キリト「皆がヤンデレすぎて怖い」   作:エーン

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虹架に拉致された

本編は下です


73話 キリトはメイド喫茶へ

永遠に続く暗闇の中。どこまで行ってもなにも希望が見えなくて、絶望に浸ってしまう。歩いても歩いても、何も変わらない。どんなルートを行こうとも、絶望だけが待っている。

怖い、怖い、怖い。みんなからの視線、行動、言動、仲割れ。俺を起点に皆がやりあうのを、黙ってみているのはもう辛い。どうにか、して、この状況を変えなければいけない。どうすればいい?どうすれば、この悪夢から、醒めるのか。

何か、彼女たちが一つになれば、きっと仲良くなれる。前のような、楽しい時間を取り戻せるはずだ。だから、この暗闇を歩き続けるしかない。きっと、きっと本物の楽しい笑顔を取り戻せる。彼女たちの、心から笑っている顔、それを見たい。

だから俺は、歩き続ける。希望が見えるその時まで…ずっと…永遠に…。

 

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「起きた?」

 

和人「はっ…?」

 

宙につるされている一つの明かり。さっきのは…夢か?

 

虹架「えへへ、ご主人様?」

 

椅子にぴったりと背中をつけて縄で拘束されている。腕も、太ももも、足も。そこに下から俺の目を覗き見るように目を合わせてくる虹架。明かりがあるのに、目には明かりが映えてない。

 

和人「こ、ここは…」

 

虹架の顔に恐怖してもなお、なんとか言葉を引き出す。

 

和人「ここはどこなんだ?こんな場所、あの店にあったのか…?」

 

見渡しても、壁、壁、壁。窓は一つ、外の日差しがさしている。多少埃が舞っていて、使われている場所ではなさそうだった。

彼女はニヤっと、表情を変えて話し始めた。

 

虹架「ここは喫茶店じゃないよ。外にある使われていない建物の部屋の中。見つけておいたんだ。いい場所でしょ?なんか、まるで世界からこの空間だけ切り取ったみたいな、そして二人だけの世界。どう?なんか、不思議な気持ちになるよね」

 

な、何を…言って…。いや、これまで彼女たちの思考は予想の斜め上を行っていたんだ。今更驚くことじゃあない。呼吸をし、問いただす。今の彼女の機嫌を損ねたら、きっとそこで命はない。

 

和人「そうか。それで、俺、記憶が曖昧なんだ。えっと…確かさっきまで俺は喫茶店で飯を食っていたはずなんだが。もしかして、虹架」

 

こくんと、彼女は頷いた。すっとポケットから出してきたのは、何かの錠剤だった。

 

虹架「これをね盛ってたんだよ。何かわかる?これ、睡眠薬。即効性の高いやつなんだ。あ、安心して?副作用はないから!」

 

睡眠薬…そっか。けど正直、これを盛ろうとしている時点で、狂ってる。背筋が凍るみたいだ。なぜそんな危険なものを簡単に人に飲ませられるのか…。薬には、副作用がないものは一つもないはずだ。きっと目立つものがなかっただけで、実際は何か体に起こってたかもしれない。

 

和人「そんな危険なもの、なんで盛ったんだ?」

 

彼女は薬をポケットに戻し、俺の問いに答えだす。

 

虹架「二人きりで、話したかったんだ。私の、気持ちと、君の気持ち」

 

和人「話?それだったら、さっきの喫茶店でもよかったんじゃ…?」

 

虹架「ダメダメ。メイドは一人の場所にずっとはとどまれない。それに、君の携帯の中にいる3人にも聞かれたくなかったんだ」

 

携帯…?そういや、ポケットからなくなっている。ユイ、ストレア、ユナに聞かれたくないほど、真剣な話ってことなのだろう。確かに、二人きりで話したいなら働きながらじゃだめか。でも…。

 

和人「そういわなくても、話したいっていえばついていくのに」

 

虹架「…そうかな?今の和人くん、正直恐怖心が強くて"二人でいる"ということに警戒を覚えていると思っててね。だから、さらに恐怖を植え付けることになったけど、こんな風に話し合いの場を強制的に設けた。ごめんね?メイドなのに」

 

言われれば、そうかもしれない。今の俺に、彼女たちを信じる、ということがどれだけ大変になってしまったか。信じるって、案外難しいことなんだなって再確認した。

 

虹架「あ、ちなみに仕事は職務放棄じゃないよ?ちゃんとシフト上がりだからね?」

 

抜け目がない。さすがだ。

 

虹架「じゃあ、本題に入ろうかな」

 

そういうと、虹架も椅子を持ってきて対面に座る。俺と目を合わせた。

 

虹架「話し合いといっても、簡単な話。単刀直入に言うね」

 

にこっと笑みをする虹架。俺は唾をのむ。

 

虹架「私のこと、好き?」

 

首を傾げそう聞いてきた。

 

和人「え…と…」

 

質問の内容はごく単純なもの。好きか、そうじゃないか。俺はそう答えればいいだけの質問。ただ、内容は簡単であれど重みが違う。まっすぐ聞いてきてるんだ。俺に、好きかどうなのかを。

息が詰まるような感じが一瞬した。落ち着いて、俺は言葉を口から出す。

 

和人「…俺は、もちろん好きだよ」

 

虹架「異性として、かな?」

 

ぐいっと、前かがみによって来る。また、俺の目を除いている。

 

和人「…いや」

 

元の姿勢に戻る虹架。ため息をついて、見つめなおす。

 

虹架「まぁ、わかってたんだ。でもね、私はあなたのメイド。あなたに嫌われることなんて、しないから。だからさ…その…ね?」

 

言葉と言葉に間をおいて、虹架は言った。

 

虹架「私を嫌いにならないでね?」

 

その言葉だけは、鮮明に耳に入ってきた。脳に直接入ってくるくらい、普段とは違った声の質で。

 

和人「あ、あぁ」

 

俺はその眼差しに、その願いに、自然と答えていた。何か今トリガーを引いた気がしてならない。この願いを聞いてよかったのかという俺の中の疑問が残る。

 

虹架「えへへ、よかったぁ。じゃあ、捨てないでね?私のこと。それじゃあ拘束を解くね」

 

立ち上がって拘束具をほどいていく。

 

和人「え、話し合いってこれだけでよかったのか?もっとなにか、あるんじゃないのか?」

 

縄を両手で持ちながら振り返る虹架。

 

虹架「ん?これだけだよ?」

 

きょとんとした顔をしている。縄を集めて行って話し続ける。

 

虹架「これだけでも、私にとってはとっても大事なことなの。好き…まぁ異性としての好意は持たれてなかったけど、友として、私のことを好んでくれるんだよね。私、和人君にもっと好きなってもらえるように頑張るからね」

 

そして虹架は俺の携帯を返してくれた。

 

笑顔で扉を開ける。

 

虹架「さ、もう帰っていいよ?こんなことはもうしないから」

 

椅子から立ち上がる。しばらく座ってて体が思うように動かない。屈伸をして筋肉をほぐし、歩き始める。

 

和人「それじゃあ…またな虹架」

 

虹架「うん、またね!」

 

俺はその建物の扉を抜け外に出た。近くには虹架の働いている店があった。とても近い距離だったのだ。裏口から運んだのか。

後ろを向いて、虹架に手を振る。そのまま俺はバイクに乗って家へと向かい帰っていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虹架「…いつでも見てるんだからね。えへ…えへへへへへへ…あはははははははははは!!!!アハッアハハハハハハ!!!絶対に捨てないよね!?和人君は私のこと嫌いにならないもんね!私は、和人君のメイドなんだから!ご主人様が喜ぶことはなんでもするの…そう…ご奉仕する…毎日…毎日毎日毎日ね!」

 

 

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バイクに乗りながら、家へ向かっている間のことである。ハンドルの近くにつけている携帯の中にいる彼女らがなんか話していた。

 

ユイ「パパ、大丈夫ですか?」

 

和人「ん?何が?」

 

信号に止まっている間、ユイから声がかかる。

 

ユイ「いえ、さっき携帯が電源切られた間のことです」

 

そう、虹架は俺の携帯の電源を切っていたのだ。そうすれば、たとえ携帯の中にいるとは言え現実世界の音や声は彼女らに聞こえはしない。そしてさっきのことだが…。

 

和人「なんでもなかったよ。大丈夫さ」

 

ストレア「ほんと~?お姉さん、怪しいなー」

 

ユナ「ひどいこととかされなかった?心配だよ?」

 

信号機が青に変わる。

 

和人「大丈夫だって。信号青になったから、また少し話せないぞ」

 

エンジンを吹かせ、家へと進む。ヘルメッド越しに移る夕焼けの街並み。ようやく見慣れた市街地へと入っていく。さすがに東京に行くのは大変だ。

家の前についてバイクを止め、玄関から上がっていく。玄関で靴を脱いでおくと前からスグがとてとてと早歩きで来た。

 

スグ「お帰りお兄ちゃん。今日は東京に行ってきたんだよね」

 

和人「あぁ。そういえば今日の夜ご飯の担当は俺だったな。それじゃあ早速作るか」

 

スグ「うん!楽しみにしてるよ!」

 

手洗いをして、自分の部屋で上着を脱いで下へと戻る。スグはソファの上で洗濯物を畳みながら、テレビを見ていた。俺は台所に立って、さっそく料理を始めた。

料理をしながら、今日のことを振り返っていた。レインこと虹架は、あのような話し合いの場、話し合いというよりは質問というほうが正しいか。ただ彼女にとってはあの質問は大事なのだろう。俺でもわかる。異性に好きかどうかを聞くのはとても緊張するし、だれであれ大切な時だ。

彼女も彼女なりにいろいろと思い詰めていたのかもしれないしな。ああいう風に真剣に話せて、俺もよかったかもしれない。

 

和人「はい、スグ」

 

スグ「ありがと。麻婆豆腐なんだね」

 

和人「材料を買ってたからな。それに、俺は辛いのが好きだしな」

 

スグ「もちろん、知ってるよ」

 

他愛のない会話をしながら、夜ご飯は終わった。

風呂に入り、俺は目を閉じながらリラックスをする。肩が仕事で凝る…はぁ…。

 

スグ「お兄ちゃーん、一緒に入ってもいい~?」

 

和人「あぁ、いいよ」

 

…え?…え?ちょ、ちょま「じゃあ入るねー」

 

和人「ちょちょちょ!いきなりどうしたんだスグ!?」

 

恥ずかしがって前を布で隠しながら入ってくる。大きな胸がより主張されているのがなんとも刺激が強すぎる。

 

スグ「そ、そんな顔しないでよ。兄妹なんだし、私のこの体…もう見慣れているでしょ?まぁそれはなんか素直にうれしくはないけどね…」

 

いや、見慣れているわけない!きれいな体で目のやり場に困っている状況だ。

 

和人「お、俺たちは一緒に風呂入る年じゃないだ…ろ?なぁスグ?」

 

スグ「もしかして…私の体にもう興味なくなっちゃった?だから言い訳としてそんなこと言ってるのお兄ちゃん」

 

…あ、だめだこれ。

 

和人「そ、そんなこと思ってないぞ!むっちゃ魅力的だし、きれいだし…え…えっと…」

 

スグ「ほんとぉ?よかった!うれしいなぁ!まだまだお兄ちゃんには刺さる体なんだね!」

 

和人「あは、あははは…」

 

一緒に風呂に入った。なお俺は後ろを見ている。

 

スグ「…」

 

和人「…」

 

スグ「ちょっと!魅力的なんじゃないの!?」

 

和人「うぇ!?もちろん!もちろんだともスグ!」

 

スグ「じゃあなんでそっち見てるの」

 

和人「いや、だってそりゃあ見られたくないだろ?」

 

スグ「そんなことない!」

 

和人「えぇ!?」

 

スグの昔のころなんて、自ら見てみてなんていう子じゃない。今はもうこっちみての主張が激しくなった。正直、うれしいという気持ちより複雑な気持ちだ。

 

スグ「じゃあ体洗ってあげる!」

 

和人「い、いいよ。自分で洗うし…というかなんで…」

 

スグの目からハイライトが消える。

 

スグ「お兄ちゃんは私に体洗ってほしくないんだ…そっか…じゃあわた「あー洗ってほしい!な?スグ…だから機嫌を直してください…」…ほんと?よかったぁお兄ちゃん!」

 

俺はすぐバスチェアに座り、背中をスグに向ける。恥ずかしい…いまだに兄妹でこんなことやっている人いるのか?

 

スグ「えへへ…じゃあ洗っちゃうね」

 

手にボディソープをたらし、背中に触れる。小さいながらも、剣道の豆がわかる手だ。一生懸命なその手で、背中を洗ってくれている。

 

スグ「…お兄ちゃんさ。もう、大人だね。私はまだ全然子供なんだね…わがままばっか言っているんだもん」

 

和人「スグ…」

 

手を休めず、話し続けるスグ。

 

スグ「でもね、周りにいる人たちにとられたくなくって、いろいろとお兄ちゃんと一緒にいる時間を作ろうとしてて…。まぁ私が一番一緒にいる時間は長いと思うけどね」

 

和人「まぁそうだな…。ずっと一緒にいたからな」

 

スグ「うん、でもやっぱりお兄ちゃんと一緒にいる時間が一番いい…そう…」

 

少し手が止まり、爪を立て始める。

 

和人「スグ…?」

 

スグ「でもお兄ちゃんの周りにはいろんな女がいるしそしてそいつらは私のお兄ちゃんをたぶらかそうと何度も何度も何度も…あぁ…憎たらしい。どうしてそんなことするのかなぁ…」

 

爪が俺の背中に刺さっていく。

 

和人「スグ…!」

 

スグ「でもお兄ちゃんはみんなに平等に接しているからほかの人を傷つければお兄ちゃんは間違いなく起こるだろうし嫌うから簡単には行動に出れないし…もうどうしようどうしようあの女ども近づくな近づくなどうしてどうして奪おうとするのどうしてお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん…」

 

爪がさらに刺さり、痛みを増す。

 

和人「スグッ!」

 

スグ「あ、ご、ごめんねお兄ちゃん。大切な人を傷つけちゃった…何しているんだろう…ごめんね」

 

和人「い、いや大丈夫だよ…」

 

正直、大丈夫ではない。怖いし、命が削られる感じがした。このままじゃ、一向にいい方向にはならないだろう。夢で見たような、希望はあるのだろうか。何か、彼女たちを止めることはできないのだろうか…俺は…どうすればいい?彼女たちを彼女たち自身で傷つけさせたくはない。きっと、俺にしかできないことなんだと思う…。早く、なんとかしないと…。取り返しのつかないことになる…。

 




お久しぶりです。
一応生存報告として投稿しました。すみません。多忙の中、なんとか書いていました。あと絵は一部消させていただきました、処理はやっときます。
これからもよろしくお願いします。この小説は、絶対に終わらせます。
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