本編は下です
バツ印の付近に移動した俺とシリカ。するとそのバツ印のところからモンスターがポップしたのだ。なるほど、付近に来ないとだめということか。つまり遠距離からの攻撃は不可。ポップする距離にならないと戦えない、ちょっとシステムに嫌なところがあるが、幸い俺たちは近距離の戦闘を得意とするのであまり関係ないだろう。そしてポップしたモンスターはガーゴイルの巨体ものだった。翼に腕、足、爪、そしてかみつく大きな口と歯。近接戦でもかなり厄介な敵だ。
キリト「シリカ、俺があいつを何とか地面に叩き落すから、そこで攻撃を入れてくれないか」
そうシリカに戦闘の計画を提案する。
シリカ「わかりました。キリトさんも気を付けてくださいね」
キリト「あぁ」
柄を掴んで鞘から黒い刃を出す。刃はしっかり研がれていて、鏡のようにこの世界を照らす。シリカも鞘から逆手持ちのダガーを取り出し、ガーゴイルの攻撃に備える。
そして俺はシリカとは真逆の方向に位置し、真ん中にガーゴイル、左右に俺とシリカを置く。ガーゴイルを囲み準備は整った。
袋から長い針を取り出す。手のひらサイズの長い針だ。左手に剣を持ち、右手には針を持つ。まだこちらに気づいていないガーゴイルにしっかりと狙いを定め、右手にスキルの力がたまるのを意識する。
バシュンッ、手から離れた針は高速で空を裂き、ガーゴイルの首元に勢いよく刺さり、針の半分まで入った。スキル[シングルシュート]である。
「ガァァッ!」
刺された刹那、少し体勢を崩したと思ったがすぐに立て直し俺の方へと殺意を向ける。戦闘モードに入ったのだ。左手から右手へ剣を持ち直し、腰を落とす。ガーゴイルはこちらに滑空しながら向かうため、こちらに頭を向けて一気にスピードに乗って迫ってきたのだ。
キリト「来たか…」
右手で握りなおし、刀身は緑色の粒の光に無数に囲まれ、その粒が多くなればなるほど光は濃くなっていき、粒が刀身に吸収されると刀身は緑色のエフェクトではっきり光った。
ガーゴイルが右腕を上げ、切り裂く攻撃をしてこようとする。俺は右手を肩に剣を背中に位置し地面を踏み込む。互いに距離を一気に縮めると、俺は地面を強く蹴り上げ空中に飛んだ。ガーゴイルとの距離がいい感じに縮まると、俺はソードスキルをシステムの動きに任せ、剣を振り下ろす。緑色のエフェクトが綺麗に円を描き、ガーゴイルの背中にダメージを与える。ソードスキル「ソニックリープ」。
「ゴアァ!」
ガーゴイルが大きなダメージを負い、地面にそのまま落ちていく。俺は地面に着地し、ガーゴイルに向かって新たなソードスキルを打ち込もうとする。
シリカも突っ走り、短剣の刀身が白色エフェクトで眩しく光る。ソードスキル[ミラージュ・ファング]。六連撃をガーゴイルにに叩き込むと、敵は体勢を立て直すとシリカへ右手の爪を振り下ろす攻撃をした。
バックステップで腕に多少傷を負ったが大事には至らなかった。そしてソードスキル[ホリゾンタル・スクエア]を放つ。四連撃を打ち込み、敵のHPバーが0になったのを見た。水晶が割れるように敵は消滅した。
キリト「ふぅ…。大丈夫か、シリカ?」
シリカ「あ、大丈夫です!ありがとうございます…///」
元気なことを確認し、俺は空中に停滞する宝石を見た。あれがこのクエストの重要な一つのアイテムである。背中に羽を生やし、空中を浮遊する。一緒に宝石の下へ行き、眩く光りながらシリカの手中に収められた。
キリト「さぁ、帰ろう。もうクエストはないんだよな?」
シリカ「はい、そうですね。これを渡せばもう終わります」
キリト「よし、じゃあ転移門まで飛ぼう」
進行方向へ体を傾け、地面と平行に飛んでいる。空気が涼しく、この楽しさがアルヴヘイム・オンラインの強みだろう。空中を自由に飛べる快感はやはりすさまじいものだった。
茶色の髪が揺れる。猫の耳が揺れる。そんな彼女から言葉が出た。
シリカ「キリトさん。最近…どうですか」
キリト「どうしたんだ急に?」
表情は曇っていて、あまり元気が無いようにうかがえる。最近このような顔をしたことがないシリカだから少し心配になる。
シリカ「いや…なんだか怖いんですよね。皆と…そしてこの世界が…」
キリト「…そうか」
俺は転移門に着くと、シリカと一緒に転移する。街に着くと、俺は近くにあるベンチに座った。シリカは思わずびっくりした。クエストを終わらせないのか。そう思っただろう。
キリト「少し話そうぜ」
シリカ「…はい!」
ペタン、そんな音が聞こえそうな座り方で隣に座り、俺はシリカの方に向く。最近皆が怖い、それは俺が前々から抱く感情だ。その中にまぁ君も入ってはいるのだが。しかしこの世界がという言葉は少し気になる。
キリト「それで…皆が怖い?」
シリカ「はい、だって…思いませんか?」
キリト「まぁちょっとな」
頭をかき、腕を組む。
キリト「少し様子がおかしいと感じてはいたんだが、それは実は結構前からだったんだ。そう、SAOの頃からさ。そして今はその怖さがピークに来ている気がする」
シリカ「SAOの時からなんですね。そして今はもうそれが達しつつあると」
キリト「あぁ…そして、これは俺が言っていいものかわからないが…」
これは、言うべきなのだろうか。自覚がないから、俺が言って自覚させるべきか。それとも、気付いていないままの方が幸せだろうか。
シリカ「言ってもいいですよ、なんでも」
いつもとは違う、真剣な笑み。そういう感じがする。これなら俺も安心して彼女に言える。
キリト「じゃあ、俺から少し言わせてもらう…けど…」
唾を飲んでいった。
キリト「俺は確かに最近皆が怖い。…だけど、その中に、君もいる…」
シリカ「…」
俺は続けて言葉を言った。
キリト「正直言って、怖いのは俺だ。君も…正直…俺にとっては…ちょっと怖いと感じた時がある…」
シリカ「…そっか…そうですよね。なんか…自覚が足らなかったかもしれないですね…えへへ」
どうやら、自分でどうやら自覚したらしい。言えてよかった。俺にとっては…な。優しい顔は変わらず、俺はこの話をやめてある話題に移った。
キリト「それで、話は変わるんだが。世界が怖いって?」
シリカ「あ、それはですね…。あの女性が怖いんです…」
キリト「あの女性…?」
あの女性…やっぱりアドミニストレータの事なんだろうか。
キリト「アドミニストレータのことか?」
シリカ「…確か、そんな名前でしたね」
キリト「確かに、怖い…そう感じるよな」
シリカ「私が言っているのはその女性自身のことではなく…その女性が今後この世界に何をもたらすのか…なんです」
キリト「アドミニストレータが何かをもたらす?」
少し不穏が気持ちが募る。アドミニストレータの頭の回転は速く、支配者、否、簒奪者はこの世界でまだ生きている。そして権限も彼女にある。
シリカ「簡単に終わりそうにないんです。あの女性。キリトさんは何か封印しようとするプロトコルを作っているって聞きました」
キリト「あぁ、そうだ。順々に作っているところだよ。大丈夫さ、きっと何もかも元通りになるさ」
シリカ「…そうだといいんですけど」
言葉を濁らせたシリカだったが、一応聞かないようにした。そして俺とシリカはクエストを終わらせるために宝石を欲しがっている者の場所へ向かった。
NPC「これだ!ありがとう!お礼を渡すよ!」
シリカが金を受け取ると、俺はその場所から出た。そのあと彼女もその場所を出た。
キリト「…じゃあ、お疲れ。またな」
シリカ「…はい。それじゃ…さようなら」
シリカと別れ、俺はこの世界を後にした。
シリカ「…そっか。私も、皆と同じ。壊れているんですね…。そっか。そっか…ならとことん…ずっと…あなたを…」
眼は黒く染まり、そしてポーチ袋には…。
[ピナの羽]
順々に終わりに向かってはいますが、まだENDを迎えたヒロインは少ないですね。ストーリー進行と平行に彼女たちのENDもどんどん終わらせる予定ではあります。このSSが完結するのにはまだ時間がかかりはしますが、一応ENDは考えてます。これからもこの駄作なSSを、暖かい目で見てくれるととても助かります。よろしくお願いします!感想待ってますね!