土曜日の朝。仕事は順調とも言えるかどかはわからないが、第一アドミニストレータを止めるのが会社の本来の目的ではない。AI、より現実に近い世界を創造し、技術の限界を突破し、また突破して研究していくことだ。まぁ、俺の不注意なわけだが…。それにしても、今更だが本当に俺の不注意…だったんだよな…。正直あのPCを扱っているのは俺だけ…あ、いや違うか。全部のPCは上に管理されているんだった。でもそれでも俺だけが扱っていた…はず。
今でも悔いているのを表す溜息をしてしまった。ともかく今日は予定がある。この予定を作ったのはレインだ。それは昨日のALOで言われたことだった。
◇◇◇◇◇◇
ポーションや武器を売っているプレイヤーが最も行き来する場所、またはストリートで歩いていたことだった。石畳で出来た妖精の国、そのストリートをポーション目的で見ていた。そして店の前にまで俺は来たのだ。
キリト「さてと、ポーションを補充しとこうかな、前の敵で結構苦戦したわけだし。運営もすごい敵を出してきたなぁ」
店の前でポーションを眺めてみる。基本的赤で飲料型のポーションが安いし、手っ取り早い。たしかに結晶も手軽だが高いのだ。
キリト「すみません、ポーションをえーっと…ATK、DEF、あとHPのをください」
NPC「はい、こちらですね」
会計をすまして、俺はポータルへ戻ろうとしたときだったのだ。
???「キリトくーん!」
遠くから、はっきりと俺の名前を呼んだ女性の声がしたのだ。それは後ろからだった。振り返ってみると、その声を発した場所と思われるところに、一人の少女が立っていた。無論、仲間の一人だ。
キリト「おーレインか。最近あえてなかったな」
レイン「そうだね~。まぁ私も結構仕事が忙しかったりするからね。キリトくんは?」
キリト「俺はー…えーっと…まぁぼちぼち忙しかったかな。けど、今日は思い切り遊ぼうかな、ってな」
レイン「そうなんだ。あ、じゃあ明日、またうちに来てくれる?」
キリト「え?どうしてだ?」
レイン「いや、こうやってゲームの中で会うのもいいけど、たまには現実世界でも会いたいな…って思って」
キリト「そっか。わかった。じゃあ明日行こうかな」
レイン「ほんと?ありがと!」
前にもレインの店に行ったが、あれから結構経った。いろんなことがあって時間の流れが速い感じがする。俺は明日の予定を少し考えずつ、レインと会話を続けた。
キリト「レインは最近どうだ?」
最近会っていなかった分、現状どうなのかが咄嗟に気になったのだ。するとレインは腰に付けている剣の柄に手を当て答えた。
レイン「結構二刀流が達者になってきたかなって思うんだ。キリトくんに教えてもらったソードスキルのコツも結構つかんできたって感じ」
キリト「ほんとか?すごいな。もう俺なんか簡単にねじ伏せそうだな」
レイン「ちょ、そんな横暴な女みたいな表現やめてよー」
キリト「あはは、悪い悪い」
この期間、レインは戦闘力が格段に上がった、っていうことになるのか。それはすごいな。きっと何度も挫折しながらも身に着けていったんだろう。レインの《サウザンドレイン》は正直俺はかわしきれない。あのスキルはかなり特殊で、あれだけでも正直やっていけるだろうと思っていたが、あれ以上に強くなるともう勝てないかもな。
そういえばセブンとの仲はどうなっているのだろうか。前にセブンには会社まで弁当を届けに来たからな。あの時はとてもびっくりしたな。
俺の喉からセブンの名が出そうになった時、俺はふと思った。
まてよ?俺はいつもここで会話の時、よく別の人の名前を挙げるが、それは良くないんじゃないか、と。前も別の人の名前を挙げた時は色々と血相変えて詰めてきたからな…。
よし、喉から出そうなところをしっかりと、踏ん張って…。
キリト「なぁ、最近セブンとはどうなんだ?」
あ…。
レイン「…ん?セブン?」
キリト「あ、いや…その…」
何やってんだ俺ぇ!いや心の中で言わないってあんだけ釘を刺してたんだが!
レイン「セブン…セブンかぁ。そう、気になる…の?」
キリト「いやぁ全然全然!何でもないよ!あははーじゃあ明日会いに行くからな、そ、そんじゃまたな!」
俺はすぐにメニュー画面を開いてログアウトをしようとしたとき、突然右腕をがっちり掴まれる。
レイン「まぁまぁ、逃げようなんてしないでよ。キリトくん」
キリト「に、逃げようとなんて…」
レイン「じゃあログアウトをすぐしようとしたのは何故?」
キリト「それは…急に「急に用事を思い出した…とか無しだよ?」
よ、読まれてる…。心を見透かされているようだ。
レイン「そんなわけないよね?だってもしあったら最初に用事があるから急いでるんだ~とか言ってるもんね?」
キリト「そ、そうだな…」
まずい、反論の余地はない。
レイン「まぁ…」
レインは優しく腕を放してくれた。
レイン「私は別に他のみんなと違ってそんなに気になるわけじゃないからいいんだけどね。それじゃ、明日また会おうね」
キリト「お、おう」
彼女は手を振ってその場から消えていった。
俺は今度こそメニューを開き、ログアウトを押した。
◇◇◇◇◇◇
東京 XXX
和人「さてと…」
様々なビルが立ち並び、いろんな人が行きかう東京。たしかレインの店はこの道をまっすぐ行って右か。もうすでになれたものだ。バイクの速度を上げて俺は街を行く。
レインのいる店の前まで着き、バイクの駐車場まで押していった。
行く道には慣れている。ただ、入るときはどうも慣れない。やっぱりあまりこういう店には来ないからかなぁ。とりあえず、店の入り口から中に入っていく。
メイド「おかえりなさいませ、ご主人様!」
和人「…」
やっぱり少し恥ずかしいというか、照れるというか、慣れはしない。案内された席へ座るとメニューを渡された。メニューを除きつつ、メイドの中にレインがいないかチラ見する。レインはゲーム内では赤い髪だが現実ではクリーム色の髪をしている。結構特徴ある外見なのですぐにわかるだろうと思ったら、向こうの店員用のドアから出てきたのは本人だった。
虹架「あ、キリト君!来てくれたんだね!」
和人「あぁ。来て、って言われたからな」
虹架「別にいつでも来てくれていいんだけどなぁ。あ、じゃあご注文は何にしますか?ご主人様♪」
急にメイドの心に替わったので心臓がドキッとしてしまった。慌ててメニューを見て何を頼もうか見てみる。
和人「じゃあこのカレーにしようかな」
虹架 「はい!少々お待ちくださいね!ご主人様!」
和人「う、うん待ってるよ」
しっかりと伝票を抱えてドアの向こうへと消えていった。品が来るまで暇だなと思いつつ、ポッケにある携帯に手を伸ばす。
携帯内のメッセージアプリを開く。アプリマークに未読件数999+。もう、慣れた。これに関しては。最初は驚いていたけど、なんだかんだ返すのが大変になってきているのだ。ちゃんと見ているが、正直、スライドさせて流し見が多いけれど。
タップしようとしたときだ。画面右下のところから何者かがひょこっと顔だけ現れる。ま、まさかウイルス!?
和人「な、なんだ…」
そのひょこっと顔を出してきたのは、全体的に紫色のイメージであり空を飛ぶ妖精の姿。
和人「な、え!?」
ストレア「やっほーキリト!見える~?私は見えるよ~!」
そこに居たのは、俺の携帯のホーム画面を自由に飛び回る妖精、ストレアだった。
和人「な、なんでそんなところにいるんだ!?」
ストレア「いやぁ~キリトを近くで常にみたいなって思ってね?それでユイちゃんに相談してみたんだ~!」
和人「ユ、ユイにか?」
すると今度は右から飛びながら白い服、黒い長い髪の妖精が現れた。
ユイ「パパ、居ますか?」
和人「うん、いるよ。そ、それでこれは一体…?」
ユイ「えーっと…その…すみません!二人に脅されちゃって…」
和人「お、脅し?二人って…ストレア?それともう一人は?」
俺がそういうと、次は左からひょっこっと現れたもう一人の知り合い。ホーム画面を歩くもう一人の少女。
ユナ「やっほーキリト。見えてるー?」
和人「ユナ!?君もいたのか!?」
ユナ「もちろん!見たいんだもん!それに、キリトが変なアプリとか入れてないか怪しいし!」
和人「そんなもの入れてないが…。それで、ユイは二人に脅されたのか?」
ユイ「はいぃ。えっと…」
◇◇◇◇◇◇
ユイ「ふんふふんふふーん♪」
ガシッ!腕を急に掴まれた。その力は強く、イモータルオブジェクトの私でも、とっても焦ったほどに。
ユイ「ふぇ!?」
振り返ると腕をつかんでいたのはストレアさんだった。
ユイ「ス、ストレア…さん?」
ニコニコした顔でこちらを見つめ、つかんだ腕の力は全く緩めないストレアさん。
ストレア「お話があるんだー。ね、ユナ」
ユナ「うん!ユイちゃん、い・い・か・な?」
ユイ「わ、わかりましたぁ…」
これが、パパの味わっている笑っていない笑顔!こ、怖いです!
・・・・・・
その話題とは、パパを現実でも会えるように、そのような相談だったのです。
ユイ「パパを現実でも見れるように…ですか…」
ストレア「そう、だってオーグマーを付けた時だけしか見れないなんて皆と違って理不尽だと思わない?」
ユナ「そうよ!アスナさんなんか独り言で「えへへ、キリト君の部屋にカメラ設置しちゃった…いつでも見られるなぁ」なんて言ってたのよ?普通の人と違って何もできないなんて許せないの!」
ユイ「そ、そうですか…なるほど…」
言ってることはかなり狂気的ですが、一理あるのもまた事実。みんなのパパ、ですもんね。で、でも…。
ユイ「そんな方法…ないです…。方法…あっ」
一つだけあるかもしれない。いや、だけどこの方法はかなりパパに迷惑がかかるかもしれないから安易にできな「何?」
ユイ「い、いえ…」
ストレア「今の「あ」ってなぁに?なにか思いついたんだね~ユイちゃん?」
笑っていません!笑顔ですけど笑ってません!こ、これはもう正に…!
ユナ「どんな方法なのかな?ユイちゃん。教えてくれる?」
ユイ「ほ、方法なんてありませ「あるんだよね?嘘は見透かせるよ私。だってヘルスカウンセリングプログラムだもん!気持ちなんて意外とわかっちゃうんだ~♪」
ユナ「で、キリトを近くで見れる方法はなにかな?」
ユイ「そ、それは…」
な、なんかストレアさんもう武器を出しています!でかい大剣です!ユナさんもいつの間にか細剣を出しています!
ユイ「わかりました!お、教えます!」
イモータルオブジェクトでも、逆らったらなぜか敵わないような、そんな気がしました…。
◇◇◇◇◇◇
和人「なるほどな…そりゃ怖いな…。それよりどうやって俺のこと見えているんだ?」
ストレア「それはキリトを映す内側のカメラから見えてるよ」
和人「へぇ~そうなんだな。って、え?ま、まさか見えてるって…」
ユナ「そう、見えてるよ?キリト以外に…君の後にいる女のこともね…」
和人「な…う、後?」
振り返ると、ゼロ距離に全く笑っていない彼女がいた。
虹架「カレーライス…お持ちしました…。ご主人様?」
声!声がもうなんか怖い声になってる!女性が出しちゃいけないようなどすのきいた声になってるレイン!
ユナ「ねぇ、そこにいる女、レインさんだよね?髪色は違えど間違いないわ」
ストレア「ほんとだね~キリト。ゲームにログインしないときはそんなところにいるんだね~」
俺は咄嗟に携帯の電源を落とし、ポッケにしまう。レインに振り返り、会話をしようとする。
和人「や、やぁ…。あー…見てたか?」
虹架「うん、見てたよ。キリトが携帯に話しかけているから何かなぁって思ったけど、まさかそんなところにストレアさんとユナさんがいるなんて…ね」
顔近い!目が真っ黒で吸い込まれそうだ。レインはそっとカレーライスを目の前の机の上にそっと置いた。
顔を離すレイン。すぐに呼吸を再開した。顔を詰められた時、無意識に呼吸を止めていたようだ。レインは俺の座っている席の隣にそっと座った。なお距離はゼロ。
和人「えっと、虹架…さん?」
虹架「レインでいいよ。前にも言ったじゃん、ここではレインの名で通っているって」
和人「そうだったな、ごめん。で、えーっとレイン?ここに呼んだ理由は何だ?」
虹架「それ、昨日言ったじゃん。普通にここで会いたいって。大丈夫?最近疲れてるんじゃない?」
和人「そう…かもしれないな、うん」
虹架「とりあえず、ほら♪」
レインはスプーンを手に取ると、カレーライスをすくい俺の口元まで運ぶ。
虹架「せっかく作ったんだし、あーん♪」
和人「あーん…」
口の中にカレーを入れられる。食べてみると、普通の、カレーだ。少し辛さもあって俺にはちょうどいいカレーだ。
和人「美味しいよ、レイン」
虹架「本当?ほらもっと、あーん♪」
和人「あーん…」(まだ…やるのか…)
美味しいのは事実だし、やってもらうのはとても恥ずかしいが。
とりあえず今日は普通にレインに会いたい、そういうことで来たんだ。そう、そのはずだ。しかし、何だろう。この感覚…前にどこかで…。
虹架「おーとっとっと…。そのまま寝ちゃうとカレーに頭突っ込んじゃうよキリト。うふふ…」
そっとキリトの体を支えるレイン。ゆっくりと持ち上げる。
虹架「やっぱり細いなぁ。まぁ、楽だからいいんだけどね」
前来た時と同じように、キリトを店員用のドアへと早く駆け込んでいく。あまりみんなに見られないように。店員用のドアの近くの席で助かったと心の仲で安堵した。
皆さま、お久しぶりです。エーンと申します。
ひとまず、最近投稿がなかったこと、謝罪いたします。すみませんでした!
言い訳、にもなってしまうのですが、聞きたい人は聞いて、聞かなくていい人は大丈夫です。
ここ最近、世界でパンデミックを起こしているウイルスが自分の生活にも影響をおよぼしてしまいました。主因は勉強です。皆さまも勉強をしていると思いますが、ウィルスの影響で勉強がとても今きつく、休む暇がなくずっと四六時中勉強三昧になっています。やっぱり勉強はしないとね皆。
それでも構想を練って話を続けていこうと思います。今やっと余裕が出てきたのでこうしてPCにまた触れている感じです。皆もウイルスに負けずに頑張っていきましょう。