夫ですか本当に!」

 

和人「なんでもないよ。ちょっと頭痛がしただけだ。さ、戻ろう」

 

女社員「…」

 

不安な目で俺を見てくる女社員。すると女社員から一つの提案が出された。

 

女社員「では、この後少しあるところに寄っていきませんか?」

 

和人「あるところ…?」

 

女社員「はい。きっと気分も少しはすっきりするんじゃないかなって思って」

 

気を遣わせているのか。俺は。

 

和人「そんな気を遣わなくても「いいえ!」

 

女社員「行きましょう。この後。少し早めに上がって行くんです!」

 

こんな強気の女社員は初めて見た。少し圧倒させられた。

 

和人「…わかった。じゃあ行くよ」

 

女社員「はい!」

 




見てくれてありがとうございます。
少し忙しくなり始めて、大変ですが必ず終わらせますので皆さんもどうかよろしくお願いします。
これからも頑張ります。

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