「と、党内局員になれ?!ち、ちょっと待ってくださいよ!私、政治のことなんて全く分かりませんよ!」
「そ、そうだよ!私だってそういうことはよくわからないのに!」
マイケルさんの突拍子も無い言葉に私達は取り乱していた。けれどもマイケルさんは頭を下げてこう言った。
「そんなことはわかっています。ですが既存の党内局員だけでは、視点の偏りがどうしても出てしまいます。だからどうしても他の視点を持った人間が必要なんです。イングソック、いやイングランド社会主義の考え方に囚われていない人材がいないとおそらく難しくなるでしょう。オールウェイさんはプロレの出身故にイングランド社会主義にはそれ程染まっているわけではない。そしてコヒナタさんは外国人だ。オセアニアの人間とは別の視点を持っているはずです。この通りです。私に力を貸してください」
ハンナさんは困惑していた。私もだけど。
「条件がある。私達は外国に行きたいと思っているんだ。自由に外国に行ってもいいならやるよ。ミクもそれでいいか?」
「いいよ」
マイケルさんは私達の条件に少し考えこんでいたが、すぐに「いいでしょう」と答えてくれた。
「それなら私達やるよ」
「ありがとう」
これで私達の党内局入りが決まった。
私は一つ気になっていたことがあったので聞いてみた。
「マイケルさん、一つ質問があります」
「何でしょう」
「この国以外にユーラシアとイースタシアがあるって聞きました。でも本当にそんな国はあるのですか?ミニパクスがロンドンに向けてミサイルを撃っていたのを阻止したからずっと気になってたんです」
「先程、ミサイル基地が襲撃されたとの報告が入りましたが、あなたがやったのですか。いや、本当のことを申し上げますとユーラシアとイースタシアという国は存在しません。正確に言うと20年前までは存在していました。しかしどちらの国もこの国とは違って民主化や分離独立運動が起こってユーラシアはロシアとヨーロッパ連邦に、イースタシアは日本、中国、韓国、トルキスタン連邦、チベット、モンゴルに現在ではなっています」
「そうですか。重ねて質問しますが、オセアニアの領土は実際はどのくらいなのですか?」
「ここだけです」
「え?」「なんだって?」
「今ではエアストリップ・ワン、グレートブリテン島しか領土はありません。10年前からアメリカ大陸ではパンアメリカ連邦という政府が存在していますし、南アフリカやオーストラリアでもそれぞれ別の政府が存在しています」
「そうですか。分かりました」
どうやらこの国は本当に終わりに近いらしい。少し手伝ってあげようかな。
「それでマイケル。あんたはどういう国にするつもりだい?」
「まず監視制度自体を完全に取りやめて、それから他国同様民主化をすることを目指しています」
「ふぅん。あんまり難しいことは分からないけど、息苦しい国でなくなるってことでいいんだね」
「簡単に言えばそうです。最近ではシンクポルにもこんな監視制度自体無駄だと考えている人はいますしね」
「だから私をあそこから連れ出せたわけだ」
なるほど、シンクポルに口をきいてくれたからハンナさんは壊れずに済んだのか。
「まぁ、詳しい話は後日しますから今日のところは一先ずお引き取りください。改革派の仲間にも紹介したいので」
今日のところはここで話が終わった。さてどうしようかな。教科書レベルのことしか知らないけど。出来るだけ力は貸してあげよう。話を聞いているとお話のような国にはしないつもりのようだし。
この時のオセアニアは末期のソビエト連邦をモデルにしています。もう国自体に余裕がないのです。
さて党内局員になった未来さん。黒いオーバーオールを着て、どんな活躍をするのか?
次回乞うご期待!