陽だまりシリーズ:小日向未来<放浪>   作:ヨザリイコイ

10 / 58
第2章の世界の原作であるジョージ・オーウェルの『1984年』を簡単に解説いたします。


第2章 The Last Women in Europe
閑話.原作解説


「1984年」は1949年に出版されたジョージ・オーウェルの小説です。

  まずこの物語の舞台についてご説明しましょう。

 物語では1950年代に核戦争が起き、その後の紛争や革命によって3つの超大国が誕生しました。本章で未来さんがいるオセアニア、ユーラシア、イースタシアの3つです。

  オセアニアはイギリスと南北アメリカ大陸、アフリカ南部、オーストラリアを領有し、ユーラシアはイギリス以外のヨーロッパと旧ソ連地域を、イースタシアは日本、中国、朝鮮半島、中央アジアを領有しています。3つの国はそれ以外の地域(東南アジアやインド、中東など)を巡って戦争を続けています。

  オセアニアでは独裁者ビッグ・ブラザー率いる「党」がイングソック(イングランド社会主義)という思想を元に独裁を行なっています。党には3つのスローガンがあります。「自由は服従なり。戦争は平和なり。無知は力なり」です。全て矛盾しています。

 政府は4つの省庁から構成されています。平和省(戦争担当)、豊富省(配給担当)、真理省(プロパガンダ、情報改竄担当)、愛情省(拷問、洗脳担当)です。全て名前とは逆の役割を持っています。

  国民は3つの階層に振り分けられており、実際に国を動かす党内局員、党の事務作業を行う官僚である党外局員、労働者のプロレがあります。このうち党内局員と党外局員はテレスクリーン(テレビに監視カメラの機能が搭載されたような機械です。電源を切ることはできません)や密告によって常に監視されています。不満を少しでも感じたら最後、思想警察(秘密警察)に捕まり洗脳され、挙げ句の果てには処刑されてしまいます。

  しかも党には逆らえないように言葉と考え方がコントロールされています。語彙数を削った英語のニュースピーク、矛盾した二つの考えを同時に受け入れるダブルシンクがそのコントロールの方法です。

  このようにオセアニアでは権力に逆らうことが全くできないようにされています。

 次に原作の物語を説明したいと思います。

  ロンドンに住んでいる主人公のウィンストン・スミスは真理省で情報改竄を担当する党外局員です。彼は1984年4月4日から日記をつけ始めていました。(これは発覚すると死刑です)

 ある日、彼は昔粛清された人物が載った新聞記事を見つけ、オセアニアの体制への反感を強めます。

 そんな中出会った党外局員のジュリアと出会い、惹かれ合います。彼らはウィンストンが日記帳を買った雑貨屋の2階で密会を重ねます。

 その後、党内局員のオブライエンとも出会い、彼から党を裏切ったエマニエル・ゴールドスタイン率いる兄弟同盟の存在とエマニエルの書いた禁書をウィンストンは手に入れます。

  しかし2人が安泰だったのもここまででした。実は雑貨屋の主人のチャーリントンは思想警察の隊員で、2人は逮捕され、バラバラに愛情省に連行されてしまいます。

 そこでウィンストンを待ち構えていたのは、オブライエンでした。彼はウィンストンを拷問にかけ、彼の信念を破壊しました。

 ウィンストンは釈放されましたが、自身の信念をすっかり失くしてしまいました。そして党の思想を受け入れつつ、最後は銃殺されてしまいました。

 

 

 




本章ではウィンストンの死後30年後を舞台としています。ゆえに独自設定がかなり多くなっています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。