陽だまりシリーズ:小日向未来<放浪>   作:ヨザリイコイ

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chapter10.歓迎のミサイル

  峠を過ぎて、山を登りきった。辺りはいつかの白髪山のように霧が立ち込めている。

「この世界の山は何処もこんな感じなのかな」

 貰った手書きの地図を見ながら歩いていると向こうに何か立っているのが見えた。

「何だろ?」

 近くまで行くとそれが標識だとわかった。大分錆び付いていたけどこう書いてあった。

  [↑この先国境]

 多分、並行世界との境界なんて普通の人にはなんのことかわからないからこう書いてあるんだろう。

 もう少し歩いて行くと祠があった。出発するときに教えてもらったやつだろう。地図にも標識を過ぎたところに祠があると書いてあるし。

 祠に一礼して、さらに進んで行く。周囲の光景が変わり出した。それまで背の高い木に囲まれていたのに、それが無くなり開けたところに出てきた。そして今までにはなかったものが出てきた。鉄条網だ。道の前方にそれが張られていた。現地の人が此処に迷い込んでも、うっかり向こうの世界に行かないようにしたのだろうか。しかし困った。これでは別の世界に行けない。

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 リンカーが勿体無いが背に腹はかえられない。神獣鏡を装着して鉄条網を飛び越えることにした。

 

 

 

 鉄条網を飛び越え、向こう側に着地する。現地の人に見られてはまずいので一旦解除する。そしてまた歩いて行く。周りには何もない。

 20分くらい歩いたとき、何か出てきた。トンネルだ。周りはだだっ広い平原の中になんでこんなものがあるのかはわからない。ご丁寧に信号機まである。青色のランプつきで。

 このトンネルはなんとも怪しいが、いつまでも平原のなかを歩き回るよりは何か収穫があるかも知れないから入ってみることにする。

 

 

 

 

 トンネルの中は明かりもなく、貰った懐中電灯で照らさないと歩きにくかった。幸い、車1台が通れるほどの広さだったから壁に身体をぶつける羽目にはならなかったけども。

 トンネルはかなり長く、先が中々見えない。ここまで休みなくずっと歩きっぱなしなので流石に疲れてきたが、それでも歩き続けた。でもこのままだと体力の限界も近い。だから早く出口を見つけないといけない。それに懐中電灯もいつ切れるかわからない。

 疲れた足に鞭打ち、トンネルの中を私は彷徨った。

 

 

 

 トンネルに入って、もうかなり経ったはずだ。それなのにまだ出口が見えない。懐中電灯は切れてしまい使い物にならない。

「もしかして、私、ずっとここにいなきゃいけないの…?」

 暗闇の中にいる心細さと疲れから私はうずくまって、とうとう泣き出してしまった。もしかしたら二度と元の世界に帰れないのではないか。そう思ってしまった。その時だった。

  「帰ることを諦めないで。もしかしたらということがある」

 花立村でお世話になったあの二人の言葉が頭によぎった。もしかしたらまだ道があるかもしれない。

 リンカーが勿体無いのは承知の上だがギアを装着して浮きながら、先へ進む。途中、道が二股に分かれていたり、十字路になっていたりとまるで迷路のようになっていたため、出口探しは難航した。けれども必死になって探した。

 

 

 

 そしてとうとうトンネルの出口が見つかった。目の前に階段が出てきた。どうやらこのトンネルはどこかの地下道として存在しているようだ。

 トンネルから抜けだした。やれやれと思いつつ、いったいどんなところに着いたのか周りを見回して、私は絶句した。

 辺りには築何十年も経っていそうな家が何軒も建っていた。その家々には私の見た所全てがボロボロで、今にも崩れそうだ。それだけじゃない。向こうに見える建物は写真で見たことのあるビッグ・ベンに似ているが、それにしては酷く荒れている。そしてその後ろに白いピラミッドのような建物が建っていた。

「ここは一体どこなの?あの時計台はロンドンのビッグ・ベンに似てるけど、でもロンドンにピラミッドなんかないしね」

 しかし着いた先は多分だけどイギリスかぁ。英語の成績はまぁ悪くはないけど私の英語は通じるかなぁ。呑気にそんなことを考えているとこちらに何か飛んできた。ギアのバイザー越しにそれを見て、私は魂が飛び出るほど驚いた。

「ミ、ミサイル⁈」

 それはミサイルだった。まずい!このままじゃ当たってしまう。

 慌てて地面に伏せるとミサイルは私が通ってきたトンネルに飛び込み爆発した。

 私は爆風で身体を投げ出され、地面に身体を叩きつけられてそのまま気を失ってしまった。

 

 

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