キリト「皆がヤンデレすぎて怖い」   作:エーン

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女社員の誘いに乗る

本編は下です


68話 キリトはリフレッシュする

女社員の強引な誘いに負けながら早めに会社から出た。もう夕日がなくなり夜になりかけているときだった。電車で揺らされながら、どこへ行くのか考えていると声がかかった。

 

女社員「次で降りますよ」

 

和人「わかった」

 

次で降りるということは、俺はちらりと扉の上にある電光掲示板を見た。矢印が指すのは押上駅だった。そういえば女社員にただついて行っているだけだったので行く先とかも全然聞いていなかった。ただ改札を抜けて電車に乗っている俺は今押上に行っているということを認識したのだ。

少し混んでいる電車の中、女社員の顔を見た。見ていたのは、窓の奥。東京の街だった。すこし微笑んでもいた。なぜ微笑んでいるのか、俺にはわからなかった。ただ、純粋に嬉しそうな感じが伝わってくる。

アナウンスが聞こえ、駅が近づいているのがわかった。一回眼が合い、頷いてみる。電車が徐々にスピードを落として、押上駅で止まった。

少しもみくちゃにされながらもホームに降りて、女社員とはぐれないように近づいておく。ホームから改札へと俺たちは向かった。

 

改札を抜けると、押上に出る。夜風が少し冷たいが、それが俺にとってはいい気候に感じた。先に歩いている女社員はこちらに振り向いて言った。

 

女社員「一応、お金持ってきてますよね?」

 

和人「も、もちろん。多少は」

 

優しく微笑むと、前を向き直した。

 

女社員「よかったです。さぁ、行きますよ」

 

夜の東京の都会を、俺たちはあるところに向かって歩み始めた。押上にはあまり用がなかったので来る機会はなかった。だが今回はなんでここに来たのか、聞こうとした。

 

和人「なぜ押上に…」

 

女社員「それは近くに行けばもうわかりますよ」

 

少し機嫌がよさそうだ。俺も嬉しくなった。こんな風に平凡な時間を過ごすことが最近なかった。そのためか、今心が落ち着いていた。夜の街は人の心をなぜか和らげてくれる。俺はそうだ。不思議と落ち着くのだ。

そして歩き始めて数分、正直駅からもう見えてはいたが、まさかここだったとは。前には大きな塔が聳え立っていて、ライトアップもされていた。

そう、スカイツリーだ。

 

和人「まさか、ここに入るのか?」

 

女社員「そうですよ。あ、まさか高いところが登れない、なんてありませんよね?」

 

和人「もちろん大丈夫だけど…って、登るのか?」

 

女社員「はい。来たからには、登りますよ」

 

まさか登るとは。薄々感じてはいたけど…。改めて見ると、本当に高いな。ライトアップは綺麗で、白い鉄の骨組みは綺麗に交差して互いに支えあっているようだ。そして電波塔としても活躍していて、高さはもちろん634m。

入り口に入ると、少し人は並んでいた。会社があった今日。もちろん平日なため、人は土日ほど多くないだろう。だけどこの時間が一番登って降りて帰るのが楽な時だ。人もそれを狙って登るためのチケットを買っているのだろう。

 

女社員「並びますよ」

 

和人「お、おう」

 

並ぶための列の最後尾に並び、受付まで待つ。少し携帯を除いて、今何時か確認する。7時になろうとしていた。確かにこの時間なら、降りるときにはいい時間になっているだろう。それにしてもなぜ俺を登らせたいのだろうか。やっぱりさっきの俺の顔を見たからか。

一応聞かないようにしよう。上に登ってもまだわからなかったら聞こう。

 

女社員「和人さんはスカイツリーに上ったことありますか?」

 

和人「いや、ないかな」

 

見たことはもちろんたくさんある。テレビとか、普通に電車の中で。ただ登ったことはなかったな。前々から登ろうとは思っていたけど、ついに登れるとはな。

そして受付前まで来て、大人二人分のチケットを買って、大人数用のエレベーターへと誘導される。10人くらい一斉に乗せるようだ。エレベーターが開くと、みんな中へと入っていった。俺たちも遅れないようにエレベーターに入ると、エレベーター操縦士がドアの左側へと立ち、操縦版を操っている。

エレベーターが動き出し、速く上へと上がる。上にある高さを表す数値はどんどん高くなり、あっという間に展望台へとつきそうだ。

女社員の方をみると、少しびくびくしていた。どうしたと思い声をかけると、今にも消えそうな、かすれた声で呟いた。

 

女社員「私…実はこのエレベーターの透明なドア、上がっていく景色が少し苦手で…やっぱり高いところ怖くて…すいません…」

 

確かに、この上がっていく感覚を透けたドアで外を見ながら体験するのは、意外に怖い。俺はそうでもなかったけど、女社員は怖いと言っている。乗っているこの機体が上がっていると想像すると、なお怖く感じる。

 

和人「まぁ、もうすぐ展望台だから頑張れ」

 

女社員「…はい」

 

か弱い声は、周りの乗客によってかき消された。

そして展望台へとたどり着いた。ドアが開いて、俺たちが先頭に展望台へと出ると、どんどん後から出てくる。強制的に前に出ると、展望台にはたくさんの人が外の眺めを楽しんでいた。

俺たちもゆっくり窓の方へと向かう。女社員を見ると、さっきのように怖がってはいなく、普通だった。

空いているところを見つけ、窓に近づく。

そして窓の前に立った。窓から見えるのは、東京の夜景だった。初めてスカイツリーの展望台から夜景を見た。少し見渡す。ビルは窓から明かりが見えていて、それが無数に夜の夜景を彩る。高いビルには屋上あたり、角に赤い点灯がある。飛行機がビル当らないようにする警告の点灯だ。だがそれもこの夜景をさらに美しくし、道路は車が行き来している。

皆、それぞれ生きていて、一日が終わる。

見ていて不思議な気持ちになる。なぜか、心がホッとするような、俺のこれまでの悩みが小さく感じられたような。

その夜景に見とれていた。

 

女社員「どうですか?」

 

和人「あぁ、綺麗な夜景だ」

 

女社員「少しは気持ちがリフレッシュしましたか?」

 

和人「…。そうか、やっぱりそのつもりで連れてきたんだな。ありがとうな」

 

女社員「いえ、これくらいしかできないので」

 

和人「でも、こうやって夜景を見れたのは俺にとってかなりの心のモチベーションアップになった」

 

俺、余裕がなかったんだな。もっと気楽になってもいいのかもしれない。色々とあったけど、まだまだこれからも色んな事があるはずだ。だけど、大丈夫な気がした。不思議だ。

視野を広めて、もっといろんなことをしよう。疲れたらこうやってリフレッシュするのもありだな。

 

和人「ありがとう」

 

そう女社員へと言った。

 

女社員「いえ、元気になられたようで、なによりです」

 

心配をかけていたようだ。だが、これで結構元気なった。皆の対応、アンダーワールドの問題、アドミニストレータの封印、大変かもしれないけど、きっと乗り越えていけるだろう。

まだまだ、これからも頑張らないとな。

 

帰りはびくびくしている女社員を見て少し笑いながら、その後別れて家へと帰った。

 

 

 

だがもちろん、この二人の時間を彼女らが見逃しているわけがなかった。




読んでくださり、ありがとうございます。
色々と今天気が荒れてきて自分も怖いです。皆さんも気を付けてください。あとこのss意外とまだ続くかもしれない。自分的にはもう終わりへと着実に進んでいる感出ていたんですけどまだこれ続きますね。

あ、皆さん疑問に思っていることがあると思います。なぜアミュスフィアを付けた絶好のチャンスキリトを狙わないのか。それは彼女らの中でもうすでに決めてあることらしいです。絶対に襲わないって…らしいです。

評価、感想、待っています。ぜひお願いします!
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